1/35 メカニックコレクション
ヴィンセント

発売元:バンダイ

定価:2730円(税込)

1/35 メカニックコレクション ヴィンセント
偽りの兄弟!
復活したゼロを抹殺せよ!!

歯を磨いたり、食事をした数を覚えている人はいません。それと同じことです
黒の騎士団による大規模決起事件、ブラックリベリオンから1年後、その事件の首謀者であったはずのゼロこと、ルルーシュ=ランペルージは弟のロロ=ランペルージとともに平穏で退屈な日常を送っていた。あの物議をかもし出した結末から、続編のR2に入ってからいきなりあの結末がなかったことにされていたことに困惑を覚えたのは筆者だけであるまい。

紆余曲折を経た後、ゼロとしての記憶を取り戻したルルーシュは自分には妹はいたが、弟はいなかったことを思い出し、ロロの存在に疑問を抱く。彼は、ルルーシュを監視するための皇帝直属部隊、機密情報局の潜入工作員で、ルルーシュの監視し、記憶を取り戻した場合は彼を抹殺する役目を任された偽りの弟なのであった。

ロロ=ランペルージ 前 ロロ=ランペルージ 後
ルルーシュ「俺に妹はいるが、弟はいなかった!誰なんだ、アイツは・・・?」

更に驚くべきことに彼もまたギアスの使い手であった。彼の右目に浮かび上がるギアスは、絶対停止の結界で周囲にいる人間の体感時間を止める効果を持っている。これにより、主観的にはロロが瞬間移動したような錯覚を覚え、相手が思考停止している間に殺害できるという暗殺に向いたギアスの使い手なのであった。この能力はKMFに乗っているときも有効で、愛機のヴィンセントの性能の高さもあいまって、劇中では圧倒的な強さを誇っていた。

彼にとって暗殺は日常生活の一環であり、生命を軽く扱っている節がある。自分のギアスがばれようものなら、敵味方を問わず簡単に手にかけてしまう冷酷な性格の持ち主なのであった。

しかし、表向きの顔は兄を想う内気な弟というキャラクターを演じており、同人お姉さま方の妄想を掻き立てるような描写が露骨に多かった。コードギアスの悪魔融合路線は、R2に入ってから兄弟愛(同人的な意味で)という要素も加わり、とどまるところを知らない。

そんなわけで、今回は彼の乗るヴィンセントを紹介しよう!

量産は愉快だね〜♪
ヴィンセントは、一連の黒の騎士団との戦いのときに多大な戦果をあげたランスロットに着目したブリタニア軍部が、その量産型試作機として開発した新型KMFである。ランスロットが誇る機動性能と格闘性能を継承し、更に操縦のしやすさが向上している。

ヴィンセント 前 ヴィンセント 後
ランスロットの量産型として開発された機体
試作型だけあって金色という派手な配色となっている

劇中では機密情報局に所属しているロロがバベルタワーの襲撃時に初めて使用し、黒の騎士団を後一歩のところまで追い詰めた。その後、ロロが使用した機体はエリア11政庁に配備されたものの、ロロがパイロットとなるはずだったキンメルを殺害し機体を強奪、以後そのままロロの専用機となっている。

ランスロットの量産型ということで、肩の形状やカラーリングなどがランスロットのシルエットを色濃く残している。また、機動性の向上のために肩口にもランドスピナーを追加内蔵しているのだが、キットでも再現されていない。

全体的なプロポーションは良好で、可動範囲も非常に広く取られている。更に、本体の色分けは完璧で角のセンサー部分を青色で塗装するかシールを貼るかすれば、箱の写真のとおりのヴィンセントが完成する。更に、今回は本体の赤いパーツに紅蓮弐式で使用されたグロスインジェクションを採用。非常に発色が良くなっている。

ランスロットからの変更点は、情報収集体であるファクトスフィアの位置が肩に移動している点である。また、ヴァリスのような射撃武器やブレイズ・ルミナスのような防御シールドは装備されておらず、中距離用の武器は腰に装備されたスラッシュハーケンのみである。

ランスロットを元としているだけあって、格闘能力は通常の量産機を大幅に上回っている。まず、ランスロットに装備されていたメーザーバイブレーションソード(MVS)は、ランスタイプに変更され、背中のラックに2本装備されている。この2本のソードをつなぎ合わせることで、槍の形になり劇中でも多く使用された。

メーザーバイブレーションソード(ランスタイプ)
剣の形だったMVSは槍に変更され、攻撃のリーチが伸びている

キットのほうでは、専用の持ち手の手首にMVSをジョイントで固定させ持たせる形になっているため、固定は申し分ない。そのままでは柄の部分が塗装されていないので、ここは黒で塗装しておこう。

MVSパーツ
上から収納状態、単体使用時、連結状態の柄

ただ、MVSの刃の部分は収納時の色の1セットしか付属しておらず、展開状態の再現が事実上不可能である。気になる人はパーツ注文でもう1セット用意し、赤色で塗装して再現するしかない。

