HG 1/300 マグナザウラー

バンダイスピリッツ HGエルドランシリーズ

定価:5720円(税込み)

HG 1/300 マグナザウラー
ゴウザウラー2号メカのマグナザウラーがHGシリーズで登場!!

教授「拳一君、マグナザウラーはそれ自体が武器になるようです!」(訳:おもちゃを買ってね!)
90年代ロボットアニメは様々な変形メカが繁栄を極めた時期である。90年代前半に放送されたエルドランシリーズは、競合他社のタカラの勇者シリーズとの差別化のためか、主役2号ロボは、いわゆる武器メカとして扱われるようになる。前作『元気爆発 ガンバルガー』では1クール目に1号ロボのガンバルガーをある程度活躍させた後、2クール目に入ったところで2号ロボのリボルガーが登場した。リボルガーは、単体でガンバルガーと同じ大きさのメカに変形し、ガンバルガーの武器リボルバスターに変形することも可能であった。

新しいロボットを売りつけられるうえに、1号ロボを拡張したり最強合体のパーツにできるという旨味があったのか、3作目のゴウザウラーでも2号武器ロボが登場する。それが今回紹介するマグナザウラーである。このマグナザウラーも同じくシリーズ2クール目に入ってから登場し、ゴウザウラーの相方ロボットとして活躍した。

一方、恐竜、ロボット、武器、最強合体のパーツと様々な形態を持つマグナザウラーは旧おもちゃから逃れられない宿命が待っていた。今回のコラムは、マグナザウラーの詳細を見ていこう、。

壮絶!歯車王の最期!!
宇宙中の星々を機械化している機械化帝国は先兵として歯車王を地球に派遣した。歯車王は、部下のギークとともに壊れた機械を元に、機械化獣を作り出し侵略を開始した。1クール目はゴウザウラーでこの歯車王の繰り出す機械化獣との戦いが中心に話が進んでいく。

度重なる敗退の末、歯車王は機械化帝国のトップである機械神に最後のチャンスを与えられる。今度ゴウザウラーに敗退すれば、歯車王の命はない。歯車王は、奥の手としてこれまで倒されてきた機械化獣の残骸と融合することで自身を巨大化、さらに隕石をエネルギーの集積体として不死身の体を得てゴウザウラーに挑むのだった。

残骸と融合する歯車王
歯車王「聞け!ゴウザウラーに倒されし機械化獣残骸どもよ!
今こそ我がもとに集結し、ゴウザウラーに復讐の牙を向け!!」

巨大化した歯車王はゴウザウラーがこれまで倒してきた機械化獣の必殺技を繰り出し、拳一たちを苦しめた。しかも、ゴウザウラーの必殺技を受けても隕石のエネルギーで再生してしまう。歯車王はゴウザウラーを一度は機械の山の中に埋めてしまう。しかし、ゴウザウラーは機械化されることはなかった。10体近くの機械化獣のエネルギーを消費しているにもかかわらず行動できているという点から、教授は別のエネルギー源があることを見抜いた。

自身の心臓を隕石に封じ込めている歯車王は、隕石破壊を阻止するためにゴウザウラーの前に立ちはだかる。

攻防を繰り広げる2体

しかし、一瞬のスキをついてゴウザウラーは隕石の破壊に成功、ザウラーマグマフィニッシュで歯車王にとどめを刺すのだった。


ザウラーマグマフィニッシュ
ロールオーバーで画像が変わります

ザウラーマグマフィニッシュ!
拳一ザウラーマグマフィニッッッッシュ!!
ロールオーバーで画像が変わります

切りかかるゴウザウラー

一回転して着地するゴウザウラー
ロールオーバーで画像が変わります

勝ち名乗り
拳一「熱血
ロールオーバーで画像が変わります

勝ち名乗り
拳一「最強!
ロールオーバーで画像が変わります

勝ち名乗り
拳一「ゴウザウラー!!
ロールオーバーで画像が変わります

必殺技を受けながらも息絶え絶えで歯車王は尚もゴウザウラーに立ちはだかろうとした。そんな歯車王に強力な電撃が直撃、歯車王は断末魔の叫びとともに消滅してしまう。その攻撃の主は、歯車王に代わって地球侵略の命を受けた電気王だった。電気王は、電撃攻撃をゴウザウラーに食らわせるといずこへかと去っていくのだった。

