XM-X1 クロスボーンガンダムX-1 フルクロス

バンダイ 1/100MG(マスターグレード)シリーズ

価格4725円(税込)

書いた人:牡牛座黄金聖闘士HUYU


画質が悪いのはホンマカンベンしてください。
木星帝国の悪しき野望を砕くため、立ち上がれ、ガンダム!!ってそりゃ《SEED》や!!

『機動戦士クロスボーン・ガンダム』とは?

キットのレビューに入る前に、『クロスボーン・ガンダム』がいかなる作品であるのかを説明させていただきたい。
まず皆さんは『機動戦士ガンダムF91』という作品をご存知だろうか。
劇場公開作品である『F91』はこれをプロローグとして後にテレビで放映される予定であったが、残念ながら興行成績が伸びなかったため、テレビ放映の予定は中止となってしまった、不遇のガンダムである。 だがしかし、『F91』の主人公である《シーブック・アノー》とヒロイン《セシリー・フェアチャイルド》のその後を描いた作品があった。それが『機動戦士クロスボーン・ガンダム』(注1)である。
今回紹介するキット《クロスボーンガンダムX-1フルクロス》(以下フルクロス)はシリーズ最新作『鋼鉄の7人』に登場する予定(注2)の、クロスボーンガンダムの新しい形態である。
注1:角川書店刊の雑誌《月刊少年エース》の創刊と同時に連載が開始された。原作は富野監督が手掛け、長谷川祐一氏が作画を担当している。現在、海賊軍と木製帝国の戦いを描いた『機動戦士クロスボーン・ガンダム』全6巻、海賊軍の一人、《ウモン・サモン》の悲恋などを描いた短編集『スカルハート』、そして新シリーズ『鋼鉄の7人』1巻(以下続刊)が発売されている。

注2:フルクロスを装備したこの形態、実は本編にはまだ登場していないのである。(コミックスの表紙や総扉絵などには登場している。)したがって、キットに付属している武器でもコミックスには登場しない可能性だってあるという事を頭の片隅にでも置いておいて欲しい。

新旧主人公機対決!クロスボーンガンダムX-1 VS ガンダムF91

(1月某日深夜2時前、HUYUは眠るのも忘れて、模型作りに没頭。そして遂に完成させたのであった。)

牡牛座黄金聖闘士HUYU(去年の面白アニメは《涼宮ハルヒ》だけかと思いきや、《スーパーロボット大戦OG》や《コードギアス》などが放送開始し、ロボットアニメが豊作でした。今年はなにやらガイナックスの新作等で大豊作の予感…。今年も初心貫徹、ロボ道・燃え道を突っ走って行こうと思います。以下HUYU)(布団に入りつつ)「ふぁぁぁぁ…、なんかもう眠てーよ、と思ったらもう2時前か。明日も学校あるし、もう寝よ。それにしてもクロスボーンは本当にカッコいいなあ。ムニャムニャ…。」

電光勇者超特急ヒカリガイン(コイツ、自分に憑依したイマジン(注3)に何コメント求めてやがるんだか…。まぁこいつあまり友達いないし、しばらくは付き合ってやってもいいか。以下ヒカリ)「ようHUYU、久しぶりだな。」

HUYU「本当にな。このまま消えてしまえばよかったのに。

ヒカリ)「ん?今なんか言ったか? そりゃそうとこれが今回のテーマ《フルクロス》か。接近戦用に重点をおかれたMSなんだろ。何か弱そうだなあ。」

HUYU「お前今何と言った?弱そうだと?そんな事言う奴には、一撃粉砕、鉄拳制裁!T-Linkナッコォォォォッ!!」

ヒカリ「殴ったね!?親父にもぶたれたこと無いのに!!」

HUYU「殴られずに一人前になった奴が何処にいる!?って、やらすな!!」

ヒカリ「おお、ノリ良いなあ。」

HUYU「貴様に弁解のチャンスをやろう。で、何処が弱そうだと?」

ヒカリ「何か強気だな、今回。まあ良い。では言わせて貰うがな、接近戦用に重点を置かれているということは、相手に近づかなきゃろくな攻撃できないって事だろ?F91が相手だったらヴェスバーで撃墜確定じゃないのか?。」

