ROBOT魂
XM-X1 クロスボーンガンダムX1

バンダイ ROBOT魂 SIDE MSシリーズ

定価:3150円(税込)


ROBOT魂クロスボーンガンダムX1
「なぜ、部下の命をすら容易く切り捨てる男が、人類すべてのことを考えられると思う!
死を強いる指導者のどこに真実があるっ! 寝言を言うなぁっ!!」

宇宙海賊
宇宙世紀(U.C.)0133年。地球―木星間の往還船・スマシオン号が交換留学生を乗せ木星圏へと到達した。地球からの留学生の一人、トビア・アロナクスは人類の生活圏としてはさいはての地であり、また、フロンティア(開拓地)でもある木星での新たな生活に、胸を躍らせていた。

船内で留学生の世話をしてくれていた、木星公団側の教育係・カラスと挨拶を交わすと、トビアはクラスメイトたちがある噂について話しているところに遭遇する。その噂とは、【木星付近に最近出没する宇宙海賊が、ガンダムを使っている】というものだった。しかし、「角があって二つ目だったら、マスコミが何でもガンダムにしちまうのさ」と、信憑性が高いというわけでもなかった。

その時、突如として船内にけたたましいサイレンが鳴り響く。何事かと警戒していると、船内ロビーに木星公団の警備兵に追われる少女(ベルナデット・ブリエット)が現れる。少女は貨物室で恐ろしい物を見たというのだが・・・。トビア達は怯える少女を匿い、穏便に事を済ませようとするのだが、その時、スマシオン号が激しい揺れに見舞われ、船の乗組員が「宇宙海賊の襲撃だ!」と知らせに駆け込んできた! サイレンは宇宙海賊の接近を知らせていたのであった。

海賊を迎撃する為、警備のMSが発進するが、海賊のMSには手も足も出ない。海賊のMSはどれも旧型である事は明らかなのだが、―戦闘の様子を見ていたトビアは、ある事に気付く。旧型は囮で、木星のMSを撃墜している敵は別にいるのだという事を! MSを撃墜している敵の正体は、【ガンダム】であった!!

海賊のガンダム
トビア「ガ、ガンダムだ!」

クラスメイト「海賊のガンダム!? 本当にいたのか!!」

ノーマルスーツ(宇宙服)を着込み、避難を急ぐ留学生たち。その中で一人、トビアはMS格納庫で立ち止まると、パイロットが負傷した為に発進できずにいた木星のMS・バタラに乗り込み、整備兵の制止も聞かずに飛び出していった。トビアは海賊のガンダムにビームガトリングガンの照準を合わせると、その引き金を弾いた!

ガンダムに狙いを定めるバタラ(代役=ジンクスV
トビア「何も出来ないまま死んで・・・殺されてたまるかぁぁぁッ!」

ガンダムがトビアの操縦するバタラの存在に気付き、接近してくる。トビアは夢中でガトリングガンを撃ち続け、放たれたビームがガンダムに命中した! ・・・しかし、当たっているはずのビームがなぜかガンダムには効かなかった!

ビームが当たっているはずなのに!?
「ビームが当たっているはずなのに、なんで!?」

マントを脱ぎ捨て、一瞬、視界からガンダムが姿を消したかと思うと、次の瞬間には目の前に現れていた! 額にドクロを掲げた無表情な顔に睨まれ、恐慌状態に陥ったトビアはビームサーベルを抜き放ち、ガンダムを斬りつけようとする。が、対するガンダムも腰部ジョイントから大型ビームサーベルを抜き放ち、ビームの粒子束同士が交差する形となった。しかし、ガンダムの大型サーベルはバタラのサーベルを容易く無効化し、サーベルのビーム刃ごと、バタラの四肢をもぎ取る!

