ROBOT魂 神虎
バンダイ ROBOT魂(SIDE KMF)シリーズ
定価:4200円(税込み)
中華連邦、最強のKMFがROBOT魂に登場!
あの頃は、輝いていた・・・。(遠い目)
ボトムズやダグラムの流れをくんだメカであるナイトメアフレーム(KMF)も、作品がゴールデン枠に移動しR2に突入すると、否応なくスーパーロボット化が進んでいった。これは、作品人気が出ると必ず起こる現象で、地上で戦っていたKMFも敵味方ともにフロートユニットを装備して空中で戦うようになり、高出力ビームなどの見た目でも分かりやすい強力な武装がどんどん付与されていった。そのため、力のインフレ俗に言うドラゴンボール現象が起き、インフレに付いていけない機体やいつの間にか消えてしまっている機体が出てしまうことも多々ある。
その中で地味に力のインフレに負けることなく戦い続けたKMFがいた。それが、今回紹介する神虎である。この神虎は、ブリタニア帝国に並ぶ大国の中華連邦が開発したKMFで、乗りこなせるパイロットがいないことくらいしか欠点のない強力なKMFとして登場した。ブリタニア、黒の騎士団が次々と強力なKMFを投入する中、この神虎は物語最後まで登場し、さまざまなKMFと剣を交えた地味に強力なKMFとなった。今回は、この神虎を紹介することにしよう!
死ぬって!おれマジ死ぬ!!
中華連邦は、1期においてはキュウシュウ戦役で旧日本政府の要人をかくまい、ブリタニアと相対したことがあったが1期の間ではそれ以外の活躍はなかった。しかし、設定上ではブリタニアと並ぶ国とされ、その国土は広く朝鮮半島からインド、東南アジアをその支配下に置いている。幼い天子を皇帝とし、政治は大宦官らが取り仕切っているが、その政治は腐敗し人民は貧困にあえいでいた。
パイロットである黎 星刻は緑川光の格好いい声と長髪と高身長を兼ね備えた腐女子のお姉さまが大喜びのイケメンクールキャラなのだが、登場するキャラクターの中である意味アブナイキャラクターである。。星刻は、6年前に病に苦しんでいた罪人に薬を与えてしまい死罪になりかけていた。そこを、幼い天子に救われ忠誠をつくすようになった。この天子の年齢はわずか13才!しかも、その容姿は胸がペッタンコのちみっ子なのであった・・・。これにより、星刻はこの番組きってのロリコンであり、しかも天子と結構いい仲になっている。
ロリコンというキャラ付けをせざるを得ないこの星刻であったが、その実力は劇中のキャラクターの中でも高い。というのも、彼はスザク並みの武勇を誇り、ルルーシュ並みの知略を誇るのである。それを見せつけるかのように、生身の戦闘でも負け知らずだしテストパイロットが全員棺桶行きだった神虎を乗りこなし、八面六臂の活躍を見せた。また、超合集国建国後は、黒の騎士団の総司令官に就任。藤堂と並ぶ軍事上の要人として最後まで活躍した。
天から二物を授かった彼であったが、彼は不治の病を患っており、事あるごとにせき込み血を吐くシーンが存在する。しかし、「死ぬ死ぬ」とアピールしておきながら劇中では最後まで戦い抜いており、一部からは死ぬ死ぬ詐欺と呼ばれている。
ROBOT魂、神虎・・・。バンダイめ、なんてものを・・・。
黒の騎士団の主要KMFと主役KMFを出したバンダイが次に目をつけたのが、中華連邦で建造された神虎であった。この神虎は主役機でないワンオフ機であるため、色や造形を少し変えたバリエーション機が存在しておらず、使いまわして売ることの多いバンダイにとっては商品化しづらい機体であり、当初はラインナップには入っていなかった。しかし、思っていた以上にKMFの商品が売れたことを受けて開発が開始された機体である。開発が最初に発表されたのは2009年6月に発売された過去に発売されたフィギュアやプラモデルを取り扱ったムック、『コードギアスモデルワークス』でレジンキャストで作られた原型が写真付きで紹介されていた。
そして、同年12月に発売されることとなった。神虎は多彩な武装が施されており、他のKMFとは別ラインのフォルムをしている。その細かい部分をROBOT魂では再現し、さらに新機軸も導入されている。というわけで、商品を詳しく見ていくことにしよう。まず、製品の全体像を見てみよう。
