ACTI-BUILDER DXアシストウェポンセット

メガハウス ACTI-BUILDERシリーズ

グリッドマン単体版 定価:5775円(税込み)

DX アシストウェポンセット 定価:18480円(税込み)

ACTI-BUILDER DXアシストウェポンセット
グリッドマンが新たなアニメとしてよみがえる!
話題作、SSSS.GRIDMANコラムシリーズ始動!!

2018年は第2の1993年!
特撮やロボットアニメ好きからしたら2018年は第2の1993年と言える年であった。まず、ロボットアニメに関してはバンダイスピリッツがHG ゴウザウラーの発売を決定、12月に実際に変形合体可能なプラモデルを発売し、翌年以降も展開が続いている。また、スタジオハーフアイも最小変形マイトガインシリーズの再販をはじめ、マイトカイザー用のカイザーキャリアを新規に作り起こした。

そして、特撮については『電光超人 グリッドマン』のアニメが放映された。『SSSS.GRIDMAN』と題し、深夜アニメとしてリメイクされたのである。制作元はアニメ会社のTRIGGER、監督は雨宮哲氏という布陣。この雨宮監督は幼少期に特撮のグリッドマンを見ており、ウルトラマンのアニメ化をしようと円谷プロに打診していたところ、「ウルトラマンはだめだが、アンドロメロスかグリッドマンなら良い」と返答をもらい、幼少期に慣れ親しんでいるグリッドマンをアニメ化することに決定したとのことである。

雨宮監督は特撮版グリッドマンを小学生時代に1回、中学時代に再放送を1回視聴しており、並々ならぬこだわりがあったようで、そのこだわりはアニメにも現れている。しかも、現代の技術もふんだんに使い、アニメとCGを融合させ特撮を再現するというハイクオリティなアニメとなった。そのクオリティの高さから、放送中についてはかなりの人気を誇り、Twitterのタイムラインでも常に上位に現れていた。平成初期の特撮作品がいみじくも平成最後の年に復活し、人気を博したわけである。

2018年、SSSS.GRIDMAN界隈は三極に分かれ、混迷を極めていた
アニメの企画が持ち上がったとはいえ、平成初期のようなおもちゃとのタイアップを前提としたスポンサー制での制作ではなかった。それでも、雨宮監督は「おもちゃとの連動感がある」ことを前提としたストーリーラインを考え、徐々に徐々にグリッドマンがパワーアップしていくというストーリー手法を取った。

放送期間中におもちゃの発売はなかったが、放送期間中に2社がSSSS.GRIDMANの商品展開を企画していた。その2社はメガハウスグッドスマイルカンパニーである。この2社は主に美少女フィギュアの開発に精を出しているイメージが強い会社だが、メガハウス側には元タカラ社員の安彦一民氏が、グッドスマイルカンパニーには元バンダイ開発担当の田中宏明氏が在籍しておりアニメ化企画が持ち上がった時に商品化を決めていたのである。

通常、売れることが分かっていないアニメキャラの商品化は難しいのだが、この二人も雨宮監督と同じく並々ならぬグリッドマンへのこだわりがあり、商品化にこぎつけたわけである。この2社はアニメの展開と連動してグリッドマンの開発状況やギミックの紹介を行っていた。

このグリッドマン人気を受け、目ざとく反応したのがバンダイである。バンダイは、先に2社が商品化決定していたことから、特撮版のグリッドマンの商品化を展開した。そこで誕生したのがスーパーミニプラ サンダーグリッドマンスーパーミニプラ キンググリッドマンである。その後、アニメの人気を受けてかスーパーミニプラでもSSSS.GRIDMANの商品化を決定、2019年に発売したのであった。

各社のコンセプトは明確であった。すなわち、アシストウェポンとの合体を再現するということである。違うのはその商品形態であろう。メガハウスは完成品アクションフィギュアとして、グッドスマイルカンパニーは平成時代に発売されたDXおもちゃとして、そしてバンダイはプラモデル(食玩)として製品化したわけである。

この時期、グッドスマイルカンパニーの田中宏明氏は、アキバ総研のインタビューで「完成品おもちゃの文化が過渡期に来ている」 と述べている。完成品フィギュアのクオリティは確かに上がっていったが、材料費や人件費の高騰から、価格が上昇。ユーザーが手を出しにくくなっていることに言及しながら、プラモデルでユーザーに組み立てを任せることで価格を抑える手法に目を向けている。そのコンセプトをSSSS.GRIDMANの各社の商品展開が如実に反映している。

今回は、アクションフィギュア代表として、メガハウスで展開されたACTI-BUILDER DXアシストウェポンセットを紹介しよう!

