コードギアス 〜反逆のルルーシュ〜R2EX
ダモクレス攻防戦 ZERO REQUIEM

コードギアスEX ZERO REQUIEM
「過去」でもなく、「今日」でもなく、「未来」をつかむために・・・!
ルルーシュの物語、完結!!

シュナイゼル の 仮面
ブリタニア首都、ペンドラゴンを消失させたのはシュナイゼルがトロモ機関に命じて建造させた巨大飛行要塞、ダモクレスから発射されたフレイヤ弾頭だった。首都を壊滅させたシュナイゼルは皇室専用チャンネルを使ってルルーシュに宣戦布告を行う。さらに自分の側にはナナリーがおり、ルルーシュとスザクに対する明確な敵意を表明させた。

ナナリーは、二人が今まで自分に嘘をつき続けていた事に怒り、確固たる決意で相対した。このことはルルーシュを大いに動揺させる。ナナリーと相対さなければならない事による苦悩に囚われるルルーシュを見かねて、スザクは、「ゼロレクイエム」達成を妨げるいかなる障害も排除するという誓いを守るように彼を叱責。これを受けてルルーシュも悩みながらも妹と相対する決意を固めた。

日本に残留していた黒の騎士団は蓬莱島へと撤退、入れ替わりにブリタニア軍が再び日本を制圧し、その支配下に置いた。黒の騎士団はシュナイゼルと結託、ブリタニアに最後の決戦を挑もうと戦力を整えていた。ブリタニア側も、ロイドとニーナに命じて対フレイヤ用の兵器を開発の進行を急がせた。

再び世界中で超合集国軍とブリタニア軍の睨み合いがはじまった。双方の戦力は伯仲していたが、いつバランスが崩れるとも限らない状況である。被害を最小限に抑えるため、超合集国軍とブリタニア軍は最終決戦の場としてすべての戦いの元凶となったサクラダイト採掘地である富士山を選んだ。

宣戦布告するルルーシュ
皇帝ルルーシュ「この戦いこそが世界を賭けた決戦となる!シュナイゼルと黒の騎士団を倒せば、我が覇道を阻む物は一掃される!
世界はブリタニア唯一皇帝ルルーシュによって破壊され、然る後に創造されるだろう。
打ち砕くのだ、敵を、シュナイゼルを、天空要塞ダモクレスを!!恐れる事は無い!
未来は、我が名と共にあり!!


シュナイゼルの演説
シュナイゼル「ルルーシュは、世界に悪意を振りまく存在だ。平和の敵はこの地で討たねばならない。
過去のしがらみはすて、私たちも黒の騎士団もここは共に手を携えたい。
世界中の人たちは待っている!私たちの凱歌を!!
そして願わくばこれが人類にとって最後の戦争である事を祈りたい・・・。

演説を終え、アヴァロンの中に戻ったルルーシュはオープンチャンネルでシュナイゼルと連絡を取った。モニター越しに自分を裏切ったディートハルトを確認しながら、ルルーシュは議会の時に確保した各国首脳陣を人質に、フレイヤを牽制しようとする。シュナイゼルは構わずフレイヤを使う意思を見せたが、天子を守りたい星刻によって阻まれた。

二人の個人的な通信が終わると、ついに両軍が静かに動き出した。ルルーシュとシュナイゼルは互いの軍を動かし、お互いを牽制しあっていた。しかし、砲火はまったく飛び交わず、ただ単にお互いのKMFが移動するだけであった。しかし、シュナイゼルとルルーシュの間では凄まじい頭脳戦が繰り広げられており、互いに相手の陣形を崩そうと隙を窺っていたのだった。

シュナイゼルはルルーシュの攻勢に出やすい性格を利用し、ブリタニア軍に僅かな隙を作らせる事に成功した。その隙に星刻の神虎を突入させ、ブリタニア軍を一気に突き崩そうとする。

突入する神虎
シュナイゼル「変わらないねえ。キミは防御よりも攻撃が好きだった。だからこその僅かな隙・・・。星刻!」

星刻「ふん。我らの技量まで織り込み済みか!」

シュナイゼル軍の左翼の主力部隊が突入してきたため、左翼を守っていたジェレミアは攻撃を命じた。ついに、壮絶な戦いの火蓋が切って落とされたのだった!

攻撃に出たシュナイゼル軍
千葉「ここを破って、混戦に持ち込めば・・・!」

黒の騎士団の士気は非常に高く、シュナイゼル軍はブリタニア軍の防衛線を次々と突破していった。対するブリタニア軍も、ルルーシュのギアスにより命を惜しまぬ戦闘兵に仕立てられており、捨て身の攻撃を繰り出してくる。しかし、戦いの流れは連携プレイに一日の長がある黒の騎士団側に傾きつつあり、斑鳩のハドロン砲でブリタニア側に大きな被害が出た。

これを受けて、ルルーシュは富士山に仕掛けていた装置を発動させた。ルルーシュがスイッチを押すと、富士山が噴火し、火口から噴出した大量の火山弾が上空を飛行していた黒の騎士団に襲いかかる。ルルーシュは、富士山に大量に埋蔵されているサクラダイトを爆発させ、富士山を噴火させたのである。

この思いもよらなかったルルーシュの攻撃によって黒の騎士団は完全に分断されてしまった。旗艦である斑鳩も航行不能となり、墜落。その様子を見ていたシュナイゼルは、ダモクレス上層部にいるナナリーに命じて、禁断の兵器フレイヤを発射した!