電気王は、月にある前線基地のデザインを変えると早くも地球侵略の作戦を開始した。歯車王の部下だったギーグが電気王に取り入って部下になろうとしたが、電気王はそんなギーグを情け容赦なく握りつぶして破壊してしまう。(注1)電気王は壊れた機械ではなく兵器を中心に強力な機械化獣を作成、しかも自身にも専用のデスボルトというゴウザウラーと同じサイズのロボットを保有しており、2体がかりでゴウザウラーに襲い掛かるのであった。

このように、機械化帝国の侵略は激しさを増し、ゴウザウラー1体では戦力的に苦しくなっていくのだった。
注1 前2作は敵勢力にコメディリリーフ的なキャラクターが配置されていたのだが、この電気王の行動によってゴウザウラーの作品の方向性は「ハード路線」で行くということで確定された。
強敵!電気王の挑戦
電気王の出現により、ザウラーズのなかでも女子を中心に不安が広がっていった。そんな不安をよそに、白金太郎こと金太は、「敵が強くなれば自分たちも同じように強くなれば良い」という強気な姿勢を崩さない。そんな中、防衛軍の武田長官からの依頼でザウラーズは北極へと向かった。北極では、未知のエネルギー振動が観測され、その地点では6400万年前から存在していたメカが発見された。そのメカにザウラーズが近づくと、ザウラーブレスが反応、氷山に埋まっていたメカが完全な状態で姿を現した。ジャイロコプターの形状をしているため、そのメカはザウラージャイロと名付けられた。

そのころ、機械神の命を受けた電気王が出現した。子どもたちがゴウザウラーを動かしていると確認した電気王は、力の弱いものを倒しても意味がないということで、ゴウザウラーで戦うよう促した。金太は電気王の言葉に反発を覚え、生身で立ち向かうが全く歯が立たない。力こそがすべてという電気王の言葉を受け、金太はザウラージャイロに乗り込んで電気王に立ち向かう。

ザウラーズもゴウザウラーで機械化獣に立ち向かうが、電気王はデスボルトを召喚しゴウザウラーを追い込む。

ゴウザウラーを追い込むデスボルト
電気王「どうやら勝負は決まったようだな。これまでの戦いに敬意を表し、美しい最期を用意してやるぞ」

機械化獣の持つ巨大ミサイルは、水星と金星を機械化した時のプラズマエネルギーが込められていた。このミサイルを受けたら、ゴウザウラーといえども粉々に吹き飛んでしまう。デスボルトの電撃攻撃を受けたメインコクピットの3人は気絶しており、ゴウザウラーを動かすことができない。絶体絶命のピンチに金太は、ザウラージャイロを機械化獣に向けて体当たりさせ、ミサイルの軌道を反らした。

それたミサイルが炸裂すると、その強力なエネルギーが時空の穴を作り出した。その時空の穴の先に、新たなメカの信号が発せられていた。その信号をキャッチした金太はザウラージャイロを時空の裂け目へと進路を取り、6400万年前の恐竜時代に向かうのだった。

復活!マグナザウラー
ザウラージャイロで時空の穴に突入した金太は、恐竜時代にやってきた。恐竜時代では機械化帝国の侵攻が進んでおり、恐竜たちが機械化獣に襲われていた。金太はザウラージャイロをおとりにすることで恐竜を助けようとしたが、機械化獣から攻撃を受けて気絶してしまう。しばらくして気が付いた金太は、ザウラーブレスに導かれザウラージャイロを飛ばし、ついに火山の中で新しいザウラーメカ、マグナティラノを発見した。しかし、火山の噴火が始まってしまいマグナティラノは火山口の中に落下を始めてしまう。

金太は落下するマグナティラノに間一髪、ザウラージャイロを取り付けマグナティラノの起動に成功した。

マグナティラノ、起動!

