HG 1/300 キングゴウザウラー
バンダイスピリッツ HGエルドランシリーズ
HG ゴウザウラー+HG マグナザウラー+HG グランザウラー
READY GO!キングゴウザウラー!
ザウラーズ最強のメカがプラモデルで登場!!
新たなる敵!エンジン王
3号ロボ、グランザウラーの力を借りて、電気王を倒したザウラーズだったが、機械化帝国は攻撃の手を緩めなかった。倒された電気王に代わり、機械神は新たな刺客、エンジン王を呼び寄せた。エンジン王は赴任早々、月をすべて機械化してしまう。エンジン王は、手下の巨大ロボ、ギルターボとともに地球侵攻を始めたのだった。
エンジン王「あれが地球ですか。何と醜い星でしょう!」
ギルターボ「僕の力ですぐにあそこも機械化してみせるさ。」
エンジン王「頼みますよ、ギルターボ。あんなつまらない星とは長くかかわりあいになりたくありませんからね・・・。」
ギルターボ「了解、ファーザー」
エンジン王「ハッハッハッハッハ。」
エンジン王は従来の機械化帝国と同じく、機械化獣を繰り出すのだが最大の違いはギルターボと機械化獣が巨大結合し、合体するのである。この合体機械化獣は、これまでの機械化獣よりもはるかに強力で巨大なものである。ザウラーズは辛くも3機のメカの連携攻撃で撃退するが、強力になった合体機械化獣に対抗する手段を作ることが急務となるのだった。
超熱血キングゴウザウラー!
合体機械化獣に対抗するため、3体のデータを分析した教授は、ゴウザウラーとマグナザウラー、グランザウラーを合体させるというアイディアを思いついた。合体プログラムを教授が組み、テストが行われた。しかし、合体プログラムが不完全で、合体に失敗。期待を裏切られたことにより、教授はほかのメンバーから顰蹙を買ってしまう。挙句にノートパソコンを拳一に壊された教授は、ザウラーズを抜け、不良少女になってしまうのだった。
教授が抜けてしまったことにより、ザウラーズたちは合体プログラムを教授抜きで組み始めた。それを通じ、教授が複雑なプログラムデータを開発していたことを知り、一方的に教授を非難したことを反省するのだった。
ぐれてしまった教授を引き戻そうとザウラーズ達が説得を試みる中、エンジン王が再び襲来してきた。今回は初手から合体機械化獣を繰り出し街を破壊しだしたのである。教授の説得を試みる一方で、金太と洋二はマグナザウラーとグランザウラーで合体機械化獣に応戦する。しかし、戦力差は明らかで苦戦するのだった。
ザウラーズたちがピンチに陥り、合体プログラムを組もうとしていたことを知った教授は元に戻り、学校へと戻った。ザウラージェットで出撃しつつ、教授はプログラムの修正を急いだ。最後のバグを見つけた教授は、ついに合体プログラムを完成させることに成功!ザウラーズ全員にザウラーブレスのボタンを押すよう指示すると、まばゆい光とともに合体プログラムが起動するのだった。
合体プログラムは正常に作動し、3体のメカが合体。超熱血ロボ、キングゴウザウラーが誕生するのだった。
キングゴウザウラー!超熱血合体!!
