ROBOT魂 ダブルオークアンタ

バンダイ ROBOT魂(SIDE MS)シリーズ

定価:3990円(税込)

クアンタムバーストモード 定価:4725円(税込)(魂WEB商店限定)

ブラックライト台座セット 定価:7350円(税込)(魂WEB商店限定)

エルスクアンタ 定価:4410円(税込)(魂WEB商店限定)

ROBOT魂 ダブルオークアンタ
ガンダム00完全完結!
来るべき対話を実現させよ!

激突!00Qパワーの戦士たち
2009年3月に堂々完結を果たした『機動戦士 ガンダム00』のテレビシリーズ最終回で、木星を背景に完結編と銘打たれた劇場版の告知が行われた。この劇場版はセカンドシーズンの人気を受けて制作され、『機動戦士ガンダムF91』以来19年ぶりの完全新作のガンダムの映画として2010年9月に上映された。

ソレスタルビーイング号でのリボンズとの激闘の後、アロウズは解体され新政府が発足していた。新政府はコロニーとの融和政策を実施し、人々は平和を享受していた。しかし、そんな時代にあってもソレスタルビーイングは密かに活動を続けていた。平和が訪れたとはいえ、小さな争いの火種は残っており、彼らはヴェーダから送られてくる情報をもとにして、その火種の火消しを行っていたのだった。

政府が融和政策を行っている以上、ガンダムによる表立った武装介入は事を荒立てるだけになるということで、ソレスタルビーイングは新たな世界を静観し続けていた。しかし、いざという時は再びガンダムで武力介入しなければならなくなるということで、裏で新型のガンダムを開発していた。

リボンズとの最終決戦の際に、ソレスタルビーイングは所有している太陽炉を3機失ってしまっていた。特に、ツインドライブを稼働させていたダブルオーガンダムの太陽炉の代替品となる太陽炉の開発は急務であった。そこで、ツインドライブに使用することを前提に新型の太陽炉の開発を行い、人員と時間が少ない中2年で専用太陽炉が完成、リンダ=バスティがソレスタルビーイングの偽装ドックに搬入を行っていた。そして、その傍らにはイノベーターに進化を遂げた刹那専用のガンダム、ダブルオークアンタがMSハンガーでロールアウトを控えていた。

この『劇場版 機動戦士 ガンダム00 - A wakening of the Trailblazer -』は、ガンダムシリーズとしてはある意味禁じ手を繰り出してきた。これまでのガンダムシリーズは、人間同士による「戦争」を描いてきたが、この劇場版では人間同士の戦争ではなく、地球外生命体の飛来がメインテーマになっている。ガンダムシリーズは異星人とは戦わないということが普通のロボットアニメとは違う点であったが、テレビシリーズで人間同士の争いは決着がついてしまったということで、物語の中で伏線として貼られていた「来るべき対話」をやろうというのがこの映画の目的である。

この劇場版で戦うことになるのが、ELSと呼ばれる金属生命体である。この金属生命体は、数百年前の木星探査船、エウロパにとともに、地球圏に飛来してきた。この探査船は、先の戦いで同じく純粋種に覚醒したデカルト=シャーマン駆る巨大MA、ガデラーザによって破壊されたものの、破片が地球に飛来した。飛来した破片は地上の機械を暴走させ、脳量子波を発する人間に次々と襲っていくのだった。

この、未知の生命体との対話というテーマから従来のガンダムファンからいろいろと物議が醸し出されはしたが、劇場版の名に恥じない作画と戦闘シーンにより、一定の成功は収めたと言える。敵が金属生命体であることと、その映画の衝撃的なラストにより、上映当時のネットの掲示板では『激突!00Qパワーの戦士たち』とやゆされたりもしていた。(注1)
注1 元ネタは『ドラゴンボールZ 激突!100億パワーの戦士たち』。この映画では前作の映画で悟空に敗れ去ったフリーザの兄、クウラがメタル化してZ戦士たちに襲いかかってくる。
New Hope -QAN[T]-
敵が金属生命体ということもあり、劇場版でのプラモデルの展開は非常にさびしいものだった。プラモデルの発売は、金型流用のダブルオーライザー(GN粒子貯蔵タンク)と新型ガンダムの4種、そしてグラハムのブレイブとそのバリエーションのみ。テレビシリーズの様に量産機のジンクスWは発売されなかった。