時空の穴へとマグナティラノと向かう金太であったが、機械化獣の妨害を受けて、ついに金太が通ってきた時空の穴が完全に閉じてしまう。絶望する金太の前に現れたのはエルドランであった。エルドランは、マグナティラノを自身の力で元の時代に送り返した。

元の時代ではデスボルトと機械化獣の2体の攻撃の前にゴウザウラーが窮地に陥っていた。ゴウザウラーは氷の大地に下半身が埋まってしまい、身動きが取れずにいた。デスボルトと機械化獣は、容赦なく射撃攻撃をゴウザウラーに叩き込み、デスボルトは最後のとどめを刺そうと、剣を抜いた。

ボルトソード
電気王「歯車王を倒した貴様との戦い・・・。楽しみにしていたが期待はずれだったな、ゴウザウラー!
ボルトソード!

ゴウザウラーに切りかかろうとしたデスボルトの前に、巨大な氷山が現れた。その氷山を砕いて、マグナティラノが出現した。マグナティラノと合流したゴウザウラーは、氷の大地から脱出し、反撃に打って出た。金太は、教授の指示を受けマグナティラノをマグナザウラーへと変形させた。

マグナザウラー変形!
金太熱血進化!マグナザウラー!!

ロボット形態に変形したマグナザウラーは、マグナショットとマグマブレードでデスボルトと応戦、ゴウザウラーも機械化獣相手に奮戦した。しかし、敵からのダメージが蓄積していたゴウザウラーは、関節部に異常が発生し、行動不能に陥ってしまう。そんな中、マグナザウラーが武器になることを発見した教授は、金太に合体を促した。

熱血武装、マグナバスター!
金太熱血武装!マグナバスター!!

五郎「エネルギー充填完了!発射準備OK!!」

拳一「金太、あとはお前に任せたぞ!!」


ザウラービッグバスター
金太ザウラービッグバスター!!

勝ち名乗り
金太熱血最強!マグナザウラー!!

プラモで復活!マグナザウラー!!
TOMYが出していたDX版では、ゴウザウラーと同じくクリアパーツとメッキパーツを多用し、劇中に近い形の変形が行える。マグナティラノとロボット形態への変形は組み替え変形であるが、武器のマグナブレードも含めて余剰パーツが発生しない。また、武器形態のマグナバスターになる際も余るのはマグナブレードと胸飾りのみであった。コスト抑制やバランスを考慮に入れたのか、ゴウザウラーよりも頭一つ分小さいロボットであるが、プレイバリューに関しては申し分ない出来であった。

ほかのエルドランメカと同じく、本放送後のマグナザウラーの商品化は少ない。筆者が把握しているのはユージンのSR エルドラン リアルフィギュアコレクション2CM'sコーポレーションサンライズメカアクションシリーズの2点のみである。ユージンのマグナザウラーは、ガシャポンという形式を取っておりロボット形態のみの非変形タイプである。ポージングも腕の差し替えでポーズが2種類取れるくらいであった。CM'sのほうはゴウザウラーのオプションパーツの位置づけで、非変形のマグナバスター状態で梱包されている。ゴウザウラー本体も、関節がパッケージから取り出しただけで破損するという脆さでとても遊べる代物でもなかった。

その後2018年にゴウザウラーの商品化がバンダイスピリッツから発表された。2018年の試作展示では、マグナバスターを装備したゴウザウラーが展示されており、今後の商品化が示唆されていた。(注2)その後、12月にゴウザウラーが発売されると当然2号ロボのマグナザウラーの商品化が期待されるようになっていた。バンダイスピリッツ側もこの動きをにらんでいたのか、2月に東京中野ブロードウェイで開催された絶対!!元気!!熱血!!エルドランシリーズ展では、マグナザウラーの試作品が早くも展示された。

