IN ACTION!! OFFSHOOT
ランスロット&ランスロット・コンクエスター

発売元:バンダイ

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット 定価:2625円

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット・コンクエスター 定価:3360円

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロットフロンティア 定価:3360円

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット&ランスロット・コンクエスター
ランスロット2製品同時紹介!!

体感せよ!柔・滑・硬!!
プラモデルは作る楽しみを味わうものだが、最近のお忙しいご時勢でプラモデルを作る暇もない人が増えてきたためか、それともプラモデルを作るのが面倒くさくなってしまっているのかは定かではないが、最近は完成品のフィギュアが増えてきた。最近の『機動戦士ガンダム00』でさえ、HGや1/100などのプラモデルと並行でMS IN ACTION!!HCM-Proを同時進行させており、完成品モデルの需要の高さがわかる。

しかし、この手のアクションフィギュアは軟質素材であるPVCを使ったものであり、どうも造型が甘くなってしまう。しかも、塗装や墨入れなどの細かい作業は中国の工場のオバちゃんが手作業で行っているので、塗装の丁寧さにムラがある。この点が、アクションフィギュアの難しいところで、完成品を手に入れるよりかは自分で作ったほうがまだ納得がいくよねということで、筆者はプラモデルで発売されている限りは、プラモデルを買うことにしている。

コードギアス 反逆のルルーシュ』も、アニメが新しく始まると、プラモデルと同時にIN ACTION!! OFFSHOOT内でアクションフィギュアシリーズを展開させた。というのも、新しくこのシリーズの担当となった田中氏がコードギアスの大ファンであり、シリーズをあげてナイトメアフレームの商品化に当たっている。

まず、最初にリリースされたのが主役機であるランスロットと、量産機のサザーランド2種を同時にリリースした。こういったアクションフィギュアを展開する場合、量産機は往々にして出してもらえないのだが、これがマニア層に受けサザーランドはあっという間になくなっていった。

その人気の秘訣となったのは、サザーランドのキャラクター性のみならず、フィギュアの出来も大きく関係したといえる。というのも、PVCのみならず、プラモデルによく使用されるABSや、超合金魂などの関節に使われるPOMを同時に使用することで造型とアクションの安定性を高めたのである。この仕様をパッケージではそれぞれの素材の特徴、PVCの「」、POMの「」、そしてABSの「」をうたい文句にしている。

田中氏は、元々超合金魂や魂SPECの担当で、そこで培った技術やノウハウから、素材を複数使えばアクション性と造型を高められると踏んだようである。その目論見は見事に的中し、いまいちパッとしなかったIN ACTION!! OFFSHOOTが、人気シリーズとなったわけである。価格もプラモデルと同じくらいの2000円台ということで、組み立てる必要がないのならば完成品に流れるという流れは容易に理解することが出来る。

サザーランドは、すでにHUYU君がレビューを書いてくれたので、今回は主役機であるランスロットとその強化型であるランスロット・コンクエスターの紹介をしよう!

ランスロット、MEブースト!
まず、最初に紹介するのはランスロットである。これは、劇中2話から登場し、枢木スザクが騎乗し、その圧倒的な戦闘力を見せ付け第1期シリーズの死闘を戦い抜いた機体である。

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット 前 IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット 後
設定画のデザインに近いIAOのランスロット

メカニックコレクション ランスロットは、どちらかというとガンプラよりのアレンジがなされ、肩や足が長めに設定され頭も小さめに作られている。一方で、IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロットは肩の大きさや足の長さが短く、更に胴体も小さめに作られており設定画のイメージに近いものとなっている。この点は好みが分かれるところだろう。

頭パーツは頭頂の部分を軟質素材にし、顔面部分をABSにしシャープなイメージを維持している。プラモデルではアゴスロットと散々馬鹿にされる元となった顎の広さも、IN ACTION!! OFFSHOOTでは綺麗なバランスに仕上げてくれている。

顔のアップ
ダクト部分も塗装がなされている上に、塗装も丁寧!