フレイヤの発射を確認したルルーシュは、近隣に飛んでいるヴィンセントウォードに命じてフレイヤをMVSで迎撃させた。しかし、発射と同時に臨界状態になるようにフレイヤは設定されており、ただ単に迎撃しただけでは爆発は避けられなかった。連射されるフレイヤにルルーシュは「人の壁」を利用し、フレイヤを防いでいく。彼の狙いはフレイヤを連射させ弾切れを起こさせる事にあったのだが、友軍の被害が拡大するのは防げない。アヴァロンを安全圏に後退させながら、「戦術」が意味を成さない戦場にルルーシュは苛立ちを募らせていった。

一方のシュナイゼルは、ルルーシュが切り札である富士山の仕掛けを先に使った事により、自分のフレイヤとダモクレスによる勝利を確信していた。シュナイゼルは不敵な笑みを浮かべながら静かに呟きを漏らす。

「ルルーシュ、もしキミが私を倒そうと考えているのならばキミはそこまでだよ・・・。仮面を使いこなせない人間に勝機は無い・・・。」

ダモクレス の 空
両軍に甚大な被害を出しながらも戦いは進行していった。敵味方入り混じっての混戦の中、ついにジェレミアのサザーランドジークが天空要塞ダモクレスの懐に入ることに成功する。ジェレミア率いる部隊がダモクレスに攻撃を仕掛けるが、その攻撃はダモクレスを覆う巨大なブレイズルミナスによって防がれてしまった。ダモクレスは元々絶対の制空権を取るための兵器として開発され、ロイドの作ったフロートシステムとブレイズルミナス、ニーナの作ったフレイヤによって攻守共に隙のない兵器となっていたのだった。

スザクのランスロットも攻撃に加わったが、シールドの出力が桁違いで攻撃がまったく通用しない。ダモクレスは高度を徐々に上げていく。このままでは成層圏を突破し、KMFでは手が出せなくなってしまう。そうなる前に、なんとしてでもダモクレスに取り付く必要があった。

ダモクレスがフレイヤを連射する様子を見て、星刻はシュナイゼルにフレイヤを撃たないように進言する。このままでは天子を含めた各国首脳が巻き添えになるからである。シュナイゼルは、黒の騎士団の戦力が低下したから、という理由を星刻に説明したが、自分に通信を送ってきたということは戦力の整理が出来たと取り、10分間の猶予を黒の騎士団に与え、アヴァロンを落とすように命じた。

星刻はこれを受諾し、アヴァロンの背後に回りこみ総攻撃を仕掛けた。それを迎撃する為、スザクのランスロットアルビオンが立ちはだかる。アルビオンは神虎にヴァリスで攻撃を仕掛けた。

神虎を攻撃するアルビオン
スザク「このアヴァロンは、落とさせない!!」

アルビオンの攻撃を回避した神虎は、ハーケンをアルビオンに発射するも、アルビオンは剣で受け止め、その状態からMVSを起動。振動を起こしたMVSの影響で神虎のハーケンは細切れとなった。至近距離に迫り、両機は剣を交える。

剣を交える2機
スザク「星刻、止める!!」

星刻「道理なき者などに!!」

スザクにかけられた【生きろ】のギアスが発動するほどに星刻は手強い相手だったが、アルビオンの機動力を活かし、神虎の背後を取ると、その手に握られたMVSが神虎の翼と左腕を切断する!

背後に回りこみ、神虎を切り裂くアルビオン
星刻「グハッ!」
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トドメを刺そうとするアルビオン
スザク終わりだ!!

アルビオンが神虎にトドメを刺そうとしたとき、藤堂の駆る斬月が割って入ってきた。藤堂の機体は、先の富士山の爆発により著しく損傷していたが、決死の覚悟でアルビオンに攻撃を仕掛けたのである!

割って入る斬月
スザク「何!?」

藤堂「枢木ぃぃぃぃっ!!」

剣を交えるアルビオンと斬月
スザク「そんな状態でよく・・・。」

藤堂「国を捨て、位にのみ固執する醜い存在と成り果てたな!オマエの願いはどこにある!?」

スザク自分はただ、明日を望んでいるだけだ!!

藤堂オマエが望む明日など・・・!!

損害の激しい斬月では、スザクのランスロットアルビオンには歯が立たず、斬月の機体はあっけなく切り裂かれ、藤堂は脱出を余儀なくされる。

脱出する藤堂
藤堂「不覚・・・!」

脱出した藤堂のコクピットを千葉の暁が受け止め、藤堂は一命を取り留めた。

藤堂を助ける千葉
千葉「藤堂さん!」

藤堂を助けた千葉は、アルビオンに輻射粘着グレネード弾を発射しアルビオンを牽制した。その隙に星刻は天子砲でアヴァロンのブレイズルミナスを破り、フロート動力炉を破壊。そして、墜落を始めたアヴァロンに歩兵部隊を突入させようとしていた。スザクも、突入を阻止させる為にアルビオンを飛ばしたが、その前に玉城が立ちはだかった!

立ちはだかる玉城
玉城「待て待て待てぇ〜い!!」

曰く、長きに渡る因縁に決着をつけようと玉城は意気込んでいたが、スザクは玉城の存在を意に介さず、そのまま玉城の暁を切り捨てた。

切り捨てられる玉城
玉城「さあ、俺たちの因縁に決着を・・・?」
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機体の下半身を失いながらも、玉城は懸命に機体を操作し、アルビオンにキャノン砲で反撃した。その攻撃は、いつもいつもやれてばかりの玉城の意地であった。

反撃する玉城
玉城「俺だってなあ・・・意地があるんだよお!

