スーパーミニプラ グリッドマン

バンダイ スーパーミニプラ グリッドマンシリーズその1

定価:1620円(税込み)

スーパーミニプラ グリッドマン
変形合体を再現したグリッドマンがスーパーミニプラで登場!
君もアクセスフラッシュ!!

食玩で夢のヒーロー
2018年に入り、1993年に展開されていたアニメや特撮の復刻・リニューアルがひっきりなしに行われていった。まず、戦隊職人において『五星戦隊 ダイレンジャー』のDXおもちゃである大連王が復刻したことを皮切りに、バンダイはエルドランシリーズの『熱血最強 ゴウザウラー』よりHG 1/300 ゴウザウラーと題し、変形合体可能なプラモデルを発売することを発表した。果てには、1993年に放送された特撮ヒーロー、『電光超人 グリッドマン』がリニューアルアニメ、『SSSS. GRIDMAN』として放送を開始、Twitterのトレンド入りした上にあまりに言及されるのでTwitterのトレンドから外される(注1)という事態が発生するまでに至った。まさに、当時世代の私には夢のような年であったのである。

グリッドマンのアニメは別のコラムで扱うとして、今回はアニメ化を受けてバンダイが発売したスーパーミニプラ グリッドマンを3本のコラムに分けてお届けしよう。

グリッドマンはもともと、バンダイのライバル会社であるタカラが円谷プロダクションに持ち込んだ特撮ヒーローだった。ウルトラマンのような巨大ヒーローがコンピューターワールドを舞台に怪獣と戦うという内容は、パソコンがまだ普及していなかった時代に作られ、その可能性を予見したことから、特撮ファンの間では早すぎた名作と呼ばれるほどである。そのグリッドマンを、円谷プロの版権を手にしたバンダイがULTRA-ACT グリッドマンとして発売されたのが6年前の2012年のことである。

アクションフィギュアとしては素晴らしい造形・可動を誇った本商品であるが、変形合体ギミックの再現は『パーツの点数が超合金魂並みの分量になってしまう』という理由から見送られ、アーマーをつけることができるにとどまっていた。しかもアーマーの着脱の際に手首のボールジョイントが破損してしまうという危険性も孕んだ欠点も備えていたのである。ファンとしては出してくれただけでもありがたいうえに、アクションフィギュアとしては高得点を誇る商品だったのだが、不満点も残る結果となった惜しい商品であった。

そして6年経過した2018年の夏ごろ、グリッドマンが突如として食玩シリーズのスーパーミニプラで発売されることが発表された。しかも、一部付け替えが発生するものの、変形合体ギミックを携えていることが発表され、アニメ化されることも相まってファンの間で話題となった。この発表にグリッドマンファンである筆者は即座に飛びつき、プレミアムバンダイで2つ購入するのだった。
注1 Twitterのトレンドは、あまりに言及されすぎるとトレンドから表示されなくなるように設定されている。たとえば、「こんにちは」などのあいさつは毎日のように何度も使われることになるので、そのような言葉はトレンドに載らないようになっているのである。それだけTwitter上でグリッドマンについて語られたというわけである。
アクセスコードはSMP GRIDMAN
このスーパーミニプラ グリッドマンのセット内容はグリッドマン、サンダージェット、ツインドリラー、ゴッドタンクの4点である。1つ1500円(税抜き)と食玩としては高額であるが、その値段に見合うギミック、組みやすさ、造形の良さを誇る製品となっている。

まず、グリッドマンの全身像を見てみよう。

スーパーミニプラ グリッドマン 前 スーパーミニプラ グリッドマン 後
食玩プラモデルとは思えないほどの造形の良さ

グリッドマンというキャラクターは、特撮ヒーローであるにも関わらずプラモデルとは非常に相性が良い。ウルトラマンと違い、鎧を着たようなデザインをしていることからどちらかというとデザインはロボットに近く、ULTRA-ACT開発時もデザインはCADを使って行われたほどである。それもあり、スーパーミニプラでもグリッドマンは抜群のプロポーション・可動を誇っており、1500円とは思えないほどのプレイバリューを誇っている。