大概のアクションフィギュアの顔の造型と塗装は悲惨なのもになりがちなのだが、ランスロットの顔は非常に綺麗な仕上がりとなっている。これはガンプラ的にパーツと素材分割をした恩恵か、色分けもガンプラのような構造となっているので、塗装の精度が上がったものと思われる。

胴体と肩の接続はボールジョイントを使用しているので、非常に広い可動域を誇る。HUYU君は、プラモデルについてはこの部分を似たような構造にして可動範囲を広げたが、こちらはデフォルトでそうなっている。この部分の可動範囲はIN ACTION!! OFFSHOOTに軍配が上がるといえる。

更に特筆すべきは足首の構造である。足首はPOMのダブルボールジョイントを介して接続されており、発進シーンの状態の足の形にしやすい構造となっている。というのも、ボールジョイントを思い切り倒すことで、発進シーンの足の形にすることができるのである。

ボールジョイントの位置
足首側のボールは前後で分割しているので横に倒しながら前に倒すことも出来る

発進シーン
足首の特性をつかめばここまで足を広げることが出来る
しかも、自立させやすい!

ここまで足首を曲げるには、一度足首をはずす必要があるので注意したい。と言っても、PVCのやわらかい部分で受け止めているのではずすのも非常に楽な作業である。この足首の特性にさえ気づいてしまえば、アクションの幅が大幅に広がるので、この構造は遊ぶ上では抑えておきたい。

手首パーツも豊富に付属しているので、これらを組み合わせてアクションさせると様々なシーンが容易に再現することが出来る。

手首一覧
平手だけでも2種類付属している上に、持ち手と握りこぶしも用意されている

武装に関しても、プラモデル以上の充実である。まず、射撃武器であるヴァリスは先端を交換することで、通常モードとフルパワーモードを再現することが出来る。プラモデルでは単なる最中割りで、色分けすらもされていなかった箇所だったので、この配慮はうれしいものである。

ヴァリスの構造

通常モード フルパワーモード
プラモデル以上の配慮に喝采

また、近接武器であるメーザーバイブレーションソードは、ABSで作られており、塗装も綺麗な仕上がりとなっている。こちらは、鞘に収めるためのパーツと剣として使用する際の状態の2種類が付属している。尚、収納用の剣は、刃の部分が簡略化されている。そのため、展開状態の剣を鞘に収めることが出来ない。また、鞘パーツを付ける際は、収納用の剣を収めた状態で取り付けたい。というのも、接続ジョイントのある部分が非常に薄くてもろいつくりになっているのである。

メーザーバイブレーションソード

更に、スラッシュハーケンも片方だけだが付属している。

スラッシュハーケン
リード線が短いのが残念

また、プラモデルになかったギミックとしてファクトスフィアの展開が可能となっている。

ファクトスフィア
プラモデルより小さいサイズで、ここまで再現!
ロールオーバーで画像が変わります

こちらは、スザクが近接戦闘を行うときに地味に多用していたのでその再現が出来るのがうれしいところである。

プラモデルよりも400円値段が高くなっているが、これだけのオプションパーツが付きかつ出来の良い完成品が手に入るとあっては、IN ACTION!! OFFSHOOTのランスロットに軍配が上がるだろう。

フロートユニットを装備して敵基地を強襲せよ!
ランスロットは、途中からフロートユニットを装備し、新たに飛行能力を得たランスロット・エアキャヴァルリーにパワーアップした。エアキャヴァルリーにするためのフロートユニットはランスロット・コンクエスターに付属している。こちらはエアキャヴァルリー用の専用のパーツに翼パーツを付ければ、エアキャヴァルリーのフロートユニットとなる。丁度、メカニックコレクションがそれぞれ専用に蓋を用意していたのと同じ仕組みなのである。

フロートの構造
コンクエスター用とエアキャヴァルリー用のパーツが両方用意されている
そのパーツにウイングを取り付けるという仕組み

そして、こちらがIN ACTION!! OFFSHOOT版のランスロット・エアキャヴァルリーである。

ランスロット・エアキャヴァルリー ランスロット・エアキャヴァルリー
劇中通りにコクピットに被せる形でフロートを装備する

プラモデルのランスロット・エアキャヴァルリーはコクピットの蓋をはずし、その上にフロートユニットを装着する形となっていたが、こちらは劇中どおりにそのまま上から被せる使用となっている。確かにこれは劇中どおりの装着の仕方なのだが、その弊害としてフロートが浮き気味になってしまっている。そのせいで、羽を折りたたんだ状態だと、羽の位置が上過ぎてしまって少々美観が崩れてしまっている。

フロートの位置
翼を上に上げた状態にすると、上過ぎて美観が損なわれているのが残念

しかし、剣の鞘と羽を倒して展開すれば飛行状態になるギミックはそのまま再現されており、こちらはシルエットが崩れているという印象は受けない。

ランスロット・エアキャヴァルリー(フロート展開状態) 前 ランスロット・エアキャヴァルリー(フロート展開状態) 後
こちらのプロポーションはバッチリ!

