スーパーロボット超合金
騎士GEAR 凰牙
バンダイ スーパーロボット超合金シリーズ
定価:5040円
電童と対をなす凰牙が同時発売!
仮面の騎士
ガルファの襲来により、偶然のきっかけから電童に乗り込み見事に敵を打ち破った北斗と銀河は、地球防衛組織GEARに入隊することとなった。GEARは、17年前の落下事件より機械帝国ガルファが侵略してくるということを予見し渋谷長官を司令官に据え、組織された秘密機関である。(注1)元々電童は、副司令官のベガとGEAR隊員の吉良国進
が乗り込む予定であった。しかし、この二人では電童の力が100%発揮することはできないでいた。そんな折、ガルファ襲来時にたまたま近くにいた銀河と北斗の叫びに呼応した電童は、二人をパイロットに選んだのであった。
GEARに入隊した二人の使命は、電童のパイロットなりガルファを撃退すること。そして電童の武器にもなる6体のデータの聖獣、データウェポンを捕獲することである。尚、この手のアニメのお約束として、GEARに入隊していることと、電童を操縦していることは家族や友人には秘密ということになっている。
マイクロウェーブ受信施設で、馬のコンピューターウィルスが出現した事を察知したGEARは、授業中の二人に指令を出し、電童を向かわせた。その馬のコンピューターウィルスこそ、データウェポンの1体であるユニコーンドリルであった。また、ガルファもデータウェポンの出現を察知し、機獣 パラボーンを送り込んだのだった。受信施設に到着した電童は、パラボーンと戦闘を開始する。
コマンド、インストール!
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パラボーンの放つビーム攻撃に苦戦する電童だったが、タービンの回転によりパラボーンのビーム攻撃を弾き飛ばし、旋風回転脚と爆砕重落下でパラボーンを見事に打ち破った。
旋風回転脚!
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爆砕重落下!
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しかし、機獣を打ち破った電童の前に上空から猛スピードで接近する物体があった。けたたましい爆音とともに着地したその物体は、黒い電童であった!
ベガ「騎士凰牙・・・。そんな・・・。」
銀河「えっ・・・。う・・・。」
北斗「黒い電童?」
その黒い電童こそ、ガルファ親衛隊、アルテアが駆る騎士凰牙なのであった。アルテアは白いギアコマンダーで凰牙に指令を出すと、圧倒的なパワーで電童に襲いかかってきた。
北斗&銀河「うああああああああっ!」
アルテア「もうひとつのギアと言っても、パイロットがこれでは取るに足らん。」
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電童を吹き飛ばした凰牙は、ユニコーンドリルを捕獲しようとしていた捕獲装置を破壊し、自らのギアコマンダーを使ってユニコーンドリルをセーブしようとした。しかし、機転を利かせたベガがアルテアを攻撃し、ユニコーンドリルはアンテナを使って月へと逃げ去ってしまうのだった。
ユニコーンドリルを捕まえ損ねた凰牙は、再び電童に攻撃を仕掛けてきた。ベガは、銀河と北斗に後退するよう指示を出すが、熱血漢の銀河はアルテアに向かって行った。それを北斗が止めようとするが、銀河は全く無視してしまう。二人の忠告を無視し、銀河は電童の必殺技である閃光雷刃撃を凰牙に喰らわせた。
コマンド、インストール!
ベガ「やめなさい、北斗君!銀河君!」
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閃光雷刃撃!
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しかし、凰牙は電童の閃光雷刃撃をタービンですべて防ぎきってしまう。
アルテア「ふっ・・・」
北斗「通じない・・・。」
銀河「そんな・・・!」
機獣との連戦により、エネルギーをほとんど消耗してしまった電童は、凰牙の一撃で吹き飛びエネルギー切れを起こしてまったく動けない状態になってしまった。動けない電童を凰牙は捕獲し、そのまま月面に建設されたガルファの侵略拠点、螺旋城に連れ去ってしまうのだった。
北斗「しまった!もうエネルギーが・・・。」
北斗&銀河「うああああああああ!」
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アルテア「あっけない終わりだな・・・。」
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そんな二人を助けるためにベガは電童に取りつき、ともに月の螺旋城へと向かうのだった・・・。電童の運命やいかに!?