この展示の1か月後の2019年3月に、正式に商品化の報が公式発表され、予約も開始された。商品のイメージCGでも劇中通りのポーズを取るマグナザウラー、巨大なマグナバスター、果てにはスーパーザウラージェットまで再現されているというユーザーが期待していた通りの商品が発表された。ゴウザウラーの時と同じく、数が売れる保証がないからか数量が絞られていたのか、このインパクトは大きく、予約は困難を極めるほどだった。しかしAmazonでも予約受注1位となり、ユーザーの期待の高さが垣間見られた。(注3)

HG マグナザウラーは7月に発売され、オンライン通販で予約できなかった筆者は近くのエディオンとJohshinに朝一で駆け込み2つ抑えることに成功した。1次生産分は7月〜8月中には完売し、11月に再販がかかるほどであった。

次のセクションからは実際に商品仕様を見ていこう。
注2 校舎のジオラマにマグナバスターを装備したゴウザウラーというファンにはたまらない展示方法だった。また、この時点での試作ではマグナバスターの下にマグナザウラーの腕が造形されており、完全変形も視野に入れて開発されていたと思われる。

注3 同じ時期にグッドスマイルカンパニーからMODEROID ライジンオーの予約も開始され、こちらもAmazonの予約ランキングで1位となっていた。企業間で熾烈なエルドランメカの開発競争が行われていたが、この競争がクオリティを引き上げたとも言える。

マグナティラノのパワーを見せてやる!
HG ゴウザウラーの時と同じく、その商品化の熱量は非常に高い商品である。組み立て説明書にはメカデザイン及び商品監修担当のやまだたかひろ氏のコメントが掲載されており、ゴウザウラーの時と同じくザウラーズが要所要所でコメントをつけるという形式の説明書である。

ランナーはガンプラと同じく多色成型で色分けされており、クリアパーツも使用されている。通常のガンプラだと、無色透明の色分けがされてるところであるが、このマグナザウラーに関しては赤・青・緑の三色が使用されているこだわりぶりである。色分けについても、極力塗装せずにパーツ分割で再現されている。シールを使用しなければならないのは、マグナティラノ時の目の部分とロボット形態時の肩の金色の部分と足の模様である。

コスト削減のためなのか、一部ゴウザウラーのランナーが入っており脛パーツのスライドギミックと手首についてはゴウザウラーの部品を流用している。とはいえ、無駄なパーツが発生してしまうので手首くらいは新規の白ランナーに混ぜてほしかったものである。

説明書は、まず劇中に則ってマグナティラノから作成するように指示されている。組み立て自体は非常に組みやすく、慣れている人ならば1時間ほどでマグナティラノを完成させることができる。

マグナティラノ 前 マグナティラノ 後

マグナティラノ 横
劇中と同じく、90年代のゴジラ体系のティラノサウルスのマグナザウラー
心持ち恐竜の太もも部が大きいが、プロポーションは抜群

恐竜モード単体では、口が開閉し、腕が可動する。足の部分はロボット形態時の関節がそのまま生きているので前傾姿勢を取らせることができる。また、腕も収納ギミックがあるのでその関節を生かして表情を加えることが可能となっている。

続いて説明書ではマグナザウラーに変形させるためのパーツの組み立てと組み換えが指示されているが、ここでエルドラン2号・3号メカの恐ろしい宿命が待っていた。それは余剰パーツの大量発生である。このマグナザウラーについては、当時品のおもちゃはほぼ余剰ゼロで変形させることができていたが、このマグナザウラーはマグナティラノからマグナザウラーへ変形する時点ですら余剰パーツが大量に発生するのである。

具体的にはマグナティラノ時の下半身を形成するフレームパーツが盛大に余る。ロボット形態時についても旧玩具では胸の中に収納されていた頭は大きさを優先させたのか、余剰パーツ。キャノン砲の下に収納される下腕部も余剰パーツ。また、背部のウイングパーツはロボと恐竜時の時に大きさ自体が変わっているので、こちらも追加でする形となっている。極めつけは、マグナティラノ時のフレームパーツを差し込む穴を埋めるための極小パーツも追加しなければならない。