プラモデルでは、剣の柄が干渉してしまうので、剣の鞘から剣をいちいち取り外さなければウイングを前に倒せなかったが、こちらのほうはランスロット・コンクエスターのほうに柄の短い収納用の剣が用意されているので、取り外すことなく鞘を前に倒すことが出来る。ランスロットの鞘を使うと、柄が長すぎるのでエアキャヴァルリーにするときはこちらの柄を使用するようにしたい。

コンクエスターの収納用剣
左がコンクエスターに付属している短い柄の収納剣
コンクエスター付属の柄が短い収納剣を使えば、肩に干渉することがなくなる

フロートが付いた以外は、ランスロットと変わりがないので可動域はそのままである。重心バランスに気をつける必要があるものの、フロートをつけても出撃シーンは再現できる。

発進ポーズ
セシル「フロートはエナジー消費が激しいため、稼働時間に留意。」

スザク「イエス、マイロード!」

ランスロット・エアキャヴァルリー発進!
スザク「MEブースト!

セシルランスロット、発艦!!

このように、後発のコンクエスターにパーツを追加しただけだったので、ランスロットを何個も買う必要はない。ということで、結果的ではあるが販売戦略は、IN ACTION!! OFFSHOOTのほうが良心的といえるだろう。

ランスロット・コンクエスター、発艦!
さて、最後は8月の下旬に発売されたランスロット・コンクエスターである。すでに7月にプラモデルのほうで発売されてしまい、プラモデルを買ってしまった人には食指が動きにくいタイミングで出てしまったが、こちらもプラモデルよりコストをかけているだけあって、なかなか出来の良い仕上がりとなっている。

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット・コンクエスター 前 IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット・コンクエスター 後

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロット・コンクエスター 真横
デザインが違うが、可動範囲はランスロットのそれを踏襲している

本体のプロポーションおよびバランスは前のランスロットとほぼ同じである。脚部のデザインが変更されたのに伴い、新たに足首のカバーも可動するようになった。これにより、足首の可動範囲が更に増すことになる。

メカニックコレクションのランスロット・コンクエスター同様に、後に飛び出たハドロンブラスターのせいで、ランドスピナーを展開していても自立させることが困難となっている。しかし、POMの関節軸を利用しているのでそう簡単に関節がへたれることはなく、プラモデルよりも地上での発進ポーズが決めやすくなっている。

発進ポーズ
ちょっとがんばれば、こんなポーズも可能!

また、メカニックコレクションでは付属しなかったスタンドパーツも付属している。こちらは、最近発売となった魂STAGEを元として作られており、クリック関節が仕込まれているので簡単にへたれることはない。

スタンド

また、スタンドに対応するために股間のパーツに溝が設けられており、スタンドの凹状の溝に合わせる形で取り付けることとなる。やはり地上でアクションを取らせるよりも格段にアクションがしやすくなるので、このランスロット・コンクエスターについてはスタンドと併用して遊んだほうが良いだろう。

発進ポーズ スザクキック
スタンドを使ったほうが、アクションの幅が広がりますね。

翼パーツもエアキャヴァルリー同様に広げることが可能となっている。

ランスロット・コンクエスター(フロート展開状態) 前 ランスロット・コンクエスター(フロート展開状態) 後
翼を広げると、バランスよく見えるのはエアキャヴァルリーと一緒

更に、ハドロンブラスターも展開させることが可能である。

ハドロンブラスター展開 ハドロンブラスター展開
劇中どおりにハドロンブラスターが展開可能!
ヴァリスとの接続も再現

ハドロンブラスターを展開し、ヴァリスに接続するシークエンスを再現することが可能である。接続を考慮に入れたので、無印のランスロットよりもヴァリスが薄くなっており、ヴァリスの持ち手手首パーツも傾いたものが付属している。また、ヴァリスの先端は接続時には取り外すようになっている。しかも、フルバーストモードのヴァリスの先端は付属しない。しかし、前のランスロットに付属するフルパワーモードのヴァリスの先端もつけることが可能となっているので、両方持っている人はシーンに合わせて使い分ければ良いだろう。

このハドロンブラスターの惜しいところは、可動範囲の狭さにある。というのも、デザインが劇中ベースにしたため、ブラスターを展開すると上下の動きしか出来なくなるのである。

ハドロンブラスター基部
劇中デザインでハドロンブラスターを横に展開すると、横の回転が出来なくなってしまうことがわかる。
ロールオーバーで画像が変わります

メカニックコレクションでは、ABSのジョイントを独立して設けることで左右の動きをカバーしていたが、劇中のデザインどおりに余計なジョイントを設けなかったIN ACTION!! OFFSHOOTでは横の可動が出来なくなっている。基本的に横向けで発射していたので、このあたりは痛い部分となっている。

