ROBOT魂 紅蓮聖天八極式

バンダイ ROBOT魂(SIDE KMF)シリーズ

定価 4200円

ROBOT魂 紅蓮聖天八極式
ランスロットアルビオンを上回る、最強のナイトメアがついに登場!

気づいたら趣味の世界に・・・
ボトムズなどのリアルロボット的な設定でメカ好きの心をつかんだKMFであるが、第2期に入ってからはガンダムSEEDバリのスーパーロボット化が進んでいった。この高出力・空中戦化の波は主役機であるランスロットや紅蓮に押し寄せ、ランスロットはランスロットエアキャヴァルリーランスロットコンクエスターに強化され、紅蓮も紅蓮可翔式へと進化した。その後、ブリタニアのエース機から量産機までフロートシステムで空を飛ぶのは当たり前になり、ハドロン砲などの高出ビームが飛び交い、初期のころの地味だが硬派なメカ戦がなりを潜めていったのである。そのパワーインフレの頂点に達している機体が、今回紹介する紅蓮聖天八極式 である。

制作スタッフの雑誌でのインタビューによれば、このようなスーパーロボット化は人気が出るにつれて避けられない現象なのだそうだ。というのも、地上戦は作画や動画の手間が多く、空を飛んでくれていたほうが描きやすいし、人気が出ると派手さを出すために武装の高出力化が避けられなくなる。このような現象を最初からスタッフは見こしていたため、深夜枠では放送されていた地上戦に力を入れていたとのことである。

紅蓮可翔式に強化された紅蓮だったが、この状態での活躍は少なかったというのはこれまでお伝えしてきたと思う。神虎によって鹵獲された後は、ロイドの手に渡った。ライバルであるラクシャータの開発したKMFを解析した彼は、鹵獲した紅蓮を改造し始めた。その改造には、助手のようなポジションであるセシルも加わり、気が付いたら二人とも趣味の世界に没頭し、元の紅蓮の原型をとどめないほど改造するにいたった。その変貌ぶりは、ロイド役の声優である白鳥哲氏が最初にそのデザインを見たとき、「見る影がない」と言わしめるほどであった。

紅蓮の最終形態である紅蓮聖天八極式は、コードギアス世界でもトップクラスの技術者らが共同で開発したものである。基本設計をラクシャータが行い、それにブリタニアのKMFを進化させたランスロットを開発したロイドがMVSなどのブリタニアの技術を追加し、武装が強化された。さらにセシルが研究していたフロートシステムの発展形であるエナジーウイングを装備し、従来にない圧倒的な機動性が確保されたのである。

技術陣が趣味の世界に入り浸るまでに力を入れ改造された紅蓮聖天八極式は、最強のKMFに位置し、ナイト・オブ・テンの駆るパーシヴァルを出力60%ほどで完全に撃破し、スザクのランスロットコンクエスターをも大破させた。さらに、スペック上でもロイドが独自に開発していたランスロットアルビオンを上回り、物語終盤でブリタニアを乗っ取ったルルーシュとスザクの前に敢然と立ちはだかり、挙句の果てにKMF戦でのラスボスにまでなった。まさに趣味が仕事を凌駕してしまった形となったのである。

女だてらによく売れた!
もともと、ランスロットと紅蓮は一定以上の人気があったため、この紅蓮聖天八極式もランスロットと人気の一二を争うものだったが、最後までプラモデルでは発売されなかった。ユーザーの眼はKMFの立体化を進めていたROBOT魂に向けられており、2009年5月にランスロットアルビオンが発売され、これがあっという間に売り切れててしまう。アルビオンの出来はものすごく良く、否応がなしに紅蓮聖天八極式への期待が高まった。

そして、翌月6月に発売されたムック、『コードギアスモデルワークス』にて開発中のCADが公開され、11月発売とアナウンスされた。その早いリリースにファンは歓喜し、ネット通販での予約は3ヶ月後にはいっぱいになるほどの人気であった。私の場合、予約受付開始直後に予約を入れたので安心して買うことができたが・・・。

アルビオンの好評を受け、バンダイ側もそれなりの数を用意していたようで、アルビオンのように発売日に売り切れてしまうということはなかったのだが、それでも「万全の数を用意していた」というバンダイの売り上げ予想を大幅に超える絶好調のセールスをマークした。

