RX-0 ユニコーンガンダム

発売元:バンダイ

MG定価:5250円(税込)

HGUC定価:デストロイモード 1890円(税込)
ユニコーンモード 1575円(税込)


ユニコーン NT-Dモード
「人だけが、己の中に"可能性"という名の神を持つ・・・」

人々がその存在を信じ続ける限りそこに存在し続ける、
『可能性の獣』ユニコーン

現実(今テレビで放送しているガンダム)から逃避し続けた果てに
某ほのぼの4コマ風学園アニメに登場するオタク女子高生の父曰く、ガンダムマニアという人種にとって、『ガンダム』と名の付く作品に『右向け右、前へ倣え』の姿勢でついていくのは、もはや義務の領域であるらしい。

が、いくら義務と言われようとも、ついていくのが不可能な、いわゆるハズレな作品もある。曰く、『黒富野がやたらと人を殺すから』Z(ゼータ)やV(ヴィクトリー)は苦手だとか、とか、『モビルスーツのデザインが気に喰わない』からターンエーは嫌だとか、様々あるが、長期に渡って続くシリーズであるだけに、好き嫌いが分かれるのは仕方の無い事であろう。

筆者にもついていけないガンダムがある。それは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』&今期放送中の『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』である。「よりにもよって、前作と新作かよ!?」と、ツッコミたければツッコムが良い。何があろうともこの考えが変わる事は無いから。

『種デス』は嫌いなキャラクターが好き勝手に大暴れする上に、そいつが人気キャラだってなモンだからムカツクし、『00』に関しては第五話くらいの時点で見切りを付けてしまっており、以降は気が向いた時にしか観ていなかったりしているのだった・・・。

あんまり文句が多くなると、話が脱線したままになるし、ファンからは「観てもいないのに文句言うな!」とか怒られそうなので、この話はここまでとしておこう。

さて、いかにダブルオーを視なくなったとはいえ、やはりガンダム作品を何か一つは抑えておかないと、おもしろくないし、潤い(?)が足りませぬ。

わざわざガンダムに拘らなくても『灼眼のシャナ』とか『おまもりひまり』とかも好きだから、別に退屈はするまいと思っていたのだが、筆者は基本、各関節可動偶像崇拝主義者アクションフィギュア大好きー!なので、現物が手に入りにくい作品ではそれほどの充足感が得られなかった。

と、いうわけで、ダブルオーのプラモデルを買うつもりで貯めていた軍資金で、『ASTRAY』シリーズのプラモを買ったり、『種デス』関連のプラモを買ったりしていた。まあ、早い話が、現実逃避の手段であるガンダムから、さらに現実逃避していたのである。

そんなある日の事、筆者は某家電量販店内であるMSのマスターグレードと遭遇する。あの時はこうしてコラムのネタにしようとは思ってもいなかったが、今回は『あれ?気付いたら俺の書いたコラム、20本突破してんじゃん』記念ということで、奮発してネタにする事にした。

それが今回紹介する、MG ユニコーンガンダム(Ver,Ka)である!

HGUCのキットが発売されたので、その事を加筆しようと久しぶりにファイルを開いてみると、そこには2年の間に『00』を好きになってしまった自分との温度差があったわけで。「何書いてんだか・・・」と、気恥ずかしくなってしまったわけで。(2010年 1月某日加筆)
ユニコーンの日
宇宙世紀0001年。改暦セレモニーが行われていた地球連邦政府首相官邸・宇宙ステーション【ラプラス】が、爆破テロによって粉々に砕け散るという事件が起こった。

テロに加わった青年、サイアム・ビストは爆破テロの残骸の中で、ある物を発見する。それは後に、【ラプラスの箱】と呼ばれる、開放されれば連邦政府の存続が危ぶまれるという、禁忌の箱であった。【箱】の存在を後ろ盾に繁栄を築いてきたビスト財団は、連邦政府の黒幕として長く君臨し続けた。

