スーパーミニプラ キンググリッドマン

バンダイ スーパーミニプラ

ダイナドラゴン 定価:4860円(税込み)(プレミアムバンダイ限定)

キンググリッドマンセット 定価:6480円(税込み プレミアムバンダイ限定)

スーパーミニプラ キンググリッドマン
復活!恐竜帝王!!
スーパーミニプラでキンググリッドマンへの変形合体を再現!!

決戦!ヒーローの最期
『電光超人 グリッドマン』はもともとは2クールの放送予定だったのだが、番組の視聴率が好調でおもちゃの売れ行きもよかったので1クールの延長が決まった。もともとは26話で終わらせる予定だったためか、25話〜26話の番組構成はこれまでのグリッドマンの戦いを振り返りながら、強力な怪獣が出現しグリッドマンがかつてないほどの窮地に陥る。今回はグリッドマン初の前後編のエピソードである「決戦!ヒーローの最期」をお届けしよう。

カーンデジファーが出現してからというもの、桜ケ丘では半年間で奇妙な事件が多発していた。コンピューターワールドが狂わされることで生じる怪事件から桜ケ丘から引っ越す住人も現れ始め、直人達3人はカーンデジファーとの戦いについて決意を新たにするのだった。

一方、武史は町の汚れた空気とトラックの排気ガスに恨みを感じ、これまでにない強力な怪獣毒煙怪獣 ベノラを生み出した。ベノラは工場の排煙処理システムに侵入、工場から大量の有毒ガスをまき散らした。

町の異変を察知した直人達は、アクセスフラッシュして工場のコンピューターへアクセスする。いつものようにベノラと戦うグリッドマンだったが、ベノラのまき散らす毒ガスをもろに吸ってしまう。ベノラの毒ガスはグリッドマンの中枢神経を侵し、これまでの怪獣たちとの戦いでグリッドマンが痛めつけられる幻覚を見せる。一平たちは苦戦するグリッドマンを助けるため、ダイナドラゴンを向かわせる。しかし、ベノラの強力な火炎弾の前にダイナドラゴンさえも苦戦してしまう。

毒ガスを吸ったグリッドマンは立ち上がることができず、窮地に陥る。見かねたゆかと一平は退却プログラムを送りダイナドラゴンとグリッドマンをジャンクへ戻したのだった。

一平「だめだ。ダイナドラゴンじゃ(変形合体ギミックが)難しすぎる。複雑すぎて頭がこんがらがる。」
サンダーグリッドマンに続く強化形態のキンググリッドマンは、番組後半のキーとなる形態である。サンダーグリッドマンはパワー重視だが、キンググリッドマンは防毒機能とスピードを重視した形態である。武史の繰り出す怪獣はベノラ以降、毒ガス攻撃を仕掛ける怪獣が増えたため必然出番も多かった。タカラの製品もサンダーグリッドマンでは見送られたサウンドギミックが付与され、今ではとんでもないプレミアム価格が付いているくらいである。

しかし、キンググリッドマンの商品化はサンダーグリッドマン以上に恵まれていない。2013年には、サンダーグリッドマンと同じ形式で非変形のアーマーが付いたキンググリッドマンが発売された。しかし、これはプレミアムバンダイ限定商品であり、一般販売ではなかった。このほか、商品アンケートではキングジェットとダイナドラゴンの項目もあったが、採算が合わなかったのかドラゴニックキャノンがゴッドゼノンとのセットでプレミアムバンダイで発売されたのみであった。

飛行機形態→恐竜形態→グリッドマン用アーマーと複雑な変形ギミックを持つダイナドラゴンは商品化が難しかったようである。劇中でも一平がキンググリッドマンへの合体の案を考えるのに苦労していたシーンが描かれている。

こういうわけで、商品化の難しい商品だったが、スーパーミニプラでは今まで困難とされたダイナドラゴンへの変形、キンググリッドマンへの合体をこなす驚異の商品となった。バンダイキャンディ事業部がどのようにこのキンググリッドマンを再現したのかその詳細を見ていこう。

ゆか「だったら、もっとシンプルに考えてみれば?」
キャンディ事業部の解としては、劇中で一平に言った「もっとシンプルに考えてみれば?」を地で行くやり方であった。つまり、完全変形を放棄し、一部差し換えにするという形式をとったのである。これは完全変形派の人にはきついものであったが、DX版より格段に小さいスーパーミニプラであるということを考えれば致し方ないところもある。

ダイナドラゴンのコラムで述べたように、ダイナドラゴンへの変形時の前足部分は専用の追加パーツを取り付ける形で対応している。

前脚の追加パーツ

また、前脚が収納されているアーマーパーツは肩のアーマーになるのだが、キンググリッドマン時は可動を仕込むための追加パーツを取り付ける必要がある。また、劇中の合体とは違い、グリッドマンの肩に被せるのではなく胸パーツに取り付ける方式を採用している。これは、サンダーグリッドマンと同じ解釈で肩の可動を優先した結果だろう。