注1 ちなみに渋谷長官の声優は西村知道氏であるが、彼はエルドランシリーズにて武田防衛隊長官として、3部作すべてに出演したことがある。武田長官は子どもたちに対して否定的な立場を取っていたが、電童では北斗と銀河に対して好意的に接しており、頼れる長官なのだった。
昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の仇
巨大ロボットアニメに付き物なのが、主人公メカと対をなすライバルメカの存在であろう。圧倒的な力で主人公を追い詰め、努力と苦労の末に打ち倒したり、時には味方となり共闘する役回りを持つライバルメカは、ストーリーに緊迫感と緊張を与えてくれるものである。サンライズが制作したロボットアニメ、『GEAR戦士 電童』では、電童と対をなす存在として騎士GEAR 凰牙が登場する。
凰牙は、機械帝国ガルファの幹部である謎の黒騎士、アルテアが搭乗するGEARである。作品序盤では、北斗と銀河は、アルテアと電童と凰牙の武器になるデータウェポンをめぐり激しい戦いを繰り広げる。スペック上では電童と同等の性能の機体であるにもかかわらず、アルテアの高度な格闘技術により、電童をしばしば窮地に追い込んだ強敵である。
しかし、放送後半になるとガルファに洗脳されていたアルテアが改心し、北斗に凰牙を譲り渡す形となる。二人乗りだった電童は、凰牙の技術を流用し銀河が操縦することになり、電童とともに共闘することになる。しかし、一時的に北斗がガルファによって洗脳され、再び電童の前に立ちふさがる。このように、騎士GEAR 凰牙は、作中で幾度もその立ち位置を変え、電童に立ちふさがったり、共闘したりするのであった。
尚、敵として立ちふさがっている時は、仮面を模したバイザーが閉じた状態、味方として戦っている時はバイザーが上がり電童と同じく唇のある正義のロボットとして作中で活躍する。
バイザーがせり上がると、漆黒の正義のメカが誕生!
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メカ総作画監督の重田氏も、凰牙を描く上では電童と互角に見えないように威圧感が出るように気を付け、バイザーの下の素顔も電童が中学生くらいとするなら、凰牙は高校生〜大学生と少しだけ大人びたイメージになるように描いているとサンライズステーションのインタビューで明かしている。頭部の様子が変わるだけで、悪の強敵から頼もしい味方に変化するデザインの不思議さが凰牙の魅力と言えるだろう。
過去の製品でも、電童と同じくデータコマンド DX凰牙が発売された。電童と基本的なシステムが共通なため、ギアコマンダーで両手両足のタービンを回転させたり、別売りのデータウェポンを装備させたりすることができる。電童とそろえることで、ちょっとした対戦遊びができるのが売りであった。
そして、時が流れて約10年後の2011年3月にバンダイが新たなロボット製品のブランドとして立ち上げたスーパーロボット超合金シリーズで電童と同時に発売されることとなった。バンダイはスーパーロボット超合金のコンセプトとして、コレクションのしやすさによるスーパーロボット同士の「対決」もしくは「共闘」を再現することを挙げている。その「対決」を再現するにあたって、電童と凰牙が選ばれたわけである。
電童と同じく、スーパーロボット超合金として発売するにあたり、メカ総作画監督の重田智による全面監修が行われ、かなりのクオリティとなっている。それを詳しく観ていこう。
スーパーロボット超合金 騎士凰牙、来襲!