宇宙世紀0096年。【箱】の所在を示すプログラム【La+】(ラプラス)を封印されたモビルスーツ、《RX-0 ユニコーン》がネオジオン残党【袖付き】に譲渡されようとしていた。これを画策する財団の当主、カーディアス・ビストの目的は、【箱】という一石を投じる事で、連邦とジオンの間に今なお燻るしこりを浮き出させる事にあった。しかし、この取引は【箱】の開放を望まぬ財団の息がかかった連邦軍の介入によって、失敗に終わる。

銃撃を受け、残された時間もあと僅かとなったカーディアスは、連邦の手に落ちるくらいならいっそ・・・と、【箱】の存在を完全に抹消するため、ユニコーンを封印しようと機体格納庫を訪れる。その時偶然、謎の少女、オードリー・バーン(注1)を追いかけて、バナージ・リンクスがその場に姿を現した。彼が現れた事に運命的なものを悟ったカーディアスは、バナージにユニコーンを託し、息を引き取った。

自分を見つめるカーディアスの瞳に、懐かしい輝きを見たバナージは、カーディアスが幼い頃に別れた、実父である事を感じ取る。

格納庫を包み込む炎が、カーディアスの遺体を消滅させる。コックピットに収まったバナージは、オードリーを守るため、ユニコーンを静かに立ち上がらせた!

ユニコーン・起動!
バナージ「父さん・・・。母さん、ごめん・・・。俺は・・・、行くよ!」

コクピットの中でバナージはオードリーに想いを馳せる。その思念をオードリーも感じ取ったのだった。

コロニー内で戦闘を行っていた袖付きの強化人間マリーダ・クルス駆るニュータイプ専用MS、クシャトリヤは失踪したオードリーを探していた。その目の前にバナージが起動させたユニコーンが現れる。

爆炎の中、姿を現すユニコーン
マリーダ「!?」

突然現れた正体不明の機体に驚きを隠せないマリーダであったが、彼女はクシャトリヤに備え付けてあるファンネルを放出した。

ファンネルを放出するクシャトリヤ
マリーダ「・・・ファンネル!」

バナージはファンネルを無視して機体をクシャトリヤに突撃させた。その様子を見たマリーダはとっさにビームサーベルを抜いたが、ユニコーンの圧倒的な機動性の前には対応が間に合わず、ユニコーンに組み付かれてしまう。組みついたユニコーンは、クシャトリヤのビームサーベルを掴んでいるマニュピレーターを握り潰し、クシャトリヤのビームサーベルを沈黙させた。

バナージは怒りにまかせながら、叫びを上げユニコーンのバーニアをフル出力で吹かせた。

クシャトリヤに組み付くユニコーンガンダム
バナージ「ここから・・・ここから、出ていけぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンの出力はクシャトリヤの巨体を軽々と押しのけ、2機はコロニーの外壁を突き破り宇宙空間へと躍り出た。態勢を立て直したマリーダは、放出したファンネルにユニコーンガンダムを攻撃させた。

その様子を見たバナージは、死の恐怖を感じたが、それに呼応するかのようにユニコーンガンダムに隠された能力、NT-Dが発動、ファンネルのビームを屈折させる。そして、一本角の白亜のユニコーンは各部の装甲がスライドし二本角のMSへと変身した。その姿は、連邦軍が開発した最初のMS、ガンダムそのものであった。

ガンダムに「変身」したユニコーンは、バックパックからせり出したビームサーベルを引き抜きクシャトリヤに突撃していく。その様子を避難したランチから見ていたオードリーはぽつりとこうつぶやいた。

ビームサーベルを引き抜くユニコーン
オードリーガンダム・・・。
ロールオーバーで画像が変わります

クシャトリヤに突撃するユニコーン
ロールオーバーで画像が変わります

【ラプラスの箱】を巡る戦い、そして、少年の長い旅がここに始まりを告げるのであった・・・。
さて、今回紹介する、このユニコーンというMS。おそらく大抵の人は今回紹介するキットを店頭で見るまで、見た事が無いという人が大半だったのでは無いだろうか。筆者もその一人であった。

それもそのはず、この機体が活躍する、『機動戦士ガンダムU.C.(ユニコーン)』は、月刊ガンダムエース誌上にて小説媒体で展開されているストーリーである。そのため少ない挿絵か、公式のホームページ辺りの設定画以外では、その姿をお目にかかる機会なんてまず無いという訳である。