サーベルごと、斬!
トビア「ビームごと・・・!?うわぁぁぁぁッ!」
ロールオーバーで画像が変わります

「飛び降りろ!コックピットを潰すぞ!」

その通信はガンダムのパイロットが送ってきた警告であった。見ると、ガンダムは手甲から小型のビーム刃を形成し、今にもバタラに殴りにかかろうとしていた。

コックピットを潰すぞ!
???「飛び降りろ!コックピットを潰すぞ!!」

トビア「うわわわッ!?」
ロールオーバーで画像が変わります

「あのパイロット・・・僕を殺さなかった・・・? 殺す気が無かったのか?」

周囲を見回すと、機体だけを破壊され、脱出したパイロットが他にもちらほらといることが伺えた。

やっとの思いで戦闘宙域を泳ぎきったトビアは、スマシオン号・貨物室の外部ハッチへと辿り着く。貨物室には【毒ガス】と表示されたボンベが満載されていた! それは留学生として訪れたトビアには、信じれない光景であった。 戸惑う彼の背後に、何者かが忍び寄る。その男はトビアの首を絞めるようにして捕らえると、彼の頭に拳銃を突きつけた!

「・・・なに、単なる表示ミス・・・悪い冗談だ。嘘だと思うならバルブを一つ、捻ってみたまえ・・・天国へ昇る気分が、味わえるよ!」

トビアの背後に立つ者、その者の正体はカラスであった! トビアは咄嗟に身をよじり、カラスの手から拳銃を落とさせるが、押し倒され、再び首を絞められる格好となる。カラスはトビアを追い詰めながら、自分の、そして、その背後の巨大な闇の正体を語り始める。

「10年! 10年かけたんだ!! 10年かけて留学生の交換を続け、地球連邦の信用を勝ち取り、少しずつガスを地球圏に運び込む! すべては総統、クラックス・ドゥガチの御心のままに! 地球に巣食うウジ虫どもを皆殺しにし! 母なる大地ガイアを我ら、木星帝国ジュピター・エンパイヤの物とするために!!

計画の妨げとなる、目撃者であるトビアに対し、拳銃を向けるカラス。カラスが引き金に力を込めようとしたその時、MSが貨物室に突っ込んできて、その壁を外から破損させた。壁に穿たれた穴から流出する空気に乗って、毒ガスのボンベと共にカラスとトビアは吸いだされていく。その時、貨物室に突っ込んできたMS=海賊のガンダムのコックピットハッチが開き、中から現れたパイロットはワイヤーガンを射出、トビアを救出した。

「何が起こっているんですか?一体! 僕の、僕達の知らないところで、一体・・・」
突然の出来事の連続に戸惑うトビアは、目の前のパイロットに問い詰める。ガンダムのパイロットはトビアに、静かな口調で二つの道を指し示した。

「お前のとるべき道は、二つある。一つは何も聞かずに地球へ帰り、すべてを忘れ、貝のように口をつぐむ事・・・
そして、もう一つは、我らと共に、真実に立ち向かう事だ!

「あ、あなたは・・・?」


名を問うトビアに対し、男はヘルメットの二重になっている遮光バイザーを上げ素顔を晒すと、その名を名乗った。

ガンダム横顔
「俺たちは宇宙海賊、クロスボーン・バンガード! 俺の名はキンケドゥ、キンケドゥ・ナウだ!」

宇宙世紀0133年、地球の誰もまだ、この戦いを知らなかった・・・。

逆襲の宇宙海賊
西暦2008年某月某日。悲劇的な事件が筆者を襲った。突然、ペットの猫がプラモデルを飾っている棚の上に飛び乗り、毛づくろいをし始めたのだ。猫の毛づくろいは結構動きが激しい。結果、猫の体が当たったプラモは全て棚から転落。「木っ端ミジンコ、ミトコンドリアだっ!」とばかりに粉砕した。

これが1/144スケールモデルであったならば、そんなに重くもないので落下しても損傷は少なく、修理するのも多少のパーツ注文で済むのだろうが、事がMGではそうもいかない。結果、ユニコーンガンダムや、ダブルゼータガンダムなど、気に入っていたMGは全て、落下の衝撃で二目と見れない無惨な姿に変わり果てたのだった・・・。当然そこには、クロスボーンガンダムX1 フルクロス も含まれていたわけで・・・。