色分けはガンプラと同じく良好で、基本的に素組みでも十分な色分けを誇る。胸のブルー部分や腰や尻の黒、脚部の黄色や赤い部分にシールを貼り付ければほぼ劇中通りのグリッドマンが完成するのである。また、シールでの再現が難しい部分には最初から塗装が施されている。 額のエネルギーランプや周辺の赤いライン、左腕に装備されているグランアクセプター、胸のクリスタルコンバーター(中心の黄色い部分)、膝の立体的な球体、付属武器のプラズマブレードには塗装が最初から施されているのである。これにより塗装技術のない人でも十分に満足のいくグリッドマンを完成させることができるのである。

塗装パーツ
アクセプターは細かい部分まで塗り分けられている。

組みやすさも十分考慮されており、筆者は大体1時間ほどで完成させることができた。合体させる都合で関節部分は固く設定されており、はめ合わせるのに少し力が必要なくらいである。

本体の銀色の部分は成型色による再現のため、パッケージのような輝く銀色でないのが残念である。腕に自信のある人はシルバーで塗装してもよいだろう。目の部分はクリアパーツで再現されているが、組み立てると暗くなってしまうので、シールの余白部分を内部の顔パーツの中に貼り付けている。こうすることにより、幾分か目の部分が明るくなるのでお勧めの改造である。

シールの追加部
説明書のA9パーツにシールの余白部の銀色を貼り付けると目に輝きが出る

食玩であるにもかかわらず、可動範囲もよく練られている。まず、肩の部分を引き出すことが前にできるようになっており、必殺技のグリッドビームの構えを再現させやすくなっている。

肩の引き出し機構
単純な構成ながら肩を引き出せるのがお見事
ロールオーバーで画像が変わります

また、首パーツはボールジョイントで接続されているうえに、首の下に可動ギミックが仕組まれているので上を向かせることも可能となっている。また、ACT時代にはオミットされていた腰のロール回転も可能となっている、腹の上にもボールジョイントがあるので合計2点で上半身を動かすことが可能で、俯かせたり背中をそらせたりすることも可能である。

上半身の可動

大きさは12.5cmとULTRA-ACTよりも小さく設定されている。ACTのほうは完成品アクションフィギュアだけあって、肘・膝が二重関節がなっているためミニプラよりも広い可動範囲を誇る。しかし、合体ギミックは圧倒的にミニプラのほうが上なのが驚きである。

ULTRA-ACTとの比較
ACTに負けず劣らずの造形のグリッドマン
可動範囲などはあちらが上だが十分なプレイバリューを誇る

単体でのオプションパーツとして、手首パーツが2種類と武器のプラズマブレードが付属している。これとツインドリラーに付属しているバリアシールドを組み合わせることで劇中のグリッドマンの武装をすべて再現することができる。次のセクションでは、グリッドマンとオプションパーツを使って劇中の技の再現を行ってみよう!

SMP グリッドマンの秘密
グリッドマンは、翔 直人と合体することで、実態を得ることができる。直人は渡されたアクセプターのボタンを「アクセスフラッシュ!」と叫び押すことで、ジャンクの中に吸い込まれグリッドマンと合体する。グリッドマンは現場のコンピューターワールドに入り込むと巨大化プログラムで巨大化し、怪獣と戦うわけである。

現地に到着したグリッドマン

巨大化プログラムを受け取るグリッドマン
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グリッドマン登場!
これらの画像は、ULTRA-ACT グリッドマンを使用しています
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グリッドマンは多彩な技が用意されているが、このスーパーミニプラを利用してそれらの技をほぼすべて再現することができる。これらの技はアニメ版にも引き継がれるほどの重要な要素である。

まず、牽制用の光線技としてスパークビームを放つことができる。この技はあくまで牽制用で威力は高くない。劇中ではたびたび使用されているが、メタラスには跳ね返されたりしている技である。

スパークビーム
スパーク!
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スパークビーム
ビーム!!
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劇中2回しか使っていないレア必殺技がグリッドライトセイバーである。この技は、敵を引き裂く光線技で、アニメ版のグリッドマンもこの技を引き継いだ技を使用している。


グリッドライトセイバー
グリッドオオオッ!
ロールオーバーで画像が変わります

グリッドライトセイバー
ライトセイバー!!
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また、劇中で1回のみしか使われていない必殺技のネオ超電導キックもアニメ版に引き継がれている。この技は、背中の3mm軸にグリッドマンをスタンドに接続することで再現可能である。

ネオ超電導キック
ネオ超電導・・・
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ネオ超電導キック
キック!!
ロールオーバーで画像が変わります

ACTと同じく、アシストウェポンのバリアシールドとプラズマブレードが付属している。プラズマブレードは、グリッドマン側にバリアシールドはツインドリラーに付属している。手に持たせるときは、柄の下部分の六角形パーツを一度取り外してから持ちてパーツに取り付ける。

バリアシールド
バリアーシールド!!