『ガンダムユニコーン』は『ローレライ』、『亡国のイージス』などの映画の原作で知られる福井晴敏氏。キャラクターデザイン&挿絵は初代『機動戦士ガンダム』のキャラクターを手掛けた生き神、安彦良和氏(注2)。メカデザインは近年のメカデザインには不可欠な存在(と、筆者が勝手に思っている。)、カトキハジメ氏という、鉄壁の布陣で、角川書店の月刊ガンダムエースで2007年2月号より連載が開始されている。

月刊誌の2月号とは1月売りであり、2008年1月現在、連載はつい最近、やっと一周年を迎えたところである。ユニコーンガンダムのキットは2007年の12月に発売されており、と、いう事は、ユニコーンのキット化は本編が始まって、一年も経たない内から成し遂げられたという事になる。

これは物凄い快挙で、通常、アニメ以外の媒体の作品からキット化される場合、ギミックなどを煮詰めるためにも多くの時間が費やされるものなのである。特に小説やコミック出身のガンダムは連載ペースの都合上、能力が小出し気味になるのでギミックの再現し切れていない下手なものを出せば売れなくなるのは確実だからである。

例えば、ヘイズル改 のキット化は本編の連載開始から5年近くかかっているし、クロスボーンガンダム なんて、10年近くかかってやっとである。・・・まぁ、後者の場合、10年間の間にTVゲーム『Gジェネレーション』シリーズや、『スーパーロボット大戦』シリーズに登場したことで注目度が急速に高まったという事情もあるわけだが。

ユニコーンのキット化が、異常なまでに早い、むしろ早過ぎという事が、お分かりいただけるだろう。

話は変わるが、MGユニコーンの組立て説明書には、福井氏とカトキ氏のインタビューが載せられているのだが、その中でカトキ氏は、「小説という媒体の作品なので、映像化&商品化を考えないでデザインできる機会」だと言い切っている。これはつまり、ユニコーンのキット化は連載初期の段階ではまったく想定していなかったという事だろうか?

『早すぎるキット化』『商品化を想定していないデザイン』

この二つの不吉なキーワードが、何をもたらすのかは容易に予想できよう。

そう!MGユニコーンは、MGとは思えないほどに可動範囲が狭く、可動範囲を重視する筆者にとっては、地雷キットの烙印を押さざるを得ないキットだったのである!!
注1『オードリー・バーン』:【袖付き】の重要人物と目される少女。その正体は第一次ネオジオン戦役の際、地球に逃れていたザビ家の忘れ形見、ミネバ・ラオ・ザビ。0093年に起きた【シャアの反乱】で瓦解した組織を立て直すための象徴として奉られていた彼女は、【箱】を巡る取引を知る。戦争を未然に防ぐため、インダストリアル7に密航したミネバは、バナージと出会い、とっさに昔観た映画に出演していた女優から名前を取り、オードリーと名乗った。

注2『挿絵』:安彦氏が同誌で連載中の『機動戦士ガンダムThe Origin』の方で忙しくなったためか、小説4巻に相当する掲載分からは、別の人が挿絵を手掛けるようになった。

白き神獣
ではまず、キットの全体図を見ていただこう。

ユニコーン正面 ユニコーン背面
搭乗時に網膜パターンなどが登録されてしまったため、
厳重な生態認証システムにより、バナージ以外には操縦できない。

・・・見事までに、真っ白である。背景も真っ白なので、少々見づらいのが心苦しい限りである。

舞台は宇宙世紀(U.C.)なので、バックパックや肩は最近のガンダムみたいに出っ張ってはいない、すっきりとしたデザインにまとまっている。また、時代設定も『逆襲のシャア』の戦いのすぐ後(3年後)で、いわゆる大型MSの全盛期ともいえる時代に開発されたMSなので、キット自体はかなり大きめになっている。プロポーションも良好なので、いわゆる『カトキ立ち』がよくキマる。