ここは私に任せて、ダモクレスを!
2009年の5月になり、IAOのランスロットの金型を流用しIN ACTION!! OFFSHOOT ランスロットフロンティアがプレミアムバンダイにて予約が開始された。これは、劇中での最終決戦であるダモクレス攻防戦の際にC.Cが騎乗した機体である。で見られたように彼女の趣味に合わせてピンク色にカラーリングされているのが特徴である。

IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロットフロンティア 前 IN ACTION!! OFFSHOOT ランスロットフロンティア 後
ランスロット・コンクエスターの予備パーツから組み立てられた機体
武装強化のためにパーシヴァルの盾を装備している

商品の内容はランスロットに赤紫色のフロートユニットとナイト・オブ・テンが使用したKMFであるパーシヴァルの盾が追加されたものである。劇中では使用していないにもかかわらず、ヴァリスもフルバーストモードと通常モードのものが両方とも付属しているので、結構お得である。

欠点としてはランスロットの金型をそのまま使っているため、フロートを装備させたとき、鞘が干渉してしまう。また、個体差かもしれないのだが鞘の接続のテンションがオリジナルのランスロットよりも高くなっているので、取り付けの際に鞘の薄い部分を折ってしまわないように気をつけよう。

新たに追加されたパーシヴァルの盾は、とげの部分がPVCで出来ているため折れる心配がない。軟質パーツを使っているにもかかわらず、シャープな造型になっているのが良いところである。盾を保持するためのパーツと、スラッシュハーケンのパーツに取り付けるためのパーツが両方用意されている。

パーシヴァルの盾のセット 腕の横に取り付けたところ
腕の横につける場合は、スラッシュハーケンを取り外します

また、ガンダムに出てきたMSギャンよろしく、ミサイルポットがこの盾には仕込まれている。盾が左右に展開することでミサイル発射口が現れるのだが、この部分もきっちり再現している。

盾の展開
そのまま、パーシヴァルを出すときに流用しそうなほどの出来の盾
ロールオーバーで画像が変わります

今後、ROBOT魂でパーシヴァルが発売されることになるならば間違いなく流用されそうなくらいに出来の良い盾になっている。今後の展開が気になるところである。

このランスロットフロンティアは、ダモクレス攻防戦で使用されカレンの使用する紅蓮聖天八極式を足止めした。さすがに予備パーツでくみ上げられているせいか、性能面では本家のランスロットに劣ってしまっており手も足も出せなかったのだが、足止めには成功した。ちなみに、このランスロットフロンティアには脱出装置が付属しており、本編でも使用された。

どっちも、蟻地獄・・・
まとめに入るが、プラモデルのほうがギミック的には充実している部分がある。IN ACTION!! OFFSHOOTのランスロットは、コクピットハッチの開閉およびシートのせり出しが再現されていない。同じスケールのサザーランドは出来ていたので、これはギミックを減らすことで価格を下げたものと思われる。この部分にこだわる人は、プラモデルに走ったほうが良いだろう。尚、後発のROBOT魂 ランスロット・アルビオンにはコクピットハッチの開閉が追加されている。

しかし、互換性やシリーズのバリエーションでは間違いなくIN ACTION!! OFFSHOOTに軍配が上がる。これ以上新しいキットは出しませんという気満々のメカニックコレクションよりも、明らかに気合が入っており、黒の騎士団の量産機、無頼がリリースされる予定だし、ROBOT魂にブランド名の変更が行われるとはいえ、立体化の難しいガウェイン蜃気楼も発売される予定である。しかも、劇中のKMFの互換性の高さを再現するためか、ボールジョイントの規格が同じなのである。よって、劇中で見せた応急処置的にサザーランドの腕を取り付けたランスロットも再現できるのである。

互換性
サザーランドの腕をつけたランスロットも再現可能!

よって、HUYU君のようなプラモデルの塗装や改造に長けた人にとっては、メカニックコレクションは格好の題材となるが、ライトなユーザーにはIN ACTION!! OFFSHOOTをお勧めしたい。どっちのシリーズを集めるにしても、この先待っているのは改造と発売されないという蟻地獄か、フィギュアを購入し続けるという蟻地獄である。さあ、あなたはどっちに転びたい?

この、ランスロットアルビオンなら!(ROBOT魂 ランスロットアルビオンのコラムへ)

よし、やれる!このランスロットなら一気に!!(もどる)