THE合体 グレートダ・ガーンGX
グッドスマイルカンパニー THE合体シリーズ
設計:GOD BRAVE STUDIO Mr.田
THE合体 ダ・ガーンX+THE合体 ガ・オーン
伝説合体!星と願いを共にせよ!!
このコラムは、20年前に筆者が執筆した第1号コラムシリーズ、『伝説の勇者 ダ・ガーン』のコラムを再編集し、グレートダ・ガーンGXについて語っています。筆者の思い出・体験談を踏まえたコラムになっています。私個人の主観とマニアックな話ばかり書いている(いつものことですが)ので、読んでいてあまり面白くはないかもしれないが、共感してくれる方がいらっしゃれば、うれしく思います。
復活!ダ・ガーン
29話「復活!ダ・ガーン」では、もう後のないレディーピンキーがダ・ガーンを倒し、再びキリマンジャロの解放点をセブンチェンジャーと結託して刺激しようした。敵のマシーンが迫ったときエネルギーを消耗しきったダ・ガーンは渾身のブレストアースバスターを放ち力尽きてしまう。止めを刺そうとセブンチェンジャーが剣を振りかざすが、星史の叫びに呼応するかのようにダ・ガーンとガ・オーンが黄金の光に包まれ、命令無しに合体を開始する。
「グレートダ・ガーンGX!!!」
ロールオーバーで画像が変わります
このときのバンクはいかしたBGMで迫力あるものだった。そうして合体して誕生したのがグレートダ・ガーンGXというわけである。必殺技のGXバスターは、初のグレート合体時における高出力ビーム砲の必殺技で、このバンクは次回作の『勇者特急マイトガイン』でも使用されている。
玩具でも当然この合体が可能で肩にGXバスターを装備させることでモーター駆動でGXバスターの砲身が回転したりポップしたりするといったものであった。
尚、勇者シリーズにおけるこの合体は元々完成されたデザインのロボにパーツを付けるので、バランスが悪くなり格好悪くなるのが常であったが、ダ・ガーンXは元々シンプルで悪く言えばぱっとしなかったのが、この合体でより格好よく見えるのである。こういった点では成功してるといえるかもしれない。
地球
の歌を聞け
ダ・ガーンはストーリー性を重視し、考えさせられる話が多い。その中でも34~37話は興味深い。34話「隊長の資格」では、オーボス軍内部に地球の勇者と内通している者がいると睨んだビオレッツェがそれを確認するためにレッドロン(注1)、ピンキー、ブッチョ、セブンチェンジャーを呼び集めガンダール遺跡に調査に向かわせた。情報を得たヤンチャーが星史にガンダール遺跡が狙われてるという情報を流し、勇者たちが到着し敵と応戦になるのだが、そこに現れたビオレッツェがあろう事か遺跡にバリア発生装置を設置してしまい、双方をバリア内に閉じ込めてしまう。やむなくセブンチェンジャーも戦うのだが、星史はこのままでは拉致が空かないということでバリア発生装置を破壊しようとする。
しかし、バリア発生装置のエネルギーはものすごいものでこれが破壊されてしまうとガンダール遺跡が跡形も無く吹き飛んでしまうということで、ヤンチャーが通信で止めに入る。このときに「遺跡は母上の母上のそのまたずっと前の母上や父上の造ったものなんだぞ。遺跡は星に住むものが生きてきた証なんだ!」とヤンチャーが言うのだが、星史はこの言葉の真意がわからず攻撃をやめず、ダ・ガーンにGXバスターで発生装置を破壊するよう指示する。その射程上にセブンチェンジャーが立ちはだかり、これでセブンチェンジャーがスパイであるとばれてしまう。ペガサスセイバーにセブンチェンジャーをどかすよう指示させ、GXバスターを放ちバリア発生装置を破壊し当然遺跡も跡形もなくなってしまった。
これについてヤンチャーは失望し、「お前に星を守る隊長の資格はない」と言い放ち、その場を立ち去る。その後も残った連中との戦いは続くのだが、ヤンチャーの言葉によって困惑し思うように指示が出せずに戦えず撤退してしまう。
丁度、この頃の少し前にタリバンの仏像破壊が問題になっていて、思わずこの放送をタリバンの連中に見せたくなった。(注2)
その後も、この手の重い話は続き、35話「地球の歌を聞け」では、ビオレッツェらによって拷問を受けているセブンチェンジャーを救うべく蛍を連れて日本海溝へ向かう。この放送で、もう一人のヒロインの香坂ひかる(注3)に遺跡を破壊したというのを批判されたり、蛍にも「こんな大切なものを壊しても何も感じない人がいるのね」と言われたり散々な目にあったりする。だが、海溝内でマリーンスノーを見たりして、さまざまな生命が昔から自分の知らない場所で生きていて営みを続けてきてそうして自分がいるということに自分なりに気づいていく。
「人もまた人という種が発生してから営みを繰り返してきた、遺跡にはそこにかつて生きていた人々の想い・精神が残されている。これがなぜ歴史が大事なものなのかということである」