が、可動範囲については一子相伝の某暗殺拳の継承者よろしく、「お前はもう、死んでいる。」と、言わざるを得ない位の酷さである・・・。

まず、後述するあるギミックを搭載した所為で、肩は前後のスイングも出来ないし、水平以上に上げることも叶わない。肘はかろうじて90度以上曲がるが、あくまで《かろうじて》なレベルであるし、膝はもっと酷い事に90度も曲がらない始末。一応二重関節が採用されているのに、この醜態。立体化を考えずにデザインした弊害がここに現れているという訳だ。

次に武装を見ていこう。

キットには豊富に武装が付属しているのでそれを順番に見ていこう。まずは専用銃《ビームマグナム》。

ビームマグナム
一発で通常のビームライフル4発分相当の威力を発揮する、ユニコーンの専用銃。
『ガンダム』の有名な台詞「やつは戦艦並みのビームを装備しているのか!?」を、形を変えて再現している。

キットではこの銃を程よい大きさで再現しており、また、銃身がスライドすることでエネルギーパックが着脱でき、交換シーンを再現することもできる。エネルギーパックは計15個のパーツを5個ずつに分けて銃にセット。一個ずつ外す事も出来るので、撃ち終わったカートリッジの排莢なんて遊び方も出来る。

キットには専用のハイパーバズーカも付属する。このバズーカは小説5巻から装備されるようになった武装で、実はこのキットが発売された時点ではまだ使われてはいなかったのだが、ガンダムには欠かせない武器の一つであるから付属したものと思われる。

専用バズーカ
撃ち出したミサイルが空中で炸裂。周囲に細かい鉄球をばら撒く事で装甲表面やセンサー系にダメージを与える。

砲身の伸縮、マガジンの着脱が再現されており、非常に好印象を受ける。

バックパックのジョイントにバズーカやビームマグナム、シールドをマウントする事が可能となっており、ビームマグナムの方は腕のジョイントにもマウントできるようになっている。バックパックにバズーカを背負った姿はどことなくνガンダムを髣髴とさせ、かなりカッコイイ。また、予備のエネルギーパックや、バズーカのマガジンはリアスカートに装備できるようになっている。

武装を背面に装備してみたところ。

計4本装備されているビームサーベルと、専用シールドの紹介はギミック紹介の都合で後に回すとしよう。

武装の充実ぶりに関しては、十分に満足できるが、やはりその可動範囲の狭さが気になるところ。せっかく装備が充実していても、可動範囲が狭くてはそれを活かせないでありますよ!

しかし、これで見限ってもらっても困る。なぜならこのキットにはまだ、最大の売りである変身(注3)ギミックの紹介が残っているのだから!
注3『変身』:MSの外見が完璧に別の姿になる事から、福井氏は『変形』ではなく、『変身』と命名している。
脅威の(?)変身ギミック!
ユニコーンガンダムの普段の姿は、パイロットの思考を読み取り操縦に反映するシステム・NT-Dシステムにリミッターがかかっている状態であり、戦闘中の敵パイロットがニュータイプである可能性があるとき、リミッターが解除。デストロイモードという物騒な名称の形態に変化する。また、リミッターの解除と連動し、La+プログラムが【箱】への道筋を示すようになっている。

システム内部ではLa+とバナージの生態認証データとが密接に絡み合っており、La+のデータのみを取り出すことはもちろん、バナージのパイロット登録を取り消す事も困難となっている。

NT-Dシステムは一応、ニュータイプ・ドライブシステムというのが正式名称なのだが、ジオン勢力の温床である、ニュータイプ思想を抹殺するためのシステムであるという本質を見破った【袖つき】の首魁、フル・フロンタルによって、ニュータイプ・デストロイヤーシステムという仇名がつけられている。

デストロイモードに変身する事で、ユニコーンは驚異的な運動性能を獲得するが、強烈なGによる負担に、パイロットの身体が耐えることが出来ない(注4)との事で、デストロイモードでの稼働時間は5分と上限が決められている。活動限界となる時間が設定されている辺り、まるでどこかのウルトラマンのようである。

・・・と、いうわけで、このキットの最大の売りである、変身ギミックを見ていきたいと思う。
小説では展開する箇所の順番については特に詳しく書かれてはいないので、勇者ロボットが好きなBP君の要望どおり、足から順番に見ていく事にしよう。勇者ロボットの合体や変形は、足からするのがお約束らしいので。

なお、キットの組立て説明書には変身の手順の最初に、『変形させやすいように頭部、バックパック、脚部は外すように』とある。再現はされているが、これでは完全変形とは言わないのでは・・・?