対するROBOT魂では、刹那のガンダム以外は製品化されず、今回紹介するダブルオークアンタとブレイブしか発売されなかった。ROBOT魂側は、このころ同時展開していた『機動戦士 ガンダムUC』の製品を精力的にリリースしており、上映期間の短い劇場版までは手が回らなかったのだと考えられる。

今回は、プラモデルではなく完成品であるROBOT魂 ダブルオークアンタを紹介することにしよう。

ROBOT魂 ダブルオークアンタ 前 ROBOT魂 ダブルオークアンタ 後
エクシアとダブルオーガンダムのデザインを足して2で割ったようなデザインのダブルオークアンタ
ダブルオーライザーと同じく、ガンダムを超えたガンダムなので「ガンダム」の名前は取り払われている

ダブルオークアンタのデザインは、刹那の最初の搭乗機であるガンダムエクシアにとんぼ返りしたかのようなシンプルなデザインとなっている。ダブルオーガンダムでは両肩に装備されていた太陽炉は、肩のバインダーと胸に装備されるようになった。

ROBOT魂シリーズは、HGのプラモデルと比べると少し身長が低く、一緒に並べにくかったものだが、このダブルオークアンタはHGとほぼ同じ大きさである。よって、HGのソレスタルビーイングのガンダムと並べても謙遜がないため、筆者はプラモデルではなくアクションフィギュアを優先させた。

HG ダブルオーライザーとの比較
HGと同じ縮尺なため、発売されていない機体はプラモデルで並べるのも手

HG ダブルオークアンタは持ち手のパターンが1種類しかないため、設定画にあるようなGNソードXの持たせ方ができないが、ROBOT魂では持ち手は右手に限り2種類存在し、片方が傾いているため設定画と同じ持たせ方が可能となっている。ただし、肩のバインダーの可動はHGの方が勝っている。ROBOT魂では、接続軸が1本足りずバインダー本体を前方に向けて持ち上げることができない。一長一短があるため、プラモデルを買うかROBOT魂を買うべきかは各個人の好みによるだろう。

軸のアップ
バインダーの可動軸が微妙に足りないROBOT魂

肩のバインダー内にある太陽炉はクリアパーツで再現されている。しかも、背中の太陽炉とバインダーの太陽炉をつなげた状態も再現することができるようになっている。これは、後で紹介するクアンタムバーストモード時に生きてくる。

バインダーの太陽炉 背中の太陽炉とつなげた状態
装甲は外れないものの、やろうと思えばノーマルモード単体でもクアンタムバーストの再現は可能

これまでの刹那が使用したガンダム同様、ダブルオークアンタはGNソードXによる格闘戦を得意としているが、イノベーターに覚醒した刹那用に新たな武装が施されている。まず、ダブルオーライザーを彷彿とさせる左肩のバインダーには、3種類のGNソードビットが2機ずつ、合計6機搭載されている。

GNファング
空間把握能力が向上したことにより、GNソードビットが追加
リボンズ同様にファングを利用したオールレンジ攻撃が可能となった

このGNソードビットは攻撃にも防御にも使用することができる。6機のGNソードビットを円形に配置することでGNフィールドを展開し、敵の攻撃を防ぐことが可能となった。ROBOT魂では、このGNファングを円形に配置するためのパーツが付属しており、別売りの魂STAGEに装着することができる。

GNフィールド発生
円形のクリアパーツにGNソードを付けていく
劇中通りにしたい人は、クリアグリーンで塗装するのも手

GNソードビットを取りつけるパーツはボールジョイント接続となっているため、表情を付けることも可能である。また、この円形パーツ基部にも可動軸が設けられているため、機体の下部にGNソードビットを配置することもできる。また、ROBOT魂オリジナルギミックとして、GNソードビットに装着可能なビーム刃が用意されている。

ビーム刃を使用したところ

このGNファングは、GNソードXと連動しており、GNソードXと合体することで威力がより増したGNバスターソードにすることができる。また、先端部を開いた状態はGNバスターライフルと呼ばれ、トランザムライザー同様にライザーソードを使用することが可能となる。