エンジン王「フッ・・・フフッ・・・!合体ですか!これは面白い!!」
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合体機械化獣とほぼ同じ大きさとなり、火力も上がっているキングゴウザウラーは、エンジン王に猛攻を加えた。そして、必殺のキングブレードによるザウラーキングフィニッシュでエンジン王の合体機械化獣を撃破するのだった。
拳一「ザウラーキングフィニッシュ!!」
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拳一「熱血最強!キングゴウザウラー!!」
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ここにザウラーズ最強のロボ、超熱血 キングゴウザウラーが誕生したのだった。物語後半はキングゴウザウラーを中心に話が展開していくことになる。
「これでプラモデルでも我々の最強の敵の誕生になるね、ファーザー。」「これからも公式発表を見逃せませんね、ギルターボ」
エルドランも勇者シリーズと同じく、最強合体が存在する。一作目のゴッドライジンオーはグレートエクスカイザーと同じ合体構成だったが、タカラと差別化を狙ったのか2作目のグレートガンバルガーから、3体のロボットの合体という路線に変わった。
通常、この手の最強合体は1号メカを中心に2号メカが追加装甲となる形態を取るのだが、TOMYは1号ロボすらバラバラにし、2号メカと3号メカとまるでパズルの様に再構成するという合体手法を取った。これは明らかに勇者シリーズと差別化を狙ったものと思われる。
元気爆発ガンバルガーに登場するグレートガンバルガーは1号メカもバラバラになり、新しいロボに再構成されるため、スタイルも非常にまとまったものになったのだった。ただし、グレートガンバルガーは3体ロボ分のお値段とその複雑さ、さらには余剰パーツの多さが難点となってしまった。(注1)
熱血最強ゴウザウラーでもこのパズル合体の路線が受け継がれ、ガンバルガー以上にギミックがブラッシュアップされた。余剰パーツは0にはならなかったが、グレートガンバルガーよりは少なくなり、スタイルも非常にまとまっている。
合体バンクも専用の挿入歌『READY GO!熱血最強キングゴウザウラー』とともに、気合の入った作画・演出となっており、現代ではこの作画を手書きで再現するのは不可能」とスタッフに言わしめるものとなっている。(注2)
このキングゴウザウラーは、今は亡きCM'sコーポレーションがサンライズメカアクションシリーズで商品化しようとしていたが、商品化前に会社が倒産してしまい頓挫してしまった。このほか、ガチャポンくらいでしかキングゴウザウラーが商品化されることはなかったので、キングゴウザウラーの製品化はユーザーにとって垂涎ものの話だったのだ。
2018年にゴウザウラーが発売されると、パッケージの側面にシルエットでこのキングゴウザウラーが描かれていた。また、キングゴウザウラー用の合体ジョイントと思しき丸穴が最初からゴウザウラーの脚部に組み込まれており、商品がヒットすればゆくゆくは合体させるつもりだったのだろう。
ゴウザウラーのプラモデルは好評を博し、マグナザウラー、グランザウラーと順調に製品化されていった。グランザウラー製品化発表のカウントダウン時、キングブレードやマグナザウラーの追加ジョイントなどの情報が公開され、合体が示唆されていった。そして、製品用のCGでもキングゴウザウラーの全身像が公開されたことで、ついに20年以上の時を経てキングゴウザウラーと「やっと会える」こととなったのであった。
注1 余剰パーツを使ってグレートガンバーライフルと呼ばれる武器を組めてしまうほどのパーツ量の多さであった。3号ロボの頭部パーツやアニマル形態時の頭部も余ってしまうため、パーツ紛失が懸念される。
注2 奇しくも同時期に放送していた『勇者特急マイトガイン』でも合体挿入歌が用意されており、演出面で被ってしまう結果となった。
READY GO!熱血最強キングゴウザウラー
バンダイスピリッツが発売したゴウザウラーシリーズをすべて集めると、キングゴウザウラーを完成させることが可能になる。劇中同様に、ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーをバラバラにして「再構成」し、合体させることが可能である。合体バンクに倣って、キングゴウザウラーに合体させてみよう。
拳一「行くぜ、みんな!」
ザウラーズ「おお!」
拳一「キングゴウザウラー・・・!」
拳一&金太&洋二「「「超熱血合体!!!!」」」
拳一、金太、洋二の3人がザウラーチェンジャーを掲げると合体が開始される。マグマの中から5体の恐竜が飛びだし、ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーがバラバラになる。
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マグナザウラーの脚部と腕部が組み合わさることで、いわゆる下駄になりゴウザウラーの脚部に装着される。
