スーパーミニプラ サンダーグリッドマン

バンダイ スーパーミニプラ グリッドマンシリーズその3

定価:1620円(税込み)×4=6480円


スーパーミニプラ サンダーグリッドマン
変形合体を再現!スーパーミニプラでサンダーグリッドマンが登場!!

サイバーマンからグリッドマンへ!オーパーツ誕生の秘密
スーパーミニプラ ゴッドゼノンのコラムで述べたように、高谷元基氏が開発した旧タカラDX サンダーグリッドマンは、合体ギミック・可動・プロポーションの3つを高いレベルでまとめ上げた傑作おもちゃである。このDX サンダーグリッドマンが後の製品に多大な影響を与えていることは先のコラムで述べた。バンダイもメガハウスも各社の製品はこのグリッドマンを意識して作られている。

このDX サンダーグリッドマンが製作された経緯が『フィギュア王No.249』にて語られている。もともとグリッドマンは1989年に企画されていた『サイバーマン』が元になっている。このサイバーマンは商品化こそされなかったものの、サンダーグリッドマンへの合体機構の原型が、この時すでに完成していたのである。このサイバーマンの原型をさらに煮詰めた結果、後世に語り継がれるDX サンダーグリッドマンが誕生した。

サイバーマンからの変更点は、1機サポートメカが増えたことと実写版のヒーローが合体するということで、サイバーマン側の合体時に腕を後ろへ折りたたむギミックは省略され、そのままの状態でツインドリラーを取り付ける形に変更された。インタビューによると、ツインドリラーの変形についてありきたりで煩雑な作業をしているのが不満で、後にもっと良いアイディアを思いついたが、実現するには至らなかったとのことである。

また、ゴッドゼノン側にも超電動ギミックが採用されていたが、サンダージェットに電子基板や電池が集中しすぎてしまい、サンダーグリッドマンになった際に自重で倒れてしまうということから、この電動ギミックはオミットされたという経緯も語られている。ゴッドゼノン側にも発光や音声ギミックが仕込まれていたとしたら、さらにオーパーツ化が進んでいたと思われる。

この音声ギミックはのちに発売されるドラゴニックキャノンダイナドラゴンに引き継がれているのも興味深い。DXサンダーグリッドマンを開発した高谷氏は、現在もタカラトミーに在籍しており、ダイアクロンシリーズの開発を進めている。このダイアクロンシリーズから発売されたダイアバトルスV2もここ数年で発売されたおもちゃの中で傑作と言われているほどの出来である。タカラの高谷氏はタカラトミーを代表するスタッフと言えるだろう。

ULTRA-ACTからスーパーミニプラへ!変形合体ギミック再現の秘密
このDXサンダーグリッドマンに比肩するギミックを搭載した商品はこれまでなかなか発売されなかった。グリッドマン自体、早すぎた名作と言われていたものの、知名度はそこまで高くなく、版権元も元々はタカラであるということから商品化されることはまれだった。

2012年に商品化アンケートで高い成績を出したということから、バンダイからULTRA-ACT サンダーグリッドマンが発売されたが、このサンダーグリッドマンはアーマーの付け替えができる程度で、変形合体ギミックは大きくオミットされている。また、アクションフィギュアにパーツをつけたり外したりすることから無理が生じてしまい、手首パーツが破損しやすいという欠点を孕んでいた。

ハイエイジ向きのアクションフィギュアは広い可動範囲とスマートなプロポーションが求められる分、関節が小さくなる。簡単な手首交換だけならともかく、パーツの拡張や取り外しをしだすと破損しやすいというアクションフィギュアの特性がこのULTRA-ACT サンダーグリッドマンで明るみになってしまったのである。

ULTRA-ACT グリッドマンシリーズの開発を担当した元バンダイ社員で現在はグッドスマイルカンパニーに所属している田中宏明氏もアキバ総研のインタビューの中で「完成品トイを含めたモノづくりが、過渡期に来ていることを強く意識している。」ことを述べており、グッドスマイルカンパニーで発売されるDX超合体超人 フルパワーグリッドマンについても、あえて「アクションフィギュアでもなくプラモデルでもなく、『おもちゃ』である」と言い切っている。

これらの発言から、今後のフィギュア業界はアクションフィギュア、プラモデル、おもちゃで住みわけが進んでいくだろうと筆者は予測している。同じキャラクターを造形や可動にこだわりたい場合は完成品のアクションフィギュアで、組み立てをユーザーに任せることで安くで上げたい場合はプラモデルで、複雑な変形合体機構を再現する場合は強度重視のおもちゃで発売していくと思われる。

今回発売されたスーパーミニプラ グリッドマンでは、この組み立てをユーザーに任せることで安くあげられるというプラモデルの特性を生かした素晴らしい商品となっているので、その詳細を見てみよう。