魂フィーチャーズでのコメント
販売側の予想を上回る売れ行きだったといわれる紅蓮聖天八極式
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発売日の前月である10月からROBOT魂1周年キャンペーンと銘打ち、特製スタンドとカタログが配布されていたのを受け、コラムを書いていることへの報酬に11月に再販がかかっていた蜃気楼とアルビオンをHUYU君にプレゼントした。すると、彼の弟が「蜃気楼とアルビオンあるんだったら、紅蓮も買おうぜ」という鶴の一声を皮切りに弟君と共同出資で紅蓮を買ったというエピソードもある。アルビオンと紅蓮の出来にHUYU君はほくほくとしていたのだった。その素晴らしいできであるROBOT魂 紅蓮聖天八極式を詳しく見ていこう。

アハッ、このデザインはさあ、開発担当者を殺すよ?
紅蓮聖天八極式のデザインは、紅蓮の基本的イメージはそのままにブリタニアのテイストも入ったデザインとなっている。人型としては異形の形で多少丸みを帯びた紅蓮の本体だったが、改造を施されたことによりより派手かつより鋭角的なデザインとなった。ROBOT魂でもその特徴的なラインは忠実にかつシャープに再現されている。

ROBOT魂 紅蓮聖天八極式 前 ROBOT魂 紅蓮聖天八極式 後
胸の意匠が鳥を模したものとなり、全身がとげとげしくなった紅蓮聖天八極式
元の紅蓮の面影はほとんどない。

このデザインを初めてみたとき、開発陣は「コクピットと右腕しか金型流用が利かない」と思ったとのことで、コクピットと右腕の一部以外はすべて新規作り起こしである。材質の面ではガウェイン、蜃気楼 やランスロットアルビオンで採用された第4の素材ポリカーボネート(PC)を使用し、光沢を出している。胸や、膝、足首、そして顔の頬の部分にPCが使用されている。頬の部分は指に刺さりそうなくらい鋭角的になっている。

顔のアップ
刺さりそうなくらいシャープに出来た頬の装甲部
塗装もばっちりで、顔の造形に今まで以上に力が入っています

可動範囲も紅蓮可翔式のころよりも飛躍的に上がっている。まず、金型流用ができると考えられていた右腕の輻射腕の肩部分に改良が施されている。前の紅蓮可翔式では、肩の棘パーツが邪魔をして可動範囲が狭まっていたが、今回の紅蓮聖天八極式では肩の外側の装甲と、ボールジョイント部分を分割し独立可動するように手が加えられており、紅蓮可翔式のころよりも肩が上がるようになった。

肩のパーツ分割 腕を上げたところ
このように分割されているため、腕が紅蓮可翔式よりも上がるようになりました

紅蓮可翔式と同じく、指はすべて独立可動する。単なる金型流用で済まさずに、ユーザーからの不満をフィードバックし、きちんと改良してリリースするところにコレクターズ事業部の良さが伝わってくる。爪の色が違う以外は、紅蓮可翔式の輻射波動腕と形状は変わらないが、紅蓮聖天八極式の右腕はボールジョイントが大きめに作られているため、紅蓮可翔式に無改造で取り付けることはできない。

また、脚部パーツは引き出し式の二重関節になり、足を引き出すことで可動範囲が飛躍的に向上する。

脚部の可動
パーツを引き出せばここまで曲げることができます

手で持ったときに、ずり落ちないようにするためか少しばかり引き出しが硬く感じられる。

紅蓮聖天八極式最大の特徴であるエナジーウイングは、飛翔滑走翼基部に設置された三角形上の赤いパーツが変形し展開することで出現する。さすがに変形を再現出来ないため、エナジーウイングと差し替える方式になっているが、このパーツにPCを使っており安っぽい印象を与えないようになっている。

エナジーウイング収納状態
何気に収納状態のエナジーウイングにもポリカーボネートが使用されています

ランスロットアルビオンと同じくPET樹脂にプレス加工を施した極薄な造形となっている。ランスロットアルビオンよりもウイングの数が多いので、エナジーウイングを展開すると非常に迫力がある。