しかし、その攻撃も虚しくアルビオンのブレイズルミナスに防がれ、玉城の暁はスラッシュハーケンで残った上半身も破壊され、玉城は脱出した。

撃墜される玉城
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しかし、玉城が短時間とはいえ粘った成果もあって、アヴァロンの内部に星刻らが突入する事に成功した。アヴァロンへの侵入を許してしまったスザクは、歯噛みする。

突入を許してしまったスザク
スザク「くっ!間に合わなかった・・・。中に入られたら・・・。」

黒の騎士団の侵入を許してしまったルルーシュは、墜落するアヴァロンを太平洋に着水させることにし、乗組員全員にミッション・アパテ・アレティア を発令させた。ルルーシュは、ロイドやセシルをはじめとした自分の部下を労うと、自分はKMFの格納庫へと向かった。

格納庫に向かう途中、ニーナはルルーシュに自らが開発した対フレイヤ兵器の使用法について話した。自分が敬愛するユーフェミアを殺めたゼロの正体がルルーシュであると知ったニーナだったが、彼女はその憎しみを抑え、自らが開発したフレイヤで甚大な被害が出た償いとして、対フレイヤ兵器をルルーシュに託すのだった。ルルーシュは皇帝になっても使用し続けている蜃気楼にニーナが開発した対フレイヤ兵器、フレイヤ・エリミネーターを搭載し、自らの体を張ってシュナイゼルと相対そうとしていた。

出撃直前、急ごしらえで組みたてさせたC.C.専用のランスロットである、ランスロット・フロンティアが、追加装備のパーシヴァルの盾を取りに帰還していた。ルルーシュは、C.C.に護衛を頼むと、ゼロレクイエム遂行のためにナナリーと戦うという決意を彼女に語った。そんな彼の話を聞いたC.C.は、自分がルルーシュにギアスを与えたことでルルーシュに苦難の道を歩ませてしまったのではないかと心配したが、ルルーシュはギアスがあったからこそ自分は一歩踏み出せたと彼女に語る。

その時、カレンの乗っている紅蓮聖天八極式がアヴァロンの壁をぶち破って突入してきた。

突入してきた紅蓮聖天八極式
ルルーシュ「カレン!?」

カレンは、自分の手でルルーシュを討とうと決意しており、目に涙を浮かべながら紅蓮の輻射波動をルルーシュに対して構えた。

ルルーシュを討とうとするカレン
カレン「あなたは私が止める!さようなら、ルルーシュ・・・。」

C.C.は素早くランスロットフロンティアに乗り込むと、盾に内蔵されたミサイルランチャーで紅蓮をけん制。その隙にルルーシュは蜃気楼に乗り込もうとしていたが、紅蓮の照準はルルーシュにロックをかけていた。その様子を見たC.C.はランスロットフロンティアで紅蓮に体当たりし、紅蓮を転倒させた。

こかされる紅蓮
C.C.「ここは私に任せて、ダモクレスを!」

カレン「しつこい!」

ルルーシュはC.C.の意図をくみ取ったが、紅蓮とランスロットの性能差を知っている彼はC.C.の身を案じた。そんな彼に、C.C.は心配してくれたことに感謝し、ルルーシュに先を急がせた。

先を急がせるC.C.
C.C.「早く行って、そして戻って来い!私に笑顔をくれるんだろう?」

ルルーシュ「ああ、約束しよう。必ず成功させてみせる!この一手で、何としても!!」

アヴァロンから蜃気楼がダモクレスに向けて飛び立った。その様子を見た数機のKMFが、蜃気楼の後を追い彼の護衛に付く。蜃気楼の発進を確認したシュナイゼルは、部下に命じてフレイヤの照準を蜃気楼にセットさせた。自ら戦地へと赴いてきたルルーシュを見たシュナイゼルは、ルルーシュが自棄になったと思い呆れていた。フレイヤ発射口のブレイズルミナスを部分解除し、ナナリーにフレイヤを発射するようシュナイゼルは指示。全てを終わらせる覚悟で、ナナリーが発射スイッチを押す!

ダモクレスからフレイヤが放たれた。ルルーシュは動揺することなくフレイヤの発射を確認すると、蜃気楼のコンソールに次々とデータを打ち込んでいった。フレイヤは刻々と組成を変化させる性質を持っている。フレイヤ・エリミネーターは、その組成に対応するデータを打ち込み対応させることで、その臨界を止めるシステムである。しかし、爆発までの19秒間の時間で環境データを打ち込みプログラムを完成させなければならず、プログラム入力に成功してもその実行時間はわずかに0.04秒間だけ。きわめて確率の低い、賭けであった。

ルルーシュはデータを打ち込み切ると、後から並走してきたスザクにフレイヤエリミネーターを託した。

スザクにエリミネーターを託す蜃気楼
ルルーシュ「スザク!

スザクYes, your Majesty!
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蜃気楼からフレイヤエリミネーターを受け取ったスザクは、自らにかけられたギアスの呪いで得られる驚異的な集中力を駆使し、エリミネーターを投げつけるタイミングを瞬時に掴む。アルビオンが投擲の構えを取ると同時に、フレイヤエリミネーターそれに適した形に変形する。

フレイヤエリミネーターを構えるランスロット
スザク「今だ!」
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スザクは変形したフレイヤエリミネーターを、今まさに爆発しようとしているフレイヤの光へと投擲。

フレイヤエリミネーターを投げつけるランスロット
スザクうおおおおおおおおおお!
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フレイヤの光にエリミネーターが当たったその瞬間、フレイヤは急速に輝きを失い、爆発することなく消滅した。スザクとルルーシュは、19秒と0.04秒の勝負に勝ったのである。その様子をアヴァロンから見ていたニーナは、目の前の光景が信じられず、呆然と呟きを漏らした。