電童と凰牙は元々同じ機体であるという設定のため、基本的な構造自体は電童とまったく同じである。よって、過去の商品も電童と同じ部品が多く、金型流用をしているところもあったと考えられる。しかし、よくよく見ていくとタービンの溝の向きが電童と反対になっていたり、上半身の造形が電童とは違っていたりする。スーパーロボット超合金でもこの細かい差異をしっかりと再現している。それらを見ていこう。
関節軸などの基本構成は電童と同じ
しかし、カラーリングと頭部造形が違うだけで印象がガラッと変わる
電童と同じく、スーパーロボット超合金ブランド立ち上げ発表会の際に試作品が展示されていたが、その試作品は設定画に忠実に作られていた。先に述べたように、その試作品を元に重田氏の意見を取り入れて再度作りなおしたのが製品版なのである。監修が入ったことにより、タービンの溝のディティールがより細かくなり、胴体部分もスマートに作り直されている。しかし、胴体をスマートに造形しているのにもかかわらず、がっしりとしたプロポーションとなっており、非常に微妙なバランスの設計で作られていることが分かる。
ダイキャストが使用されている部分の赤色はメタリックカラーで塗装されており、胸の金色の塗装と相まって高級感が生まれている。しかし、タービン部分がABS製で成型色そのままの赤色となっており安っぽくなっているので、胸の高級感とのギャップを感じるのが難点だろうか。重田氏は胸の赤色とタービンの赤色の色合いは違うはずと指摘しているが、タービンの赤色にももう少し気を配ってほしかったところである。
特筆すべきは頭部の造形だろう。ハイエイジ向けのブランドと言うことで、ROBOT魂以上にシャープな作りとなっている。特に左右の耳は先端が鋭く、非常に細い。これがポーズを付ける時に肩と干渉してしまい、下手をすると角を折ってしまうので注意。別の頭に差し替える時にも落とさないように注意したい箇所である。できれば、この角の部分はPVC成型してほしかったところ。
気合いを入れて造形されているのがわかる頭部
だが、シャープすぎて取扱いにはかなりの注意が必要
基本的な可動範囲は電童とまったく同じである。元が同じ商品であるため、股関節のスライドギミックや上半身のスライドギミックも電童と同じく採用されている。このギミックのおかげで、幅広いアクションを楽しむことができる。
付属品も電童とほぼ同じである。電童と同じ手首のほかに、バックパックの上部分の差し替えパーツ、仮面状のバイザーが上がった状態の頭部、歯を食いしばった表情パーツが付属している。
本体用の差し替えパーツの構成はほぼ電童と同じ
バックパックの構造も電童とまったく同じなため、ファイナルアタック時のダクトのせり上がり、バックパックのハイパーデンドウデンチ部装甲のスライドギミックも電童と同じく再現されている。
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この辺りのギミックは電童とまったく同じです
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電童と同じく、頭部パーツを差し替えることでバイザーが上がった状態を再現することができる。
仮面状のバイザーが上がると、とたんにヒロイックな姿となる凰牙
顔立ちだけでロボットの印象は非常に変わることがよくわかる
凰牙の素顔は、電童と比べてやや落ち着きのある顔立ちとなっている。重田氏の「やや大人びた印象」というイメージを造形の上で再現しようとしているのがよくわかる箇所である。
せっかくなので、電童の頭部と比べてみましょう
また、素顔を差し替えれば歯を食いしばった表情にすることもできる。表情パーツを差し替える時は左右の角に注意しながら取り外すようにしよう。ちなみに、筆者は凰牙の顎に指の腹を引っ掛けて力を加えて差し替えている。こうすると、左右の角に触れずに済むので破損を恐れる必要はない。
また、電童と同じくタービン回転時のエフェクトパーツが付属している。こちらは電童の物とまったく同じ造形である。また、地面の衝撃エフェクトパーツも同様に付属しているが、こちらは電童のエフェクトパーツとちょうど左右対称になっている。電童のエフェクトパーツと合わせればなかなか様になる絵が期待できるだろう。
電童と凰牙、最強コンビの活躍を見よ!
このように、電童と基本構造はほぼ変わらないが、2体ともそろえてこそ電童も凰牙も栄えるはずなので、電童が好きになった人はぜひライバルも合わせて購入しよう。
炸裂!バイパーウィップ
月の螺旋城へ連れ去られた二人だったが、ベガの活躍によってなんとか脱出することができた。さらに逃亡のさなか、月に逃げていたユニコーンドリルと契約することに成功し、ユニコーンドリルのファイナルアタックで凰牙から逃げおおせることができた。
ユニコーンドリルを手にしたことで戦いに自信を持った二人だったが、その自信はあっけなく凰牙によって砕かれることになる。年の甲もあり、戦闘術に長けているアルテアは、2番目に出現したデータウェポン、バイパーウィップと契約することに成功した。バイパーウィップを手にした凰牙の力は、圧倒的であった。アルテアは、考えもなくファイナルアタックを使用し電池切れを起こした電童に情け容赦のない攻撃を仕掛ける。
アルテア「さあ、データウェポンの威力、お前たちに味わってもらおうか!」
