THE合体 ガ・オーン
グッドスマイルカンパニーTHE合体シリーズ
設計:GOD BRAVE STUDIO Mr.田
定価:22000円
キリマンジャロの勇者、ガ・オーンがTHE合体に登場!
このコラムは、20年前に筆者が執筆した第1号コラムシリーズ、『伝説の勇者 ダ・ガーン』のコラムを再編集しTHE合体 ガ・オーンについて語っています。筆者の思い出・体験談を踏まえたコラムになっています。私個人の主観とマニアックな話ばかり書いている(いつものことですが)ので、読んでいてあまり面白くはないかもしれないが、共感してくれる方がいらっしゃれば、うれしく思います。
緑色の侵略者
本コラムシリーズでは、『伝説の勇者 ダ・ガーン』の作品内容についても触れたい。2001年に高校に入学したとき、とあるケーブルテレビに加入してスカイパーフェクトTVのキッズステーションを見れるようになった。そのころ丁度、この作品が放送されていた。高校生になってから毎週観ていた感想を率直に言うと「子供向け=幼稚の図式は必ずしも成り立ちはしない。」と痛感した。当時世代だったということを差し引いても、今の大人の目で見ても楽しめたし作品内容は高度なものだと感じた。
この作品は「環境問題」や「生命の大切さ」という重い話題を取り扱っているが、昨今のどうも重く暗い話ばかりではなく、明るい雰囲気の話が多かった。それでも思わず考えさせられる話が多々あった。
たとえば、2クール目終盤でのデ・ブッチョとの戦いにおいて、桜小路蛍が連れ去らわれたという話があった。ブッチョは装甲獣というバイオ工学で作った巨大モンスターを操るのだが、装甲獣はブッチョの創りだしたもので、いわばブッチョは神ある。ブッチョが「死ね」といえば装甲獣は喜んで死ぬ。それがブッチョの理想郷であるという危険な発想の持ち主なのだが、蛍に「生命をもてあそぶものは自分の生命も誰かに弄ばれる」と指摘されてしまう。現にそのとおりになってしまい、ブッチョは作戦失敗により、オーボス直属の部下であるビオレッツェ(注2)の手によって処分されてしまう。(注3)
1990年代は凶悪な少年犯罪が多発していた。あの当時の子どもたちに「生命をもてあそぶものは自分の生命も誰かに弄ばれる。どんな生命でもその尊さに変わりはなく、そしてその全ての生命をいとおしむ気持ちを持とう。」というメッセージを送っていたのだろう。
注1 本作のもう一人のヒロインで、動物や植物と心を通わせることが出来るというなんだか危険なキャラクターであった。
注2 猫に変身できるオネエキャラの宇宙人でオーボス軍の幹部。
注3 本当は8人に分裂させられて生きていて後半でも出てくるのだが。
キリマンジャロの勇者
勇者シリーズのお約束で中盤からいわゆる主人公1号ロボと2号ロボとの合体で「グレート~」というようにパワーアップした最終形態が登場する。ダ・ガーンも当然のごとくこの通称「グレート合体」を行う。ダ・ガーンでは番組中盤で2号ロボ、ガ・オーンが登場する。
オーボス軍団がアフリカのキリマンジャロ付近でプラネットエナジー解放点を発見、なんと運悪くプラネットエナジーが解放されてしまった。プラネットエナジーが解放されると、地面が割れ、何とアフリカ大陸がどんどん裂けて行く。これを阻止するためにダ・ガーンは地面にもぐり内部から大陸を繋ぎとめようとしたが、敵の襲撃にあい、反撃できずに苦戦する。
そんな折、キリマンジャロ付近でオーリンが反応し、太古の陸の勇者、ガ・オーンが復活した。ライオンから変形するこの勇者は苦戦してるダ・ガーンらの下に駆けつけてあれよあれよという間に敵を蹴散らしていった。
ガ・オーン!!
ガ・オーンの登場で、アフリカが引き裂かれるのは回避できたがその代償としてダ・ガーンが地中内でアフリカを繋ぎとめなければいけなかった。このおかげでダ・ガーンは4週間登場しなかった。この4週間の放送で町が閉鎖されたり、防衛軍のGDOと接触したり、クラスメートの山本ピンクが実はオーボス軍団の幹部のレディーピンキーだったことが判明したりと話が急展開していった。
このガ・オーンは星史のことを酋長と呼ぶが実はこの言葉は、今では放送禁止用語だったりする。声優さんもダ・ガーンと同じ速水奨氏で、口数が少ない性格だった。そして2号メカの悲しいところでダ・ガーン戦線復帰後はただの合体パーツという位置づけになってしまい、あまり活躍はなかった。
玩具のほうは2号ロボの割にはかなりギミックがあり、ライオン形態のときはモーター駆動で歩いたりロボット形態のときは手に持った武器のGバルカンやGキャノンがモーターの力で回転したりポップアウトしたりとすごいものだった。その分価格は7000円と割高だったが、割りにあうものだと思う。
THE合体 ガ・オーン登場!!!