ヴェスバー
忘れた人のためにF91のコラムから画像を持ってきました

HUYU「それは、当たるか、当たった一撃が有効な物であればの話だろ?」

ヒカリ「な、なんやて!?どういうこっちゃ!!」

HUYU「フルクロスはな、ビームに対しては絶対無敵の装備なのだよ!!装甲自体はABCマント(注4)の積層でできているから積層させた枚数分ビームに対する対弾性は跳ね上がっているし、更にIフィールドジェネレーター(注5)も装備している。ヴェスバーの出力がどれだけ高かろうがもはや相手にならないね。例えそれら装備が無くても機動性はこちらの方が勝っているから、かわせば良いというだけの話だ。」

ヒカリ「なんてこった…。あ、でもさ、機動性はこっちだって高いぜ。『質量のある残像』も出るし。ビームシールドだって標準装備だし…。」

ビームシールド
忘れた人のためにF91のコラムから画像を持ってきました

HUYU「甘い、甘いぞ。わた飴にハチミツかけて食うより甘い。『質量のある残像』確かに脅威だが、ビームシールドなら最早恐れるに足りんな。宇宙世紀130年代にはもうビームシールドが大抵のMSに装備されていて当然という状況だ。コレがどういうことか判るか?」

ヒカリ「まさか、何かビームシールド対策がなされていると言うのか!?」

HUYU「そう、その通り!!クロスボーンに装備されているビーム・ザンバーやムラマサ・ブラスター(注6)は切れ味鋭いからな。防御してもシールドごと腕が吹っ飛ぶのが関の山(注7)という訳だ。」

ビームザンバー ムラマサブラスター
確かに強力そうな接近戦用武器だ

ヒカリ「ダメだ…、到底勝てる気がしない…。」

HUYU「お婆ちゃんが言っていた…。(←本当はキンケドゥの台詞です。by射手座のロリ黄金聖闘士)パイロットが機体の性能を引き出せなければ、どうという事はない。(仮面ライダーカブト風)結局最後はパイロットの腕次第ということさ。」

ヒカリ「どういう婆ちゃんだよ!?」
注3:HUYUの夢の世界の住人、かと思いきや実はHUYUに憑依したイマジンだった!?(1月より放送開始した、《仮面ライダー電王》に登場する、怪人のベースになる精神体。人に憑依し願いを叶える代わりに精神エネルギーを喰い怪人として実体化する。)何時の間にやら契約したことになっていた。クーリングオフ、可能ですか?←無理(byヒカリ)

注4:アンチ・ビーム・コーティングマントの略。ビーム砲の直撃に対して表面が蒸発することでエネルギーを打ち消す装備。対弾性は平均で5発、長所はビームシールドと違って敵に発見されにくいことと、エネルギーを喰わないので稼働時間を延ばせることにあるようだ。

注5:その歴史は意外と古く、『一年戦争』(機動戦士ガンダム)の頃から実用化されていた装備。昔は大型だったが宇宙世紀130年代には小型化に成功。MSの腕に仕込めるほどになっている。

注6:ビーム・ザンバーはクロスボーンガンダム系列のMSに共通で装備されている武装。要するに強力なビームサーベルである。バスターガン(ビームピストル)と合体する事でザンバスターというビームライフルとしても用いることが可能なマルチプルウェポンである。
ムラマサ・ブラスターは元々は《クロスボーンガンダムX-3》に装備されていた武器で、本体外縁部に7対、計14基のビーム発生器と先端部にビームガンを内装している。ビームガン銃口からビーム刃を形成し、Zガンダムのようにロング・ビームサーベルとしても使用できる。

注7:《クロスボーンガンダム》のコミックスにこのように描かれているシーンが存在する。(コミックス4巻『クロスボーンVS F91』参照)やられた相手はガンダムF91(量産型だけど。)どちらも好きなMSなので、なんか複雑な気分である。

死地からの復活!新装クロスボーン・ガンダム

このキット《フルクロス》は昨年バンダイより発売された《MGクロスボーンガンダムX-1(Ver,Ka)》にフルクロス等の追加パーツがプラスされた、同社お得意の「金型流用+αキット」である。しかし1000円も価格を吊り上げるだけあって追加パーツもなかなか満足度の高い物になっている。また、《Ver,Ka》の頃のパーツもほぼそのまま付属しているので、初登場時の《クロスボーンガンダムX-1》(ただしクロスボーン・バンガードのマーキング、ABCマントは付属しない)、フロントスカートのシザーアンカーを廃止、リアスカートをスクリューウィップ内臓式に換装した《X-1改》、右フロントスカートにシザーアンカー、左リアスカートにスクリューウィップを装備、胸にドクロレリーフを掲げる《X-1改・改(スカルハート)》など、コミックスに登場するほぼ全ての形態に組み替えることが可能となっている(注8)。