ROBOT魂では、GNソードXを専用のパーツと交換しGNソードビットを貼りつけていくことでこの2形態を再現することが可能。

GNバスターソード GNバスターライフル
シンプルなGNソードXが巨大な大剣に早変わり

単体の可動範囲はROBOT魂らしく非常に広くなっている。付属のコネクターを使えば魂STAGEにも接続が可能。

魂STAGEに取り付けたところ

これらの強力な武装が追加され、本気を出せば襲来したELSの大群を1週間でせん滅できるほどのスペックを誇るダブルオークアンタだが、実のところ戦闘用に作られたわけではない。トランザムライザーがテレビシリーズ最後に見せたトランザムバースト同様、高濃度のGN粒子を散布し、人々の意思をつなげるのが目的の「対話」用の機体である。これまでのガンダム同様、ダブルオークアンタもトランザムを発動させることが可能で、さらに肩の太陽炉と背中の太陽炉を直接つなぐことで、トランザムバースト以上の高濃度GN粒子を散布することが可能となった。

この状態は、クアンタムバーストモードと呼ばれ、機体がGN粒子と同じ緑色に輝く。このクアンタムバースト時は、各部の装甲をパージしGNコンデンサー内に溜まったGN粒子を完全に開放する。このクアンタムバーストで、人々の意志をつなぎ、戦いをやめさせるのがこの機体の本当の能力である。

この状態をいち早く再現したのがROBOT魂シリーズである。ROBOT魂では、クアンタムバーストverと銘打ち、ダブルオークアンタのバリエーションとして魂ウェブ商店限定で2011年4月から受注が開始された。このクアンタムバーストverは、単品販売とブラックライトの台座がセットになった物の2種類が発売された。ブラックライトverではGNコンデンサー部がライトの光が当たることにより発行しているように見えるという優れものだった。ちなみに筆者は予算の都合により、単品を購入した。

このクアンタムバーストverは、ダブルオークアンタを基にして各部を新規造形されている。パージされた装甲はクリアグリーンで再現されており、クアンタムバーストを発動して装甲をパージする瞬間が再現されている。

クアンタムバーストver 前 クアンタムバーストver 後
装甲をパージした瞬間を再現したクアンタムバーストver
一部装甲は新規造形となっています。

クアンタムバーストモードになったことにより、胸や各関節のGNコンデンサーがせり出した状態になっている。パージされる足首パーツは斜めで固定となっているため、立たせることができない。というわけで、デフォルトで透明の魂STAGE ACT5が同梱されておりディスプレイするときはこの魂ステージを使用する。

このクリア―パーツの装甲はもちろん取り外すことができ、設定画にあるフレームだけのダブルオークアンタも再現することが可能。

装甲をパージしたところ 前 装甲をパージしたところ 後
最強形態が骨だけのダブルオークアンタ・・・
裸になって話し合おうというコンセプトなのだろうか

このフレームだけになった状態を再現するため、下半身のパーツはすべて新規造形となっている。通常のダブルオークアンタと違い、太ももが大型化し腰パーツも大型化している。骨だけの状態になっても細く見えすぎないようにという配慮だろう。

通常のダブルオークアンタと同じく、GNソードビット用の円形パーツが付属している。ソードビットを機体下部に円形に配置することで、クアンタムバーストを発動した状態を再現することができる。

クアンタムバースト発動!

ただ、GNバスターソード用の刃が同梱されていないので、劇中のワープ再現をする時はダブルオークアンタからその刃パーツを持って来なければいけないのがネックである。また、各部装甲はクリアパーツとなっており、特に膝の装甲は細い軸による接続となっているので軸を折らないように気をつけよう。

さらにクアンタムバーストモードの限定発売から1年後の2012年12月には、ELSと同化したダブルオークアンタ、エルスクアンタが同じく魂ウェブ商店から発売された。これはELSとの相互理解を果たし、彼らの本星へと向かったダブルオークアンタがクアンタムバーストのときパージした装甲をELSと同化することで補った姿である。

これは映画の最後の無数の花を咲かせるワンシーンで登場した姿である。本当にチラ見せ程度の登場にすぎなかった姿であるが、映画作成時にちゃんと設定画も用意されており、模型誌でも紹介されている。本製品は、その設定画に基づいた姿で造形されている。