こういったこまごまとしたパーツまでも余らせたり付け足したりしなければ劇中プロポーションと可動が維持できないということだろう。これだけパーツを入れ替えなければならないので、ゴウザウラーの時に付属していた余剰パーツホルダーがマグナザウラーにも付属している。このパーツに各形態で使わないパーツを取り付けておく仕組みになっているので、パーツの紛失が防がれる。

余剰パーツホルダー
ゴウザウラーにも付属した余剰パーツホルダー
スタンド接続パーツや穴隠しなどのこまごまとしたパーツもすべてこれに取り付けられることができる徹底ぶり

旧玩具では可動やプロポーションは良くも悪くも二の次だっただけに、最小限の余剰で済んでいたのだが、これだけ余ってしまうと逆にすがすがしいくらいである。

熱血変形!マグナザウラー
差し替えが大量発生するとはいえ、劇中の変形ギミックはできるだけ取り入れられており、画像をつなぎ合わせていく遊び方をするのであればほぼ劇中の再現が可能である。ここからはマグナティラノからマグナザウラーへの変形を劇中のプロセスを追いながら見ていこう。

マグナティラノには金太用のザウラーチェンジャーが中に入っており、それを使って変形させる。コクピット内にいる金太が、コンソールから飛び出してくるザウラーチェンジャーをキャッチし、「熱血変形!マグナザウラー!!」のコールを叫ぶと変形が開始される。(注4)

熱血変形!マグナザウラー
金太熱血変形!マグナザウラー!!
ロールオーバーで画像が変わります

ゴウザウラーの時と同じく本物の恐竜が登場しそれとロボットが重なり合うという演出で変形スタート。まず、マグナティラノがバラバラとなり、両足・両腕・胸パーツの3つのユニットに分かれる。

分離する図
ロールオーバーで画像が変わります

分離した両腕・両足が変形する。脚部に関しては余剰パーツなく変形させることが可能。また、腕パーツは先に述べたように下腕部を取り付けなければならない。

両腕・両足の変形
ロールオーバーで画像が変わります
変形した両足と両腕が胴体部に再び接続される。

脚部の取り付け
ロールオーバーで画像が変わります

腕部の取り付け

最後に炎の中から頭部パーツが現れて(プラモデルでは頭部を取り付けて)マグナザウラーへの変形が完了する。

頭部が現れる図

変形完了!
ロールオーバーで画像が変わります

この辺りの変形ギミックは差し替えで割り切るところと完全変形にこだわったところをよく考えて作られていることが分かる。

変形完了した本体の全身像は以下のとおりである

HG 1/300 マグナザウラー 前 HG 1/300 マグナザウラー 後
差し替えや追加パーツを多用したため、プロポーションは非常に整っている
オリジナルのモールドも、くどくなりすぎておらずいい塩梅である

全体のプロポーションは、アニメの設定画を優先しながら可動とオリジナルのモールドを仕込んでいくというコンセプトでできている。これはグッドスマイルカンパニーのMODEROIDとは少し違うアプローチである。特に白眉なのが、背中のウイングである。こちらはわざわざ差し替えパーツを用意してでも、設定どおりに作るという熱意が感じられる。実際のアニメ設定画を見れば開発者の考えが分かる。

設定画における背面
ティラノ頭部にウイング上のパーツが追加されている。
通常ならばこの巨大化は無視されがちである。
出典『エルドランシリーズグレートメモリアルブック 熱血最強ゴウザウラー』(新紀元社)より

ロボット形態は顔が命というわけで、ゴウザウラーと同じく気合の入った顔の造形となっている。角は大きくシャープになっており、額のクリスタルもクリアパーツで再現。しかも目の部分はクリアグリーンとなっており、シールを貼る必要がない。頭部は分割が細かくなっているので、切り離すときの破損に注意しよう。