余談ではあるが、気の迷いから買ってしまったものの、あっという間に見飽きた為、早々と収納されていたストライクフリーダムガンダムだけが、唯一無事に生き残ったMGとなった。「いっそコイツも壊れてしまえ!」と、ゴルゴダの丘で磔にされたキリストの如く、棚の上にしばらく晒してやったのだが、事件の際に厳しく叱ったのが尾を引いていたのか、犯人と目される猫は二度と棚の上に飛び乗る事はなかった。・・・虚しい。

アレから一年弱。BP君と共にROBOT魂とS.H.Figuartsを取り扱った、バンダイコレクターズ事業部のイベント・魂フィーチャーズに出かけた筆者は衝撃的な情報を得る事になった。それは、《ROBOT魂でクロスボーンガンダムX3と、さらにはフルクロスも発売される》というものであった!

イベントで見てきたフルクロス イベントで見てきたX3
クロスボーンのライバル機、蒼いF91や、海賊軍の主力量産機、ゾンド・ゲーも発売されるとか。
サムネイルをクリックすると大きな画像が見られます

「こりゃーもう、買うしかないよね!」とあっさり購入を決意。MGみたいにコンパチ仕様にはなるまいということは予想がつくので、まず手始めに、近所の家電量販店のリニューアルオープンに乗じて安売りされていたクロスボーンガンダムX1のROBOT魂を購入したのだった。

と、いうわけで、今回はそのX1を紹介しよう!

海賊のガンダム・R(リターンズもしくは、R指定じゃん!←違)
先にネタばらしをしてしまうと、クロスボーンガンダムは元は、海軍戦略研究所(サナリィ)が開発した、F97と呼ばれるガンダムタイプのMSであった。

新型MSの開発にあたり、サナリィは実戦データが収集できる戦場を求めていた。一方、木星帝国を打倒する為に宇宙海賊として再興したクロスボーン・バンガードは、戦力の中心となる強力な機体を求めていた。ベラ・ロナ曰く、「あまり良いやり方とは言えない」が、両者の利害が一致。F97はクロスボーンへと譲渡された。

この時、海賊軍のメンバーである傭兵、ウモン・サモン(70歳:現役)の「ハッタリは効きすぎなくらいが丁度良い」という発案で、額に海賊の象徴とも言えるドクロマークのレリーフが入れられる事になる。こうしてクロスボーンガンダムは完成したのである。

X1正面 X1背面
海賊の白いガンダム。
ちなみに、同型機のX2はパイロットであるザビーネ・シャルの要望により、黒く塗装されている。

クロスボーンガンダムは木星圏での使用を前提に開発された機体で、バックパックから四方に伸びるX字型のスラスターは木星の高重力に対応する為に設計が見直された結果である。

地球圏で使用されるMSは、全身に小型バーニアを配置する事で高機動化が実現できるが、木星圏で使用するMSに同じ事をすると、個々のバーニアが大型化、大出力のバーニアを使用する為にジェネレーターも大型化。機体は大型化してしまい、重量も増す。重たい機体を動かす為に、さらにバーニアが必要となり・・・という悪循環が起きてしまう。

開発陣はこの悪循環を打破する為、大型メインスラスターの向きをフレキシブルに可動させ、方向転換を行うというまったく新しい方法を発案した。これにより、クロスボーンガンダムは機体重量を増加させる事無く、木星圏での高機動化に成功したのである。

スラスター集中状態
4本のスラスターを一点に集中する事で急加速を得ることも可能。
構造が簡略化されており、MGと違って、集中状態のスラスターを下に向けることが出来ないのが残念

特殊兵装であるアンチビーム・コーティングマント(ABCマント)は、ビームを受けることで表面が蒸発、これによりエネルギーを打ち消す、対ビーム用のリアクティブアーマーである。

ABCマント装備:正面 ABCマント装備:背面
メインスラスター×4、胸部パーツを取り外し、マントを被せてスラスターを付け直したら、この状態に
可動範囲は悲劇的に狭くなるので、ポージングはかなり制限されてしまいます