手順は文で紹介する。変身シーンは全てロールオーバーで画像が変わるようになっている。変身のイメージを感じていただければ幸いである。

脚の変形@
ロールオーバーで画像が変わります

まず、フトモモの装甲をおこし、フレーム部分を下にスライドさせる。

次に膝の装甲を一度外してから変形させ、スネの裏側のスラスターをスライドさせる。スラスターのパーツは膝内部のフレームと連動するギミックとなっているので、サイコフレームがせり出してくるようになっている。出てきたフレームに変形させた膝装甲を取り付ける。

スネ側面のグレーのストッパーを外し、装甲を下にスライドさせる。

脚の変形A
ロールオーバーで画像が変わります

足の甲の装甲をスネ側の装甲に合うように動かし、足首を下に下げる。

くるぶしの装甲を下に向け、靴の側面のパーツを起こし、かかととつま先を動かし、ちょうどハイヒールのような形状になるように動かす。

リアスカートの変形
ロールオーバーで画像が変わります

まず、ストッパーとなっているリアスカートの中心をおこし、股関節の幅を広げる。ストッパーを元の位置に戻せば、しっかりと固定される。
リアスカートの上側を動かす事で、バーニアが展開される。

フロントスカートの変形
ロールオーバーで画像が変わります

フロントスカート、フロントスカート中心部、サイドスカートの装甲をスライドさせ、内部フレームを露出させる。

胸&腹部の変形
ロールオーバーで画像が変わります

背面のストッパーを外し、腹部を下にスライドさせ、肩の部分を引っ張り胸を左右にスライドさせる。肩口のセンサーをビームサーベルなど細いパーツでおこし、胸のダクトカバーを開く。

バックパックの変形
ロールオーバーで画像が変わります

ビームサーベルの基部をおこし、写真の位置まで動かし、左右側面のバーニア、中央のジョイント(の様なもの)を展開させる。

肩の変形
ロールオーバーで画像が変わります

装甲の上半分を上にスライドさせ、肩内部のパーツを回転させる事で横に広げる。

腕の変形
ロールオーバーで画像が変わります

手首を下に引っ張り、側面の装甲をスライドさせる。

頭部の変形
ロールオーバーで画像が変わります

両側面のパーツ、ヘルメット部分を外し、角を可動式のものに付け替える。
フェイスガードを下に開き、ガンダム顔を前面に出し、フェイスガードは内部に収納する。ヘルメットを元の通りに取り付け、側面のパーツを前後逆に取り付ける。最後に角を開いて変形を完了する。

ユニコーンガンダム デストロイモード 前 ユニコーンガンダム デストロイモード 後
ユニコーンモードよりも頭身が高くなり、肩幅や胸の幅も増したのでグラマラスな体型となっている。

筆者の拙い文章ではわかりにくい事この上なかろうが、まあ、大体こんな感じであるとだけわかってもらえれば幸いである。なお、頭部の中身はこんな風になっている。

頭の中身

角など、一部のパーツはヒンジがとても小さいので、変形させるときは破損しないように細心の注意を払っておきたい所である。

キットに付属するシールドもちゃんと展開ギミックが仕込まれている。

専用シールドの変形
展開する事で、Iフィールドを発生。ビームに対しては無敵の防御性能を誇る。
カトキ氏曰く、変身する事で機体のボリュームが増すので、シールドもそれに負けないように展開式にした。とのこと。

背中と腕部にそれぞれ装備されているビームサーベルは写真のように持たせたり、構えさせる事が可能となっている。

ビームトンファー ビームサーベル
腕部ホルスターに保持したままビーム刃を発生させる、ビームトンファー。
ユニコーンモード時にサーベルを使用する際は、腕部ホルスターからサーベルグリップを取り外して使用する。

ストライクフリーダムなどのように、可動範囲を当てにしてこのキットに手を出すと少々ガッカリするが、可動しないキットだと割り切ってしまえば、ギミックは素晴らしい・・・と、思うので一応は良キットに分類してもいいと思う。