ゴウザウラーと同じく胸のクリスタルもクリアパーツで再現されている。驚くことに、一番目立つ赤いクリスタルのみならず、上と左右にある三角形の部分もクリアグリーンで色分けするという気合の入れっぷりである。クリスタル内部のメカもシールで再現されている。こちらはお好みでシルバー一色のシールを使用することもできる。

上半身のアップ
差し替え変形にした分、上半身の分割は細かく色分けされている

各パーツを大きく造形しているおかげで、旧玩具ではゴウザウラーより背が低かったのが劇中と同じくゴウザウラーと同じ大きさになっている。

ゴウザウラーとの比較
1/300同士なので並べて飾っても違和感なし!

可動範囲については、変形するにもかかわらず非常に広くとられている。胸部内に引き出し関節が仕込まれているので肩を引き出すことが可能である。この肩の引き出しのおかげで、両手でマグナブレードを構えることができる。また、胸飾りの干渉部が前へ可動するので、可動は妨げられない。このおかげで旧玩具では取れなかった後期アイキャッチのポーズも難なく取ることができる。

後期アイキャッチ
このポーズは、なかなか変形合体するおもちゃでは取らせられない。

肘は単純な軸接続であるが、肘にスペースが設けられているため、90度以上曲げることもできる。股間は、今日のアクションフィギュアやガンプラの標準である軸接続になっているので開脚も180度取らせることができる。足首も軸が入り組んでいるので変形と可動を両立させることができている。

マグナザウラーの武装は肩に装備されたキャノン砲によるマグナショットマグナブレードである。キャノン砲は変形による恩恵で取り外したり回転させたりさせることが可能で、劇中と同じマグナショットのポーズが取れる。

マグナブレードはマグナティラノの際に尻尾のキャノンの間に挟まっているのだが、こちらも当然挟むことが可能である。柄の部分のクリアレッドもしっかり再現しながら、内部に銀色のシールを貼ることでクリアの光っているように見せることができる。ただし、このクリアパーツは外れやすいので注意しよう。

マグナブレード
金太マグナブレード!
ロールオーバーで画像が変わります

マグナショット
金太マグナショット!
ロールオーバーで画像が変わります

このように、余剰パーツが大量発生してしまうものの、単体のプラモデルだけでもプレイバリューの高い逸品となっている。しかし、マグナザウラーの真価を発揮するのはゴウザウラーと合わせたときである。次のセクションではゴウザウラーとの連動ギミックを詳しく見ていこう。
注4 登場当初は「熱血進化」のコールだったが、3号ロボのグランザウラーが登場してからはグランザウラーとのバッティングを避けたのか、「熱血変形」に変わっている。HGマグナザウラーでは熱血変形のコールが採用されている。なお、ザウラーチェンジャーはゴウザウラーのものと同型で色も同じである。今商品化するならば、確実にマグナザウラー専用のザウラーチェンジャーが登場していたことだろう。
行くぜ!熱血進化!!
マグナザウラーはゴウザウラーと単独で合体し、武器になるギミックが付与されている。ゴウザウラーにはロボットモードでもジェットモードでも取り付けることが可能である。ザウラージェットとマグナザウラーが合体した形態はスーパーザウラージェットと呼ばれる。マグナザウラーは普段、校舎の家庭科室がある一画と融合しているのだが、出動時はザウラージェットに組み付く形で出撃する。もちろん、マグナザウラーが登場した後は発進バンクも一新されている。その様子を見てみよう。

ザウラーズ、発進!
エリーザウラーズ!出動!!