エナジーウイング展開 前 エナジーウイング展開 後
普通にエナジーウイングを広げたときの形を優先したものとなっている

また、翼が増えたことに伴い各部の翼の基部に可動ジョイントが設けられているため、翼の角度を自由に調整できる。基部パーツには摩耗に強いPOMが使用されているため、大きな翼を背負っているにもかかわらず保持力が非常に高い。また、エナジーウイングの接続は接着されていないため、クリア部分だけを取り外すことも可能である

エナジーウイングの構造

更に、各部のジョイントのおかげで、翼全体を折り曲げることも可能なので、突撃形態も再現できるようになっている。

突撃形態
ビームウイング部分が小さいため、いまいち「包み込んだ」という形にはならない

ただし、あくまで翼を展開した時にきれいな形になるようにウイングの形状が設定されているため、すっぽりと体全体が覆われず あまり外観が良くない。しかし、2010年3月にプレミアムバンダイ限定通販でROBOT魂 紅蓮聖天八極式 vs ランスロット・アルビオン〜エナジーウイング HYPER SET〜と銘打ち、ランスロットアルビオンと紅蓮聖天八極式のパーツセットがリリースされることになった。その中に突撃形態再現用の大型エナジーウイングが含まれている。

突撃形態用のウイングを装備した紅蓮 魂フィーチャーズでのコメント
よりエナジーウイング部が大型化された武器セットのウイング
普通に広げても迫力が段違いである
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エナジーウイングを交換した際の突撃形態 エナジーウイングを交換した際の突撃形態
形が前でウイングを閉じた際に、ぴったりとはまるように調整されている
これにより、きれいに機体を覆うことができる

アルビオンのエナジーウイングと武器を合わせて2100円の値段が付いているエナジーウイングセットだが、それだけの値段がかかっている分、翼の大きさは通常版よりも段違いに大きい。

翼の比較 翼を広げたところ
比較して分かるエナジーウイングセットの翼の大きさ!
PETを使っているため、大型化してもきっちり保持されます

こちらのウイングは二重のグラデーション塗装が施されており、通常版のウイングよりもさらに美しくなっている。

グラデーション塗装されたウイング
色の濃さの違うクリアピンクで二重塗装されています
淵の部分がグラデーションになっているので質感が美しい

武装のラインナップもかなり充実したものとなっている。まず、紅蓮の手持ち武器である呂号乙型特斬刀は、従来のものよりも大型化されさらにロイドの手によってMVSに進化している。

呂号乙型特斬刀
大型化し、MVSとなった呂号乙型特斬刀
エネルギーを展開すると、ピンク色になります

製品のほうでもグレードアップしており、従来では軟質素材だった呂号乙型特斬刀が今回は硬質プラ製となり、よりシャープになっている。

IN ACTION!! OFFSHOOT 紅蓮弐式時代とROBOT魂 紅蓮可翔式時代で再現されなかったスラッシュハーケンも今回は付属する。これまでは、胸のハッチ内に収納されていたスラッシュハーケンだったが、ロイドの手によりブリタニア製のKMFと同じく肩口に装備されている。さらに、従来のKMFのハーケンよりも刃の部分が大型化しており、威力も飛躍的に上がっている。ROBOT魂では、デフォルトの状態で取り付けられているスラッシュハーケンを、いったん両腕をはずしてリード線が付いたスラッシュハーケンと交換するようになっている。双方とも肩口に取り付ける形になっており、基部が回転するようになっている。

スラッシュハーケン射出ギミック
基部が回転するので角度を付けることが可能になっています
ロールオーバーで画像が変わります

スラッシュハーケンの刃の部分はシャープなABS製になっているので非常に格好いい。ただし、折ったり指に刺さったりしないように気をつけよう。

紅蓮最大の特徴である徹甲砲撃右腕部は、大幅に出力が向上している。さらに内部にスラッシュハーケンと同じくワイヤーが組み込まれており、右腕を単体で飛ばせるようになった。製品ではこのワイヤーパーツが付属していないが、先のROBOT魂 紅蓮聖天八極式 vs ランスロット・アルビオン〜エナジーウイング HYPER SET〜でワイヤー部分のパーツが付属する。