19.04秒の奇跡!
ニーナ「やった・・・、やりきったの・・・?19秒とコンマ04秒を・・・?」

シュナイゼル「そんなおもちゃを用意していたとは・・・。」

作戦を成功させたルルーシュは、フレイヤの発射により開いたブレイズルミナスの隙間に蜃気楼の絶対守護領域を干渉させ、ランスロットアルビオンと追従してきた数機のKMFとともにダモクレス内部に突入した。

ダモクレス内部に友軍を突入させる蜃気楼
ルルーシュ「今だ、飛び込め!」

ブレイズルミナスの内側に侵入したランスロットアルビオンは、フルバーストでダモクレスに攻撃をかけていった。その衝撃にダモクレスは大きく揺らぎ、その振動は頂上にいたナナリーにも伝わっていた。ナナリーはそのショックで車いすから放り出され、フレイヤの発射装置を地面に落してしまう。

ダモクレス内部に侵入を許してしまったシュナイゼルは、あっさりとダモクレスの放棄を決意。自分がダモクレスから脱出すると同時に、内部に残されたフレイヤ弾頭を爆発させ、要塞もろともルルーシュを抹殺しようと画策する。当然、ナナリーも巻き添えとなってしまうが、世界の平和の前には一人の命は軽いと踏み、計画を実行させようとしていた。

そのころ、アルビオンと蜃気楼はダモクレス内部をランドスピナーで走行していた。そこに、ジノが操るトリスタン・ディバイダーが立ちはだかった。

立ちはだかるトリスタン・ディバイダー
ルルーシュ「ジノか?」

ジノ「ルルーシュ、お前のブリタニアは私が認めない!ここで消えてもらおう!!」

ジノは、破壊されたギャラハッドのエクスカリバーを双剣に改造しトリスタンの武器にしていた。そのエクスカリバーは、蜃気楼の絶対守護領域さえも破壊し、蜃気楼の右腕を破壊。ひるんだルルーシュは、ゼロビームを発射しトリスタンをけん制、そこに見かねたスザクが両者の間に割って入った。スザクはルルーシュに先に進むよう指示した。

先に進むよう言うスザク
スザク「ルルーシュ、先に行け!君には倒さなければならない敵と救わなければならない人がいるはずだ!」

スザクの意図をくみ取ったルルーシュは蜃気楼を走らせるが、先へは行かすまいとジノはエクスカリバーを蜃気楼に投げつけた。そのエクスカリバーは、見事に蜃気楼の尻部分に直撃!蜃気楼は見事にこけてしまった。

エクスカリバーが刺さる図
ジノ「逃がすか!」
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走行不能となった蜃気楼のコクピットからルルーシュは抜け出し、自力の脚でダモクレスを駆けていった。

放棄された蜃気楼
ルルーシュ「・・・くっ!」

主がいなくなった蜃気楼は、爆発を起こし完全に大破。蜃気楼も結局はルルーシュのKMFにすぎないということか。ルルーシュのKMFらしい、あっけなく、かつ、間抜けな最後であった・・・。合掌。

ダモクレスの外部では尚も死闘が繰り広げられていた。ジェレミアのサザーランドジークは、アーニャの駆るモルドレッドと交戦し、C.C.もカレンの紅蓮聖天八極式と激戦を繰り広げていた。ルルーシュを取り逃がしたカレンは、次々に迫りくる敵機を撃墜していった。

激戦を繰り広げるカレン
カレン「国でもなければ復讐でもない!野心のかけらも持っていない!!」
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激戦を繰り広げるカレン
カレン戦う理由がない奴は引っ込んでいな!!!

戦う理由が無い者は戦うなと主張するカレンに、C.C.は自分にも戦う理由があるとカレンに述べる。

C.C.の戦う理由
C.C.「理由ならできた。約束が・・・。」

そういうC.C.にカレンも言葉で切り返す。

女の戦い
カレン「それって、ルルーシュを好きってこと?」

C.C.「・・・さあな。ただ、経験という積み重ねはもうおしまいにしようと思ったんだ・・・。」

C.C.と女の戦いを言葉でも繰り広げながら、カレンは紅蓮のスラッシュハーケンを発射しランスロットを丸腰にした。

武器をはじく紅蓮
カレン「人間らしいことを言うのね」

C.C.「・・・!さすがは・・・!!」
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ランスロットを丸腰にしたカレンは、機体を突撃させMVSで止めを刺した。ランスロットフロンティアの機体は、MVSによって切り裂かれ、それを受けてC.C.は自分の負けを認めたが、カレンは興味ないと一蹴した。

決着!
C.C.「カレン、お前の勝ちだ・・・。」
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決着!
カレン「どうでも良いよ、そんなこと・・・。じゃあね。」

ランスロットに取り付けられた脱出装置が作動し、コクピット部分が海へと落下していった。落下するコクピットの中で、自分にまだ勝ち負けに拘る感情が残されていることを知り、C.C.は驚きを隠せなかった。

落下するC.C.
C.C.「勝つとか負けるとか、そんな心がまだ私に残っていたとはなあ・・・。」

フレイヤの自爆システムをセットしたシュナイゼルは、ディートハルト、側近のカノンとともに脱出艇へと向かった。まんまと逃げようとしていたシュナイゼルだったが、脱出艇に搭乗すると同時に兵士らに取り囲まれてしまった。その兵士たちはルルーシュのギアスによって、彼に忠実な兵隊となり果てていたのである。そして、脱出艇のモニターにルルーシュの姿が映った。