が、なにぶん『ユニコーン』の本編はまだまだ序盤であるからして、物語が進むにつれて強化装備などを付属したキットが発売される可能性も無きにしも非ず。と、いうわけで、これから購入をお考えの諸兄は、しばらく様子を見ることをオススメしたい。

筆者個人の願望としては、強化武装の類は雑誌とか、小説単行本の付録(注5)とかにして欲しい所である。そうした方が二度もおなじMSを組立てなくても良いし、財布にも精神にもやさしいので・・・。
注4『パイロットにかかる負担』:ネェル・アーガマの艦内医療スタッフ・ハサン先生によって、NT-Dの発動時にかかる負担が軽くなっていると、バナージは3度目の戦闘の後にそう診断されている。どうやらバナージの肉体がシステムに適応し始めている結果というが・・・?

注5『小説の付録』:小説第四巻にMGキット対応のビームガトリングガンが付属した『パラオ要塞攻略セット』という限定版が2008年4月に発売された。

復活の"可能性の獣"
西暦2008年某月某日。悲劇的な事件が筆者を襲った。突然、ペットの猫がプラモデルを飾っている棚の上に飛び乗り、毛づくろいをし始めたのだ。猫の毛づくろいは結構動きが激しい。結果、猫の体が当たったプラモは全て棚から転落。「木っ端ミジンコ、ミトコンドリアだっ!」とばかりに粉砕した。

これが1/144スケールモデルであったならば、そんなに重くもないので落下しても損傷は少なく、修理するのも多少のパーツ注文で済むのだろうが、事がMGではそうもいかない。結果、クロスボーンガンダムX1 フルクロスや、ダブルゼータガンダムなど、気に入っていたMGは全て、落下の衝撃で二目と見れない無惨な姿に変わり果てたのだった・・・。当然そこには、ユニコーンも含まれていたわけで・・・。

余談ではあるが、気の迷いから買ってしまったものの、あっという間に見飽きた為、早々と収納されていたストライクフリーダムガンダムだけが、唯一無事に生き残ったMGとなった。「いっそコイツも壊れてしまえ!」と、ゴルゴダの丘で磔にされたキリストの如く、棚の上にしばらく晒してやったのだが、事件の際に厳しく叱ったのが尾を引いていたのか、犯人と目される猫は二度と棚の上に飛び乗る事はなかった。・・・虚しい。

そんなトラウマがあって、MGに対して尻込みするようになった筆者は、その代わりに1/144スケールに執着を示すようになった。「クロスボーンもダブルゼータも、HGUCで発売されればなぁ・・・」と思っていた矢先に、一筋の光明が差した。なんと、HGUCでユニコーンガンダムが発売されていたのだ!

大掃除を済ませて、年賀状を書いてしまえば、年末年始というのは結構暇なもの。と、いうわけで、【年越しソバならぬ、年越しガンプラ】ってなワケで、発売されていたHGUC ユニコーンの2モードを購入。アイドル声優・水樹奈々やAKB48を出演させる事で、オタクどもからも受信料をふんだくるという思惑が丸見えな、NHKの紅白歌合戦を見ながら聴きながら、組立てたのであった。

と、いうわけで、HGUCユニコーン(2モード)を紹介しようと思う!

今度こそ、白き神獣
ユニコーンガンダムといえば、MGはその身に隠された変身ギミックを再現するため、内部フレームから装甲に至るまで細かいパーツで構成された、まるで組み木細工のようなキットであった。組立てながら、何度も気が狂いそうになったのは、今となってはいい思い出の一つである。

ところが、MGよりもサイズが小さいHGUCでは、変身ギミックの再現なんて到底無理だっ!と、いう訳で、ユニコーンモードとデストロイモードの、2体に分けて発売されることとなった。

ユニコーン、二つの姿。
同時発売ではあるがデストロイモードの方が、HGUCの栄えあるNo'100に選ばれた。 やっぱり、"ガンダム"だからか?
ロールオーバーで画像が変わります

とはいえ、バックパックや腰部、脚部のクツ部分を二つの商品の間で流用し、共通のランナーにしたり、変身時に展開される部分をパーツの分割線にするなど、組立てながら変身の過程を感じることが出来るようになっている辺りがニクイ所である。