ラクシャータが紅蓮と同時期に開発していたKMF
ROBOT魂ではシャープで緻密な造形で神虎のフォルムを再現している
ホビー雑誌で原型が紹介された時は、胸周りのギミックのせいで胸が大きめに作られていたが、製品版ではコンパクトになり劇中のイメージそのままで立体化されている。肩の装甲や腰アーマーや頭部の角もABSでシャープに作られており、非常に造形面は素晴らしい出来栄えとなっている。ただ、肩の可動域を拡大するための弊害なのか、肩と胸の接続軸が丸見えになっている点がいただけない。
ほかのKMFに比べて、神虎の顔の造形は非常に複雑である。京劇の能面を思わせるその顔の塗り分けは、非常に複雑で細かいラインが多い。それにもかかわらず、ROBOT魂 神虎ではその塗り分けも完全に再現されている。これは、塗装作業が手作業ではなく機械作業によるものとなったからできた芸当である。
複雑な形状の神虎の顔の塗装もばっちり!
ギミック面で特筆すべき点は背中の飛翔滑走翼である。これまでの飛翔滑走翼は翼が固定式だったが、この神虎から翼の折りたたみ機構が追加されている。これにより、劇中と同様に翼を折りたたみ待機状態を再現することが可能となった。この折りたたみ式の飛翔滑走翼は、魂ウェブ商店で単品発売される運びとなり、1セット525円で発売される。
翼パーツが劇中と同じく展開します
背中のコクピットの開閉ギミックもいつも通り再現されている。劇中ではコクピットを開閉するシーンは全くなかったのだが、今回の製品化によりどのようにコクピットが展開するか判明した。上部のハッチを上に上げてロックを解除し、ハッチを開けるようになっている。
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さらに、胸の天愕覇王荷電粒子重砲のギミックも再現されており、胸のハッチを展開することが可能となっている。ただ、さすがに胸の球体が引っ込むところまでは再現されていない。
胸の装甲をスライドさせることで天愕覇王荷電粒子重砲のギミックを再現している
ロールオーバーで画像が変わります
神虎は、従来のKMFとランドスピナーの展開が異なっている。黒の騎士団製のランドスピナーは脛の後ろ側が展開するようになっており、ブリタニア側のものは足首に取り付けられているが、神虎のランドスピナーはつま先とかかとの黄色いブレード上のパーツが閉じて、スケートのブレードのようになる。このブレードにキャタピラパーツが付いており、それで走行するようになっているのである。ROBOT魂でもこのギミックは完全再現されている。
ほかのKMFとは違う形状のランドスピナー
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重心が後ろ気味なので、使用する場合は魂STAGEを使いましょう
このような特殊な形状となっているため、神虎はほかのKMFと比べてこけやすい。ほかのKMFは後ろ側にランドスピナーが展開されるので、本体をちゃんと支えることができるのだが、神虎の場合コクピットと飛翔滑走翼に引きずられてこけてしまうのである。ランドスピナーを使えば、さらにバランスが悪くなるので魂STAGEで支えるようにしよう。
可動範囲はほかのKMFと同じく、広めに作られているのだがスカートの形状の都合で足回りの可動範囲が狭い。さらに、魂STAGE用のジョイントパーツが用意されていないため、飛行ポーズを取らせる時はアームパーツを使うことになるのだが、サイドスカートやリアスカートが邪魔をしてしまって、アームでつかませにくい。コクピットの展開ギミックの都合でジョイントがつけられなかったのだろうが、このせいで遊びにくいキットとなっているのが残念である。
オプション装備として、スラッシュハーケンとソードパーツが2つずつ付属している。設定上ではソードパーツは刃の部分がスライドして移動するようになっているが、製品ではそのギミックは再現されていない。
スラッシュハーケンは、星刻がよく使う縄標と形状が同じもので、下腕部から射出される。製品版では、劇中と同じく黄色いリード線で再現されており、手首部分を差し替えることで発射する。