ルルーシュにチェックメイトをかけたつもりが、逆にルルーシュに詰まれていたことを悟ったシュナイゼルはその場に腰かけ、なぜ自分の策を見抜けたのか、モニターのルルーシュに問いかけた。ルルーシュは、シュナイゼルの「策」ではなく「本質」を見抜いていた。シュナイゼルの、無欲で常に負けない戦いを繰り広げておきながら、実は元から「勝つ気がない」という本質を見抜いていたルルーシュは、シュナイゼルが脱出すること見越していた。

今度は逆に、ルルーシュがシュナイゼルに、世界を握りたかったのかどうか問いかけた。シュナイゼルの答えは、否でただ皆が望むことをやろうとしたにすぎないと答える。それは、人間の本質を無視したものだとルルーシュは指摘したが、見解の相違にすぎないとシュナイゼルは答える。

皇帝シャルルは、アーカーシャの剣で「昨日」を求めたが、シュナイゼルは変化のない「今」の安定を望んでいた。しかし、ルルーシュの望むものは常に変化する「未来」をつかむことであった。たとえ、それが今日よりも苦難に満ちたものでも、人間は幸せを求め歩んでいる。アーカーシャの剣で、ルルーシュは人間が「明日」を求めていることを知ったのだから・・・。

シュナイゼルは、幸せを求める人間の姿が欲望へとつながる愚かなものと言い放ち、ルルーシュの考えを一蹴した。しかし、ルルーシュはそのシュナイゼルのその発想を、皇族という記号で世界を見下し続けてきたからだ、と言い放ち、彼の限界を指摘した。ギアスで人の意志をねじ曲げ続けてきながら、人間の存在を認めると主張するルルーシュに呆れ、自分を殺すようにルルーシュに言った。

その時、背後からシュナイゼルの肩をたたく者がいた。それは、モニターに映っているはずのルルーシュ本人であった。ルルーシュはシュナイゼルに『《ゼロ》に仕えよ』とギアスをかけた。モニターに映っていたルルーシュの姿は、シュナイゼルの思考を読みしゃべっていたルルーシュの「録画映像」なのであった。

ルルーシュの意図は最初からシュナイゼルを抹殺することではなく、シュナイゼルを自分の配下に置いてしまうことにあった。ルルーシュ=ゼロと認識しているシュナイゼルは、ルルーシュのギアスにより彼の命令通りに動く手ごまとなり果てた。

見かねたディートハルトがルルーシュに銃を向けるが、ルルーシュの配下となったシュナイゼルが彼を守るためにディートハルトを射殺した。ディートハルトは死に際にギアスを掛けられて死にたかったとつぶやくが、ルルーシュはギアスを掛ける価値すらもないと冷たくに言い放つ。ゼロを使い、世界を混乱へと落とした人間のあっけない最後であった。

シュナイゼルを手中に置いたルルーシュは、彼にフレイヤの発射装置であるダモクレスの鍵を渡すよう命じるが、鍵はナナリーが持っているとシュナイゼルは答えた。それを知ったルルーシュは最上階へと向かい、ナナリーと相対する。ナナリーの手の中にはダモクレスの鍵が握られていた。

ルルーシュはナナリーに鍵を渡すよう言ったが、ナナリーは確固たる意志でルルーシュの言葉を拒んだ。そして、見えなくなっているはずのナナリーの瞳が静かに開かれた。ルルーシュを止めるという使命感と確固たる信念によって、父・シャルルが掛けたギアスを打ち破ったのであった。ルルーシュは最愛の存在であるナナリーと、文字通り向き合うこととなったのであった・・・。

一方そのころ、スザクとジノはダモクレス外部に出て死闘を繰り広げていた。ジノはトリスタンをラクシャータに強化してもらっていたが、それでもジノの実力では自分にかなわないとスザクは言い放つ!

アルビオンvsトリスタン・ディバイダー
スザク「たとえどれだけ機体を強化しようと、君では僕に勝てない!」

ジノ「言ってくれるねえ!」

互いの剣を交える両機であったが、一瞬の隙を突きスザクのランスロットがトリスタンのメギドハーケンと下半身を切り裂いた。しかし、ジノの目的は別のところにあった。ジノは残されたもう片方のハーケンで、ブレイズルミナス展開装置を一つ破壊し、外で控えていたカレンが中に入ってこられるようにしたのである。

突入する紅蓮
ジノ「さあ、カレン!」

カレン「ありがとう、ジノ!」

スザクとカレン・・・。ランスロットと紅蓮・・・。長きにわたる二人の因縁に決着をつける時がやってきたのだった!!

すべてを終わらせる時!
カレン「スザク・・・。決着をつける時が来たようね、私たちのすれ違いに!!

スザク「・・・!!」

Re;
シュナイゼルをギアスで支配下に置いたルルーシュは、ダモクレスの最上部へと辿り着く。そこにはフレイヤの発射装置のスイッチを握るナナリーの姿があった。ナナリーは静かに目を開けると、ルルーシュに対して言葉をつむいだ。

「8年ぶりにお兄様の顔を見ました。それが人殺しの顔なのですね・・・多分、私も同じような顔をしているのでしょうね・・・。」

ナナリーの目が見えるようになった事に驚きながら、ルルーシュは自分に対する彼女の冷たい言葉に、苦しそうに顔を歪める。

これまで、フレイヤの発射スイッチを押してきたのはナナリーであった。ナナリーには、たとえ兄をこの手で殺める事になろうとも必ず止める、という覚悟があった。だからこそ、「たとえギアスを使われようとも、ダモクレスの鍵を渡すわけにはいかない。」と、言い放つ。一方のルルーシュは、「ギアスでナナリーの意思を捻じ曲げる事だけはしたくない。」と、苦悩に囚われていた・・・。