アクセスコード、ACTI-BUILDER!!
ACTI-BUILDERのコンセプトは、机上に気軽におけるアクションフィギュアというコンセプトで、GRIDMAN製品の中で一番小さい。グリッドマン単体の大きさは10cm。しかし、その小ささにかかわらず、ギミックは劇中のものを完全再現しようという意欲的なコンセプトで作られている。商品展開としては、グリッドマン単体のものとアシストウェポンとのセット(DX アシストウェポンセット)が同時に展開された。単独版ではグリッドマンに銀色の塗装が施されており、劇中に非常に近い色合いとなっているが、アシストウェポンとのセット版では灰色の成型色になっている。また、プレミアムバンダイや各提携店舗との限定版として、イニシャルファイター版のグリッドマンとグリッドナイトのセット版も発売された。

変形合体好きの筆者はDXセットを購入した。まずはグリッドマンから見ていこう。

ACTI-BUILDER グリッドマン 前 ACTI-BUILDER グリッドマン 後
特撮版のグリッドマンに鋭角の鎧を着せたようなアニメ版のグリッドマン
小さな体躯だが、可動範囲は広い

このグリッドマンは放送開始前に披露されたティザー画像のグリッドマンが元になっている。小さなフィギュアであるが、各部には墨入れが施されており、塗装もきれいである。さらに、小さい体躯にも関わらず、幅広いポーズが取れるのが特徴である。基本的な動作はお手の物で、グリッドビームの発射体勢も当然取ることができる。

グリッドビーム

ただし、肩アーマーが干渉するため腕を上に上げるときは一度腕を取り外さなければならないのが欠点である。

グングンポーズ
キービジュアルのこのポーズを取らせるには一度腕を取り外す必要がある

各関節軸は合体を考慮に入れ、金属軸が採用されている。グリッドマンに外装をどんどん取り付ける方式で合体していくので、関節が外部装甲の重みに負けないよう、また簡単に破損しないように配慮されているわけである。

続いて各アシストウェポンを見ていこう。SSSS.GRIDMANでもアシストウェポンが登場する。武器になるグリッドマンキャリバー、トレーラー型のバトルトラクトマックス、ドリル戦車のバスターボラー、そして飛行機型のスカイヴィッターである。本製品では、他社の製品よりもディティールが増しており、各部が塗装されている。一部、パーツを組み付けなくてはならないところがあるが基本的には塗装済み完成品としてすぐに遊べるわけである。

まず、武器パーツになるグリッドマンキャリバーは持ち手にジョイントをはめることで保持することができる。

グリッドマンキャリバー
巨大な剣であるグリッドマンキャリバー
その大きさにかかわらず製品ではきちんと保持できる


刀の鍔部分は合体機構の都合から分離させることができる。ACTI-BUILDERでは、刃の上の装甲を上に展開することで鍔のロックが外れるようになっている。

装甲展開ギミック

ただ、このグリッドマンキャリバーの持ち手との接続ジョイントは非常に細くて小さいため取扱注意である。また、全合体した時のフルパワーグリッドマンに持たせる際はジョイントを破損しないように気を付けて持たせなければならない。持たせようとして力を入れてしまうと破損する可能性が高い部位である。

グリッドマンをサポートする3機のビークルメカには劇中よりディティールを増した状態で立体化されている。また、塗装が施されているので安っぽさを感じない良い質感となっている。

バトルトラクトマックス 前 バトルトラクトマックス 後

バスターボラー 前 バスターボラー 後

スカイヴィッター 前 スカイヴィッター 後
小さな体躯に各種合体機構も組み込まれているのがすごい

SSSS.GRIDMANでは、各アシストウェポンと合体しグリッドマンの能力を拡張することができる。これは、平成特撮で多用されたフォームチェンジをグリッドマンの特性を生かして取り入れたものである。

バトルトラクトマックスと合体し、腕を拡張することで格闘戦に特化したマックスグリッドマンになる。マックスグリッドマンへの合体は二つに分割されたバトルトラクトマックスの内部に腕を格納して合体するが、その機構を差し替えなしで再現できる。

マックスグリッドマン 前 マックスグリッドマン 後
格闘戦に特化した剛力合体超人マックスグリッドマン
ACTI-BUILDERではチューブも含め差し替えなしでマックスグリッドマンになれる

他社製品と違い、腕の収納箇所が狭くその都合で肩幅が非常に広くなってしまっているのが残念である。

肩の合体機構 マックスグリッドマン 正面
合体箇所が他社製品に比べて浅いため、肩幅がやけに広がっている
合体状態では少し不格好になるのが残念

ドリル戦車と合体すると、砲撃戦に特化したバスターグリッドマンに合体する。バスターボラーはクローラーやドリルを展開していき、胸を拡張する追加装甲になる。

バスターグリッドマン 前 バスターグリッドマン 後
砲撃に特化した武装合体超人バスターグリッドマン

組付け方式のミサイルハッチは展開することが可能である。

ミサイルハッチの展開
ロールオーバーで画像が変わります

バスターグリッドマンはクローラーを前面に展開することで武装モードになる。また、ドリルを展開すれば内部にパラボラ状のビーム砲が現れる。これらをすべて展開させることももちろん可能である。