また、このスラッシュハーケンを高速で回転させることで防御にも転用することができる。ROBOT魂ではPETを使った円形状のパーツが2つ付属しており、同じく手首を差し替えることで展開する。
ハーケンを高速回転させることで防御にも使用できる
グラデーション塗装で回転しているように見えるのがこだわりを感じられる
手首の装甲を差し替えることで上記のパーツを取り付けます
大型のオプションパーツをつけたために、手首が平手と武器持ち手の2種類しかしか付属しないのが残念なところであるが、神虎のギミックを余すことなく再現しているのがポイントが高い。スカート部分のせいで触るときとげが刺さって痛いところと、魂STAGEと併用させないくい点が残念であるが、ほかのKMFに負けない充実した出来栄えとなっている。神虎は、ブリタニアと黒の騎士団問わずさまざまなKMFと交戦しているので、ほかのKMFと絡めて遊びやすいのでぜひとも押さえておきたいアイテムである。
朱禁城 の 花嫁
ゼロの奇策により、100万人の日本人とともにエリア11を脱出した黒の騎士団は、あらかじめ中華連邦を実質支配していた大宦官らと行っていた交渉により潮汐発電施設である蓬莱島を貸し与えられた。蓬莱島に降り立った黒の騎士団は、インド軍区から開発していた大量の新型KMFと空中戦艦斑鳩を受け取り、軍備を整えつつあった。
しかし、蓬莱島を貸し与えた中華連邦の思惑は別のところに存在していた。黒の騎士団が蓬莱島に来訪してから数日後、皇神楽耶のもとに招待状が届く。その内容は、中華連邦の天子とブリタニア皇室の長男、オデュッセウス=ウ=ブリタニアが婚姻を果たすということであった。中華連邦は、ブリタニア軍と政略結婚を行い、結納品代わりに黒の騎士団を売り渡そうとしていたのであった。この危機に際して、ゼロは行動を起こすことを決意する。
その頃、中華連邦内部でもこの婚姻に異を唱えるものがいた。星刻らが率いるクーデター派である。星刻は、6年前に囚人に薬を与えたということで、死罪になりかけていた。そのとき、天子に救われたことを恩義に感じ、傀儡として宮殿の中で暮らしている天子に外の世界を見せることを誓っていた。その天子が、政略結婚の道具になりかけていることを知った彼は、以前から立てていたクーデターの計画を実行に移したのだった。
朱禁城でオデュッセウスと天子の結婚式が執り行われているまさにそのとき、星刻がその会場に現れ天子を連れ去ろうとしていた。立ちふさがる衛兵達を蹴散らし、星刻は剣を振るった。しかし、その星刻の前にゼロが現れ天子に銃を突きつけた。ゼロもまた、結婚式の会場で天子を奪う算段を立てていたのである。
藤堂の乗る斬月が式場内に乗り込んできた。そして、式場に居合わせたシュナイゼルを捕らえようとしたその時、上空からスザクの乗るランスロットが攻撃を仕掛けてきた。藤堂は飛翔滑走翼を展開し、上空でランスロットを迎え撃つ。ハドロンブラスターを展開したランスロットに対し、藤堂は足下の朱禁城を背にしランスロットの攻撃をけん制する。
藤堂「撃てるかな?この位置取りで!」
スザク「く、朱禁城を・・・。」
そして、攻撃の手を封じられたランスロットのフロートを破壊した。
藤堂「陰の太刀・・・」
スザク「フロートぐらいで!!」
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藤堂がランスロットを抑えている間にゼロは天子を用意していたコンテナに収容した。フロートを破壊されたランスロットは藤堂たちを追いかけることが出来ず、ゼロたちはまんまと城を後にした。更に、クーデターを引き起こした星刻らは大宦官たちに身柄を拘束されてしまうのだった。
天子を捕らえたゼロたちは、作戦通りに走行中の軍用トレーラーと合流し、斑鳩に向かっていた。追撃の手が伸びてきたが、藤堂の斬月とカレンの紅蓮可翔式には全く歯が立たず、紅蓮の拡散輻射波動で全滅させられてしまった。
カレン「もう、しつこすぎるよ!ちょっとあっち行ってな!!」