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グランザウラーの脚部と腕部が接続し、キングゴウザウラーの腕となる。
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続いてグランザウラーの胸部が変形し、腰パーツとなる。ここは合体専用パーツをグランザウラーの腰部に取り付けることで変形させることとなる。劇中では、指令室の床が透けてグランザウラーの胸部が真下に存在する演出が取られている。
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腰部に脚部が接続される。
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背面にグランザウラーの翼とゴウザウラのー翼を組み合わせたマグナザウラーの胴体(マグナバスターのジョイントパーツ)を取り付けバックパックにする。
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最後に胸パーツにトリケラトプスの頭からキングゴウザウラーの頭部を展開し、胸部に合体させればキングゴウザウラーの完成である。
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このように複雑な変形・合体プロセスを経てキングゴウザウラーが完成する。このキングゴウザウラーの合体バンクは、一度も省略されることなく使用された。迫力のある作画に加えて内部メカの透過の演出も冴えわたる秀逸な合体バンクである。
この合体を再現するために、様々な補助パーツが使用されている。まず、マグナザウラーの脚部と腕部の接続は専用のジョイントパーツをかまさなければならない。
また、太ももはそのままでは接続ができないので外装パーツをかませることでロックさせる。こうすることで太ももとしての美しさと固定を両立させているわけである。
外装パーツを使うことで強度の確保とラインの美しさを両立させている
腰部の取り付けも内部に専用パーツをかませ、腹部もゴウザウラーのサイドスカートのポリキャップにかませることで取り付けることになる。
腹部と腰部は専用合体パーツに頼らなければ再現できない
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肩部の変形は、内部のブロックパーツを取り外し、キャノン用のパーツにするのと、足首を取り外すことでキングゴウザウラー用の腕部接続ジョイントが現れるのが芸が細かい変形となっている。また、肩部の合体は、一度ゴウザウラーの二の腕から先を取り外し、グランザウラーの脚部に通す形でロックされる。また、劇中と違いゴウザウラーの肩部が上下逆になっている。こうすることにより、腕部の重さに負けて腕が垂れ下がることを防いでいる。
グラントプスの頭部のなかには旧DXおもちゃと同じくキングゴウザウラーの頭部が収納されている。アンテナパーツを後から取り付けなければならないが、少しでも余剰パーツを減らす工夫がなされているわけである。
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しかし、ここまでやってもプラモデルでは大量の余剰パーツが発生してしまう。ゴウザウラーとマグナザウラーについては左側のパーツを使用し、右側のパーツは余剰となる。
このほか、ロボット形態時に使用しないパーツも当然ながら余剰になる
取扱説明書通りに余剰パーツホルダーにパーツを取り付けると、ゴウザウラーの頭部が余ってしまうが、グランザウラーの頭部を胸部に取り付けておけばゴウザウラーの頭部も余剰パーツホルダーに取り付けることができる。また、マグナバスター時のアームパーツは余剰パーツホルダーからあぶれてしまうが、マグナザウラーの股間ジョイントが生きているので、そこに取り付ければ紛失を防ぐことができる。グランザウラー付属の余剰パーツホルダーにすべてのパーツを取り付けるとこのようになる。
ホルダーの表裏に大量のパーツを取り付けることになる。これがなければパーツを紛失してしまうところである。
プロポーションに関しては賛否両論の意見が出ていた。脚部が劇中に比べると小さいうえに、腕の位置が外側に行き過ぎているのである。Twitterでは脚部や翼部をスクラッチで巨大化させている人もいるくらいで、合体後のプロポーションは少し苦しい。ただ、腕の位置に関してはジョイントを移動させることで内側に寄せることも可能である。
個人的には許容範囲内のキングゴウザウラーのプロポーション
プロポーションを重視する人にはきついかもしれない
複雑な合体プロセスを経て完成したキングゴウザウラーは、HG規格にも関わらず、超巨大なものとなる。HGなのに全高は26cmと並みのMGよりも大きくなるのである。
合体するとゴウザウラーよりも一回り以上大きくなる
MODEROID ゴッドライジンオーと並べるとほぼ劇中比率と同じになる
キングゴウザウラーの全高は劇中では70.3mなのだが、ほぼその縮尺通りの大きさなのである。
「見せてもらいましょう、キングゴウザウラーの力を!!」