紅蓮の追加武器セット
エナジーウイングセットではこれらの武器パーツが紅蓮用に用意されています

ワイヤーを使ったところ

接続部 接続部
右腕パーツを保持できるよう、中のワイヤーが硬めに設定されています
プラでジョイントにしっかり接続するのでヘタれることはありません

なお、それが待ち切れなかった我々は、プラモデルの紅蓮弐式のスラッシュハーケンパーツを利用し、再現した。

有線式輻射波動右腕
スラッシュハーケンと同じ要領で打ち出されるようになった輻射波動腕

プラモデルの紅蓮弐式のスラッシュハーケンの刃の部分が下腕部の隙間にジャストフィットする。余ったリード線の部分を本体側に巻きつければ無改造で取り付けることができるので武器セットを買い逃した人は試してほしい。

また、紅蓮可翔式でも付属した砲撃時のアンテナが飛び出たときの下腕部基部も付属している。交換方法は紅蓮可翔式の時と変わらない。アンテナの形状は、紅蓮可翔式のものとは違い、最終決戦でアルビオンのキックを受け止めたときの垂直に突き出たものとなっている。

アンテナパーツ
最終決戦時の形状で再現されたアンテナパーツ
こちらは紅蓮可翔式にも取り付け可能

また、紅蓮聖天八極式は円状に輻射波動のエネルギーを集中させ、投げつけることで切り裂くも可能となった。これにより、中距離の敵を単独で撃破することも可能となった。その技の形はドラゴンボールに出てくるクリリンの気円斬と同じである。ROBOT魂版でもこの武装は再現されており、円状のパーツに突起が付いているのでその突起を手首のジョイントに差し込む形で取り付ける。

輻射光輪
この武装まで再現されているのはすごいんだけど、何かが違うぞ・・・?
ロールオーバーで画像が変わります

こんな武装までこだわってと感心したいところなのだが、こちらは残念な仕様となっている。というのもこのエフェクトパーツ、色が明らかにおかしいのである。この技は輻射波動を投げつけているのだから、当然赤いはずである。にもかかわらず、なぜかクリリンの気円斬と同じく黄緑色になっているのだ。Figuartsか何かでクリリンのアクションフィギュアが出たときにはもってこいのパーツなのだが、なぜこのような仕様にしたのか理解に苦しむ。

開発側いわく、金型の都合でクリアパーツにできなかったための措置と言っているが、それでも色くらいは赤色にしてほしかったところである。開発側も満足がいくクリアの赤い輻射光輪は、ROBOT魂 紅蓮聖天八極式 vs ランスロット・アルビオン〜エナジーウイング HYPER SET〜で付属する。

赤い光輪
武器セットに付属するクリアレッドの輻射波動光輪
文字が浮いているのが少々残念だが、きれいな出来栄えである

しかし、クリアにできないにせよ最初から赤いものを製品に付けてほしかったところである。これだと、武器セットを買わせたいがために製品版の色を変えたと勘繰ってしまいそうなところなのだが・・・。

突撃形態が再現しきれていないことと、この武装の色合いを除けば完璧な出来である。これらの欠点も武器セットを買えば補完されるので、そこを見越せば完全に満点が出せる。1年間で多くの製品をリリースし、ユーザーの声にも耳を傾けているブランドだけに、進歩のスピードが段違いである。わずか1年でここまでのクオリティの製品を打ち出すまでになっているので、今後の製品にも期待したいところである。ぜひとも、ランスロットアルビオンと合わせて最終決戦を再現しよう!!

土 の 味
ルルーシュが超合集国を作り上げた後は、めまぐるしく人物関係や各国の状況が変化する。今回は、怒涛の展開を迎えるシリーズ後半を紹介していくために、紅蓮聖天八極式の登場を余すことなく紹介しよう!