一方、カレンの紅蓮とスザクのランスロットはダモクレスの外壁上に降り立ち、にらみ合っていた。カレンは、戦いの中でこれまでの自分のスザクへの思いを打ち明ける。

対峙する二機
カレン「スザク、私はあなたのことを誤解していた・・・。
やり方は違うけれど、あなたはあなたなりに日本のことを考えていると思っていた・・・。でも・・・!」

そう言うカレンにスザクは、あくまでも自分とルルーシュにはなすべきものがあるのだと引かない。


スザク「俺とルルーシュには、やらねばならないことがある!」


カレン「そう、そんなに力がほしいの・・・?」

互いに譲るべきところがないとわかると、二人はゆっくりとそれぞれの武器を構えた・・・。

武器を構える両者
カレン「だったら・・・。」

スザク「だったら・・・?」
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武器を互いに向けると、二人は同時にエナジーウイングを展開、上空に舞い上がった!ここに二人の最後の戦いが始まった!先制攻撃を仕掛けたのはスザクのアルビオンである。

激闘の開始!
カレンあなたはここにいちゃいけない!あなたとルルーシュを止める!!

スザクそれは・・・、させない!!

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ダモクレス最上部では、ナナリーとルルーシュの舌戦が繰り広げられていた。

「お兄様に、この世界を手にする資格はありません! 《ゼロ》を名乗って、人の心を踏みにじってきたお兄様には・・・!」

「では、あのまま隠れ続ける生活を送っていればよかったのか? 暗殺に怯え続ける未来が望みだったのか?


これまでルルーシュは、ナナリーのために戦ってきた。しかしそれは、ナナリーの望みではなかった。ナナリーは、ルルーシュと二人で生きていければそれだけでよかった。と、言い放つ。しかし、ルルーシュも、現実の困難を払う為に、抗う事は必要だ!と、道を譲らなかった。

ルルーシュの言葉に呼応するように、カレンとスザクも互いの思いをぶつけあっていた。


カレン「そのために、レジスタンスとして戦ってきたのよ!」
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スザク「組織を使うという手だってあったはずだ!」


カレン「その組織にシステムに入れない人はどうするの!?」
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カレン「それは違うってどうやって言えばいいのよ!?」

スザク「このっ!」


カレン高いところから偉そうに言うなぁぁ!
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スザク組織に入るしかない人はどうなる!?
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スザク正義とは!?
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カレンとスザク、レジスタンスと軍人・・・。それぞれの立場のそれぞれの正義、主張がぶつかり合う・・・。なぜ争いがなくならないのか?両機は、徐々に互いの武器を破壊していき、しのぎを削っていた。僅かにスザクの反応速度が上回り、ランスロットのMVSが紅蓮のエナジーウイングを切断する!


カレン「くっ!」
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カレンもひるむことなく、アルビオンのエナジーウイングを紅蓮の左腕で掴ませ、輻射波動をアルビオンに叩き込む。アルビオンはMVS二本で輻射波動を受け止めるが、その衝撃でアルビオンのエナジーウイングが引きちぎられてしまう!


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スザクとカレンのみならず、黒の騎士団ブリタニア両軍の人々の思いも交錯していた。それぞれの怒り、悲しみ、苦悩・・・。感情のうねりが戦場を支配していた。それらは今に限ったことではなく、不老不死の肉体を持つC.C.は、そういった人々の葛藤を長い歴史の中で見続けて来たのである。彼女は、抗うことが人の歴史だと痛感する。

翼を失った両機は、ダモクレス外壁に降り立ち死闘を繰り広げていた。抗い続けても、世界は自分の思い通りにならない・・・。そのことをスザクは嘆く。


C.C.「私は見てきた・・・、見続けてきた・・・。抗うことが人の歴史だと・・・。しかし・・・。」

スザク「人は・・・世界は・・・こんなにも思い通りにならない!」
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このスザクの言葉にカレンとダモクレス内部にいるナナリーは場所が離れているのにもかかわらず、同じ思いを抱いた。


カレン「だから、思い通りにしようっていうの?それは・・・!」

ナナリー「それは卑劣なのです!人の心をねじ曲げ、尊厳を踏みにじるギアスは・・・!」
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人の意思を捻じ曲げる力・ギアスを卑劣だと言い放つナナリー。しかし、それは圧倒的な力で支配せんとするダモクレスも同じ事であった。

そのように問い返すルルーシュに対して、ナナリーはダモクレスを憎しみの象徴とする、と、答えた。すべては、人々が明日を迎える為に。


ナナリーの真意と覚悟を知ったルルーシュも覚悟を決め、使うまいとしていた力、ギアスを使った。

ギアスを掛けるルルーシュ
(そうか。ナナリー、お前も・・・。なら・・・)

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!ダモクレスの鍵を渡せ!!