名付けてスーパーミニプラ サンダーグリッドマン!
スーパーミニプラ グリッドマンは、グリッドマン単体の出来もアクションフィギュア並みの可動・造形を誇り素晴らしい出来であった。このグリッドマンに、ゴッドゼノンへの合体も可能なアシストウェポンが合体することで、サンダーグリッドマンが誕生する。その合体プロセスも、ほぼ劇中を再現することが可能となっている驚きの製品なのである。ULTRA-ACTを開発した担当者がスーパーミニプラを作成しているため、ULTRA-ACTの技術や反省点が生かされている。その合体ギミックを劇中の再現をしながら再現していこう。

グリッドマンがピンチに陥ると状況に応じてアシストウェポンが送り込まれる。アシストウェポンが強化装甲になることで、グリッドマンは今でいうところのフォームチェンジを行うことができるのである。アシストウェポンが送り込まれるとグリッドマンがジャンプしてゴッドタンクへ飛び乗る。

グリッドマン、超神合体だ!
一平グリッドマン、超神合体だ!

グリッドマン「よしっ!

ロールオーバーで画像が変わります

キャノン砲の展開
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ゴッドタンクに飛び乗るグリッドマン
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グリッドマンが上に飛び乗ると、ゴッドタンクが上方に折りたたまれグリッドマンの足を包み込む。この合体プロセスをスーパーミニプラでは再現することが可能で、ゴッドタンクを分離させることなくグリッドマンの脚部にゴッドタンクを装着させることができるのである。


ゴッドタンクとの合体
劇中の大きなカタルシスであるシーン
取り付けにくいと思う人はもちろんゴッドタンクを分離させて取り付けてもよい
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ゴッドタンクとの固定は、グリッドマンの足裏とふくらはぎの部分にジョイントが用意されているので、そこに固定する。また、ゴッドタンクの側面の走行にも爪が仕込まれているのでそこでもゴッドタンクが固定される。キャタピラ部を閉じてキャノン砲を上にあげれば脚部パーツが完成する。


脚部の固定
当時品のおもちゃではゴッドタンクが開かないようにキャノン砲で固定していた箇所
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続けて、ツインドリラーが分離し、肩アーマーと腕アーマーに変形、合体する。グリッドマンの拳を取り外し、ツインドリラー内部にあるジョイントで接続する。

ツインドリラーの分離
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ツインドリラーの合体
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ツインドリラーの合体
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この箇所の変形合体は一応、写真上では合体バンクを再現できるようになっているが、取り付け方が大きく当時品とは変わっている。この点は後で述べる。

続けてサンダージェットが展開し、上半身のパーツを形成し、グリッドマンを包み込む。

サンダージェットの変形
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サンダージェットの合体
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腰アーマーの合体
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背中の合体
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バックパックの形成
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上半身の接続はグリッドマン側の背中に設けられている溝を使って接続されるので、グリッドマンに余剰パーツが発生したり、大きな穴が開くということは全くない。この溝も自然なフォルムを実現するよう目立たなく配置されているのが良い点だろう。

そして、頭部の角を展開させればサンダーグリッドマンが誕生するのだ!!

角が起き上がる図
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サンダーグリッドマン完成!
合体超神!サンダーグリッドマン!!
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このようにして合体を果たしたサンダーグリッドマンの全身像を見てみよう。

スーパーミニプラ サンダーグリッドマン 前 スーパーミニプラ サンダーグリッドマン 後

スーパーミニプラ サンダーグリッドマン 横
変形合体しているにもかかわらず、ベストプロポーションを維持
可動範囲も合体している割に広いのです

角と胸の部分は塗装が施されており、非常に質感が美しい。また、胸のクリアパーツや頭部のバイザー部がクリアオレンジで再現されているのもよい。劇中のイメージと全く同じである。

大きさは16センチである。ゴッドゼノンはULTRA-ACTと同じ大きさだったが、素体のグリッドマンが小さいため、サンダーグリッドマン時は頭一つ分スーパーミニプラのほうが小さい。

ULTRA-ACTとの比較
ULTRA-ACTより小さいにもかかわらず合体ギミックから可動ギミックをすべて備えているのが驚き

画像上では合体シーンを再現可能であるが、実際は一部当時品と変更が加えられている。特に、劇中のイメージと可動を優先させたため、当時品と違い合体用の追加パーツと余剰パーツが発生するのである。まず、グリッドマンについては肩パーツにスペーサーを組み込むことで肩幅を広げるようになっている。このようにすることでサンダーグリッドマンのプロポーションがよくなるようになっているわけである。

スペーサーパーツ スペーサーを取り付けたところ
スペーサーを介することで若干肩幅が広がる
もちろんなくても変形合体は可能

ただ、このスペーサーを取り付けると肩の軸の接続が甘くなってしまうため、アクションを取らせると腕が外れやすいという欠点がある。また、追加の差し替えパーツとしてゴッドタンクの足首パーツは変形用の小型のものと合体後の可動と造形を重視した足首が付属している。