シザーアンカー発射!
接近戦用にチューンされている為、乗り手を選ぶマシン。それがクロスボーンガンダム

木星帝国の新型MSに対抗するため、新しい装備が開発された。
スクリューウィップが搭載されたX-1改

海賊軍を抜けたキンケドゥからトビアへ、その志と共に機体は引き継がれた。
胸にドクロを掲げるその姿から誰言うとも無く《スカルハート》と呼称される機体


クロスボーンガンダムX-1(注9)

クロスボーンガンダム X-1改・改
海賊を思わせるMS

頭部(ヘルメットやフェイス)パーツや胸に取り付けるドクロのレリーフがコミックス版のデザインに準拠した形状に変更されている。しかし、フルクロス装着の際に取り付けるアンテナのために側頭部に穴が空いているので、気になる人はヘルメットパーツをもう1セット用意してパテで埋めるか、《Ver,Ka》のパーツを利用して改造すると良いだろう。
プロポーションの方はかなり良好だが、各部のディテールが《Ver,Ka》のままなので、気になる人はパテ等を用いて埋めると良い。コミックスでは描かれているフロントスカートの二本線が何故かキットでは再現されていないので、コミックス版を追及したいのならば忘れずに追加してあげよう。

フェイスオープンは設定どおり差し替え無しで行うことが可能だ。

敵の意表つくこと間違いなし!
ドクロベー様を頭部に掲げる、やたら凶悪な面構えのガンダム。
合言葉はやっぱり「お仕置きだーべー」!?
ロールオーバーで画像が変わります

だがその為に細かいパーツがかなり多くなっているので、パーツの切り取りや組み立てには細心の注意を払っていただきたい。頭部に取り付けるドクロのレリーフやフェイスガードなど細かい部品は切るだけで冷や汗ものである。また、このキットは《MG F91》同様ポリキャップを使用せず、間接軸などは全てABS樹脂製のパーツとなっているが、パーツ同士のかみ合わせが硬い部分があり、失敗すると分解に手間取る上に下手したら破損してしまう。かく言う自分もフロントスカートアーマーの可同軸のはめ込みに失敗し、分解しようとしたら白くひび割れてしまった。残念なことこの上ない。
また《MG F91》に付属するラフレシア・スタンドに飾ることも出来るが、元々かなり目立つ存在だし、あまり嬉しいギミックとは思わないぞ。普通のスタンドを付属しようとは考えなかったのだろうか。

※撮影に使用したスタンドは《バンダイプラモデル アクションベース ブラック》を使用している。キット付属の物ではないので注意。

コアファイター


特徴的な形状のコアファイター。

イメージ通りに機首が変形、クロスボーンガンダムの背中に合体することができる。またキャノピーはクリアパーツでアンダーゲート方式を採用しているので、ゲート跡も目立たなくなっている。背中から4方向に伸びる特徴的なメインスラスターは稼動範囲が広く、設定通り折りたたんだ状態にも出来る。

スラスター先端部分も可動

スラスターを集中させた状態
海賊旗の骨クロスを思わせるメインスラスター
何と、ここまで可動する

ただし、本体とコアファイターのロックがかなり丈夫なので、一度合体させると上半身を分解しなければ取り出せない。

何てことだ…。
ここまで分解しないと取り外せません。まさに脱出装置


フルクロス

今回の目玉商品(?) 今回の目玉商品(?)
分厚いコートのような装備。

おそらくこのキットの最大の見所といえる追加パーツ。裏表のパーツはもちろん、各部のダクトまで色分けされているので、ストレート組みでも十分にカッコいい。装着すると立て襟の分厚いコートを纏った様な姿になる。

前 後
フルクロス装備形態
まるで海賊の親玉みたいですね

かなりでかいパーツなので可動に干渉しないかという心配もあるだろうが、コレ自体が幅広い可動範囲を持ち、また本体肩部装甲の可動と相まって、腕の可動が妨げられる事はあまり無いようだ。また、肩部のドクロレリーフはボクシンググローブのように手に装着が可能となっている。何の意味があるんだか

豪熱!マシンガンパンチ!!
これはどこのネオアメリカ代表MFですか?