ブレイズ・ルミナスを廃した代わりに新たに装備されたのが、ニードルブレイザーである。これは、肘うちの要領で敵に接近しブレイズルミナスの波動を相手に叩きつける一撃必殺の武器である。この武装の再現のために肘や腕の関節には様々な工夫がなされている。まず、下腕部と肘関節部分にあるパーツは、独立パーツになっており腕の可動にあわせて沈み込むようになっている。これにより、肘関節を120度ほど折り曲げることが出来る。


パーツが沈み込むことで干渉部分をなくしているわけですね
ロールオーバーで画像が変わります

更に、下腕部の裏に装備されているニードルブレイザーもポップアップするようになっている。

ニードルブレイザーのポップアップ
ロールオーバーで画像が変わります

このほかに、メカニックコレクションらしくコクピットハッチも開閉するようになっている。また、コクピットの天井も着脱でき、中のコクピットを覗き込むことが出来る。

ハッチ開閉 コクピット内部

このほかに、専用ジョイントを介することでランスロット・エアキャヴァルリーに付属しているフロートユニットも装備させることが出来る。ジョイント自体は同じなので、ランスロット・コンクエスター付属のハドロンユニットもやろうと思えば装備することが可能である。

専用ジョイント

キットの出来は、総じて良いものなっている。これの後に発売されたヴィンセント(指揮官機)もカラーリングとパイロット以外の仕様はほぼ同じなので、気に入っているほうを購入すれば良いだろう。ただ、金型流用のキットなため、カラーリングの色分けが間に合わず、足の部分のフレームパーツはシールでの再現となっているので注意。

ヴィンセント(指揮官機) 前 ヴィンセント(指揮官機) 後
銀色のヴィンセント指揮官機
こちらは塗装する必要があるので、難度は高め

本編中でも、ヴィンセントは優秀な機体であったのか、主要な部隊に配備されている。ナイト・オブ・テン直属のグラウサム=ヴァルキリエ隊のヴィンセントは、女性が乗るからかピンクのカラーが施され、皇帝直属護衛部隊のロイヤルガードのヴィンセントには緑色のカラーリングが施されている。これらの機体を気に入っている人は、塗装して再現してみるのも良いだろう。

しかし、ランスロットの量産を狙ったとはいえ、ニードルブレイザーなどの装備には非常に高いコストがかかり、ヴィンセント自体の配備数は非常に少ない。そこで、ヴィンセントを更に簡略化したヴィンセント・ウォードの配備が進められている。こちらは、全体のラインがヴィンセントよりもさらに簡略化され、肩口のランドスピナーとニードルブレイザーを排除し、代わりにスタントンファを装備した機体となっている。R2終盤では、サザーランドやグロースターに取って代わりつつあり、ガウェインの量産機ガレスとともに仲良く量産型らしい、やられ役を演じているのであった。

日本 独立 計画
機密情報局に追い詰められたものの、C.C.の力でゼロとしての記憶を取り戻したルルーシュは、反撃に打って出た。まず、手始めに敵のサザーランドをギアスで奪い自分の乗機とした後、バベルタワー内にいる黒の騎士団を上手く動かし、更に敵軍のサザーランドを鹵獲し戦力とすることで、騎士団側に不利だった形勢を逆転させていった。それはまるで、シンジュクにおける戦いを再現しているようだった。

ここに来て、エリア11総督のカラレスは大部隊を増援として投入、自ら指揮を取り黒の騎士団を追い詰めるのであった。これを受けて騎士団団員たちは絶望するが、ルルーシュはなぜか勝利を確信するのだった。

サザーランドに乗り込むルルーシュ
ルルーシュ「敵は勝利を確信しているはずだ・・・。条件はクリアされつつある」

しかし、シンジュクゲットーのときと同じくルルーシュの嫌いなイレギュラーが発生するのだった。タワー内部の友軍機が、続々と撃破されていったのである。敵はIFF(敵味方識別装置)をはずしており、捕捉することが出来ない。ゼロの護衛についていた四聖剣の一人、卜部はゼロに陽動である自分たちを囮にして脱出するよう促すが、ルルーシュは「切り捨てるという発想だけではブリタニアには勝てない」と卜部を諌める。そこで、卜部は物資搬入口に数機の無頼を向かわせ、敵を索敵させた。

謎の敵機
団員「確認しました。ランスロットを元にした量産用試作機かと・・・。」

謎の敵機
ルルーシュ「そうか・・・。しかし、今は捕縛のときではない。破壊しろ!」

・・・とそのとき、捕捉していたはずのヴィンセントの姿が消え、別の場所に瞬間移動していた。偵察していた団員たちは驚きながらも、アサルトライフルで攻撃を繰り出すも、ヴィンセントはその攻撃を圧倒的な機動力で回避していった。

攻撃を回避するヴィンセント

そして、あっという間にスラッシュハーケンとニードルブレイザーで無頼2機を撃破した。

ヴィンセントにやられる無頼
何でこっちに!?