ROBOT魂 エルスクアンタ 前 ROBOT魂 エルスクアンタ 後
クアンタムバーストで失った装甲をELSで補ったダブルオークアンタ最後の姿
金属生命体と同化したことで有機的な曲線を主体とした造形となっている

上半身のアップ
胸の太陽炉周りにクアンタの面影が残っている

ELSと同化したことにより、機械的な角ばったデザインから有機的な曲線を主体としたフォルムに変更されている。特に元のクアンタから大きく変わった点は翼のようなフォルムの触手である。この触手はELSで構成されているため自在に形を変えることが可能である。

背中の触手
背中にのびる触手はクリアパーツにグラデーション塗装を施して造形されている
各触手の根元はボールジョイント接続なので角度変更が可能

さすがにフィギュアでは物理上自在に形を変えることは出来ないので、設定画の配置を基に造形されている。ただ、接続軸がやや硬めなので取り付ける際にはクリアパーツの触手を折ってしまわないように気を付けよう。

また、オプションとして初めて小型ELSが立体化された。

小型ELS 小型ELS

小型ELS
ELSが初めて立体化!付属の魂STAGEに展示することも可能

劇中で襲いかかってきた小型ELSの3種類が付属しており、後の円錐状のパーツを取り外すと魂STAGEに接続することができる。このELSとエルスクアンタを同時にディスプレイできるように魂STAGEとELS展示用の支柱もセットで同梱されている。

また、ROBOT魂オリジナルのギミックとしてこれらのELSを武器に見立てて取り付けるためのクリアパーツも付属している。

ELSを手持ち武器にしてみたところ
ELSをランスに見立てて手持ち武器にすることが可能

このように、HGと同じ大きさでこれだけのクオリティのものが自分の手を動かさなくても手に入るということで、筆者の様に仕事などでお忙しい人はROBOT魂版を購入することをお勧めする。そう言えば、ここ数年完成品に慣れ切ってしまってプラモデルは一切作っていないような・・・。

The Battle of Strangers
ガデラーザの活躍により、惑星探査船の地球落下は防がれたが、その破片が地上に混乱を招いた。ELSは脳量子波を放つ人間をターゲットに襲うということで、マイスターを引退したアレルヤとマリーの下に忍び寄った。間一髪のところをロックオンに救われた二人は再びガンダムマイスターとして戦うことを決意する。

マリーとアレルヤが合流したことにより、ELSは破壊されたはずのエウロパに偽装し、プトレマイオスUに忍び寄ってきた。マイスターたちは、新型のガンダムでエウロパの迎撃作戦に出た。ロックオンは新型のガンダムサバーニャで、アレルヤとマリーは複座式のガンダムハルートで、そして刹那は急場しのぎの粒子貯蔵タンク搭載のダブルオーライザーでエウロパの迎撃作戦を開始した。

出撃する刹那
スメラギ「刹那、わかってはいると思うけどダブルオーライザーは太陽炉の代わりに粒子タンクを増設した急場しのぎの機体よ。
絶対に無理はしないで」

刹那「了解!ダブルオーライザー、刹那=F=セイエイ、出る!」

エウロパから出現したのは、円錐状の金属生命体であった。この円錐状の生命体は、ミサイルを取りこみ、さらにガンダム以上の機動力でマイスターたちに襲いかかるのだった。

ほかのマイスターらが苦戦する中、刹那はELSから何かを感じ取り攻撃を繰り出すことはできなかった。攻撃できないでいるうちに、ELSはダブルオーライザーに取りつき、同化を開始した。窮地に追い込まれた刹那を救い出したのは、ティエリアが駆るラファエルガンダムであった。ティエリアはトランザムを使用し、ELSの大群をなぎ払ったのだった。

ティエリアが復帰した後、木星では大異変が起きていた。木星の大赤斑からワームホールが出現し、おびただしい数のELSが出現したのだった。ELSが大量に出現したことにより、連邦軍はデカルト=シャーマン率いる迎撃部隊の派遣を決定、ソレスタルビーイングも木星に向かうのだった。

