IN ACTION!! OFFSHOOT
ナイトメアフレーム サザーランド(一般機・純血派機)

発売元:バンダイ

定価:2415円(税込)


IN ACTION!! OFFSHOOT サザーランド(純血派機)
「全力で奴らを見逃せぇっ!!」(byジェレミア・ゴッドバルト)

大人になったら、みんなこう言います。「あのころは良かった・・・。(遠い目で)」
オォール、ハイィール、ブリタァァーーニアッ!!

今回はちょっといつもと趣向を変えて、筆者が最近、思っていることから語ってみようと思う。それは、

『コードギアスって、R2入ってから面白くなくなってきたな・・・。』

それと言うのもこのアニメ、なにやら最近、なんでもかんでも呆気なくカタがつき過ぎているように感じるからである。

総督に就任した妹とは敵対したくないから、「ゼロを国外追放という形で亡命させろ」と、取引をしたら、黒の騎士団の構成員全員+集まった100万人近くの日本人+犬一匹(注1)にゼロのコスプレさせて全員で隣の中華連邦に大移動なんてムチャがまかり通るし、その中華連邦では天子をはじめ、その知略と戦闘力で一時期は『スザクを越える強敵になるのでは?』と、思われた黎 星刻(リー・シンクーと読みます)も、「愛は人を動かす原動力」とかいう論理(?)であっさり手駒にする始末。なんなんだこの、一休さんもビックリの超回答は・・・!?

さらに学園サイドでは、ブリタニア皇帝直属の12人の騎士・ナイトオブラウンズのうちの二人、ジノアーニャが転入してきた。『ルルーシュが心から安らげる場所は、もう無いんやなぁ・・・。』などと思っていたら、結局は『ただ遊びに来ただけ』・・・もう色々とグダグダな気がします・・・。

それに比べたら、まだ前シリーズの頃は面白かった。ギアスを手に入れ、「ブリタニアとだって戦える!」とかはしゃいでいたら、親友のスザクは仲間になってくれないわ、コーネリアにこっぴどく叩きのめされるわ。そのコーネリアをナリタでの戦いで追い詰めたと思ったら、ブリタニアの最新KMF・ランスロットに叩きのめされる・・・。挙げだすとキリが無いので、ここら辺で打ち切るが、要するに第一期の頃は「成功と失敗が上手い具合に重なっていた」のである。そこが面白かったわけで、何かとスムーズに事が運びすぎているように感じるR2は、単調に感じるのである。

・・・まぁ、中華連邦での戦いでは、捕虜になったカレンを助けれずじまいだったり、ヒロイン(?)の一人である酢飯、もといシャーリーはお亡くなりになるし、R2の方も、何もかもが順調ってわけではないんだがな。

それはともかく、ギアスは、第一期の頃の方が圧倒的に面白かった!と、いうわけで、今回は『枯れ木も山の賑わい』とばかりに第一期の面白さを引きたてていた、ブリタニア軍の主力量産KMF・サザーランドを紹介しようと思う!
注1『犬一匹』:『R2』第8話、『百万 の キセキ』より。
画面の端の方をよく見てみると、ゼロの仮面を被った犬がいる。・・・これ、なんか意味あるのか?

「私ね、ヤラレメカって重要な要素だと思うのよね〜。」
「スマン。なんだって!?」「だから、ヤラレメカよ。ヤラレメカ!」

よほどひねくれた作品でもない限り、バトル物、ロボット物のアニメの主人公は、他者より秀でた戦闘力を持っていたり、高い性能を持つ機体に搭乗するものである。で、主人公がその優れた能力の全てをぶつけるに値する相手が、いわゆるライバルとなるわけだが、それ以前に重要な位置のキャラが存在する。それがヤラレメカ(キャラ)である!