ちなみに胸部分に取り付ける装甲はコミックス版では描かれていない様に見える。(正確には取り付ける位置がコミックス版とMGとでは異なっているのだ。)
どういう訳か調べてみると、以前発売された《GUNDAM FIX FIGURATION(GFF)》シリーズの《クロスボーンガンダムX-3》が《X-1改・改》に換装可能になっており、同商品に付属するフルクロスには今回のMGと同じデザインで胸部パーツが装着されている。MGの方がGFFに準拠したのであろう。
(武器などのセット内容もGFFに準拠していると見られる。)
原作のイメージを重視したいなら改造しても良い部分だが、装着しないだけでも手軽にコミックス版に見えるのでお勧めしたい。むしろ付けない方が腕の可動に干渉しないので個人的には良いと思っている。

フルクロス装備形態
胸部増加装甲は別に無くても気にならない。腕の可動域も広く取れるし。


ここからは付属する武器の紹介だ。

ムラマサブラスター

武器セットその1
「ピーコックスマッシャーだけ裏表逆…。」
「お仕置きだーベー」
「ドクロベー様、お許しくださいませー!ヒ〜…。」

今回新規に付属した武器の一つ。柄の部分に取り付けるドクロレリーフは、本体に取り付けるパーツ同様、コミックスの作画に準拠した『ドクロベー様』になっている。大きさの割に片手でも保持しやすい。しかし先端部分が取り外し可能なのにロング・ビームサーベルが付属しない《クロスボーンガンダムX-3》をキット化する際には忘れないで頂きたい部分だ。

ピーコックスマッシャー(注10)
イメージ通りに開閉することが可能で、見た目も悪くないのだが、その形状とパーツ数の多さから前が重くなってしまい、非常に保持しにくい。また、雑誌等掲載時の試作品では両端の黄色い部分も折り畳むことが出来たのに、パーツ形状の都合により、不可能になってしまっている。プロポーション以外は欠点だらけである。
なお、パーツを全て取り外すと、ピーコックスマッシャーに改造される前(?)の銃になる。

ランダムシュート!! ランダムシュート!!
重いから、両手でないと支えきれません。(上の片手で持った画像では、かなり無理して持たせてます。)


ビームシールド
ブランドマーカーを展開することで発生するという設定のシールド。《Ver,Ka》には付属していなかったが、今回新規パーツとして付属した。先に発売された《F91》や《ストライクフリーダム》のビームシールド同様PET素材で薄く成型、グラデーション塗装が施されている。ただし軟質素材のパーツ同士で固定するので、かなり組みにくかった。

俺にビームシールドを使わせたのは、お前が初めてだ!
ちなみにキンケドゥさんは、このビームシールドを用いて大気圏突入しました。


各種武装

武器セットその2
全てX-1の機体各部に内装されている武器です。まさに歩く武器庫だな。

上記に挙げた武器の他に、ザンバスター(ビームザンバー+バスターガン)、スクリューウィップ×2、ブランドマーカー×2(ビームシールドと同じ位置に取り付ける)、ヒートダガー×2、シザーアンカー×2(フロントスカートアーマーが変形する。)、ビームサーベル×2と、豊富な武器が付属する。
ザンバスターは設定どおりビームザンバーとバスターガンに分離する機構を再現、スクリューウィップはリード線で再現されている。スクリューウィップとヒートダガーは柄の部分を本体各部分に収納することができる。また、ヒートダガーは取り外した刃の部分を足の裏に装着することも可能だ。ちなみに《Ver,Ka》の頃に指摘されていた「ビームザンバーが保持しにくい」という弱点は解消されているようだ。

ザンバスター
数少ない射撃武器

ビームサーベル
おなじみのビームサーベルは胸の部分に内蔵

飛び降りろ!コクピットを潰すぞ!!
ブランドマーカー
クロスボーンガンダムの装備の中ではヒートダガーとビームザンバーの次ぐらいに使用頻度高いのでは?