ナナリーを守ってもらうよう頼みに、思い出の地である枢木神社に向かったルルーシュは、なんとかスザクと和解しかけたが、シュナイゼルの差し金で二人を監視していたギルフォードと彼の直属の部下であるグラストンナイツに拘束されてしまう。スザクは自分が監視されていたことを知らなかったわけだが、ルルーシュはまたしてもスザクに裏切られたと誤解し、彼に対する怒りをあらわにしたのだった。

こうなることを予見していたルルーシュは、ジェレミアの携帯を使いギルフォードとコンタクトをとり、コーネリアの情報を餌に彼をおびき寄せ、彼にルルーシュをコーネリアと認識するようにギアスをかけていた。ルルーシュが襟元に指を置くしぐさをしたとき、ギルフォードにかけていたギアスは発動し、ルルーシュはギルフォードとともにまんまとその場を脱走したのだった。

ギルフォードの手により脱出したルルーシュは、蜃気楼のコクピットに戻り決戦の地であるトウキョウ租界に向かった。その道中、スザクが裏切ったと誤解している彼は友情なんてものをあてにした自分を呪い、非情に徹しなければならないことを悟ったのだった。

租界上空にルルーシュの蜃気楼とギルフォードの乗るヴィンセントが現れた。これを受けてブリタニア軍は租界周辺に地上部隊を配備し、上空の守りを固めていた。ブラックリベリオンの際、租界を崩落させることで防衛線を崩されたブリタニア側は、それを阻止するために租界構造を変更し崩落させないように対策を立てていた。しかし、ルルーシュは租界で学生生活とゼロの二重生活を行っている間に、驚くべき仕掛けを租界に施していたのだった。

ルルーシュの秘策
ルルーシュ「俺が租界で何の目的もなく学生をやっていたと思うなよ!トウキョウ租界!今貴様を止めてやる!!

ルルーシュが手元のスイッチを押すと、租界の外周を走っている環状線の屋根からゲフィオンディスターバー発生装置がせり出してきた。これにより、サクラダイトにエネルギーを依存しているトウキョウ租界全域は停電起こし、第7世代より前のKMFはすべて機能停止に追いやられてしまった。

租界の機能を停止させた黒の騎士団は、東京湾から斑鳩率いる艦隊を浮上させ、租界に攻め込むのだった。彼らの目的は政庁を陥落させ、ナナリーを捕えることにあった。藤堂率いる暁部隊が攻め込んでいるすきに、ロロと咲世子率いる別働隊の工作部隊が政庁に直接乗り込み、ナナリーを奪還する算段でルルーシュは作戦を実行に移す。すべての情けを捨てるよう自分に言い聞かせながら・・・。

怒りに燃えるルルーシュ
そうだ、俺が間違っていた!情けなどに頼ろうとしたのがいけなかったんだ。
冷徹、非情、自らを完全な状態に置かねばナナリーを取り返せないんだ!

一方、ルルーシュを取り逃してしまったブリタニア側にも秘策があった。ニーナ=アインシュタインが開発した大量破壊兵器、フレイヤをスザクの乗るランスロットに搭載したのである。また、ゼロの正体がルルーシュであるということがシュナイゼルに判明したため、スザクはギアスを含めたすべての事実をシュナイゼルに話すはめになってしまう。すべての事実を知ったシュナイゼルは、「これでカードはそろった」と怪しげな笑みを浮かべるのだった。

第二次 東京 決戦
作戦を開始した黒の騎士団は防衛線を敷きつつ陣を展開し、政庁を孤立させようとしていた。一方、トウキョウ決戦を見こしていたシュナイゼル側も、ヴィンセントやウォードなどの第7世代KMFを展開し黒の騎士団を迎え撃った。予想外の戦力にルルーシュは戸惑いを見せたが、政庁に侵入していたロロたちは確実にナナリーの下へと歩みを進めていたのであった。

進軍するルルーシュの前に、スザクの駆るランスロットが立ちはだかった。スザクはランスロットに備え付けられたフレイヤで脅しをかけたが、先ほどスザクに裏切られていたルルーシュは聞く耳を持たず、ジェレミアとギルフォードに命じてスザクを攻撃させた。三対一の攻撃にさしものスザクも苦戦を余儀なくされたが、ジノの駆るトリスタンが応援に駆け付け戦線を立て直した。また、アーニャのモルドレッドが蜃気楼に至近距離からシュタルクハドロン砲で攻撃を仕掛け、本体から引き離すことに成功した。かくして、トウキョウ租界上空では乱戦状態となっていったのである。