例えば『機動戦士ガンダム』では、ガンダムにリック・ドム13機をたった3分で撃墜させる事により、パイロットであるアムロの成長を見せ付けてくれたし、『ドラゴンボールZ』では、仲間を圧倒的な力で痛めつけたサイヤ人・ナッパを、界王のもとで修行した孫悟空が瞬殺することで、悟空がさらに圧倒的な力を身に付けたことを見せ付けてくれた。

それと反対に、ライバルの方も主人公側の味方を圧倒的な力で倒す事により、その強さを証明する。

つまりヤラレメカ(キャラ)は、主人公及びライバルの持つ力を測る物差しとして、物語上に必要不可欠な存在なのである!で、今回紹介するKMF・サザーランドはギアスにおける、まさにヤラレメカの立ち位置なのであった!!

例えば、前シリーズの第二話『覚醒 の 白き騎士』では、

ランスロットに追いかけられるサザーランド
スザク「奪われた機体・・・。アレが指揮官機か!」

ルルーシュ「ええいっ!化け物め!!」

ってかんじでランスロットに追い詰められたり、第五話『皇女 と 魔女』では、

一刀両断!
ジェレミア「MVS・・・。実用化されていたのか!?」

ランスロットの背中に装備された剣・メーザーヴァイブレーションソードによって一刀両断にされたり、さらに第十話『紅蓮 舞う』では、

輻射波動を喰らうサザーランド
ヴィレッタ「ジェレミア卿!脱出を!!」

ジェレミア「ゼロがいるんだぞっ!逃げる事など出来るものかぁぁ〜〜!」

と、紅蓮弐式の輻射波動を受けて大爆発したりと、サザーランドは前シリーズの前半において、その存在感を(ヤラレメカとして、)アピールしまくった、愛すべきヤラレメカなのであった・・・。

もしジェレミアがORANGE RANGEの曲を聴いたら、きっと発狂するに違いない。
今回紹介するKMF・サザーランドは、一般機と各部のカラーリングが異なる、純血派と呼ばれる一派が搭乗する機体で、頭部ファクトスフィア、左右両肩アーマーが赤く塗装されているのが特徴である。

サザーランド 正面 サザーランド 背面
(アニメ第一期の頃の)ブリタニア軍の主力機

純血派は、「ブリタニア軍は生粋のブリタニア人のみで構成されるべき」と考え、枢木スザクなど、ナンバーズ(占領民)でありながら、正式な手続きを経てブリタニアの国籍を取得した、名誉ブリタニア人を軍に徴用する事に対して否定的な一派で、『R2』ではルルーシュに良いように使われている、ヴィレッタ=ヌゥもこの一派に属していた。

純血派のリーダー格と見られるジェレミア・ゴットバルドは、エリア11(旧日本)総督、クロヴィス・ラ・ブリタニアの死後、総督代行に就任。スザクにクロヴィス殺害の嫌疑をかけて処刑する事で、軍内から名誉ブリタニア人を一掃しようと画策したが、スザクを救出しに現れたゼロにより『オレンジ疑惑』(注2)をかけられ、失脚。そのため、ゼロに対し深い憎しみを持つと同時に、『オレンジ』という言葉に過敏に反応するようになった。

そのうえ、ナリタでの戦いで紅蓮弐式に撃墜された後は、何の因果か改造人間にされてしまった。・・・コイツ以上にルルーシュの存在に人生狂わされたヤツも、そうおるまいて・・・。

なお、最近の放送で劇的な(?)復活を果たしたジェレミアは、ゼロの正体がかつて自分が仕えていたマリアンヌ后妃の遺児、ルルーシュであること、その目的がマリアンヌを殺した者を見つけ出す事にあるということを知り、ルルーシュに忠誠を尽くす事を誓った。

前シリーズであれだけ、「ゼロォォォ〜〜〜ッ!!」と絶叫しながら戦いを挑んできた彼が、こんなに容易く仲間になるなんてありえない。『これは絶対、何か裏があるぞ・・・!』と、期待していたのだが、次の週の放送では、ちゃっかり専用機的な扱いで、飛翔滑走翼を装着した純血派機カラーのサザーランドを与えられ、ルルーシュと共に戦っていた・・・。サザーランドの復活は嬉しいんだけど、この呆気無さはどうよ・・・?