バイパーウィップの牙は電童のコクピット装甲を切り裂くほどの威力を持っていた。コクピットの装甲を目前で切り裂かれた銀河は、死の恐怖を感じた。
銀河「うあああああああああっ!」
アルテア「ふっ・・・無様なものだな、電童のパイロット。」
止めを刺すためにアルテアがファイナルアタックを放ったが、技を放つ最中にベガのミサイル攻撃を受け狙いを外してしまったことにより、凰牙は撤退した。直撃は免れたものの、ファイナルアタックの余波で電童は吹き飛ばされてしまい、その威力を直に見た銀河は、完全に戦意を消失してしまうのだった・・・。
敵側に回ったとはいえ、そんな衝撃的で印象深い登場をしたバイパーウィップが、オプションとして付属する。
アルテアの戦闘に対する「自信」に呼応し契約を交わしたデータウェポン
腹の中では何を考えているかわからない性格らしい・・・。
こちらのバイパーウィップも造形面では非常にシャープに作られている。ユニコーンドリルと同じく、腕のフレーム部分に内部のPOMで固定する仕組みとなっている。塗装面では、パッケージの写真のように口の中と牙が塗装されていないのが難点である。過去の製品では、タービンの力を受けると首が回転するギミックが付与されていたが、スーパーロボット超合金ではリード線が付属しており、頭部の射出ギミックを再現している。
ウィップという名の通り、鞭のように投てきして相手を攻撃する
リード線なので自由に曲げることが可能
凰牙の幅広い可動域を利用して、インストールからファイナルアタックまでの動きも再現できる。バンクでは頭上でバイパーウィップを振り回すシーンがあるが、さすがにそのシーン用のエフェクトパーツは付いていないのでリード線をうまく曲げて再現しよう。
アルテア「バイパードライブ、インストール!」
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バイパーウィップと契約を交わすと、特殊能力イリュージョンフラッシュが使用できるようになる。これは高速移動を行うことで分身を作り出し、相手を翻弄しながら攻撃することが可能となる。北斗と銀河たちよりも戦術に長けたアルテアはバイパーウィップを駆使して電童を翻弄し、圧倒的な力でねじ伏せるのである。
イリュージョンフラッシュ!
(HUYU君の凰牙も合わせて再現しています)
バイパーウィップのファイナルアタックは、ウィップの先端を投てきし相手を貫く技である。
バイパーウィップ!
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ファイナルアタック!!
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ちなみに、北斗が凰牙を使用するようになってからはバイパーウィップは北斗と契約を交わした。力で押す銀河に対して、北斗はテクニカルな技を使用するようになったため、ユニコーンドリルと合わせてバイパーウィップを使用するようになった。インストールから必殺技のバンクも、ちゃんとバイザーがせり上がった物が用意されている。せっかくなのでこちらのバージョンも再現してみよう。
北斗「バイパードライブ、インストール!」
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バイパーウィップ、ファイナルアタック!!
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電童と凰牙は基本構造は同じなので電童にバイパーウィップを使用させることも可能である。ただし、契約後すぐに北斗は凰牙に乗り込んだため、劇中では電童がバイパーウィップを使用したことはない。
ちなみに、北斗が洗脳されたため、仮面状態の凰牙もユニコーンドリルを使用したことがある。その状態でもそれぞれのモーションが描き直されているのである。
北斗「ユニコーンドライブ、インストール!」
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ユニコーンドリル、ファイナルアタック!!
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このように、バイザーが上がっているのと下がっているのとでポジションがガラッと変わる性質上、同じ武器のバンクシーンが2種類になるものがある。重田氏曰く、電童と凰牙のバンクシーンをすべて合わせると、約1.5話分になるとのこと。このため、重田氏は作品の各エピソードの作画にはほとんど参加できなかったそうである。しかし、ほかのスタッフの作業に参加できなかった分、じっくりと描かれた数々のバンクは見ている人間を飽きさせず、見る者に強い印象を残す見事な出来栄えとなった。繰り返し使われるバンクシーンは、スーパーロボット系アニメの命と言っても過言ではないだろう。
別売りの電童とデータウェポンセットを合わせると、劇中の戦いをさらに再現できるようになる。2体とデータウェポンをぜひそろえ、電童の世界を机上で再現しよう!
電童、出動!(スーパーロボッ
ト超合金 GEAR戦士 電童のコラムへ)
ファイルセーブ!(スーパーロボット超合金 電童・凰牙用データウェポンセットのコラムへ)
輝刃ドライブ、インストール!(スーパーロボット超合金 超獣王 輝刃のコラムへ)
今日のところはこれまでか!(もどる)