スーパーロボット超合金
GEAR戦士 電童

バンダイ スーパーロボット超合金シリーズ

定価:5040円


スーパーロボット超合金 GEAR戦士 電童
10年の時を経てGEAR戦士電童がスーパーロボット超合金に登場!

先生が言っていた。良い福田は電童までの福田だって
2000年代に入ってから、勇者シリーズやエルドランシリーズの様な純粋な子供向け巨大ロボットアニメというものがめっきりなくなってしまったように思える。ガンダムシリーズは、どちらかと言うと中高生向けであるし、本コラムシリーズで扱った『超重神 グラヴィオン』シリーズや、『神魂合体 ゴーダンナー』や『天元突破 グレンラガン』もオタク向けという側面が強かった。最近の正義の味方は仮面ライダーやスーパー戦隊などの等身大の特撮ヒーローが主流である上に、アニメ関連は萌えが幅を利かせてしまい、かわいい女の子がどんなジャンルにも幅を利かせるようになった。さらに、最近のアニメーターはロボット物を敬遠するきらいがあるらしく(注1)、めっきりロボットアニメというジャンルは衰退してしまっているように思える。

筆者の知る限り、子供向け巨大ロボットアニメの王道を行った最後の作品は今回紹介する『GEAR戦士 電童』である。この番組は2000年10月からバンダイがスポンサーで始まったロボットアニメで、ガンダムや勇者シリーズを制作したサンライズが手掛けている。サンライズが手掛けているだけあり、この作品は勇者シリーズやエルドランシリーズの流れを汲んでおり、バンクシーンを使った派手な必殺技に定評があった。

バンクの必殺技が勇者シリーズのノリに近いのは、監督を務めたのが『勇者 エクスカイザー』の演出を務めた福田己津央氏だからである。ガンダムSEEDで悪い意味で有名になってしまった彼であるが、スーパーロボットの演出をやらせれば、ケレン味の聞いたポーズを決めたバンクシーンとなり、これに絵のうまい作画が加わればまさに鬼に金棒の状態になる。エクスカイザーのころは、大張正己氏がバンクシーンを手掛けたが、本シリーズでは重田智氏がバンクシーンの作画、およびメカの総作画監督を担当した。

この重田氏は、大張氏の影響を多大に受けている人で、ここぞという時のメカのアクションシーンに定評がある。特に、火花を散らしながらのメカアクションが得意で、電童や後のSEEDでもこの火花はしばしば多用されている。また、MGやROBOT魂でSEED系のメカが立体化されるときは必ず監修に入ることでも有名である。

このように、メカのアクションシーンなどはクオリティの高い作品となった。重田氏と福田氏のコンビはのちのSEEDシリーズにも引き継がれており、電童で培った演出がそのままガンダムSEEDにも見受けられる。ガンダムSEEDのルーツはある意味、この電童にあると言っても過言ではないのである。(注2)
注1 アキバ総研のインタビューでコードギアスシリーズを務めた谷口監督が言うには、線が複雑なメカを描くのは相当手間がかかるらしく、最近の若いアニメーターは敬遠しがちであるとのこと。

注2 作画以外にも、音響監督に藤野貞義氏、音楽に佐橋俊彦氏といったSEEDのスタッフを使用。そのせいで、効果音やBGMがSEEDのそれに近い。また、SEEDの時に悪名を欲しいままにした監督の嫁である両澤千晶氏をシリーズ構成として起用しているが、作中ではSEEDの時の悪癖はさほど前面に出てきていない。

始まりの日 -電童出撃-
電童は、小学5年生の出雲銀河いずもぎんが草薙北斗くさなぎ ほくとの二人が操縦する巨大ロボットである。銀河は、少林寺拳法が得意な活発な少年、一方の北斗は知的で冷静な少年と対照的な性格である。この正反対の性格の少年二人が巨大なロボットに乗り込むというのは、エルドランシリーズの流れをくんでいる。(注3)この二人が様々な戦いを経て友情を深めていくという筋書きで、このダブルヒーロー制は後のSEEDにも活かされることとなる。

第1話ではある日、上空から謎の流星が地表に落下したシーンから始まる。落下地点の付近では、一人の少女がよろよろと砂浜を歩いており、保護された。倒れた彼女のそばには、謎の2つの携帯端末が落ちていた。