武器関係は、デストロイモードの方にビームマグナム、予備カートリッジ、シールド(展開状態)が、ユニコーンモードの方にハイパーバズーカ、予備カートリッジ、シールド(収納状態)、ビーム刃×2と左右の平手が付属する。

デストロイモードの付属武器 ユニコーンモードの付属武器
マグナムとバズーカはバックパックに接続する為のジョイントを内蔵。
MG同様、マグナムは右腕のジョイントに搭載する事も可能。

破壊衝動の固まりたるデストロイモードに、バズーカなんて野暮ったい武器は似合わない。マグナムは威力が高過ぎるので、ユニコーンモードでいる内はバナージ君が使いたがらない。と、いう訳で、マグナムとバズーカが分けられているのは、まぁ、良しとしよう。しかし、ビーム刃と平手がユニコーンモードにしか付属しないというのは、一体全体、どういうことなのか? おそらく、ビーム刃と平手の為だけにユニコーンモードを買ってしまった人もいる事だろう。ある意味、ユニコーンモードは武器セットといえる。

ビームトンファー
デストロイモードはサーベルラックが差し替えで展開可能となっているので、トンファー状態も再現できる。
ビーム刃はデストロイモードには付属しません!

握り拳の穴が大きすぎるのか、はたまたサーベルグリップの形に問題があるのか。ビームサーベルを持たせようとすると、手からそのまますっぽ抜けてしまうという欠点が存在する。・・・折角サーベルラックに内蔵するために四角い穴が空いてるんだから、拳の内側に凸でもあればよかったのに。

マグナムはHGUC伝統の最中割となっているので、MGのようにカートリッジの排莢・交換ギミックはないが、バズーカはパーツの差し替えで砲身の伸縮、カートリッジの取り外しを再現。背中に背負った状態にする事も可能である。

武器を背中にマウント
デストロイモードとユニコーンモード。それぞれの武器を背中に搭載してみた。

可動は、股関節にはボールジョイントを採用しているので、可もなく不可もない程度に広がる。膝は元のデザインの弊害により、二重関節を採用してあっても相変わらず90度しか曲がらない。・・・あ、でも、デストロイモードの状態でも90度も曲がるってのは、それだけでもすごいか。

しかし、肩はもはやお約束となっているHGUC νガンダムと同じ構造となっているので、MGの時と違ってマグナムやバズーカをより力のこもった感じのポーズで持たせられる。

マグナムを構える図 バズーカを構える図

合わせ目消しを行った武器はニュートラルグレーで塗装。バックパックとクツは取説のカラーガイドの指示通り、インディブルー60%+レッド35%+グレー5%で調合した塗料で塗装。バーニアとバックパックのサーベルラックは上記の塗料にさらにグレーとホワイトを足したもので塗装してある。ユニコーンモードも塗装箇所は同じくである。

デストロイモードのみに施した部分としては、頭のV字アンテナは小説本文にある通り、ゴールドで塗装。全身のサイコフレーム部分は元はクリアーパーツだったがポリキャップやパーツの裏が透けたりするのが気に食わなかったので、メタリックレッドにシルバーを10%強調合、ピンク色風のメタリックカラーを作り塗装した。

カメラアイ、武器のセンサー部分は例によってキットに付属するシールを使っている。

2010年の春先から順次発売が開始される『機動戦士ガンダムUC』のDVD&ブルーレイの展開にあわせて、HGUCではこれから先も、『UC』に登場するモビルスーツをキット化していく予定があるらしい。筆者としてはさっさと、ロンド・ベル隊に所属する可変機《デルタ・プラス》や、フロンタルが搭乗する赤い機体《シナンジュ》、などを商品化して欲しい所である! ・・・今度は猫に棚から撃墜されないように配慮しつつ、首を長くして待とうと思う。

OVAの発売を記念してか、MG ユニコーンガンダムがリメイクされるらしい。小説の初期段階ではデザインされていなかった、頭部バルカンの追加。脚部の可動範囲が拡大された物であるとの事だが、・・・今更買わんかなぁ・・・。

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