はっきり言ってこの放送を観て自分が子供の頃に観ていたアニメがここまで高レベルなものだったのかということに驚嘆してしまった。先にも述べたように「子供向け=幼稚の図式は必ずしも成り立ちはしない。」と本当に思ってしまった。
注1 1クール目の敵で失敗した罰として半分機械にされてしまった。乗機は『トランスフォーマーV』のデスザラスの流用品のレッドガイスト。
注2 いみじくもガンダール遺跡は中東の遺跡が舞台と思しき場所で、2001年当時の世相と被っている。
注3 もう一人のヒロインのポジション。星史の幼馴染で夫婦漫才を繰り広げる。
復活!THE合体 グレートダ・ガーンGX
グレートダ・ガーンGXの立体化は非常にまれである。DXが出た後は、DVD-BOXでシーエムズコーポレーション製のアクションフィギュアが付属したくらいでほぼ立体化されてこなかった。
しかし、2021年に入りTHE合体のダ・ガーンの発売をグッドスマイルカンパニーが行ってからは情勢が変わった。ダ・ガーンとガ・オーンが同時に開発されており、当然グレート合体も視野に入れて発売されることとなったのである。そして2021年8月にTHE合体 ガ・オーンの予約が開始された際、メカスマブログでグレートダ・ガーンGXの詳細が発表された。そのギミックは後で述べるが、グレート合体後も非常に細かな配慮がなされていたのだった。
その合体プロセスをまず見ていこう。グレートダ・ガーンGXの合体バンクはリアリティを重視したこれまでのバンクと違い、ド派手な演出がなされている。星史が合体命令を下すと、ダ・ガーンの胸の球体が光り、ガ・オーンと背中合わせに並ぶ。
星史「ダ・ガーン、ガ・オーン!合体だ!!」
ロールオーバーで画像が変わります
この際、木々は揺れ海は波立つ演出が入る。
背中合わせに立ったガ・オーンの本体が分離し、脚部アーマーと胸から頭部を形成する
ロールオーバーで画像が変わります
ロールオーバーで画像が変わります
分離したパーツの中にダ・ガーンXが飛び込み、脚部アーマーや頭部が接続される。
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頭部パーツをかぶると、ダ・ガーンXのブレストアースバスター部が開き、ライオンの頭部がかぶさる。
「合体!」
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頭部が現れ、グレートダ・ガーンGXの完成である。
「グレートダ・ガーンGX!!!」
ロールオーバーで画像が変わります
完成したグレートダ・ガーンGXの全身像がこちらである。
合体後は30cmの大きさになる
変形合体しているとは思えないほどのプロポーション
各部の調整がなされており、破綻のない美しいプロポーションをしている。赤い爪先パーツは当時品では浮いていたが、スライド展開させることで接地させている。また、下駄パーツも大きく見えるように展開ギミックが仕込まれているのである。また、尻尾パーツはグレート合体時にもつけておくことができる。
ガ・オーンの腕部は当時のように伸ばしておくこともできるが、取扱説明書では腕を曲げるように指示が出ている。筆者は当時品の状態が好きなので伸ばしている。
ダ・ガーンX側のギミックとしては、頭部の収納が見事だし、何よりも胸部の金色の板の部分がスライド展開して大きくなるのである。
胸の金色の板が上にスライドして大きくなるようになっている
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ダ・ガーンXの頭部が後ろに倒れ、完全に収納される
アースファイター時に頭部を隠すカバーパーツはこのように背中に収納する
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ガ・オーンの胴体とダ・ガーンの接続は合計6点のジョイントで後と上からロックされるので簡単に外れることはない。
ダ・ガーンXのコラムで紹介したアニメ作画重視の見栄えパーツを使ってももちろん合体させることができる。足首の関節機構の都合により、グレート合体時は変形重視の足よりも見栄え重視の足のほうが安定して立つことができる。
左側が変形重視、右側が見栄え重視のグレートダ・ガーンGX
安定するのは見栄え重視だが、筆者はもっぱら変形重視で飾っている
GバルカンとGキャノンの持ち手パーツがガ・オーン側に付属しており、手首を交換すればこれら2丁の武器とGバードと合体させてGXバスターを持たせることも可能である。もちろん、可動手首でもGXバスターは持てるが、引き金に指をかけることはできない。
ロールオーバーで画像が変わります
GXバスター!!