連邦軍の迎撃部隊は、火星宙域でELSの大群と激突した。ELSは、迎撃部隊のMSと艦隊を取りこみ、瞬く間に迎撃部隊を壊滅させてしまった。またガデラーザも得意の火力でELSを圧倒するも、大型ELSの奇襲攻撃でガデラーザ本体もELSに飲み込まれてしまった。

その現場にマイスターたちが到着。刹那はガデラーザの最後を看取ると、急場しのぎの機体にかかわらずライザーシステムを作動させELSとの対話を試みた。

トランザムバーストを発動させるダブルオーライザー
赤ハロ「ライザーシステム作動、ライザーシステム作動」

ティエリア「ELSとの対話をここ見るつもりか!?」

ELSに問いかける刹那
刹那「お前たちは何者だ?何を求めてここに来た!?答えろおおおお!

トランザムバーストの作りだす意識共有領域でELSに接触しようとする刹那。しかし、あまりの情報量の多さに刹那は飲み込まれてしまった。錯乱した刹那をよそに、ELSがダブルオーライザーを浸食しだした。刹那の救援に向かうロックオンたちだったが、数の多さに圧倒される。マイスターたちが苦戦している間に、ダブルオーライザーのGN粒子が尽きてしまった。

それを受けて、ティエリアはラファエルガンダムのバックパックをセラヴィーへと変形させ、自らは脳量子波を使用してELSをおびき寄せた。セラヴィーがダブルオーライザーのコクピットブロック強制的にはぎとり、ロックオンに回収させる。その様子を確認したティエリアはトランザムを発動させてラファエルガンダムを自爆させ、まとわりついていたELSを己の身と引き換えに倒したのだった。

トランザムを発動させ、離脱を図るサバーニャとハルートだったが、ELSはトランザムを発動させている2機に追いつくほどの機動性を見せた。ELSがサバーニャに追いつこうとしたその時、グラハム=エイカー率いるソルブレイブス隊が増援として合流し、サバーニャに追いすがっていたELSを撃破した。

グラハムの協力もあり、ソレスタルビーイングは何とか撤退することに成功した。だが、刹那はELSと意識共有を図った際に脳細胞に損傷を負い、意識不明の昏睡状態となってしまった。

刹那が戦線離脱しソレスタルビーイングに混乱が走る中、木星からは月とほぼ同じ大きさの超大型ELSが出現し、地球圏目指して移動を開始した。人類存亡をかけた大きな戦いが今始まろうとしていた。

Final Mission
地球圏を目指すELSを迎撃するため、カティ=マネキン准将を司令官に連邦政府は絶対防衛線を引いた。しかし、ELSの数と学習能力に押され防衛線は次々と突破されていった。この状況を打破できるのは、刹那の乗るダブルオークアンタだけだが、刹那は一向に目を覚ます気配はない。連邦軍の被害はどんどん広がって行く。

意識を失っていた刹那は、自らの過去の幻影や死んだ仲間の幻影を見ながら、もだえ苦しんでいた。そんな彼を救ったのは死んだプトレマイオスのクルー、クリス、リヒティ、そしてロックオン(ニール)だった。戦場で必死に戦う仲間たちの姿と彼らの叱咤激励により、再び闘う決意をした刹那は意識不明の状態を脱したのだった。

意識を取り戻した刹那は、ダブルオークアンタのコクピットに乗り込んだ。そんな彼を意識体となりターミナルユニットに意識データを移したティエリアが出迎えた。そして、刹那はダブルオークアンタで戦場へと向かうのだった。

出撃するダブルオークアンタ
フェルト「射出タイミングを刹那=F=セイエイに譲渡します。」

刹那「了解!ダブルオークアンタ、刹那=F=セイエイ、出る!!」

ダブルオークアンタで出撃した刹那は、ELSに浸食され自爆寸前だったコーラサワーのジンクスWを颯爽と助け出した。

ダブルオークアンタ、参上!
ロックオン「来たのか!」

ハレルヤ「おせえんだよ!」

グラハム「待ちかねたぞ、少年!!」

ELSとの対話を実現させるには、超大型ELSの中枢に向かう必要があった。刹那が現れたことにより士気を取り戻したロックオンとアレルヤは機体の性能をフル活用し、刹那が進むための道を切り開いた。