また、サンダーグリッドマン時の拳はツインドリラーの内部に元々は収納されているのだが、ゴッドゼノンの可動を優先させるためのプレート状の中間パーツで接続する方式に変更された。そのため、中間パーツはサンダーグリッドマン時に余剰になり、アシストウェポン時には拳パーツが余剰になる。わざわざ中間パーツを用意しても、ゴッドゼノンの可動は申し訳程度の可動なため、合体前後で余剰が出ることを不満に思う人もいたりする。

サンダーグリッドマン時の余剰パーツ
サンダーグリッドマン時にこれらのパーツが余る

余剰パーツが発生するが、合体ギミックはULTRA-ACTの時より格段と進歩している。ULTRA-ACTのサンダーグリッドマンは、グリッドマンの脚部の黄色い部分、ふくらはぎ、背中の装甲、肩アーマー、拳パーツを取り外さなければならなかった。また、場合によっては頭部パーツも取り外す必要もあった。

ふくらはぎパーツの取り外し
この画像はULTRA-ACTのものです

背中パーツの取り外し
この画像はULTRA-ACTのものです
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下ごしらえ
装甲を着せるために取り外さなければならない部分が多い
これ以外にも手首と頭部も取り外す
この画像はULTRA-ACTのものです

一方のスーパーミニプラではスペーサーを取り付ける必要はあるが、取り外すパーツはグリッドマンの拳のみと格段に進歩している。開発者ブログによると、グリッドマンの付け替えは最低限に抑えることがコンセプトとして挙げられており、ULTRA-ACT時代の課題を見事に克服していると言える。

可動面に関してはULTRA-ACTの時代のものを一部フィードバックさせている。肩の接続はグリッドマンに直接取り付けるのではなく、サンダージェットに設けられている軸に接続する形に変更されている。こうすることで、グリッドマンの肩パーツのデザインを崩すことがなくなり、腕を上げる際に肩の可動への干渉を最小限に抑えることができるのである。

サンダージェット側の取り付け軸 サンダージェットとツインドリラーの合体
ULTRA-ACTの時と同じく、アクションを優先させるためツインドリラーをサンダージェットに取り付ける。
劇中再現したい人は、肩の上にツインドリラーのドリルを置きましょう。固定されませんけど

このように解釈を変更したおかげで、劇中スーツのイメージを守りながら、グリッドマン側に仕込まれている腰の回転が可能になった。また、上半身を反らせたり、俯かせたりすることも可能である。

また、サンダージェット側に固定されていた腰アーマーパーツは、上半身の回転を可能にするため胸パーツから切り離されている。よって、サンダージェットに取り付けた状態での合体は不可能である。

腰パーツの取り付け
合体時、腰パーツは独立したパーツになっている

腰パーツの取り付け
腰パーツは尻にあるジョイントに取り付ける

サンダーグリッドマンの頭部もグリッドマンの上にかぶさる形を死守している。ただ、被せるのは相当ピーキーだったらしく、サンダージェットから一度サンダーグリッドマンの頭部を取り外し、合体後にもう一度取り付ける形式に変更されている。

頭部の取り外し

取り外しが発生してしまうが、頭部はペットボトルのふたのような取り付け方になっており、回転できるようになっている。

これらの可動を生かし、サンダーグリッドビームのポージングを取らせることができる。

サンダーグリッドビーム!!
サンダーグリッドオオオオオッ・・・ビーム!!
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これだけのクオリティの製品をULTRA-ACTと同じくらいの値段で発売されたというのが驚きである。これは、組み立てをユーザー側に任せているからで、もしこの製品が完成品で発売された場合は、2万円はくだらない高額商品になっていたところであろう。また、一部のパーツに塗装を施すことでライトユーザーにも組みやすいように配慮されている。塗装もきれいで十分満足のいく仕上がりである。このようにスーパーミニプラ グリッドマンは、プラモデルの利点を最大限利用した製品となっている。タカラの製品からグリッドマンは、バンダイにそのコンセプトが引き継がれ進化を遂げている。

そして、2019年には、プレミアムバンダイ限定でULTRA-ACTでは発売されなかったダイナドラゴングリッドマンシグマが発売予定である。もちろんダイナドラゴンはグリッドマンおよびグリッドマンシグマと合体し、キンググリッドマンに合体することができる。

さらに、サンダーグリッドマンのコンセプトを受け継いだ新作も製品化が予定されている。アニメ版の『SSSS.GRIDMAN』は様々なデザイナーがかかわっており、現代風のタイプチェンジや最強フォームを取り入れさらに発展している。サンダーグリッドマンに端を発した商品コンセプトは、現代の様々な作品に影響を与え、さらに発展しようとしているわけである。

今後もグリッドマン関係の商品展開を見逃すことはできない!特撮版もアニメ版も是非チェックしよう。

アクセスコードは、GRIDMAN!(スーパーミニプラ グリッドマンのコラムへ)

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