肩パーツの追加パーツ
肩パーツは専用パーツを取り付ける
接続方法はサンダーグリッドマンと同じ方式になっている

このほか、キンググリッドマン時に脚部パーツになるダイナドラゴンの後ろ足は、内部パーツをキンググリッドマン時とダイナドラゴン時で差し替える方式を取っている。キンググリッドマン時は内部パーツはグリッドマンの脚部を収める空洞と足首と接続するためのジョイントが用意されている。

脚部の差し替えパーツ
ここは差し替える必要がなかったような・・・。

食玩プラモデルという立ち位置なので、完全変形になっていないところは残念であるが、その分劇中のスーツに近いプロポーションと可動を両立させている。肩アーマーなどに関しては、グリッドマンの肩に乗せればいいだけなので、うまく写真をつなげていけば劇中の合体シーンを再現できる。次は、どのようにキンググリッドマンに合体するのか、詳細にみていこう。

名付けて、スーパーミニプラ キンググリッドマンだ!
グリッドマンを倒したと見たカーンデジファーはテレビ中継を利用し、人類に宣戦布告をした。カーンデジファーの声明を見た直人は2度目の出動を決意する。そんな直人に一平は、キングジェットを防毒マスクにもなる鎧にすることを提案した。直人は、一平にドラゴンフォートレスの調整を頼むと再び工場の排煙プログラムにアクセスした。

しかし、防毒マスクのないグリッドマンは再びベノラの毒ガスを吸い込んでしまい、窮地に陥ってしまう。カーンデジファーは、工場の排煙をスクリーン代わりにベノラとグリッドマンの戦いを上空へ映し出し、人類に絶望を与えようとした。

一平はダイナドラゴンの変形ギミックの考案に難儀していたが、ゆかの「シンプルに考えればよい」という一言からキンググリッドマンへの変形プログラムを思いつくことに成功。グリッドマンの前に再びダイナドラゴンを送り込む!

ダイナドラゴン出撃!
ゆか「グリッドマン、待ってて!ダイナドラゴン出撃!!」

毒ガスを吸い込んで倒れていたグリッドマンは力を振り絞って立ち上がり、ダイナドラゴンと合体する。

立ち上がるグリッドマン
ロールオーバーで画像が変わります

ダイナドラゴンが逆変形をたどり、胸パーツを展開する。

頭部が変形する図
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前脚の展開
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機首が起き上がる図
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機首が起き上がり、ドラゴンフォートレスに近い状態に変形すると、各ブロックが分離する。

各ブロックの分離
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各ブロックが分かれたところで、グリッドマンが上空に飛び上がり、脚部パーツと腕パーツを装備する。先にも述べたように脚部パーツはキンググリッドマン合体用差し替えパーツにし、腕パーツはグリッドマン側の手首を取り外す方式である。

上空に飛び上がるグリッドマン
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脚部パーツの合体
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脚部パーツの合体
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腕パーツの合体
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肩パーツの合体はキンググリッドマン胴体に取り付けるのだが、劇中重視でアーマーを乗せているだけである。

肩アーマーの合体
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肩アーマーの合体
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四肢のパーツが合体すると、キングジェット本体がグリッドマンの胸パーツに合体する。キングジェット前部にはグリッドマンのバックパックに接続するためのジョイントが、後部の裏側にはグリッドマンの尻部に用意されている窪みに差し込むためのジョイントが設けられており、サンダーグリッドマンと同じくそこで接続する。機体の前部を倒すことで胸アーマーが形成される。

胸アーマーの合体
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胸アーマーの合体
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最後に頭部パーツをグリッドマンに被せれば、キンググリッドマンが完成する。

キンググリッドマン頭部の変形
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キンググリッドマン完成!
合体龍帝!キンググリッドマン!!

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キンググリッドマンは、毒ガス攻撃を一切問題にせず、ベノラを圧倒!

毒ガスを受け付けないキンググリッドマン
一平「ざまあ見ろ!あんなガス、屁みたいなもんだぜ!!

グリッドマンは腕のキンググリッドランチャーを放ち、とどめにキンググリッドビームでベノラを撃破した。


キンググリッドランチャー!!
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キンググリッドビーム
キンググリッドォォォォ・・・ビーム!!
ロールオーバーで画像が変わります

ベノラを倒したキンググリッドマンは工場のコンピューターを修復し、街に平和が戻った。このグリッドマンの戦いは、桜ケ丘中に流れ、グリッドマンが世間の人間に認知されることとなったのだった。

このように、スーパーミニプラでは完全変形のギミックを犠牲にした分、劇中の再現をすることが可能となった。今度は、全体のプロポーションを見てみよう。

スーパーミニプラ キンググリッドマン 前 スーパーミニプラ キンググリッドマン 後
劇中のスーツをイメージして作られたプロポーション
これで変形合体を差し替えありとはいえこなすのが驚き