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空からの追撃を何とか振り切ったゼロ達であったが、途上の橋が落とされていた。そこで立ち往生を食らったトレーラーの背後に、中華連邦軍の追っ手が現れる。しかし、橋を落とされたのはゼロの想定の範囲内だった。ゼロは、朝比奈の率いる部隊を橋の付近にあらかじめ配置し、中華連邦軍を迎え撃ったのだった。天子がいることで、攻撃できない追撃部隊はあっけなく敗退してしまう。
朝比奈「それじゃあ、新型の試し撃ちを・・・。」
捕らえられていた星刻は、知らされていないにもかかわらず、追撃部隊が破れたことを看破していた。それだけでなく、敗退した場所と今後の黒の騎士団の行動予測までやってのけた。その様子を見た大宦官らは天子を救出することを条件に星刻を解放し、更にあるKMFを彼に貸し与えた。
追撃の手を振り切ったゼロたちのトレーラーは、予定通り斑鳩と合流することが出来た。しかし、そんな彼らが安堵する余裕もなく、前方に展開していた護衛部隊のKMFが破壊された報告が入ってきた。このタイミングで敵が来たことをゼロは訝しがり、自分の動きが読まれていたのではないかと考えた。前衛が敗れた地点をズームすると、ナイトメアが1体飛翔滑走翼を携えて浮遊していた。
ゼロ「あれは・・・何故こちらと同じ飛翔滑走翼を装備している?」
黒の騎士団専用装備であるはずの飛翔滑走翼を装備した機体が現れたことにより、一同に動揺が走った。彼らの前に現れたKMFこそ、星刻が貸し与えられた中華連邦最強のナイトメア、神虎なのであった。
星刻「ナイトメアフレーム、神虎。これでまだ出力40%・・・。大宦官らめ、なんてものを!」
斑鳩周辺を護衛していた千葉の率いる暁部隊が、神虎への攻撃を試みた。
団員「可翔型とはいえ、敵は1機!囲んで叩きます!!」
千葉「待て!」
しかし、神虎に攻撃を加えようとした暁は、あっけなく神虎のスラッシュハーケンに捕らえられてしまい、まとめて破壊されてしまう。
星刻「この神虎を甘く見たな。」
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千葉「よくも!」
部下を葬られたことで怒りに燃えた千葉は、自分の機体を神虎に向かわせたが神虎に軽くあしらわれてしまう。
星刻「道理無き者がほざくな!」
千葉「うわっ!」
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迎撃してきたナイトメアを軽く蹴散らした神虎は悠然と斑鳩の艦首の前に立ちふさがった。送られてきた通信により、ゼロはその青い機体を操縦しているのが星刻だということに気づく。
星刻「聞えているか、ゼロ?」
ゼロ「まさか・・・星刻か?」
星刻「ゼロ、ここは通さん!」
神虎が出現したことにより、カレンは補給も行わずに出撃した。紅蓮は神虎を呂号乙型特斬刀で切りかかった。
カレン「星刻!」
星刻「紅蓮可翔式!?紅月カレンか!しかし、この神虎ならば・・・!!」
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カレンは、飛翔滑走翼に装備されたミサイルポッドで神虎を攻撃したが、神虎はミサイルの群れを難なくかわしてしまう。
カレン「飛び散れ!」
ミサイルをかわした神虎の動きに感服しながら、カレンはすかさず輻射波動を構えた。それに対し、神虎も胸のハッチを展開し天愕覇王荷電粒子重砲の発射体勢に移った。
カレン「やるねえ。でも私は黒の騎士団のエース!」
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星刻「見せてみろ、神虎!お前の力を!!」
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その様子を斑鳩の艦橋から見ていた黒の騎士団の技術者ユスクが動揺した。その様子を見ていたゼロは彼らにそのKMFの詳細を知っているのかとたずね、ラクシャータが神虎を作ったことを打ち明ける。神虎は紅蓮と同時期に開発していたのだが、扱えるパイロットがいなかったためお蔵入りしていたのであった。
ラクシャータ「扱えるパイロットがいなかった孤高のナイトメア、それが神虎よ。」
カレンが輻射波動砲を発射すると同時に神虎も自らの主砲を発射した!