ゼロの元へ向かっていった。

偵察機を瞬時に撃破されたルルーシュは動揺し、C.C.の仕込み作業を早くするように促した。そうこうしている間に、壁を突き破ってイレギュラーであるヴィンセントがルルーシュたちの目の前に姿を現した。

ヴィンセント出現!
こいつか!?イレギュラーは!!
ふざけるな・・・。スザクじゃあるまいし、戦略が戦術に潰されてたまるものか!!

ゼロの護衛についていたカレンと卜部は、出現したヴィンセントに格闘戦を挑んだ。

格闘戦をしかけるカレンと卜部
カレン「近接戦闘なら、こっちが上だ!」

接近してくるカレンの紅蓮弐式と卜部の月下を確認したヴィンセントは応戦するためにメーザーバイブレーションソードを抜いた。

メーザーバイブレーションソードを構えるヴィンセント

紅蓮弐式と月下はヴィンセントにフルスピードで突撃していたため、ヴィンセントは反撃に間に合いそうになかった。しかしである。ヴィンセントは、カレンたちの目の前からいきなり忽然と姿を消えてしまったのである。

姿を消すヴィンセント
卜部「遅い!!」
ロールオーバーで画像が変わります

カレンたちが攻撃を繰り出している頃には、彼女らに一太刀与え彼女らの反対側に陣取りゼロに接近していた。

ダメージを受けた両機
カレン「消えた・・・、反対に・・・?」

卜部神速!!

ルルーシュ「ありえない。物理的なものではない、何か・・・別の!!」

カレンと卜部を一蹴したヴィンセントは、メーザーバイブレーションソードを連結させルルーシュの乗るサザーランドに迫った。

応戦するルルーシュ
ルルーシュ「や・・・やられる!?」

ヴィンセントがルルーシュのサザーランドを捉えようとしたとき、卜部の月下がルルーシュをかばいに入った。卜部は廻転刃刀でヴィンセントの剣を受け止め、ヴィンセントを足止めした。

ゼロをかばう卜部
ルルーシュ「卜部!」

カレン「卜部さん!!」

ヴィンセントの斬撃を受け止めながら、卜部は何かを決意したようにルルーシュとカレンに話しかける。

卜部の言葉
卜部「ゼロ、お前の正体が学生であろうと構わない!
切り捨てるだけではと言った、その言葉に偽りはないと受け取った!!
紅月、ゼロを頼む!彼だけが残された希望だ!!

そう言い残すと、卜部は廻転刃刀で月下の腹部ごと切腹の要領でヴィンセントを貫き、散華した。

卜部切腹!
卜部「ゼロよ!日本を、民を拾ってやってほしい!!」
ロールオーバーで画像が変わります

四聖剣とは、虚名に非ず!
四聖剣とは、虚名に非ず!

卜部という大きな犠牲を払ったものの、ヴィンセントはダメージを受けながらも、再び瞬間移動で難を逃れていた。

瞬間移動で難を逃れたヴィンセントの図
ルルーシュ「くっ!また瞬間移動か・・・。」

これを受けて、カレンもゼロのために死ぬ覚悟をするが、C.C.の仕込み完了の連絡が入った。ルルーシュは、卜部の作った刹那を無駄にしないために、手元のボタンを押しC.C.に仕掛けさせておいた爆薬に点火した。

仕掛けられた爆弾が爆発し、バベルタワーが崩壊していく。ルルーシュたちは足元をわざと爆発させ、バベルタワーの下部に逃れヴィンセントの前から脱出した。タワーが爆発したことにより、タワー上層部にいた敵軍はバベルタワーの崩壊に巻き込まれ、更に想定してた脱出ルートに陣取っていたカラレス総督もバベルタワーの倒壊に巻き込まれ、全滅してしまったのである。これら全てが、ルルーシュが立てた企てで絶望的な状況からいとも簡単に逆転した。

黒の騎士団は、崩壊したバベルタワーの残骸を脱出ルートにして中華連邦総領事館に逃れた。そこで、ギアスの力でエリア11に駐在していた大宦官、高亥(ガオ・ハイ)を洗脳し、総領事館を占拠した。

そこで、再びゼロの仮面と衣装を身にまとい、ブラックリベリオンのときにディートハルトが仕込んでいたラインΩを使用し、BGM「Grand Freet」をバックにして、高らかに合衆国日本の建国を再び宣言した。ここに、中華連邦総領事館の一室を「国」としたゼロの、世界への反抗が始まるのであった

ゼロが再び現れた騒ぎの中、総領事館の前にバベルタワーで大暴れしたヴィンセントが出現、パイロットであったロロが降り立った。そして、中華連邦の兵士にこのように言い放った。

殺しに来ました、ゼロを!
ロロ「殺しに来ました、ゼロを!」

世界は再び、大きなうなりに巻き込まれようとしているのであった・・・。

殺しに来ました、ゼロを!(もどる)