ライダァァァ、キィィィック!! ヒートダガー
左右の足に2本ずつ格納されているヒートダガーは足の裏からも射出可能。
敵機体の頭を踏み台にするついでにセンサー系統も潰していくぞ。

総評
難点といえる部分も多々あるが、なかなか組み立て甲斐、いじり甲斐のある良キットであると言えよう。…多分。
つい最近発売した《HG シビリアンアストレイ》など、バンダイはプラモデルのポリキャップレス化に積極的なようだが、ポリキャップとABS樹脂では時間を経た際の保持力に差が出るのは明白なので、ポリキャップレスはバンダイの失策と言えよう。かと言って、一回り小さいポリキャップなんて物を採用すれば、おそらく組み立て時に生じるストレスは多大なものとなり、それはそれで非難されることとなろう。
「バンダイのプラモデルは今、一つの岐路に立っている。」クロスボーンガンダムを組み立てて、そのように感じた訳で…。
注8:出来ないのは機体各部を《X-3》のパーツに換装した《X-1パッチワーク》ぐらいであろう。

注9:元は海軍戦略研究所(サナリィ)が開発した試作MSで正式な型式番号は「F-97」。実戦データを収集するため、宇宙海賊として再興したクロスボーン・バンガードに極秘裏に譲渡される。型式番号はその際、製造元不明とするために「XM-X」に変更された。尚サナリィは、クロスボーンガンダムの制式採用機として《F97-E フリント》を開発、連邦軍に売り込もうとしていたが、木星帝国との戦いが地球圏にまで及んだため、クロスボーンガンダムの存在が連邦に露見し、《フリント》を売り込む訳にはいかなくなり、赤字を抱えてしまう。

注10:海賊軍残党がジャンクパーツを組み合わせて作成した武器。扇状に展開することで9発のビーム砲を広域に放つことが可能となっている。ピーコックとは孔雀のことで、扇状に開く雄の孔雀の尾羽をイメージして名付けられたとされている。

『機動戦士クロスボーンガンダム』

宇宙世紀133年、地球圏から最も遠く離れた人類の生活圏である木星圏において、当事者達以外には誰にも知られていない戦いがあった。《ベラ・ロナ》(注11)を筆頭に再興したクロスボーン・バンガード(以下海賊軍)と、木星帝国(ジュピターエンパイア)の戦いである。
地球からの交換留学生の一人として木星圏にやってきた主人公《トビア・アロナクス》は木星帝国の目的が地球侵攻であることを偶然知り、殺されそうになった所を海賊軍のエースパイロット《キンケドゥ・ナゥ》(注12)に助けられる。トビアは密航者として帝国軍兵士に追われていた謎の少女《ベルナデット・ブリエット》(注13)と共に海賊軍に参加。多くの戦いを通じて人として、ニュータイプとして成長していく。
その後、海賊軍と木星帝国の戦いの波は地球圏にまで及び、地球連邦軍と木星帝国の武力衝突に発展する(木星戦役)。この戦いの中で海賊軍は木星帝国総統《クラックス・ドゥガチ》を倒し、戦いは終結した。
注11:海賊軍の母艦《マザーバンガード》の艦長。10年前、コスモバビロニア戦争を終結に導いた彼女は、コスモバビロニアと木星帝国が裏で繋がっていた事を知る。そして父の下を去ることで取り戻した《セシリー・フェアチャイルド》の名を捨て、再び《ベラ・ロナ》として戦うことを決めるのだった。

注12:クロスボーンガンダムX1のパイロットを務める、海賊軍のエース。キンケドゥという名は偽名で、本名は《F91》の主人公《シーブック・アノー》。セシリーの名を捨て戦う彼女を支えるために自身も名を捨て共に戦う事を誓う。木星戦役終結後は2人で海賊軍を抜け、2人にとっての本当の名を取り戻す。その際トビアに託されたX-1は胸にドクロのレリーフを取り付けられ、《スカルハート》と呼ばれるようになる。

注13:実はクラックス・ドゥガチの娘で、本名を《テテニス・ドゥガチ》という。父が滅ぼそうとする地球がいかなる星かを確かめるため、交換留学生の艦に密航するが、海賊軍と帝国軍の戦闘に巻き込まれ、マザーバンガードに乗り込んでしまい、以降行動を共にする。周囲の人曰く「体が小さい上に何処も出っ張ってないから何処にでも潜り込める。」らしい…。ちなみに宇宙世紀136年現在で17歳…。長谷川祐一氏ってば実はロリコ…ゴホン、ゴホン。