それはさておき、純血派機と一般機との違いはカラーリングのみであり、『ガンダム』なんかに登場する某赤い彗星専用機みたいに、バリバリのカスタム機なんてことはないのが悲しい所である。しかし、『R2』で紅蓮弐式に対し、

「奴は純血派のジェレミアを倒したほどの相手だ!」

と、いう台詞がナイトオブラウンズの口から出るあたり、純血派は血統のみを根拠にした集団というワケではなく、相応の実力を持った集団であることがわかるだろう。ま、実力の伴わない、自称エリートよりは遥かにマシさ・・・。
注2『オレンジ疑惑』;前シリーズ第4話『その 名は ゼロ』より。
軍事法廷へと移送されるスザクと、それを警護するジェレミアの眼前に現れた仮面の男・ゼロが放った、「例の件を公表するぞ・・・。・・・オレンジ。」という発言が元となって浮上した疑惑。裏金関係の疑惑かと思いきや、実際は相手の虚を突くためルルーシュが放った、ただのデマである。

完成品フィギュアがプラモに劣ると、誰が決めたんだ!
さて、そろそろ商品の解説に移ろうと思う。

IN ACTION!! OFFSHOOT(IAO)は、バンダイから発売されている『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する機動兵器、モビルスーツを扱うアクションフィギュア・MOBILE SUIT IN ACTION!!(MIA)から派生したシリーズで、ガンダム作品以外のロボットを商品化しているのが特徴である。

と、言っても、『戦闘メカ ザブングル』から、主役メカであるザブングルや、『重戦機 エルガイム』から、同じくエルガイムなど、主役メカしか出さないという中途半端な商品展開をしていたシリーズであった。が、コードギアスに登場するナイトメアフレームの商品化が盛んなことから、今ではCODE GEASS IN ACTION!!だの、Knight Mare Frame IN ACTION!!だのと呼ぶファンも多いようである。

筆者の感覚では、こういった完成品フィギュアという物は、軟質プラスチック・PVCを使用しているので造型はメタメタな物であると決め付けていたが、どうやらその考えは古かったようである。少なくともこのサザーランドの造型は素晴らしいの一言に尽きる!

軟質素材であるPVCは、シャープな造型が必要となるロボット物には向かないと思っていたんだが、流石はバンダイ。これまでのIN ACTION!!シリーズで培ってきた技術の蓄積の賜物か、顔が潰れたりはしていないのが素晴らしい所である。

サザーランド・顔
見よ!PVC製とは思えぬ、この男前な顔立ちを!!

また、コックピットブロックやランドスピナーなどにABS樹脂を使用しているので、シャープな造型になっているのも魅力的である。

肩口のスラッシュハーケンや、両腕のスタントンファーなど、要所に金属色を使用しており、良いアクセントになっている。

関節部分には磨耗に強いPOM樹脂を使用。可動フィギュア特有のの、「遊んでるうちに関節がへたれる」弱点を軽減している。

頭部ファクトスフィアは、色分けの都合による恩恵か、差し替えで展開状態が再現できるようになっている。

頭部ファクトスフィア
マイクロ波帯から可視光域までをカバーする目であり、
音響をピックアップする耳でもあり、
射撃管制用のセンサーまでも兼ね備える、複合センサー。

差し替えの際、取り外しにくいのがちょっと辛いところだが、プラモデルのランスロットや紅蓮弐式では再現されていなかったから、これはとても嬉しいぞ。

背中に大きく張り出したコックピットブロックは、ハッチを開く事でシートがせり出してくるという連動ギミックが内蔵されている。ハッチを開いた状態から、シートについているツマミを引っ張る事で、さらにシートを引き出すことが可能になっている。

コックピットブロック展開状態
本編中でも印象的な、乗降状態にも出来る。

これであとは、同スケールのパイロットのフィギュアでも付属してれば、言う事は無かったんだが、残念ながらそんなモンは付属しない。

脚部のランドスピナーはボールジョイントで接続されているので、可動範囲が広くなっている他、収納時には足のラインにぴったり合うようになっているので、かさばって見えることは無い。