カレン「喰らいなあ!」
星刻「受けてみよ!」
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互いの熱線がぶつかり合い、すさまじい衝撃を巻き起こした。その振動は斑鳩の艦内にも響き、防音設備が行き届いているはずの神楽耶らの部屋にも響いていた。ラクシャータらが開発した高性能ナイトメアが何故敵の手に渡っているのかとゼロは声を荒げた。神虎が敵の手に渡っていることから、協力関係にあるはずのインド軍区も一枚岩でないということが明らかになったわけである。
せめぎ合いの末、神虎はハーケンを紅蓮可翔式の脚に巻きつけた。これにより勝敗は決したかに思われたが、カレンは逆に余裕の笑みを浮かべた。
星刻「捕らえたぞ!勝敗は決した!!」
カレン「そうね、貴方の負け・・・。」
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カレンはまきつけられたハーケンを左手で握ると、輻射波動を流し込み流れ込んでくる電流を防いだ。これにより、神虎は逃げ場を失ってしまったことになる。カレンは得意の輻射波動を神虎に叩き込もうとした。
カレン「さあ、じかに叩き込むよ!!」
勢いよく神虎に突進する紅蓮だったが、突然アラームが鳴り響いた。補給が済んでいなかったことにより、エナジーが尽きてしまったのである。
カレン「エナジーが!」
エナジーが尽きたため力なく倒れこむ紅蓮に神虎はもう片方のワイヤーを巻きつけ、紅蓮の体全体を縛り上げた。
縛り上げられたことにより宙吊りにされた紅蓮を朝比奈と千葉が助けに向かったが、星刻は紅蓮に剣をつきつけその2機の動きを止めた。
カレン「うっ!」
星刻「このような真似したくはないが、私には目的がある!天子様だ!」
そのとき、後方からの突然の砲撃があり千葉と朝比奈の暁を襲った。それは、星刻の援護に現れた中華連邦軍の増援部隊だった。それを見た星刻はカレンの紅蓮可翔式を宙吊りにしたまま母艦である大竜胆に撤退し、紅蓮可翔式の中にいたカレンは中華連邦に捕らわれてしまうのだった。
カレンが連れ去られるという事態に黒の騎士団の団員は動揺を隠せなかった。カレンにルルーシュは必ず助けると通信で励ましの言葉を送ったが、程なくしてその通信も途切れてしまう。カレンを助けようと思案をめぐらせるルルーシュだったが、ディートハルトは撤退を進言した。一兵卒に過ぎないカレンを取り戻すために戦いを続けるのは偏愛で、組織が崩れると正論を主張するディートハルトの言葉にルルーシュは決断を渋った。
しかし、彼は最終的にカレンを助ける決断を下した。このまま撤退してもインド軍区が裏切っているかもしれないという可能性があったためである。ここに、黒の騎士団と中華連邦軍の総力戦が始まろうとしていた。
神虎 輝く 刻
ゼロは黒の騎士団に戦闘準備を命じた。
ゼロ「黒の騎士団、全軍戦闘準備!」
戦闘準備を進める中、ルルーシュと星刻の頭の中では互いの戦術の読み合いが行われていた。
ゼロ「地形は高低差が少ない。地理的有利は望めない。」
星刻「加えて敵の軍は急ごしらえ。指揮系統はゼロに集中させるしかない。」
星刻「しかし、ナイトメアの性能は敵が勝る・・・。」
ゼロ「となれば、中華連邦軍の選択肢は・・・」
星刻「神虎を前面に押し立てての中央・・・」
ゼロ「突破!!」
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神虎を迎え撃つのは、藤堂の駆る斬月である。