17年後、北斗が一家そろって星見町に引っ越してきた。引越しの荷物を持ち込む作業を愛犬ジュピターと抜け出した北斗は、学校の校庭で銀河と出会う。拳法の練習をしているところをジュピターに邪魔され、北斗と喧嘩してしまう銀河。

その時、けたたましい音とともに巨大メカが町に襲来する。それは、地球進行を始めた機械帝国ガルファの機獣、オービトンであった。家が同じ方角にあるため、一緒に逃げだした二人は、道中の体育館で逃げ遅れた子どもを発見し、助け出そうとしたところ。しかし、機獣の魔の手が二人に迫った。二人が一斉に「このバカヤロー!」と叫びをあげると、その叫びに呼応するかのように地面から巨大ロボットが姿を現した。 GEAR戦士 電童であった。

電童はマニュピレーターで二人を掴むと、胸のコクピットハッチを開き彼らをコクピットの中に招き入れた。訳が分からず取りみだす二人に、電童を所有する秘密組織、GEARの女副指令のベガが通信を入れてきた。ベガは二人にコクピット内に備え付けられていた携帯端末、ギアコマンダーのコマンドを入力するように指示を出した。二人がコマンドを入力すると、手足に備え付けられたタービンが回転を始め、顔面のバイザーが上がり電童が起動した!

電童起動!
ロールオーバーで画像が変わります

一連の事で、二人の動きを電童はトレースすることとギアコマンダーはタービンを回す装置だということに気付いた北斗は、銀河に校庭で見せていた少林寺拳法の組手をやるように言った。北斗も同じ動作を真似すると、電童は二人と同じポーズを取った。

二人の動きをトレースする電童
銀河「はぁぁぁぁぁぁ!」

疾風三連撃!
疾風三連撃!
ロールオーバーで画像が変わります

決めポーズ
ロールオーバーで画像が変わります

電童の手足に備え付けられたタービンの力と銀河の少林寺拳法の力が加わり、単体でも強力な技を電童は放つことができる。なんとかオービトンを退けた二人であったが、息をつく間もなく各地で暴れていたオービトンが増援として現れた。オービトンの猛攻に苦戦する電童。見かねたベガは、二人にSP-1のコマンドをインストールするように指示した。

コマンドをインストールした電童は、オービトンのミサイル攻撃をタービンで防御し、上空へ飛びあがった。そして、タービンの電力を利用した必殺技、閃光雷神撃を放った。

ダクトがせりあがる図
コマンドインストール!
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閃光雷刃撃
閃光雷刃撃!
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電童から放たれた雷は、オービトンの大群をなぎ払った!ここに、新たな巨大ヒーローが誕生したのであった!!
注3 ちなみに、放送時間もエルドランシリーズと同じ毎週水曜午後6時からテレビ東京系列での放送だった。
うなれ、タービン!売れてくれ、電童!!
当時の商品展開は、バンダイからデータコマンド DX電童が発売された。この電童は、勇者シリーズやエルドランシリーズとは違い、ロボット同士による変形・合体は行わない。その代わり、体の内部に3個のモーターを内蔵しており、そのモーターを使って手足に装備されたタービンが回転、それを利用したアクションが売りだった。また、別売りのギアコマンダーを使って、モーターの回転を調整しさまざまなアクションを取らせることが可能。今の製品と比べるとさすがに可動範囲は狭いが、様々なアクションポーズを取らせることが可能なうえに、脚のタービンを使用することで走らせることも可能だったのである。

さらに、動物をかたどったデータウェポンをタービンに装着させれば、タービンの回転を受けてデータウェポンからBB弾が飛び出したり、ドリルや円盤が回転したりするというプレイバリューの高い製品だった。こういったギミックは同時期にやっていたTOMYのZOIDSシリーズを意識しての物と考えられる。2000年の年末にZOIDSシリーズのウルトラザウルスが高売り上げをたたき出していたが、その対抗馬となっていたのがこの電童なのである。

しかし、おもちゃの売り上げは思わしくはなかった。敗因としては電童自体の値段が高かったのと、データウェポン単体では遊びようがなかったからであろう。また、アニメ自体のクオリティは高かったにも関わらず、U局放送だったのがあだになり、勇者シリーズのように全国各地で観られなかったのも致命的であった。