キングゴウザウラーは、マグナザウラーとグランザウラーの武装が追加されているため、高い火力を誇る。肩のキャノン砲とミサイル、脚部のマグナショットを一斉発射することで放つキングスパルタン、角部にエネルギーを集中させて放つキングタイタンを放つことが可能である。
ただし、その巨体が災いしこのキングゴウザウラーは長時間の空中ディスプレイに耐えられない。そのため、上記の技の再現ができないのが残念である。筆者は短時間の空中ディスプレイで何とか再現してみたが、二度とやりたくない。
左側はキングスパルタンのつもり、右側はアイキャッチのポーズのつもり
説明書に従い、空中ディスプレイは控えよう
キングゴウザウラー最強の武器はキングブレードである。このキングブレードはキングゴウザウラーよりも巨大な剣で、全長およそ30センチの大剣である。
全長30センチの巨大なキングブレード。柄や鍔の部分の色分けもばっちり
この大剣を使用して放つのが、必殺技のザウラーキングフィニッシュである。この技は、エルドランシリーズの必殺技バンクの到達点と言ってもよい出来栄えである。本キットでも「頑張れば」ザウラーキングフィニッシュを再現することができる。そのプロセスを見てみよう。
拳一、金太、洋二の3人がザウラーチェンジャーをガンモードに変形させて空に一斉に射撃する。
洋二「拳一!」
金太「行くぜ!」
拳一「おお!」
拳一&金太&洋二「「「キングブレード!!!!」」」
地面からキングゴウザウラーを構成する5匹の恐竜が現れ、エネルギーとなり敵メカを捕縛する。
キングゴウザウラーは胸のトリケラトプスから炎を吹き出し地割れを起こすと、その裂け目からキングブレードが現れる。
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キングゴウザウラーがバーニアを吹かして正面へ飛び立ち、キングブレードを空中でつかむ。
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剣を斜め下に構え、ザウラーキングフィニッシュを放つ!
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拳一「ザウラーキングフィニッシュ!!」
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敵が真っ二つに引き裂かれ、爆発炎上!爆炎を背景にキングゴウザウラーが着地する。
そして最後に、勝ち名乗りを上げてポーズを決める。
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拳一「熱血最強!」
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拳一「キングゴウザウラー!!」
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肩の可動範囲は、ゴウザウラーの肩の引き出しが生きているため非常に広い。グラントプスのフリル部が前方に倒れるようになっているため、キングブレードの両手持ちが可能となっている。
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ただし、このキングブレードの大きさが災いし、片手持ちができない。片手で持たせるとゴウザウラー側の肩部が重さに耐えきれず垂れ下がってしまうのである。取扱説明書では上下逆に剣を持たせて支えるよう指示が出ている。この点は非常に惜しいところである。
最強合体って苦しいんだね・・・
このように、各メカが変形合体をこなしつつ、最強合体まで持って行ける製品が出たということ自体、当時世代としては感涙物の商品である。ただ、プラモデルという製品形態の限界も見えてしまっている。そもそも、プラモデルは合体メカを出すには不向きであると元バンダイ社員で現在はグッドスマイルカンパニーでMODERIODなどの製品を企画している田中宏明氏も述べている。
田中氏はMODEROIDでライジンオーやガンバルガーを手掛けており、1号メカに関してはほぼ完全変形を実現している。しかし、ライジンオーの強化形態であるゴッドライジンオーはパーツ差し替えが前提であるし、ガンバルガーも1号メカの時点で相当四苦八苦して商品化にこぎつけている。
合体メカは、関節部をクリック関節にしたり可動軸に金属パーツを用いなければ強度の確保が難しい。それを差し替え前提とはいえ、プラモデルで出すと大きくなればなるほどプロポーションや可動、関節に問題が発生しやすくなる。特に、今回のキングゴウザウラーは合体に成功してはいるが、プロポーションに難が出ているし何せ自立すら怪しい部分があるのである。特にゴウザウラーの膝関節が生きており、可動させられるのだが、上半身の重みに耐えきれずこけやすくなっている。キングゴウザウラーで長時間ディスプレイするときはアクションベース4で支えるのが必須と言えるだろう。
とはいえ、最強合体までこなすプラモデルが発売されたのは歴史的快挙と言えるだろう。今後、合体・変形メカの課題を解決しつつ各社がこれまで製品化されてこなかったメカをギミックを再現しつつ出していくことに期待したい。
失敗は成功の元です。失敗は成功の元です。(もどる)