大型ELSルート上のELSはなぎ払われた物の、周囲のELSが刹那に攻撃を仕掛けてくる。刹那はGNフィールドを展開しその攻撃を防ぐ。

GNフィールドを展開する刹那
刹那「俺は闘うために来たわけでは・・・」

刹那は攻撃を繰り出させずにいたが、そんな刹那を助けたのはグラハムのブレイブだった。グラハムの言葉を受け、刹那は尚も道を進んでいく。

惑星型ELSに近づきつつあった刹那とダブルオークアンタだったが、ELSの執拗な攻撃は止むことはなかった。応戦する刹那だったが、艦隊と結合した大型ELSがダブルオークアンタに襲いかかってきた。埒が明かないと判断した刹那はトランザムを使用し、中枢への突破口を開こうとした。

応戦するダブルオークアンタ
刹那「トランザムでELSの中枢に突入する!」

制止するティエリア
ティエリア「駄目だ!トランザムは対話のための切り札・・・。ここで使うわけには・・・。」

あくまで対話のためにトランザムは温存しておくべきというティエリアの制止を無視し、刹那はGNソードXをバスターライフル形態に変形させ、トランザムを発動させた。

バスターライフルモードへの変形
ロールオーバーで画像が変わります

トランザム発動!
刹那「トランザム!

ティエリア「刹那!」
ロールオーバーで画像が変わります

大量の粒子の奔流が襲い来る大型ELSをなぎ払った。ライザーソードと化したGNソードで超大型ELSの表面を切り裂こうとするも、超大型ELSはGNフィールドを展開し、刹那の攻撃は防がれてしまう。

そこに、再び現れたのがグラハムである。グラハムのブレイブはELSに浸食されており、グラハムはトランザム状態でブレイブの太陽炉を暴走させ、超大型ELSに特攻を仕掛けた。太陽炉を2基搭載しているグラハムのブレイブは、大爆発を起こし超大型ELSの表面に大穴を開けた。

グラハムの最期をみとる刹那
刹那「あの男・・・。」

彼の命がけの行為より、突破口は開かれ刹那はダブルオークアンタをELS中枢めがけて突入させることに成功するのだった。

Quantum Burst
刹那がELS内部に突入したころ、ソレスタルビーイングも連邦軍もかなりの戦力を消耗していた。ELSの浸食はプトレマイオスにもおよび、連邦軍の艦隊は70%損失、ソレスタルビーイング号も指令室にまでELSの浸食が進行していた。サバーニャとハルートも長期戦によりダメージが蓄積していっていた。マイスターたちは苦戦する中、刹那を信じて戦いを繰り広げていた。

内部に突入したダブルオークアンタはこれといった妨害もなく、ELSの中枢へと到達した。

ELS中枢に到達したダブルオークアンタ
ティエリア「あれだ!」

刹那「!」

ティエリア「これがELSの中枢・・・。」

ELSの中枢部は、ダブルオークアンタを招き入れるように佇んでいた。その様子を見た刹那は、ダブルオークアンタのクアンタムシステムを作動させた。

クアンタムバーストを作動させるダブルオークアンタ
刹那「クアンタムシステムを作動させる!」

太陽炉を連結させる図
ティエリア「ELSの力は未知数だ。フルパワーで行く!」

刹那「了解!」
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装甲をパージするダブルオークアンタ
刹那「クアンタムバースト!
ロールオーバーで画像が変わります

せり出すGNコンデンサー
刹那「これがラストミッション!

ティエリア人類の存亡をかけた、対話の始まり!!
ロールオーバーで画像が変わります

クアンタムバースト完成!
刹那「うおおおおおおおお!