また、時代の風潮もあると思う。同時期の年末商戦で高い売り上げをたたき出したのがコナミの『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』である。2000年代に入ってから、子どもに受ける商品はポケモンなどの携帯収集ゲームやカードゲームなどの対人競技型のおもちゃ(ゲーム)にシフトしていった。基本的にロボットのおもちゃはどんなにギミックを凝らしても一人で遊ぶだけのものである。現に、電童放送開始の少し後である2001年4月に発売された『電脳冒険記 ウェブダイバー』のおもちゃも単体では素晴らしい出来だったにもかかわらず、売れなかった。

このことから、自己完結型のロボットおもちゃ収集よりも、対人対戦で勝てるなどのカタルシスを持ったおもちゃやゲームに子どもの遊びが変わっていったことがうかがえる。この点からみても、2000年代に入ってから子供向けのロボットアニメが衰退していった経緯が見えるだろう。(注4)

それから10年の時を経て、10年前の子どもたちが自由にお金を使いだせるようになったころ、バンダイはS.H.FiguartsやD-ARTSなどのブランドを立ち上げ、アクションフィギュアの方面に力を入れだした。特にD-ARTSでは、この時期に流行った『デジモン』をアクションフィギュアとして発売したり、Figuartsでも『スクライド』のカズマといった1990年代末から2000年代のキャラクターを商品化しだしている。

ロボット方面では、バンダイがROBOT魂に続く新しいブランドとしてスーパーロボット超合金を立ち上げた。これは『マジンガーZ』や『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』などに登場するロボットたちをROBOT魂と同じ大きさの14センチ程度のアクションフィギュアで出していくという代物で、ダイキャストを使用しているのが大きな特徴である。言ってみれば、超合金魂シリーズの廉価版と言ったところだろうか。

このスーパーロボット超合金のブランド立ち上げ発表会の時に、商品サンプルとしてこのGEAR戦士 電童が飾られていた。スーパーロボット超合金では、集めやすさを利用した「共闘」や「対決」を売りにしているとのことで、後者の特徴である好例としてこのGEAR戦士 電童が選ばれたのである。バンダイは10年前のリベンジと言わんばかりに、ライバルメカである騎士GEAR 凰牙、最強のデータウェポンである超獣王 輝刃のサンプルを参考出品、電童と凰牙を2011年3月に同時発売する運びとなった。さらに、メカ総作画監督の重田智氏を監修に加えた鉄壁の布陣を敷いてきたのである。

魂ウェブでも大々的に取り上げられ、重田氏による細かいメモが公開されており、当時のファンにとってはうれしい力の入れ方である。実際の商品がどうなっているか、詳しく見ていこう。
注4 ただし、この手のホビーアニメが90年代までのロボットアニメの風潮を引き継いでいると捉える向きもある。筆者が見ている範囲で例を挙げると、『遊戯王5D's』はロボット型のモンスターも登場するし、演出もサンライズパースや最終決戦の黄金化など、ロボットアニメのお約束が取り入れられている。90年代までは「ロボット」が媒体だったが、21世紀になってから「カード」などに媒体が変化し、友情・正義を描いていくようになったと考えてもよさそうである。
戦え!スーパーロボット超合金 電童
2000年代に突入してから、おもちゃの技術が飛躍的に上がった。その影響からか、当時の電童もなかなか素晴らしいギミックと可動範囲を兼ね備えていたのだが、今の目で見るとかなりきつい部分も多い。モーターが仕組まれているので、アニメや設定画以上にガッシリした体型になっていたが、10年の時を経て電童はアニメ準拠のプロポーションに生まれ変わり、可動範囲も飛躍的に増している。それらを見ていくことにしよう。

スーパーロボット超合金 GEAR戦士 電童 前 スーパーロボット超合金 GEAR戦士 電童 後
監修により、アニメ寄りのプロポーションをしている電童
ROBOT魂以上に各部がシャープに造形されています