劇中のスーツをイメージし、頭部が大きめに作られている。頭部の接続はサンダーグリッドマンと同じ方式でペットボトルのキャップのように穴に取り付ける方式を取っている。グリッドマンの頭部の収納が少々タイトだが、一度取り付ければグリッドマンの頭部を格納しながら頭部を回転させることが可能である。ただし、見栄え重視にしたためヘルメットのかぶさり方はアレンジされている。(注1)

胸のクリアパーツやバイザーパーツはクリアオレンジが使用されている。また、爪や胸飾りの金色の部分は塗装が施されているので質感も高級感が出ている。

肩パーツの接続を差し替えパーツにしたおかげで、肩の可動域が確保されている。上のキンググリッドビームを放つ画像を見てもらえばわかるが、肩の軸が二重関節になっており、肩を跳ね上げた状態で肩を倒すことが可能となっている。このおかげでキンググリッドビームや腕を前に出す動きが肩アーマーに干渉されることなく実現されている。完全変形を捨てたおかげで実現できた可動である。

また、キングジェットの機種と腰アーマーも選択式の差し替えパーツが用意されている。機首と腰アーマーを差し替えれば、胸アーマーと機首パーツが独立する形になり、腰のひねりや回転が可能となる。また、機首や腰アーマーも変形用アーマーよりも小さめに造形されているので各部の干渉が妨げられないようになっている。可動を重視したい人はこちらのパーツに差し替えるようにしよう。

ちなみに、ドラゴニックキャノンはキンググリッドマン時は使用しない。これは当時のおもちゃも同じ仕様で、このおかげでサンダーグリッドマンの時とは違い自重バランスを崩すことなくサウンドギミックと合体ギミックを両立させている。当時品のおもちゃはキンググリッドマンの状態でドラゴニックキャノンを手に持っている状態がカタログや雑誌などで使用されているが、これを意識したのかスーパーミニプラでもキンググリッドマンの状態でドラゴニックキャノンを装備させることが可能である。

ドラゴニックキャノンを装備したところ
一平は恐らくドラゴニックキャノン部の処理に困っていたと思われる
ゆかの一言でシンプルに考えた結果、ドラゴニックキャノンは余剰パーツになる
劇中ではキンググリッドマンの状態でドラゴニックキャノンは使っていません

このように、一部差し替えで簡略化されているところがあるとはいえ、広い可動域と劇中のスーツに近いプロポーションを誇るスーパーミニプラは食玩とは思えない出来となっている。変形合体をこなすキンググリッドマンが7000円程度で手に入るというのは良い時代になったものである。

惜しむらしくは、一般流通ではないことだろう。セット版に付属するグリッドマンシグマとドラゴニックキャノン、キングジェットを2分割で出せばサンダーグリッドマンと同じように一般販売できたと思われるが。おそらく、スーパーミニプラグリッドマンシリーズも数年後にはプレ値で取引される商品になりそうである。
注1 劇中では、ほほに当たる部分が先に降りており口から目に当たる部分がかぶさっていくが、スーパーミニプラではほほと口の部分が一体成型になっている。
完全変形を目指して!キンググリッドマンを改造した猛者
差し替え変形で再現されているキンググリッドマンとダイナドラゴンだが、完全変形ができるのではないかと考え、改造した職人的なモデラーさんが存在する。ディル・アン・グレイチワワさんは、プラ板と軸打ち、マグネットを駆使してダイナドラゴンを改造、差し替えを行うことなくダイナドラゴンへの変形、キンググリッドマンへの合体を可能にした。

tomoshooさん主催、第2回関西ミニプラオフ会でディル・アン・グレイチワワさんの作品を見た筆者はとても驚き、コラムでも紹介しようと考えた。以下のツイートは実際の変形シーンを記したものである。

Sミニプラキンググリッドマンの変形ギミックです。ポイントは
・肩にはスライド機構。キング腕アーマーはジェット時にドラゴン腕にネオジムで固定
・足は回転軸を追加
・ファイターとジェットの接続はネオジムで差し替えなし
こっちもよろしく↓https://t.co/XiZqvRhnVR pic.twitter.com/wCCN40b0On

— ディル・アン・グレイチワワ (@pUu4fvwCs5xT8H4) 2019年4月20日

この驚異のギミックをどのような改造で作られたのか、鋭意インタビューを行い、ディルアングレイチワワさんに書いていただいた。詳細なレポートはこちらを参照してほしい。

ダイナドラゴン、GO!(スーパーミニプラ ダイナドラゴンのコラムへ)

アクセース、フラッシュ!!(スーパーミニプラ グリッドマンシグマのコラムへ)

この青い空と人類の平和を守るために戦え直人!戦えグリッドマン!!(もどる)