筆者はこのガ・オーンをメルカリの力を借りて落札した。2019年当時、箱と尻尾なしで8150円で購入できたのは大きかった。放送から30年経過した今となってはプレ値が付き、なかなか当時品はお目にかかることができない。
基本的に合体パーツ扱いされる2号メカはほとんど商品化の機会に恵まれない。2001年の新世紀勇者復活計画では1号ロボが発売されたが、2号ロボのガ・オーンは発売されることはなく、商品化の機会も全くなかった。
しかし、2021年に入りグッドスマイルカンパニーがTHE合体展でTHE合体 ダ・ガーンXを発表した際、ガ・オーンはついに日の目を見ることとなった。ダ・ガーンXの発表と同時にガ・オーンの開発も進行しているとアナウンスされたのである。しかも、グレート合体も可能であることも触れられ、ポップではあったがグレートダ・ガーンGXの紹介も行われた。
勇者シリーズの主人公メカはガオガイガーを除いて必ず強化合体を行っている。1号ロボと同時に2号ロボも開発を進めグレート合体の検証を行わなければならないという理由から早めに設計が進んでいたわけである。ガ・オーンは同じくTHE合体ブランドで発売されることが決定し、2021年8月から予約が開始された。新型コロナウイルスの影響による中国工場ロックダウンの影響で当初の発売の2022年5月からずれ込み、7月に発売が延期されたもののそのクオリティは非常に高いものである。このTHE合体 ガ・オーンの詳細を見ていこう。
ガ・オーンはライオンから変形する2号ロボである。まずはライオン形態から見ていこう。
とても変形するとは思えないほどプロポーションがよいガ・オーン
当時品とは違い、電動ギミックが廃止されており歩くことができないが、その分アニメに忠実なプロポーションで立体化されている。前脚と後ろ足がフレキシブルに可動するので伏せたり走るポーズも取らせることが可能である。
ライオンモードの腹部にはGバードが合体しているが、このGバードも羽が可動し分離させることができる。
ロボへの変形時に一時的に分離して再度胸に合体するGバード
Gバードと一応合体している扱いなので当時品のガ・オーンには「獣王合体」の二つ名がついている
ライオンモードからロボットモードへの変形はほぼ劇中を踏襲している形になっている。
星史「ガ・オーン、変形だ!!」
ガ・オーン「了解!!」
ロールオーバーで画像が変わります
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ガッ・オーン!!
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アニメから飛び出してきたかのような見事なプロポーションをしている
電動ギミックを廃止したおかげである
可動範囲は肩・肘・股関節・膝が可動するようになっている。肩と股関節はクリック関節が採用されており、保持力も高い。ただし、グレート合体をする都合で腰の回転がない。変形・合体モデルなのでそこはしょうがない部分だろう。
脚部の変形はアレンジが加えられており、ふくらはぎと足底にカバーパーツが追加されている。このふくらはぎのカバーはライオン時は横につく形になっており、ライオン形態時の脚部をつなげる役目を果たしている。
ロールオーバーで画像が変わります
変形時の留意点としては、肩の変形は要注意である。この箇所は金属棒で回転するようになっているのだが、金属棒を支えている基部のパーツが薄く小さい。この箇所にはたわませる力を絶対に加えてはならない。力の入れ方を間違えると破損してしまうので注意しよう。
質実剛健に作られているTHE合体だが、こういう脆い箇所もあるので注意
尻尾パーツはロボットモードに変形させると余剰パーツになっていたが、THE合体ではそのまま取り付けておくことが可能である。こうすることで余剰パーツがなくなる。
また、顔の変形は当時品から大きく改善されている。当時品は口を開けるとそのままロボットモードの顔が出現していたが、THE合体ではライオンの口を目いっぱい開けないと顔が現れないようになっている。こうすることで、ライオンモードやグレート合体時にもライオンの口を開けられるようになった。
ただ、当時品では脚部のジョイントに武器パーツを取り付けることができたが、THE合体では取り付けられないため武器がすべて余剰パーツになってしまうのが難点である。
THE合体 ガ・オーンには豊富な武器パーツが付属している。まず、GバルカンとGキャノンは当然手に持たせることが可能である。この武器の保持には、デフォルトでついている可動指の手首を使うか専用の手首を使うか選ぶことができる。筆者は手首の付け替えが面倒と感じる派なので、可動指の手首に持たせている。
Gバルカン!
Gキャノン!
Gバルカンは手動で砲身部を回転させることが可能である。これらの武器は連結させてGバスターに合体させることも可能である。ガ・オーンの肘には二重関節が仕込まれいるため、腋を広げて二重関節を思いっきり折りたためば両手持ちも可能である。
片手では武器が大きすぎて保持できないので両手持ちを勧めます。
武器における最も大きな進歩点として、ガ・オーントマホークが2本付属している。このガ・オーントマホークは肩に収納されている武器で当時品の玩具では付属していなかった。THE合体の宣伝でもあるようにこのガ・オーントマホークは初立体化となる。
造形を重視しているので肩には収納できない
この技で敵を撃破したこともあるので、立体化はうれしい
大きさはダ・ガーンXに合わせて25センチである。頭の大きさがダ・ガーンXとそろうように調整されている。
設定上では微妙にガ・オーンのほうが小さいが、細かいこと気にしない!
2号ロボは合体パーツ扱いでプロポーションが箱型になることが常だが、このガ・オーンは非常に高い水準で立体化されている。その出来の良さからか、予約分以降は早々と売り切れている。2022年8月現在でおよそ約33000円の値段で取引されている。勇者シリーズが人気である裏返しだが、転売が横行しないように数を供給してほしいものである。
ガ・オーンの真価は、ダ・ガーンXと合体させてこそ発揮される。次のコラムではいよいよグレートダ・ガーンGXについて語る!乞うご期待!!
ダ・ガーン、ガ・オーン!合体だ!!(THE合体 グレートダ・ガーンGXのコラムへ)
ダ・ガーン、合体だ!!(THE合体 ダ・ガーンXのコラムへ)
ガ・オーン、やってみる!(もどる)