クアンタムバーストを発動させた刹那に再び情報の奔流が押し寄せてきた。それを見越したティエリアは、おびただしい情報をターミナルユニットを介してヴェーダで受け止め、刹那をサポートする。

ティエリアのバックアップにより、負荷が減った刹那は彼らの想いを垣間見る。ELSの母性は木星によく似たガス状の惑星で、そこで生まれたELS達は高度な文明を誇っていたが、太陽が超新星爆発を起こし、彼らの母星は絶滅の危機に瀕していた。そんな状況の中、一部のELSが故郷の星を離れ、はるばる地球へとやってきたのだった。ELSはあくまでも、相互理解をしようとしていたに過ぎず、人類に対してまったく敵意はなかったのである。

ELS達の真意を知った刹那はある決意を固めた。

刹那の決意
刹那「行こう、彼らの母星へ・・・。俺たちはわかり合う必要がある。」

ティエリア「良いのか?」

刹那「良いも悪いもない。ただ俺には・・・生きている意味があった!」

刹那はELSと接触することで、ELSも人類もひたすら生きようとしているだけということに気がついた。姿・形・出自は違えど、生きようとしている点では同じ。そのことに刹那は気がついたのだった。

壁をぶち破ろうとするダブルオークアンタ
刹那「みんな同じだ・・・生きている・・・」

ティエリア「生きようとしている」

外に出るために、ダブルオークアンタはGNバスターライフルを構えたが、理解を果たしたELSが気を利かせ、外への道を開いた。

GNソードを下げるダブルオークアンタ
刹那「だが、なぜこうもすれ違う?」

ELSの協力により、外に出たダブルオークアンタはGNソードXを放棄し、GNソードビットを使用して量子ゲートを開いた。

量子ゲートを開くダブルオークアンタ
ティエリア「なまじ知性があるから、些細なことを誤解する。」

刹那「それがウソとなり、相手を区別し・・・」

ティエリア「わかり合えなくなる。」

開いた量子ゲートに飛び込み、ダブルオークアンタはELSの惑星へ向けて旅立っていった。

量子ゲートに飛び込むクアンタ
ティエリア「ただ・・・気付いていないだけなんだ!」

刹那「だから示さなければならない!

外宇宙へと向かうダブルオークアンタ
刹那「世界はこんなにも簡単だということを・・・。
ロールオーバーで画像が変わります

ダブルオークアンタが量子ゲートに飛び込んだと同時に、ELSは1か所に集まりだした。プトレマイオスUとソレスタルビーイングへの浸食も完全に停止、戦闘が止んだ。

1か所に集まったELSは、巨大な「花」を形成した。それは刹那の心の中にあった「平和」の象徴であった。それを理解したELS達は、敵意がないことを示すために巨大な花を宇宙に形成したのだった。ELSの花は地上からも確認することができ、地上にいたマリナはこのように漏らした。

見えるわ、刹那・・・。あなたの想いが。そう、たったそれだけのことで世界は一つになるのね!

かくして、熾烈を極めたELSと人類の全面対決はこのように穏やかな幕引きを見たのだった。

Future -Aeoria's Dream-
ELSとの激闘から50年経過した西暦2364年、全人類の4割がイノベーターに進化し、ELSとも良好な共存関係を築いていた。そして人類は、新たな外宇宙航行艦スメラギを建造し、外宇宙に旅立とうとしていた。その光景は、過去にイオリア=シュヘンベルグが理想としたものそのものだった。

そんな人類の輝かしい第一歩をよそに、遠く離れた辺境の地で盲目の老婆となったマリナがオルガンを弾いていた。マリナはイノベーターになることはできず、ひっそりと余生を暮らしていたのである。

そんな彼女の下に、一人の男が訪ねてきた。その男は、ELSとの対話を果たしELSと同化した刹那だった。ELSと同化した刹那は、イノベーターの特徴である輝く瞳と全身金属の体を得、地球に戻ってきたのである。(注2)

すれ違ってばかりで互いに変わり果てた姿と化してしまった二人だったが、お互いの求めたものは同じものだと確信していた。二人はそっと抱き合い、二人は再会を喜んだ。

無数の花を咲かせるエルスクアンタ
刹那「俺たちは・・・」

マリナ「私たちは・・・」

「「わかり合うことができた」」

その庭先でELSと同化したダブルオークアンタが無数の花を咲かせているシーンで映画の幕は下りる・・・。
注2 この刹那の姿は注1のメタルクウラを彷彿とさせるシュールな姿であった。テーマとしては真面目なのだが、その姿に吹き出す観客もいたとかいなかったとか・・・。まさに「00Qパワーの戦士たち」である。
Peace cannot be kept by force. It can only be achieved by understanding.(もどる)