スーパーロボット超合金ブランド立ち上げの参考品は、忠実に設定画のプロポーションを再現したものだったのに対し、監修を受けた後の製品版はアニメ寄りのケレン味のあるプロポーションとなった。手足のタービンの造形が変化していたり、襟部分が商品化の際に小型化していたり、太ももの形状が丁寧に描いた時のアニメ作画のディティールに変化している。14センチの小型の製品ながら、細部のディティールの情報量が多く、非常に密度の濃い製品となっている。ちなみに、シリーズ1号のマジンガーZよりも大きい背丈である。

比較図
HUYU君の持っている同シリーズのアルトアイゼンと比較
シリーズでも大きめの機体であることが分かる

また、ダイキャストを使用する製品の特性上、ダイキャスト部分は塗装になるのだが、重田氏は色に関しても注文を出している。劇中ではアナログ作業で使える色が限られるセル画だったため、ただの青色で色が塗られていたが、本製品では青い部分はメタリックブルーで塗装されている。このおかげで、立体化の際に安っぽい色合いにならなくなった。

ROBOT魂などと違い、体の大部分はダイキャストが使用されている。胴体のメタリックブルーとなっている箇所と腿のフレームパーツはダイキャストで、関節にPOM素材、タービンや頭部にはABS、手首パーツにはPVCが使用されている。ROBOT魂と比べて非常にシャープな作りとなっているため、取扱説明書には「とがったところに注意」という文言が飛び交っている。取扱いの時にはシャープな部分が刺さらないように気をつけよう。

重田氏がインタビューで漏らしていたように、アニメ作画の時は絵が栄えることを優先しているため関節や体の部分部分の縮尺などはほぼ無視して、都合が良いように描いている。その発想で作画をしているため、いわゆる「二次元のウソ」が露呈し商品ではうまく動かした時に劇中のポーズが取れなくなりがちである。

そういった点を重田氏は懸念していたが、様々な製品をリリースしてきたバンダイコレクターズ事業部は、関節の内部ギミックで二次元のウソに対処している。電童では、股関節の接続軸、腰の接続軸、胸と腹の接続軸がそれぞれ引き出せるようになっている。関節軸を引き出すことで、干渉する部分に隙間を作り出し、可動範囲が広がるわけである。

腰関節の引き出し 腹〜胸関節の引き出し

股関節の引き出しギミック
MGなどで見受けられた関節の引き出しギミックを小型のボディに採用
引き出しギミックによってクリアランス(隙間)がそれぞれの箇所に生まれる
ロールオーバーで画像が変わります

腰関節を引き出すことで、腰をひねらせることが可能になり、腹〜胸の接続部分を引き出せば上体を反らせることが可能になる。引き出した際に簡単に落ちないように、引き出し部分は非常に硬くなっているので、ポーズがかっちりと決まるようになる。

下半身の関節部も非常に凝った作りとなっており、太ももとの接続軸は二重関節となっており、横へ大きく開くのはもちろん後へ太ももを曲げることもできる。また、膝関節も二重関節となっており、下の軸には軽いクリック関節が採用されている。これにより、下半身に大きくポーズを取らせた時でもしっかりと安定して置くことができる。

脚を大きく広げてポーズ

腕の可動は、タービンがある都合で90度までとなっている。その代わりに、タービンはしっかりと回転させることができるし、下腕のフレーム部分も回転させることができる。フレーム部分の回転は、データウェポンを装備させるときに役立つ。ただ、手首の接続がただのボールジョイントとなっているため、手首を90度縦に上げることができない。そのせいで、少林寺拳法の礼のポーズが決まりにくいのである。

礼のポーズ
電童の決めポーズが再現しにくいのが残念

また、オプションパーツも豊富に付属しており、手首パーツはもちろん、バイザーを閉じたときの状態の頭部パーツや歯を食いしばった表情パーツが付属している。

付属パーツ一覧
手首だけでなく、劇中で見せたシーンを再現するための細かな差し替えパーツが付属する

まず、頭部を差し替えることで起動前のバイザーが下がった状態の電童を再現することができる。これは、過去の製品やスーパーロボット超合金とサイズが近いプラモデルでは可動式となっていた。しかし、データコマンドの方は素顔の造形がのっぺりした感じになっていたし、プラモデルの方は可動式にしたあおりを受けてバイザーを上げた状態の時に妙な隙間ができてしまっていた。そこで、スーパーロボット超合金では頭部は差し替え方式にし、その分ディティールに力を入れて作られている。