『鋼鉄の7人』

ドゥガチを倒した事で戦争は終結したが、それによって木星帝国が変わった訳でも、ましてや戦いの火種が消えた訳ではなかった。

宇宙世紀136年、木星帝国から脱走、逃亡中の所を海賊軍残党に保護された女性《エウロペ》(注14)によってもたらされた情報は、地球人類を絶望の淵に立たせるのに十分なものだった。ドゥガチが地球侵攻の切り札として用意していたその計画は、今もその準備が着々と進行しているというのだ。
「神(ゼウス)の雷」と名付けられたその計画は「木星で建造されたコロニーレーザーで6億km離れた地球を直接攻撃する」というものだった。
計画実行までのタイムリミットは2週間。さらに確実に阻止するためには7人の腕利きパイロット(注15)と機体が必要となる。しかし、作戦の鍵となるはずだったサナリィの新型MS《F99 レコードブレイカー》(注16)は木星帝国の新総統の半身《影のカリスト》(注17)の手によって全て破壊されてしまう。
誰がどう見ても絶対的に不利と思われる状況の中、まだ希望は残されていた。アナハイム・エレクトロニクスが開発したMS《イカロス》(注18)である。
しかし、実験中に地球に墜落したその機体は現在行方不明。更に『神の雷』計画の妨害を恐れる木星帝国も、破壊するために探索しているのだった。
注14:クラックス・ドゥガチの後妻で、ベルナデットの義理の母。基本クールな人だが、全然出っ張ってないベルナデットの身体を見て「もっと子供のうちに栄養のある物を食べさせるべきだったか」と心配する、母親らしい(?)一面も持つ。

注15:近距離戦用の機体×2、援護する砲撃戦用の機体×1、それらが最低でも2チーム、そして全体を統括し指揮する機体×1で7人のパイロットが必要になるという。もうお気付きかと思うが、タイトルにもなっている『鋼鉄の7人』とは、木星圏に向かう作戦メンバーの7人の事である。

注16:クロスボーンガンダム(F-97)の存在が連邦に露見、赤字を抱えてしまったサナリィが社運をかけて開発した、ミノフスキードライブ(光の翼)を搭載したMS。計算上では地球ー木星間を1週間で飛べるという。実は開発メンバーの中に『機動戦士Vガンダム』の主人公《ウッソ・エヴィン》の母、《ミューラ・ミゲル》らしき人物がいる。

注17:エウロペの実の弟で「ドゥガチの後妻の弟」という立場を利用し、木星帝国の新総統の座に就く。ニュータイプを超える能力を持ち、木星圏にいる兄『光のカリスト』とは常に心で繋がっているという。(《機動新世紀ガンダムX》に登場する《フロスト兄弟》みたいなものか?)

注18:アナハイム・エレクトロニクス社が、F-99を模倣して開発したとされる機体。ちなみにイカロスとは蝋で固めた翼で空を飛び、太陽の熱で翼が溶け墜落してしまったという神話上の人物。サナリィが墜落事故に皮肉を込めてこのコードネームを付けた。


イカロス探索のため、地球に降りたトビア達は、かつては敵として戦った元帝国軍特殊部隊《死の旋風隊(デス・ゲイルズ)》の三人(ギリ、バーンズ、ローズマリー)に助力を求める。また、木星戦役終結後にアナハイム社でテストパイロットを務めていたというローズマリーによって、イカロスの所在地とその正体が明かされる。イカロスとはかつて地球上空で大破した海賊軍の母艦《マザー・バンガード》のミノフスキー・ドライブユニットを回収、それをMSに装着した機体であったのだ。
イカロスを破壊するべく再びトビア達の前に現れる影のカリスト。圧倒的な機体の性能差と実力の差に翻弄されながらも、辛くも勝利を収め、イカロスを守り切ることに成功する。
しかし『神の雷』計画が発動されるまでの残された時間は短い…。

はたして『鋼鉄の7人』集まるのか? もしかしてキンケドゥがメンバー入りするのか?(※筆者の妄想です。鵜呑みにしないように) っていうか《フルクロス》はいつになったら登場するのか? そしてトビア達は『神の雷』計画を阻止することが出来るのか?

気になる続きはガンダムエース誌上で連載中の『機動戦士クロスボーン・ガンダム〜鋼鉄の7人〜』を読もう!!

昔の話だ、忘れろ。(MG ガンダムF91のコラムへ)

木星帝国は、あれから全く変わってはいないぞ。テテニス。(もどる)