バスターグリッドマン武装モード 前 バスターグリッドマン武装モード 後
この状態では重心が前になってしまい、自立できないのでスタンドを使用する

ドリル内部の青い部分は他社製品ではシールによる再現だが、ACTI-BUILDERではメタリックブルーの塗装が施されている。この箇所はシールが貼りにくい場所なので、シール貼り付けが苦手な人にはうれしい仕様である。

難点としては、グリッドマン側の胸のエネルギークリスタルを取り外さなければバスターボラーを接続できないことである。

スカイヴィッターと合体し、足と背中を拡張することでスカイグリッドマンになる。

スカイグリッドマン 前 スカイグリッドマン 後
空中戦に特化した大空合体超人スカイグリッドマン
スカイヴィッター内に内蔵されているチューブの展開ギミックがお見事

スカイグリッドマンで白眉なのは、チューブの展開である。背中部のバックパックと脚部に長いチューブが収納されている仕組みでそれを引き延ばして展開する。ただ、チューブが外れやすいので本体側と接着しておく必要がある。チューブを取り付ければ、内臓方式なのでパッケージにそのまま直せるのもポイントである。

脚部が巨大化しているが、脚部を持ち上げても保持される。このおかげで合体シーンのキックも再現できるのである。

このスカイグリッドマンになるときは、背中のパーツをとりはずす。こちらも同じく余剰パーツになり、全合体した時はグリッドマン側から2つのパーツが余ってしまうわけである。サイズが小さいので失くさないようにしよう。

脚部の保持

これらすべてのアシストウェポンがグリッドマンに合体することでフルパワーグリッドマンという最強形態になる。

フルパワーグリッドマン 前 フルパワーグリッドマン 後
グリッドマンキャリバーも含めたすべてのアシストウェポンが合体した最強形態
そのパワーはどんな怪獣も倒してしまう

非常に複雑な合体機構を小さなサイズに落とし込めたのが驚きである。合体後はスーパーミニプラのサンダーグリッドマンとほぼ同じ大きさとなる。

大きさ比較

この状態になるとデザイン上の特性でほぼ置物状態になってしまうが、これは他社製品でもそうなので致し方ないところである。

特撮版と同じく、アシストウェポンはアシストウェポン同士で合体することも可能である。その際はパワードゼノンというロボットに変形する。往年のゴッドゼノンと同じくドリル部分が太ももになり脚部に刺さることで合体する。

パワードゼノン 前 パワードゼノン 後
アシストウェポン同士が合体した合体戦神パワードゼノン
往年のゴッドゼノンを彷彿とさせる

パワードゼノンはアニメの設定から肘パーツが曲がらないデザインとなっている。それを踏襲し、可動範囲は狭めである。

また、グリッドマンとの合体形態に力点を置いたのかこちらの形態はどちらかというと「おまけ」という位置づけである。補助パーツをバトルトラクトマックスとバスターボラーに組み付けないとドリルを取り付けることができないし、スタンドがなければ自立させることもできない。

補助パーツの取り付け
ほか形態の時は余剰になるので失くさないように。

ただ、他社製品と違うのはほかの合体機構はほぼ再現されていることである。見事なのは頭部パーツの変形で、チューブをねじって合体するところも再現されている。

チューブの組付け

このように、小さな体躯でほぼ完全変形を目指そうとした点は高く評価することができる。

だめだ。チューブの再現が難しすぎる。複雑すぎて頭がこんがらがる。
アニメ版グリッドマンの独自機構としてデザインされているのがチューブによる合体である。このチューブでパーツ同士がつながっているという点が各社の頭を悩ませたところだえる。グッドスマイルカンパニーは、遊びやすさを優先しチューブは後付け形式、スーパーミニプラではプラモデルというコンセプトからチューブのギミックは完全オミットである。

メガハウスは劇中再現を目指そうとし、このチューブの機構を再現している。ただ、その再現しているがゆえに遊びやすさの点では他社製品よりも大幅に落ちてしまう。まず、バスターボラーのチューブは劇中通りに収納しようとすると余ってしまう。この余ったチューブを目立たない場所に配置しなければ間抜けな感じになってしまうのである。

また、フルパワーグリッドマンに合体するときはこのチューブをうまく曲げた位置に配置しなければならない。チューブ自体にも力があるので、その反発作用からなかなか位置が固定しにくくストレスになりやすい。

そのサイズの小ささから、遊びやすさの点では扱いにくい、上級者向けの製品と言えるだろう。この点は良くも悪くも「完成品アクションフィギュア」と言えるだろう。

次回以降のコラムでは各形態に焦点を当てて劇中再現や合体シーンの再現を行っていく。乞うご期待!

それが、私と君のプライマルアクセプター!君の意思で私とアクセスフラッシュしてくれ!(SSSS.GRIDMANのコラムへ)

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