起動前の電童 前 起動前の電童 後
GEAR本部から発進するときはバイザーが下がった状態で発進する
差し替え方式になったのでバイザー部分が非常にシャープな造りになっている

電童起動!
差し替えにしたおかげで劇中に近い顔立ちを再現!
ロールオーバーで画像が変わります

電童はエルドランシリーズのメカと同じく、唇のある顔となっているため、劇中ではしばしば表情が付けられていた。勇者シリーズの小型メカと違い、電童は意思を持たないため表情が付くことはないはずなのだが、絵的な演出を狙ってか、口が開いたり歯を食いしばっていたりした。特に技を出す時は、歯を食いしばるのでシーンに合わせて差し替えるとよいだろう。

歯を食いしばった表情の電童

電童は、SEEDのMSよろしく、バッテリー駆動の巨大メカである。電童を動かす電池はハイパーデンドーデンチと呼ばれ、日本の一日の消費電力を賄うことができるほどの発電量を持つ。この電池はデータコマンド電童と同じくバックパックに収納されている。バッテリー駆動のため、電池切れをしばしば起こしていたが、サポートメカのセルファイターが登場してからは、電池換装を現場で行えるようになった。

電池交換シーンは、電童の特徴を表す印象的なシーンであるため、本製品でもバックパックがスライドするようになっている。さすがに、電池を交換することはできないが、電池のモールドもちゃんと再現されているのが好印象である。

電池のモールド
バックパックを取り外すと、内部機構を見ることができる
バックパックは簡単に取り外すことが可能

せっかくなので、劇中の電池交換シーンを再現してみよう。

空の電池を射出する図
吉良国さん、電池!
ロールオーバーで画像が変わります

バックパックが閉じる図
ロールオーバーで画像が変わります

劇中ではもっとガバッとバックパックが展開していたのだが、さすがに小型のスーパーロボット超合金では再現することができなかったようである。もっとも、カット毎の格好よさを追求した結果、本来の電池の大きさよりも大きく描いていることを重田氏も認めている。実際に商品化した時に露呈した二次元のウソがこの点でわかる。

バックパックのもう一つのギミックとして、必殺技を放つときにバックパック上部が上に展開する。これは、福田監督が独断で追加させたギミックで、データウェポンのファイナルアタックなどの大技を放つときに展開される。劇中では内部のダクトからエネルギーの粒子が放出される。このギミックは見栄えを重視してか差し替えとなった。

ダクトがせりあがる図
ダクト部分もちゃんと造形されています
ロールオーバーで画像が変わります

試作品の時はどちらか片方を再現する予定だったとのことだが、重田氏の意見により二つとも再現された。ユーザーとしてはこの部分のギミックを両方再現してくれたほうが嬉しいので、この提言は正しかったと言える。

また、劇中のイメージにより近付けるためにタービンが回転するときにできる気流を再現するためのエフェクトパーツと足元の衝撃を再現するためのエフェクトパーツが用意されている。どちらもPVCのクリアパーツで再現されており、袋の中に詰めて商品に付属している。

エフェクトパーツ
最近のバンダイのトレンドであるエフェクトパーツ

タービンの回転を再現したエフェクトパーツは腕に取り付けるようになっている。フレームパーツをエフェクトパーツ側の溝に取り付けるようになっているため、しっかり固定される。

エフェクトパーツを付けてポーズ

また、地面に置くタイプのエフェクトパーツは電童が踏ん張ったり、脚のタービンを利用した高速移動技である疾風激走脚を使用するシーンを再現するのに重宝する。

踏ん張ってポーズを付けた図 疾風激走脚
何気にポーズを付ける時に役立つ設置タイプのエフェクトパーツ
別売りの凰牙の分と合わせると、さらに味が出ます

ただ、脚部のタービンも回転する作りとなっているにもかかわらず、値段との兼ね合いのせいか脚部に取り付ける気流エフェクトパーツが付属していないのが残念である。これは後の製品でフォローしてもらいたい部分である。

このほかに、魂STAGEに対応させるための穴が腰の裏に設けられている。魂STAGE ACT5は、スーパーロボット超合金の重量にも耐えられるように設計されているので、飛行ポーズを取らせる時はこちらを使うようにしよう。