黒の騎士団とシュナイゼル軍が死闘を繰り広げているころ、ナナリーは脱出艇に移されようとしていた。そして、彼女の付き人であるローマイヤは政庁に捕えていたカレンの暗殺を指示した。しかし、当のカレンは間一髪のところで咲世子によって救出されていた。また、咲世子らは格納庫に放置されていた紅蓮も発見し、カレンにその機体を引き渡したのだった。しかし、カレンは紅蓮の変わり果てた姿に動揺を隠せなかった。

格納庫に鎮座している紅蓮聖天八極式
咲世子「ミレイ様の元許嫁が首謀者だと思うのですが、一応取り説らしきものもあったので・・・いかがいたしましょう?」

カレン「・・・なんか、違う・・・。」

一方、黒の騎士団は思わぬ苦戦を強いられていた。イケブクロとスガモに設置されていたディスターバーがウォード部隊により破壊されてしまい、政庁の防衛システムが回復してしまったのである。総督がなかなか見つからずにもたついている間に、戦力差が逆転してしまったわけである。

また、モルドレッドに足止めを食らっていたルルーシュの蜃気楼は、アーニャを襲った謎の現象によりモルドレッドの手から離れることができたが、今度はキュウシュウにいたはずのルキアーノ率いるグラウサム=ヴァルキュリエ隊のヴィンセントに四肢を拘束されてしまう。身動きが取れない蜃気楼をいたぶるように、ルキアーノはパーシヴァルのスピアで蜃気楼を攻撃する。蜃気楼は、絶対守護領域を貼り攻撃を防ぐが、モルドレッドとの戦いでエネルギーを消費しており、シールドを長く維持することができずにいた。

ロイドの改造により豹変してしまった紅蓮に戸惑いながらもカレンはコクピットに乗り込み機体を起動させた。

機動準備をする紅蓮
咲世子「ゼロ様の現在地は探索中です。敵味方識別情報を転送しますか?」

カレン「ええ、頼みます。」

カレンがコクピットのレバーのスイッチを押すと、ランドスピナーが展開し、コクピットハッチが閉じ収納されていた頭部がせり出してきた。

ランドスピナーを展開する紅蓮
ロールオーバーで画像が変わります

コクピットが閉じる図
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紅蓮の発進のためにコンソールを見た咲世子は、映し出されたSEITENの文字とEightの文字からこの新しい紅蓮の名称を考えていた

新しい紅蓮の名前は・・・
咲世子「えっと・・・紅蓮・・・聖天・・・八・・・でいいかしら?」

コクピット内の準備を終えたカレンは紅蓮の翼を展開させ、起動確認を行うよう指示した。

翼を展開する紅蓮
カレン「起動確認を!」

咲世子「起動、確認しました!」
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起動確認を終えたカレンは、咲世子にナナリー救出を任せ紅蓮の機体を発進させたのだった。


紅蓮聖天八極式・・・
カレン紅蓮・・・!

咲世子・・・聖天八極式!
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発進!
カレン&咲世子発進!!
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発進の合図とともに勢いよく飛び出した紅蓮は政庁の壁を突き破り、KMFの常識を超えた速度で混戦の空へと舞い上がった。

蜃気楼にようやく気付いた玉城率いる暁部隊がゼロを援護したが、パーシヴァルのハドロンショットの前に玉城の舞台は全滅させられてしまう。しかし、パーシヴァルが玉城らに攻撃を仕掛けている一瞬の隙を付いて蜃気楼のゼロビームを発射しようとしたルルーシュだったが、絶対守護領域を解除したために逆に本体にパーシヴァルのランスを突き刺されてしまう。絶体絶命のルルーシュの前に、カレンの紅蓮聖天八極式が飛来し、瞬時に蜃気楼を拘束していたヴィンセントを破壊した。

飛来した紅蓮聖天八極式
カレン「先日はどうも、ブリタニアの吸血鬼さん。」

ルルーシュ「カレンか・・・?」

カレン「ゼロ、親衛隊隊長紅月カレン、ただいまを以って戦線に復帰しました!!」
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カレンが戦線に戻ったことを確認した黒の騎士団から歓喜の声がわきあがった。一方、ブリタニア側のロイドは自分が改造した紅蓮が勝手に乗りまわされていることに怒りと困惑を感じており、紅蓮の生みの親でもあるラクシャータも紅蓮の変わり果てた姿に憤りをあらわにしていた。