プラズマブレード
プラズマブレード!!
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先にも述べたようにプラズマブレードは、刃の部分が塗装されており非常に美しい。バリアシールドは、赤い部分をシール再現で表現している。

バリアシールド&プラズマブレード

この2つの武器を組み合わせて誕生するのが電光雷撃剣 グリッドマンソードである。この武器は6話でアノシラスを救ったお礼にコンポイド・ユニゾンとアノシラスによってバリアシールドとプラズマブレードが強化されたことにより誕生した武器である。

グリッドマンソード
電光雷撃剣!グリッドマンソード!!
ロールオーバーで画像が変わります

ULTRA-ACTの時代は、形状を重視させ別々の武器として付属していたが、スーパーミニプラでは劇中通りにパーツを組み替えて再現させることができる。この時、バリアシールドは、折りたたまれた別パーツに差し替える。

グリッドマンソード
電光雷撃剣!グリッドマンソード!!
ロールオーバーで画像が変わります

取り扱い説明書のグリッドマンソードの作り方は間違えて記載されているので注意。劇中通りに組み立てる場合はツインドリラーのA7とA8パーツをいったん取り外し、再び逆方向から取り付ける必要がある。この記載漏れのせいで、Twitterや動画サイトでは間違えた状態のグリッドマンソードがあふれかえっていた。

説明書のグリッドマンソード
劇中のグリッドマンソードはこの状態ではないので注意!

このグリッドマンソードは刃の部分を短くすることでサンダーアックスに変形する。この短い刃はギリギリまで付属することが検討されていたが、パーツ点数が増えるため泣く泣く削除されたとのことである。刃がなくてもそれっぽい形状にすることは可能なので、刃を自作するか、グリッドマンソードの状態からプラズマブレードを抜いてしまえばそれっぽい状態になるので再現したい人は再現しよう。

このグリッドマンソードは、アニメ版でも重要なアシストウェポンとして登場している。アニメ版でも斧になったりするのも本来はこちらが元となっているのである。

そして最も多用された必殺技がグリッドビームである。このグリッドビームはウルトラマンでいうところのスペシウム光線で、怪獣にとどめを刺すときはもっぱらこの技を使用する。この技の再現にSMPの開発スタッフは相当こだわったらしく、当初は予定されていなかった肩の引き出し機構を設計段階で組み入れたほどなのである。

グリッドビーム
グリッドォォォォォォォッビーム!!
肩の引き出し機構のおかげで腕を前に組むシーンがばっちり決まる。
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そしてコンピューターワールドを修復するときのフィクサービームももちろん再現可能である。このシーンを再現するためにわざわざ手刀パーツを付属させているほどである。

フィクサービーム
ロールオーバーで画像が変わります

このように、たった1500円の中に様々なギミックを詰め込み、ACTにも匹敵する劇中再現が可能となっている素晴らしい一品になっている。もちろん造形や塗装の面ではACTのほうが圧倒的に上な部分もあるものの、値段を考慮すればかなり安い部類に入るのである。

ここ最近、完成品フィギュアは、クオリティは上がっているものの、値段もそれに負けずに上がってきている。組み立てをユーザー側に任せることでこの値段を抑えた商品を出せるというのがプラモデルの利点であろう。この点をメーカー側は意識しだしていると考えられる良い事例なのがこのスーパーミニプラ グリッドマンであろう。このほか、ほかのセットもアシストウェポンも充実した内容で素晴らしい出来となっている。次回以降のコラムはアシストウェポンの説明を行う予定であるので乞うご期待!

グリッドマン!サポートロボ、ゴッドゼノンだ!!(スーパーミニプラ ゴッドゼノンのコラムへ)

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