父・シャルルの記憶改変のギアスですら打ち破った強靭な精神力で、ルルーシュに鍵を渡す事を拒むナナリー。しかし、抗い続ける事は叶わず、ナナリーは優しい笑みを浮かべてダモクレスの鍵をルルーシュに差し出した・・・。

一方、スザクとカレンにも決着の時が近づきつつあった。度重なる戦いで紅蓮は輻射波動のエナジーを使い切り、また、輻射波動を受け止め続けてきたアルビオンのブレイズルミナスもエナジーを使い切っていた。

武器エナジーを使い果たした両機
カレン「これで輻射波動も弾切れ・・・。」

スザク「シールドエナジーも尽きたか・・・。」

主力武器を使い果たしても両機は戦いをやめなかった。互いに残されたのは、KMFの象徴であるランドスピナーとスラッシュハーケン、そして手足のみ!アルビオンと紅蓮の肉弾戦が始まった!スザクはランドスピナーを使用して壁を垂直に上り、それをカレンも追いかける。

壁を登る両機
カレン「それでも・・・!」

壁を登りきったアルビオンに紅蓮はスラッシュハーケンを発射した。しかし、スラッシュハーケンの間を縫いスザクはこれを回避。


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紅蓮に殴りかかるも、カレンはこぶしを受け止め、両機は取っ組み合う形になった。なかなか止めを刺せないことに、二人は互いに驚きを隠せなかった。


スザク「決めきれない!?ギアスの呪いを使っているのに・・・。カレン、なんて強さだ!!」

カレン「スペックはこっちのほうが上なのに!スザク・・・これだけの力がなぜ!?」
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二人は尚も壁を登り、上層階に着地すると目にもとまらぬスピードで殴り合った。しかし、それでも決着がつかない。意を決したスザクは、腕部のスラッシュハーケンで壁にとりつき、そのまま壁を蹴り、ランスロットの、スザクの必殺技とも言える回し蹴りを繰り出した!


スザク終わりにしよう、カレン!!!!」
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カレンも輻射波動腕の爪パーツを一転に集中、さらに拡散攻撃を行う時のアンテナで爪を補強し、右腕を前方に繰り出し、これに立ち向かう!


カレンあなたに、正義さえあれば !!!!」
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すさまじい衝撃が両者の間に走った。紅蓮の爪とアンテナはひしゃげながらも、アルビオンの右足を貫通する。

競り負けたアルビオン
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破られたことのなかった必殺のキックがついに敗れてしまったが、スザクは負けじと両腰のスラッシュハーケンを発射し、紅蓮の右肩関節の接合部と頭部を吹き飛ばした!!

スラッシュハーケンを放つアルビオン
スザク「くっ!」
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頭部を破壊される紅蓮
カレン「そんな・・・届かなかったの!?」
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頭部を破壊され、紅蓮は完全に機能停止してしまった。自分の敗北を悟るカレン。しかし、カレンが最後に放っていた一撃はアルビオンに届いていた。とっさに放った紅蓮の左拳がアルビオンの心臓部にめり込んでいたのである。

紅蓮の最後の一撃
スザク「いや・・・届いているよ。カレン・・・。」

自分の攻撃が届いていたことを確認すると、カレンは安堵の表情を浮かべそのまま気を失う。カレンが気絶すると同時に紅蓮の機体が傾き、アルビオンに殴りかかったことで負荷に耐えられなくなった左肩関節がはずれ、紅蓮は落下していった。それと同時に、アルビオンが爆発を起こす・・・。

決着!
ジノ「そうか・・・勝ったのか・・・。」
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落下する紅蓮を、なんとか飛ぶことだけはできたジノのトリスタンが抱きとめた。ランスロットアルビオンが爆散する様を見て、ジノはカレンの辛勝を確信した。

「ナナリー。お前はもう立派に自分の考えで生きている。だからこそ俺も、自分の道を進むことが出来る・・・!」

騎士が仕えるべき主から剣を賜る時のように、ルルーシュはナナリーの前にひざまずき、鍵を受け取った。

「ありがとう。愛している、ナナリー・・・。」

命令が実行された事で正気に戻ったナナリーは、鍵が兄の手に渡っている事に気付く。ルルーシュが自分に対してギアスを使った事に、ナナリーは怒りをあらわにする。ルルーシュそんな妹に一瞥をくれると、静かにその場を立ち去ろうとする。そんな兄を追いかけようと、車椅子を走らせるナナリーであったが、階段につまづき、転がり落ちてしまった。

ルルーシュが僅かに振り返ると、ナナリーは怒りに肩を震わせながら兄に対して精一杯の罵りの言葉をぶつける。

お兄様は悪魔です! 卑劣で・・・卑怯で! なんて、なんて酷い・・・!!

アヴァロンの人質は解放され、騎士・スザクは倒された。これにより、黒の騎士団側の勝利かと思われていたのだが、その時、フレイヤの閃光が戦場を覆った。続いて、その場に、のみならず、世界中に中継され、ルルーシュの声が響き渡る!

「全世界に告げる! 私は、神聖ブリタニア帝国皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアである!」

ルルーシュがフレイヤを使ったということから、導き出される応えは一つしか存在しない。

「我が覇道を阻むものは最早存在しない! そう、今日この日、この瞬間を以って、世界は我が手に堕ちた! ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。世界よ、我に従え!!

悪逆皇帝の勝利に、絶望に包まれる世界。対照的にブリタニアの将兵たちはルルーシュを称え、勝鬨の声を上げていた・・・

「オールハイル・ルルーシュ! オールハイル・ルルーシュ! オールハイル・ルルーシュ!・・・」

Continued Story
富士山での決戦から2ヵ月後。皇帝直轄領となった日本。ブリタニア帝国の唯一皇帝にして、黒の騎士団の最高司令官、超合集国最高評議会議長となったルルーシュの目の前で、ルルーシュに反旗を翻した反乱分子たち―カレン、扇、藤堂、玉城、天子、星刻ら旧黒の騎士団の幹部メンバーの公開処刑が行われようとしていた。ルルーシュの専用車両には、シュナイゼルが磔にされ、さらにナナリーも手足に枷をはめられ拘束されていた。

沿道のビルでは逃げ延びたコーネリアやヴィレッタらが、黒の騎士団を救出するチャンスをうかがっていた。その時、沿道に詰めかけた人々の中から、どよめきが巻き起こった。皇帝ルルーシュの行く道をふさぐかのように現れたのは・・・《ゼロ》だった!