怒りの声を上げるロイド
ロイド「泥棒〜!ボクの・・・ボクの・・・!!」

セシル「違いますよ・・・。私も改良していますから!」

ロイド「はい、おっしゃる通りです・・・って、そんなことじゃなくて!
もしこれを使いこなせるデバイサーが乗っているとしたら、60%の出力でも・・・。」

ラクシャータ「プリン伯爵とあれはセシルのエナジーウイングか!?あいつら勝手に私の紅蓮を!!」

破壊許可のあるなしに関係なく、ルキアーノは紅蓮に攻撃を仕掛けた。しかし、各武装を大幅に強化された紅蓮の敵ではなく、ルキアーノは紅蓮の輻射波動の餌食となりあっけなく蒸発してしまった。その様子を見ていたルルーシュは、ナナリー奪還作戦を継続することに決めたのだった。

よくやった、カレン!
ゼロ「よくやった、カレン!後は政庁に戻り、ナナリーを!」

ルキアーノを撃破したのもつかの間、今度はスザクのランスロットが紅蓮の前に立ちはだかった。紅蓮の行く手を遮ろうと、ランスロットはハドロンブラスターを放ったが、紅蓮の輻射波動はいとも簡単にランスロットのハドロンブラスターを受け止めてしまった。

ハドロンブラスターを防ぐ図
カレン「どけないよ、スザク!!」

スザク「防いだ!?ハドロンブラスターを!!」

黒の騎士団側はカレンが戦線に復帰したことにより、士気が上がったためシュナイゼル軍を押し始めていた。藤堂の駆る残月が陣頭に立ち、シュナイゼルの旗艦アヴァロンに攻撃を仕掛けようとしていた。また、政庁内部でも咲世子らがとうとうナナリーの乗っている脱出艇にたどりつき、ナナリーを奪還しようとしていたところなのだった。

ナナリー発見の報告を聞いたルルーシュは、カレンにランスロットを完全に破壊することを命じた。

スザクを討つよう命じるルルーシュ
ルルーシュ「カレン、一気にスザクを討て!そうすれば邪魔者はいなくなる!!」

カレン「はい!」
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紅蓮を改造した張本人であるロイドは、今のランスロットでは紅蓮に勝てないことを知っていたため、スザクに撤退するように指示したが、スザクはその命令を聞かずに紅蓮と剣を交えた。しかし、紅蓮の放った円状の輻射波動でハドロンブラスターを破壊されてしまい、スザクは敵のあまりの強大さを思い知らされたのだった。

輻射光輪を放つ紅蓮
ロールオーバーで画像が変わります

ハドロンブラスターを破壊されるランスロット
スザク「ち・・・違いすぎる!マシンポテンシャルが!!」

紅蓮は容赦なく輻射右腕をワイヤーで飛ばし、ランスロットの左腕をブレイズルミナスごと握りつぶした。

有線輻射波動腕を飛ばす紅蓮

ブレイズルミナスを握りつぶす紅蓮
ロールオーバーで画像が変わります

アヴァロン内部ではシュナイゼルらが追い詰められていくランスロットを固唾を飲んで見守っていた。そんな中、一人ニーナは追い詰められるスザクに対し、フレイヤを使うよう叫ぶのだった。しかし、スザクは一向にフレイヤを使うそぶりを見せなかった。スザクはMVSで紅蓮に切りかかるものの、同じくMVSにパワーアップした紅蓮の特斬刀に逆にMVSを破壊されてしまう。また、切り返しでランスロット必殺の蹴りを見回せるも、この攻撃すら紅蓮のMVSによって返り討ちにあい、脚部を切られてしまう。

MVSで切りかかるランスロット


スザク「勝てない・・・」
ロールオーバーで画像が変わります

ランスロットの武装を剥ぐことに成功したカレンは、スザクに止めをさす決意をした!

スザクに止めを刺そうとするスザク
カレン「さようなら、スザク・・・。」

カレンはスザクに止めを刺そうと輻射波動を構えた。ランスロットを追い詰めていく紅蓮を見たルルーシュは、思わずスザクを殺せと絶叫する。ニーナも、ゼロ憎さにフレイヤを使うよう絶叫し続けていた。

輻射波動を構える紅蓮
ルルーシュ「殺せ、スザクを!!