ビームシールドと比べて敵機に発見されにくいこと、エネルギーを使用しないので機体の稼働時間を延ばすことが出来る、などの利点があるが、スラスターを覆ってしまい機動性能に影響が出てしまうので、スラスターが可動式のクロスボーンガンダム以外には不向きな装備となってしまっている。

放熱の為、フェイスオープンは頻繁に行われるが、これは肉弾戦に耐えうるよう装甲が厚くなり、かつ弱点となるダクト部の面積が抑えられていることから、加熱しやすくなっている為である。マント装備によって、熱がこもり易いというのもあるのだろう。

フェイスオープン
印象がガラリと変わるフェイスオープン。
頭部パーツを差替えて行われる。

零距離まで接近した際など、神懸り的なタイミングで放熱が行われるので、ガンダムの恐ろしい形相に敵は威圧されまくり!などという心理効果まで計算されているかどうかは不明である。

接近戦用にチューンされているクロスボーンガンダムにとって、射撃武器は主に牽制に用いられるものである。手持ち武器であるバスターガン(ビームピストル)も、その一つである。


バスターガン
『機動戦士Ζガンダム』の時代から使われだした、小型ビーム兵器・ビームピストル
使わないときは右腰のジョイントに搭載されます

クロスボーンガンダムの必殺武器とも言える、大型ビームサーベル・ビームザンバーは、縦長にビーム刃を発生させる事で切断能力を高めている武器である。

ビームザンバー
海賊が使用する剣・カトラスをモチーフにした武器。ビーム刃が大型に作られており、なかなかの迫力

その切断能力は凄まじく、ビームサーベルやビームシールドで防ごうにも、それごと容易く切断してしまう。クロスボーンガンダムを宇宙世紀0130年代最強の機体と言わしめる、要因の一つである。

バスターガンとビームザンバーを連結する事で、ビームライフル・ザンバスターへと変形する。

ザンバスター
ザンバーとバスターが合体して、ザンバスター! 結構安易なネーミング。

ビームライフルは『ガンダム』シリーズのお約束とも言える武器だが、作者である長谷川裕一氏が「MS戦闘の華は格闘戦にこそあり」というポリシーをお持ちのようで、劇中ではあまり多用されていない武器である。

ガンダムのお約束とも言える武器の一つ、ビームサーベルは肩口に内蔵されている。ビームサーベルはコアファイターの主砲としても機能する武器であり、内蔵状態ではビームガンとして、頭部バルカンと併せて、牽制に用いられる。

ビームサーベル
ROBOT魂では見た目を重視して、サーベルの柄を本体から取り外すことは出来ない。
ビームサーベルの刃は長めになっており、好印象。これであとは、2本付いていれば良かったんだが・・・。

左右両脚のふくらはぎにはヒートダガーが内蔵されている。これは脚部スラスターの余熱で瞬時に刀身を加熱。切断能力を高めたナイフである。

ヒートダガー@ ヒートダガーA
原作のデザイン準拠のヒートダガーが一個付属。

手で持って斬りつけるだけでなく、足の裏のジョイントでも保持できるので、敵の不意を突いた一撃を繰り出すことも可能である。

前腕の可動ジョイントに搭載されているビームシールド発生器は、出力を調整する事で小型のビーム刃を発生する武器・ブランドマーカーとして用いることが出来る。

ブランドマーカー
シールド発生器の部分に取り付ける。これも二個付けてほしかったなぁ。

殴りつける要領で使用されるブランドマーカーは、零距離の間合いであっても敵機にダメージを与える事が可能な武器である。

クロスボーンガンダムが宇宙世紀0130年代の最強のMSであるという事は、過言ではあるまいが、機体バランスと武器の特殊性から、パイロットを選ぶのもまた事実。「マシンが良くても、パイロットが性能を引き出せなくては!」というキンケドゥの言葉通り、クロスボーンガンダムが最強であるかどうかは、パイロットの腕にかかっているのである。

「なにが、『僕が守ります』だ!まったく! これじゃあべこべじゃないか!・・・大バカやろう!」(クロスボーンガンダムX3のコラムへ)

「俺たちの切り札は【クロスボーンガンダム】なんだ! 奇跡を、見せてやろうじゃないか!(戻る)