しかし、《ゼロ》の正体である筈の、ルルーシュは今、目の前にいる。自分の目を疑いながらも、カレンはここではじめて、ルルーシュとスザクがやろうとしていた事、その真意に気付く!

ヴィンセントウォードが放つ銃弾をかわしながら、《ゼロ》はルルーシュが乗る専用車両へと接近していく。

「往け・・・仮面の騎士よ・・・!」

ジェレミアを足蹴に高く舞い上がった《ゼロ》は、ナナリーの眼前に降り立ち、再び跳躍すると、今度はルルーシュの眼前に着地した。

「痴れ者がっ!」

懐から取り出した銃を《ゼロ》に向けるルルーシュであったが、その銃は《ゼロ》が抜刀した剣によって弾き飛ばされてしまう。ルルーシュに剣の切っ先を向ける《ゼロ》。にもかかわらず、ルルーシュは優しい笑みを浮かべていた・・・。


ダモクレスを制圧した後、生きていたスザクと再会したルルーシュは、彼に《ゼロ》の仮面を託していた。ルルーシュの予定通り、世界中の憎しみは全てルルーシュ自身に集まっている。最後の仕上げとして、ルルーシュが消える事で憎しみの連鎖を断ち切ろうとしていたのである。こうする事で、世界は明日へと向かう事が出来る。それがルルーシュとスザクが成そうとしていた、《ゼロ・レクイエム》の全てであった。


驚愕に目を見開くナナリー。《ゼロ》を止めようと声を上げるカレン。

「《Cの世界》で僕らは知った。人々が、明日を望んでいることを。」「フッ。なぁ、スザク。願いとは、ギアスに似ていないか?」「え?」

親友の名を叫ぶリヴァル。ふりかえるミレイ。

「自分の力だけでは叶わない事を、誰かに求める・・・」「願い、か。」「そう。俺は人々を、願いという名のギアスにかける。世界の明日のために・・・」

目を見開く神楽耶。黒の騎士団を救い出すチャンスと、ビルから駆け出すコーネリアたち。

「ルルーシュ・・・お前は人々にギアスをかけた代償として・・・」―礼拝堂に祈りを捧げながら、静かに涙を流すC.C.。その胸に去来するのは、ルルーシュの覚悟を示した言葉・・・

撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるヤツだけだ・・・。―微笑を浮かべるルルーシュ。

「スザク、お前は英雄になるんだ。世界の敵、皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアから世界を救った救世主・《ゼロ》!

《ゼロ》‐スザクが構える剣が、ルルーシュの胸を刺し貫く。「ル、ルルーシュ・・・!」仮面の中で涙を流すスザク。

「これは・・・お前にとっても罰だ・・・。お前は、正義の味方として、仮面を被り続ける・・・。」

契約の証であるかのように、ルルーシュは手についた血を仮面に押しつける。

「《枢木スザク》として生きる事は、もうない。・・・人並みの幸せは、全て世界の為に捧げてもらう。・・・永遠に。」

そのギアス・・・確かに受け取った!!


《ゼロ》が剣を胸から引き抜くと、ルルーシュは力なくスロープを滑り落ち、ナナリーの前に倒れた。

「お兄様・・・?」 ナナリーがルルーシュの手に触れると、ルルーシュの記憶が彼女の中に流れ込んできた。これにより、ナナリーはルルーシュは真意を知る事になる。自分と同じく、世界の憎しみの中心となろうとしていたことを。予定通り、世界の憎しみを一身に集めた兄は、今、消えようとしているのだということを・・・

「お兄様・・・愛しています!」ナナリーはその手を固く握り締め、自分の気持ちを伝える。

ああ・・・俺は・・・世界を、壊し・・・世界を、創る・・・・・・

妹の言葉に微笑を浮かべると、ルルーシュは静かに目を閉じる。ナナリーは兄の亡骸にすがりつき、涙を流す。

《ゼロ》が剣を大きく振り、刃についた血を払うと同時に、コーネリアの扇動と共に民衆が立ち上がり、黒の騎士団は解放されていく。「まさか、アレは・・・!」藤堂は新たに現れた《ゼロ》の正体に気付きかけていたが、カレンはその言葉を、涙を流しながら否定する。《ゼロ》です。あれは、《ゼロ》です!

「お兄様はずるいです・・・私は、お兄様だけでよかったのに! お兄様のいない明日なんて・・・」

ナナリーの求める明日には、ルルーシュだけがいれば、それでよかった。しかし、そのルルーシュはもういない。悲しみのあまり、涙を流し、嗚咽を漏らすナナリー。その声は、英雄・《ゼロ》を称える人々の歓声の中に、埋もれて消えた。

「ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!・・・・・・」

この日を境に、世界は変わった。魔王ルルーシュが倒れた事で、戦争に向かっていた全てのエネルギーは話し合いへと向くようになった。世界とは現金な物で、ダモクレスというシステムを悪に仕立てるよりも、ルルーシュという顔のある個人を悪に仕立てるほうが、民衆にはわかりやすかったのである。ルルーシュはその身命を賭して、世界を作り変えるという奇跡を成し遂げたのであった!

世界にとって赦し難い悪となったルルーシュであったが、ナナリーやカレンなど、彼の事をよく知る人々の心の中に、その生き様は確かに刻まれていた。一人、気ままな放浪の旅に出たC.C.は、空を仰ぎ一言、ここにはいないルルーシュに対して呟きを漏らした・・・。

「『ギアスという名の王の力は、人を孤独にする。』・・・少しだけ違っていたか。なぁ、ルルーシュ?」(もどる)