前後を逆にすることでGXバスターバルカンも再現することができる。
GXバスターバルカン!!!
SNSの声を聞け
筆者が苦労したのはGXバスターの両手持ちであった。このTHE合体 グレートダ・ガーンGXではパッケージのCGなどでGXバスターを両手持ちさせる画像が載せられているのだが、その通りに持たせられないのである。確かにMr.田氏もこの両手持ちを意識してダ・ガーンXの肩を前後にスイングさせることが可能にしているのだが、ライオンの顔やバランス調整で大型化させた胸アーマーが干渉してしまいどうしても両手持ちさせることができなかった。
前情報なしでの両手持ちはこれが限界でした
しかし、そこはSNSが発達した2022年である。Twitterのフォロワーさんが両手持ちのやり方を親切にも教えてくださったのである。
このアドバイスをきっかけにGXバスターの両手持ちに再度挑戦したら、見事に両手持ちを成功させることができた。
アドバイスをくださった大使(勇者提督)さんには感謝の気持ちを伝えたい。
このように、令和によみがえった伝説の勇者は合体玩具の歴史にも残りそうな勢いのクオリティを誇っている。開発したグッドスマイルカンパニーやGOD BRAVE STUDIOの技術力の高さ、何よりも作品に対する並々ならぬ情熱と愛情には頭が下がる思いである。
しかし、THE合体はこれだけでは終わらない。『伝説の勇者 ダ・ガーン』からは7段変形するライバルメカ、セブンチェンジャーの開発が進んでいると発表があったのである。このセブンチェンジャーはTHE合体規格として、もちろん7段変形させるとのことである。しかも、THE合体のダ・ガーンXと並べられる大きさで開発が進んでいるとのこと。
さらに、THE合体は次回作、『勇者特急 マイトガイン』シリーズも商品化する予定である。こちらも完全変形を目指し、目下開発中で特に腕周りの「二次元のウソ」も解消するというクオリティを誇っている。
今後も、THE合体から目が離すことができない!!
風の未来へ
36話「秘められた伝説」でヤンチャーの星がオーボスによって滅ぼされたこと、そしてヤンチャーの星に秘められていた伝説の話があり、ここで大体の伏線が消化された。
『星とさだめを共にするものたちよ 星と想いを共にせよ 星と願いを共にせよ 黄金の光集い来て 新たなる道を照らすであろう』
ヤンチャーの話によると、オーボスはこの力を狙い、たくさんの星を破壊してきたらしい。これは後々でわかるのだが、全ての力を持ったオーボスには「全ての宇宙の生命を奪い宇宙に静寂をもたらす」という目的も暇つぶしでしかなかったようだ。伝説の力も珍しいものを見ようとしただけということで、最終回の「これでやっと死ねるのか」というのが印象的だった。
物語りも終わりに差し掛かると最初に堂々と登場したグレートダ・ガーンGXがどんどんへタレていき、パワーアップしたレッドガイストに苦戦したりシアン(注4)に必殺のGXバスターをはじきかえされたりして、最終的に勝率換算すると5割を下回るということに気づき閉口したものだった。
しかし、最終回もぐっと来るものがあり最後、役目を終えたダ・ガーンたちは再び眠りについた。星史の「みんながいて俺がいる。今までも。これからもずっと。ずっと。ずっと!」という言葉が印象的で最初の単なるお調子者からの成長振りは目を見張った。
このアニメを再び見て最近のアニメはちょっとなぁと感じてる理由がうっすら見えた感じがする。確かに、映像技術は進んだりして目を見張るものがあるが何が言いたいのかというメッセージ性が皆無だったり、下手に人気取りに走りすぎていてそこらへんがなぁ、という感じになる。
30年前のアニメでもここまでクオリティが出せるのであるから今のアニメ界もがんばって欲しいものである。
注4 オーボス親衛隊の一人で円盤から龍に変身する。この作品、いや勇者シリーズ全体を通しても屈指の難敵。ダ・ガーンが弱いのではなく敵が強すぎるというのが最近の見解である。
我々の使命は終わったのだ。後は君たちが道を作るんだ。君が言っていた未来を私も信じている。(もどる)