校舎が変形する図
ロールオーバーで画像が変わります

飛び立つザウラージェット
五郎ザウラージェット、発進!!
ロールオーバーで画像が変わります

飛び立つザウラージェット
ロールオーバーで画像が変わります
上のプロセスでは省略しているが、金太がほかの4人とともにザウラージャイロで校舎内を飛び回り、ジェット背面のマグナザウラー頭部にジャイロで移動する。現場に到着後は、ザウラーフォーメーションの掛け声で4体の恐竜ロボに分離する。

ザウラーフォーメーション
エリー「五郎君、分離よ!!」

五郎了解!ザウラーフォーメーション!!
ロールオーバーで画像が変わります

実はこの発進シーン、かなり二次元のウソが働いているのだがその詳細は後で述べよう。

スーパーザウラージェット 前 スーパーザウラージェット 後

スーパーザウラージェット 横
4体のメカが合体しているため重量はかなりのもの。
付属のアクションベース4を使ってディスプレイする

スーパーザウラージェットは、劇中の設定を重視したキャノン砲の位置となっている。旧玩具から進歩した点はキャノン砲の位置である。旧玩具はキャノン砲がかなり前の部分に配置されており、重心が前に行き過ぎていた。これはキャノン砲基部での接続にこだわったためである。

一方のプラモデルでは劇中の位置に配置できるようマグナショットの部分にジョイントが設けられており、この箇所でバックパックと接続する。そのため、旧玩具より後ろの位置にキャノン砲が配置されることとなり、ちょうどよいバランスとなるのである。もちろん、基部の接続も生きているので旧玩具と同じ位置に接続することもできる。ただし、重心が前に行き過ぎるため、たとえスタンドを使っても、この状態では前に倒れてしまうのでディスプレイは不可能である。

ロボットモードのゴウザウラーとマグナザウラーが合体すると、バスターゴウザウラーという形態となる。この技はもっぱら第2の必殺技という扱いで、マグナザウラー登場からキングゴウザウラー登場まで多用されている。スーパーロボット大戦などでは、ゴウザウラーとの連携攻撃扱いとなる作品もある。

必殺技のバンクも当然気合が入っている。まず拳一と金太が互いのザウラーチェンジャーをガンモードに変形させ、金太の「熱血武装!マグナバスター!!」のコールとともに一斉射撃するとマグナザウラーの変形が開始される。

熱血武装!マグナバスター!!
拳一「行くぜ、金太!

金太熱血武装!マグナバスター!!

ロールオーバーで画像が変わります

マグナザウラーの腕がアニメと旧玩具ではキャノン砲の下に収納されるが、本キットでは下腕部を取り外す。腕が収納されるとマグナザウラーの四肢が分離し、上半身がゴウザウラーの背部に装着される。

分離するマグナザウラー
ロールオーバーで画像が変わります

ゴウザウラーとの合体@
ロールオーバーで画像が変わります

マグナザウラーの上半身を基部に、脚部と腕が変形したキャノン砲を装着させればマグナバスターが完成する。

ゴウザウラーとの合体A
ロールオーバーで画像が変わります

ゴウザウラーとの合体A
ロールオーバーで画像が変わります

バスターゴウザウラー完成!
バスターゴウザウラー完成!
ロールオーバーで画像が変わります

マグナザウラー内のコクピットでは、天井から照準器となるコンソールが出現し、ガンモードのザウラーチェンジャーを金太がコンソールに接続!そのまま巨大な銃として使用し、ザウラービッグバスターを発射する。

照準を合わせるバスターゴウザウラー
ロールオーバーで画像が変わります

ザウラービッグバスター
金太ザウラービッグバスター!!

マグナバスターから高出力のビームが発射、敵に直撃する。直撃を受けた機械化獣は爆発!ゴウザウラーからマグナザウラーが分離し、マグナザウラーが勝ち名乗りを上げる。

分離するマグナザウラー
金太熱血最強!
ロールオーバーで画像が変わります

勝ち名乗り!
金太マグナザウラーッッッ!!
ロールオーバーで画像が変わります

このように画像の上では劇中の再現が完璧にできる。特にマグナバスターと合体した時のバスターゴウザウラーは、平成仮面ライダーで言うところの「中間フォーム」のポジションであり、かなりの迫力である。この形態を再現し、ディスプレイしやすくするためこのマグナザウラーには黒色のアクションベース4も付属している。