大きさのほうだが、メカニックコレクションシリーズと比べると一回りほど小さい。よって、そのまま並べた時は違和感がどうしても出てしまうのが残念なところだ。ただ、一説によるとノンスケールのはずのIAOのほうが1/35の大きさを守っていると言われている。どっちが正しい大きさなのやら謎である。

メカニックコレクションとの比較図
プラモデルより一回り小さいIAO
構図を工夫すればあまり差を感じさせないんだけどねえ・・・。

大きさ的には、あまり差を感じさせないのでプラモデルとどんどん絡めている。っていうか、プラモデルではサザーランドは発売されてないしねえ。

さてここからは付属武器について解説しよう。付属武器は3種類。まず、両腕に装着する、スタントンファー。

スタントンファー
可動するので、展開することが出来ます。

スタントンファーはブリタニア軍の第四世代KMF・グラスゴーから装備されている、KMFの標準装備ともいえる格闘戦用武装で、主に敵機体の武器を捌いたり、敵機体への殴打などに用いられるようである。しかし、第七世代KMF・ランスロットはもちろん、サザーランドのカスタム機であるグロースターにも装備されていない事から、対KMF戦闘に用いるのには不向きな、時代遅れな武装である、と、言えるのかも知れない。

と、いうわけで、純血派機には対KMF大型ランスが付属する。

大型ランス 大型ランス

片手持ち
中世の騎士が用いた槍を、KMF用のサイズにまで大型化したような武器。
片手持ちも余裕で出来ます

スタントンファーと同様に、敵機体の攻撃を捌いたり、敵機体への殴打に用いる他、脚部のランドスピナーによって得られる加速と共に前面に突き出すことで、必殺の一突きとも言える攻撃を繰り出す事が出来る。名称からしてスタントンファー以上に、KMF同士の格闘戦を意識した武器である。

アサルトライフルは、ブリタニア軍や、黒の騎士団、日本解放戦線など、組織を問わずKMFに装備されている射撃用の武器。

アサルトライフル
こういう武器を見たら、とりあえず同じ機体を複数並べて、
「全機、一斉射撃!」とか言いたくなるのは、筆者だけではあるまい。

ライフルのフォアグリップ部の可動と、本体の可動範囲の広さが相まって、両手持ちで構えさせる事が可能となっている。ただ惜しむらくは、腰の後ろに保持できない事であろうか。

手首はデフォルトで装着されている握り拳の他、ランス保持用と、ライフル保持用が左右付属する。

肩口に装備されているという設定のスラッシュハーケンが展開できないのが残念でしょうがないが、量産機の商品としてはなかなか高水準の出来ではないかと思う。

また、一般機のサザーランドも同時に発売されている。一般機のサザーランドはファクトスフィアと肩の色が青いもので、こちらが正規配備の機体である。

サザーランド(一般機) 前 サザーランド(一般機) 後
一般量産型のサザーランド
こちらも数をそろえて購入したい一品である

カラーリングのほかに、付属武器も純血派機から変更されており、大型ランスの代わりにバズーカ砲が付属している。ランスを握るための手首を利用してキャノン砲をぶら下げて持たせることも出来るし、ライフル用の手首で両手持ちをさせることも可能。足の広い可動を利用して膝を立てて狙撃させることも可能である。

キャノン砲 キャノン砲
一般機には劇中でもよく使用されたキャノン砲が付属
手首パーツは共通しているのでグロースターにも持たせることも可能

これだけ再現して値段はプラモデルとほぼ同じ価格だから、たいしたもの。アクションフィギュアってヤツも、なかなかどうして侮れませんなぁ。アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ・・・・・・。

(上手くオチが思いつかないので、今回はこれにて御免!)

知っておるか。結果が伴わぬ者を、無能というのだ!(IN ACTION!! OFFSHOOT グロースターのコラムへ)

「ゼロが、ゼロがいるんだぞっ!戻る事などできるものかぁぁ〜〜!」(いや、戻れよ・・・。)