藤堂「神虎は、この斬月が!」
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神虎を藤堂が押さえている間に黒の騎士団の暁部隊が中華連邦軍のナイトメアと正面から交戦を始めた。星刻も率いていた先行部隊に突進を命じた。性能で勝る黒の騎士団の暁だったが、兵士の熟練度が低いため中央突破を許してしまう。しかし、すかさずゼロは左右に展開していた千葉と朝比奈の部隊を動かし中央突破した中華連邦の部隊を包囲した。ルルーシュの目的は、星刻を押さえておき神虎をエナジー切れに誘い込むことにあった。
ルルーシュは後方の射撃に備えるためと包囲の輪をより強固にするために斑鳩から増援部隊を出撃させた。
杉山「白兵戦に持ち込むんだ!抜刀!!」
ゼロが総力戦を挑んできたことにより中華連邦側は不利な状況に立たされつつあった。だが、これは星刻が黒の騎士団の様子を見るための策であり、この機を見計らい星刻は近くの運河を決壊させる。しかし、ゼロの側もこの作戦を見抜いており運河の水量をあらかじめ減らしていたのだった。
だが、そのことすらも星刻にはお見通しだった。黒の騎士団の暁の脚が突然地面に沈み出したのである。
「何!?地面が・・・。」
星刻は戦場がその昔癒着による手抜き工事が行われた感慨跡地であるということに着目しに着目し、そこに水を流し込むことで地面をぬかるませ、ルルーシュの主力の足を止めたのだった。星刻が神虎で単機で突進したのも、この作戦をより成功させるために自ら囮となったのだった。足を止められた暁は中華連邦軍の的となり、主力部隊が動けなくなったことにより守りの薄くなった斑鳩に星刻は止めを刺そうと天愕覇王荷電粒子重砲の照準を向けた。自らの失態に悔しさのあまりルルーシュは絶叫を上げた!
星刻「我らに勝利をもたらすは、わが国の大地そのもの。ゆえにゼロ、お前の負けだ!」
ゼロ「星刻!!」
しかし、ギリギリのところで藤堂がぬかるみから脱し、神虎の向きを変えさせることに成功した。
藤堂「まだ決着は付いていない!!」
星刻「さすがは奇跡の藤堂!しかし、敵の主力はここで止まった!!」
ロールオーバーで画像が変わります
形勢が不利となったゼロは、やむを得ず撤退することにした。自分を撤退に追い込んだ星刻を先に落とすべきだったとルルーシュは後悔しながらも、彼の技量を認めたのだった。
ルルーシュ「認めよう、星刻。私と鼓する知略とスザククラスの武勇。天は二物を与えたというのか・・・。」
左右から迫る中華連邦の別働隊を斑鳩の主砲の艦首拡散ハドロン重砲でなぎ払い、その隙に全軍を天帝八十八陵_に向かわせた。斑鳩を陵墓の中に潜らせ篭城戦を仕掛けようとしているのである。
しかし、中華連邦側もこの局面で手を組もうとしていたブリタニアに援軍を要請。その結果、ナイト・オブ・ラウンズが中華連邦と手を組んだのだった!更に、クーデターを起こした星刻の軍を見限り攻撃を仕掛けるのだった。その様子を見た星刻は大宦官に対する怒りを露わにする。
星刻「わかっているのか、大宦官どもは!相手はEUの半分を奪い取った男・・・第二皇子シュナイゼルだぞ!!」
ゼロはディートハルトに仕掛けの準備に当たるよう指示を出し、そしてこの絶望的な状況を打開する決意を固めたのだった・・・。
ルルーシュ「勝ってみせる!この絶望的な状況の中からでも・・・。」
この続きは、ROBOT魂蜃気楼のコラムで!
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