魂STAGEに接続 飛行ポーズ
翼がないくせに空が飛べる電童
飛行ポーズもばっちり決まります

このように、可動面造形面ともに電童本体は充実している。劇中のポーズを取らせても様になるし、自分だけのオリジナルの設定で思い思いのポーズを取らせてもよいだろう。凰牙と合わせればかなり遊べる逸品となっている。

出現!ユニコーンドリル
電童は、格闘戦用に作られているため、ガンダムのようにビームライフルや剣などの武器は特に持ってはいない。その代わり、ギアコマンダーにデータウェポンをセーブすることでセーブしたデータウェポンを武器として使用することができる。本製品では、電童が4話で契約したデータウェポン、ユニコーンドリルが付属している。

ユニコーンドリル 前 ユニコーンドリル 後
「信頼」の象徴であるデータウェポン
北斗を信頼して彼と契約を結ぶ

その名の通り、伝説上の生き物であるユニコーンがモチーフで頭部の角がドリルとなっており、それを回転させて攻撃する。過去の製品では、タービンの力を得て角が回転する仕様となっていた。本製品でも角を回転させることができる。

造形面に関してはこちらも文句がない。ただ、ドリルの先端がつまようじよりもとがっているため、飾る場所などに注意しないと思わぬ怪我をすることになる。先端が危ないなと思った人は軽くやすりで削るか先端部を少しだけ折っておいたほうが良いだろう。

このユニコーンドリルは電童の右腕に装備される。腕のフレーム部分に内部に仕込まれたPOM製のジョイントをかませて装備させるので、がっちりと保持される。劇中の装備シーンを再現して、実際にユニコーンドリルを装備させてみよう。

ユニコーンドライブ、インストール!
北斗「ユニコーンドライブ、インストール!」
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンドリル、インストール完了!
ロールオーバーで画像が変わります

アクションポーズと画像加工で劇中通りのポージングで装備させることができる。ただ、ユニコーンドリルの形状の都合上、手首パーツは握りこぶししか取り付けることができなくなることに注意したい。

ユニコーンドリルと契約しておくと、防御技であるファイヤーウォールを使用することが可能になる。この技は、敵のビーム攻撃を跳ね返すバリアとなり、電童や周囲にいる人々を攻撃から守ることができるようになる。

ファイヤーウォール
ファイヤーウォール!
ロールオーバーで画像が変わります

さらに、データウェポンを装備すると必殺技であるファイナルアタックが放てるようになる。これは、強力な威力を発揮する分、電童のエネルギーを相当消費する。敵への止めの一撃に使用される「最後の攻撃」なのである。

ユニコーンドリル!
ユニコーンドリル!
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンドリル、ファイナルアタック!
ファイナルアタック!!
ロールオーバーで画像が変わります

また、北斗が凰牙を使用するようになってからは凰牙がもっぱらユニコーンドリルを使用するようになった。フレーム部分が共通であるため、別売りの凰牙にもユニコーンドリルを装備させることができる。

ユニコーンドライブ、インストール!
北斗「ユニコーンドライブ、インストール!」
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンドリル、ファイナルアタック!
ユニコーンドリル、ファイナルアタック!!
ロールオーバーで画像が変わります

別売りの凰牙にはバイパーウィップが付属しているが、これも北斗専用のデータウェポンである。どちらも最初に契約したデータウェポンが付属するわけであるが、銀河のデータウェポンが製品化されていないのが残念である。7月に魂ウェブ商店限定でデータウェポンセットが発売することになっているので、電童の各種ファイナルアタックの再現は別のコラムで取り行うことにする。

10年の時を経て発売された電童は文句のつけどころがない出来栄えである。造形面・可動面もほぼぬかりがなく、「小さな宝物」感がうまく演出されていると思う。後に発売されるデータウェポンや、最強のデータウェポン輝刃などの今後の展開にも十分期待したい。

凰牙、スクランブル!(スーパーロボット超合金 騎士GEAR 凰牙のコラムへ)

ファイルセーブ!(スーパーロボット超合金 電童・凰牙用データウェポンセットのコラムへ)

輝刃ドライブ、インストール!(スーパーロボット超合金 超獣王 輝刃のコラムへ)

コマンド、インストール!(もどる)