ニーナ撃ってよ、フレイヤを!あなたも助かるのに!!
ロールオーバーで画像が変わります

ニーナの叫びと自分の置かれた状況とは裏腹に、スザクはフレイヤを撃つのをためらっていた。

フレイヤ発射をためらうスザク
スザク「でも、それだけは・・・。たとえ、ここで死ぬとしても!」

窮地に立たされ、自分の死を予感したスザク。その予感は、スザクに自らが今までの償いをする時なのだと自覚させた。スザクは輻射波動を防ごうと動かしていたランスロットの腕を元に戻す。自分の死を受け入れるために・・・。

自らの死を受け入れようとするスザク
スザク「そうだ・・・これが償いなんだ・・・。受け入れるしかない・・・。ここで・・・俺は・・・。
ロールオーバーで画像が変わります

しかし、スザクが死を受け入れようとしたその瞬間、あのときスザクにかけられたギアスが発動した!

生きろ
ルルーシュ「生きろ!

1年以上前に式根島でルルーシュがかけた「生きろ」というギアスは、いまだに有効であった。スザクはそのギアスに従い、自分が生き残るための最善の行動を取りだした。スザクは、紅蓮の攻撃を残った足を犠牲にして紙一重でかわした

紅蓮の攻撃をぎりぎりで避けるランスロット
スザク俺は・・・生きる!

そして、スザクはあれだけ撃つのを渋っていたフレイヤの発射装置に物言わず手をかけ、フレイヤを発射させた。弾頭のスピードが遅いため、カレンはその攻撃を難なく避けた。スザクの突然の行動に、ニーナは驚き、そしてシュナイゼルは静かに笑みを浮かべた。

フレイヤを発射するランスロット
スザク「・・・。」

カレン「!?」

ニーナ「・・・えっ!?」
ロールオーバーで画像が変わります

ランスロットから射出された弾頭は、数秒後にピンク色の光を放出し始めた。その光を確認したブリタニア軍は、フレイヤの光であると判断し部隊を後退させた。その様子を見ていた黒の騎士団も危険を感じ、KMFと斑鳩を後退させる。ランスロットから放たれた光を見たルルーシュは、さっきのスザクの言葉が真実だったと気付き、まだ政庁にいるナナリーの名を叫んだ。

ナナリーの名を叫ぶルルーシュ
ルルーシュ「まさか・・・、あれがスザクの言っていた・・・。!!ナナリー!!

そして、フレイヤが完全に炸裂した。ニーナの開発したフレイヤは、影響範囲内に存在するすべての物質を消滅させてしまう大量破壊兵器だった。球状に広がったフレイヤの光は、政庁の中に残っていた者たちを包み込み、完全に消滅させてしまう。ルルーシュもフレイヤの光に巻き込まれかけたが、ルルーシュをコーネリアだと思い込んでいるギルフォードのヴィンセントが彼を弾き飛ばし、間一髪で救いだした。しかし、自分をかばったギルフォードのヴィンセントもフレイヤの光に飲み込まれて、消滅してしまう。フレイヤの光が消滅すると、影響範囲内の大気が消滅していたところに空気が流れ込んだため突風が襲った。

フレイヤの光によって、政庁一帯は完全に消滅した。その様子を見たルルーシュは愕然とし、ロロにナナリーを探し出すように指示する。しかし、ロロはナナリーがフレイヤの光に巻き込まれ彼女が死んだとルルーシュに付き返した。それでも、ルルーシュはナナリーの死を受け入れられずにいた。むなしく彼の言葉がこだまする・・・。

消滅した租界上空を漂う蜃気楼
ルルーシュ「なあ、ロロ・・・。ほんの少しで良いんだ・・・。ナナリーと話をさせてくれ・・・。」

この続きは、ROBOT魂 トリスタンのコラムで!

コードギアス 〜反逆のルルーシュ〜R2EX ゼロレクイエムのコラムへ
カレンとスザク、最後の戦い!
コードギアス 〜反逆のルルーシュ〜R2EX ダモクレス攻防戦 ZERO REQUIEMのコラムへ

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