バスターゴウザウラー 前 バスターゴウザウラー 後
巨大なマグナバスターが目を引くバスターゴウザウラー
スタンドなしでもうまく重心を調整すれば自立可能
付属のアクションベース4を使えばより安定するうえに空中ディスプレイも可能

俺は間違っていたんだ・・・。どんなに工夫を凝らしたって変形だけじゃ設定画どおりにできなかった!
この迫力のマグナバスターであるが、実はこの形態二次元のウソだらけである。まず、旧玩具ではマグナザウラーの上半身を使用するのだが、HGではマグナバスター専用の形状重視バックパックパーツを使用する。これにより、劇中とほぼ同じ形状のバックパックが完成する。

アニメ設定画
劇中設定のバックパックの形状
マグナザウラーの上半身の面影が全くない
出典『エルドランシリーズグレートメモリアルブック 熱血最強ゴウザウラー』(新紀元社)より

この形状重視パーツを使用するため、多くの余剰パーツが発生する。まず、旧玩具では取り外す必要のなかったマッハプテラの頭部を取り外さなければならない。また、専用の形状重視のバックパックを使用しているため、マグナザウラーの上半身がすべて余ってしまう。下腕部と足首ブロックも使わないため、事実上使用しているのは脚部と肩、キャノンパーツのみになるのである。形状重視バックパックも色分けされておらず、劇中再現を行うには自分で青・緑・黄色の3色を使って塗装しなければならない。

旧玩具は胸飾りだけしか余らなかったのが、プラモデルでは形状を重視したため多数の余剰パーツが出る結果となってしまった。取り外したマッハプテラの首やマグナザウラーの上半身も含めて余剰パーツホルダーにすべてのパーツをつけておくことができるが、アニメの形状に忠実でありながらの変形合体がいかに難しいか、このマグナバスターで見て取れる。

マグナバスター時の余剰パーツ
もう何かの冗談にしか見えない余剰パーツの多さ
せめて変形重視派のためにマグナザウラーの上半身も使用できるようにしてほしかったものである

2010年代でスーパーミニプラを除き、ほとんど勇者やエルドランシリーズの変形・合体可能な立体物が出なかったのは、この変形ギミックとプロポーション・可動の両立が難しいためであろう。スーパーミニプラも二次元のウソが働いているメカに関しては、大幅な差し替えにしたり、変形合体機構を排したりしている。ホビー事業部もこの変形機構には頭を悩ませていると思われる。

中間形態の比較的単純に見える合体でさえ、この有様なので、最終合体のキングゴウザウラーの開発は難航したと思われる。ただし、このマグナザウラーにはキングゴウザウラーへの合体を考慮に入れた設計にすでになっていた。というのも、組み立て説明書の時点で何かより大きなメカの足首をほうふつとさせる形状になっているのである。しかも、脚部には何かの足首にピッタリフィットする窪みがあるし、その窪みのなかの装甲を跳ね上げればジョイントが収納されている。おあつらえ向けにゴウザウラーにもフィットしてしまうのである。

バンダイスピリッツホビー事業部は、この最終合体に向けた布石をマグナザウラーで取り入れている。2020年3月には、twitter上でゴウザウラー放送開始日に向けたカウントダウンが始まり、そのカウントダウン内では3号メカのグランザウラーと最終合体形態であるキングゴウザウラーのCGが公開された。7月には3号ロボのグランザウラーの発売が公式で発表されている。

すべてのロボと最終合体形態が初めてそろうということで今後のプラモデル展開も目を見張るものがある。今後もエルドランシリーズのメカから目を離すことができない!

ゴウザウラー!熱血合体!!(HG 1/300 ゴウザウラーのコラムへ)

熱血進化!グランザウラー!!(HG 1/300 グランザウラーのコラムへ)

俺は拳一たちと約束したんだ!!(もどる)