HG ミスター・ブシドー専用アヘッド

発売元:バンダイ

『機動戦士ガンダム00』1/144スケール HG(ハイグレード)シリーズ

定価:1260円(税込)


ミスター・ブシドー専用アヘッド
「なんという僥倖・・・生き恥をさらした甲斐が、あったというもの!」

戦う理由
地球連邦の反政府勢力収監施設から、アレルヤを救出したソレスタルビーイング。彼らの母艦、プトレマイオス2は、アレルヤと共に救出した中東の王女、マリナ・イスマイールの依頼で、彼女の故国、アザディスタン王国へと向かっていた。マリナは刹那に対し、「国を立て直す手助けをして欲しい。」と頼む。マリナの言葉が、戦いと破壊しかなかった彼の心に迷いを生じさせる。

アロウズの指揮官、アーバ・リントは、仲間を、そしてマリナを救出した事で、今のソレスタルビーイングが感情で動いていると判断。アザディスタンに向かうと彼らの行動を先読みし、擬似太陽炉搭載型モビルアーマー(MA)・トリロバイトを発進させる!

トリロバイトに組み付かれ、身動きが取れなくなるプトレマイオス2。しかしこの状況にあって、戦術予報士、スメラギ・李・ノリエガは、チャンスだと言い放つ。母艦に敵が組み付いているということは、敵がすぐ側にいるということ。さらに、コンテナの浸水はMSの水中発進に必要な、格納庫への注水時間の短縮となった! 発進したセラヴィーガンダムがトランザムを使い、トリロバイトをプトレマイオス2から引き剥がすと、ケルディムガンダムがこれを牽制。後に続くダブルオーガンダムがトリロバイトへ斬撃を浴びせ、これを撃墜した。

刹那! 海上へ出る!
アレルヤ「刹那! 海上へ出る!」

刹那「了解!」

アレルヤ 「トランザム!!」

が、ガンダムです!
アーバ・リント「な、何事!?」

通信士「が、ガンダムです!」

トランザムを使ったアリオスガンダムに掴まり、海上へと出たダブルオーは、敵の本陣、アロウズの空母へと強襲をかける! だが、その攻撃はまったく別の方向から飛来したMSの突進により、打ち消された。

アヘッドの突進を喰らうダブルオー
ドガァッ!!

アヘッド推参!
カティー・マネキン「あのアヘッドは!?」

リント「ミスター・ブシドー!」

ミスター・ブシドーと呼ばれた男のアヘッドがビームサーベルを構え、ダブルオーへと斬りかかる! ダブルオーはその斬撃をGNソードで止め、身を翻して距離をとる。

斬りかかるアヘッド
刹那「アロウズの新型!」

瞬間の攻防

この動き、手強いヤツか!
刹那「この動き、手強いヤツか!」

僅かの間の攻防で、敵のパイロットが只者ではない事を知る刹那。一方のミスター・ブシドーも、アヘッドのコックピット内である事に気付いていた。

この剣捌き・・・間違いない、あの時の少年だ。
「この剣捌き・・・間違いない、あの時の少年だ。」

の宿敵と巡りあえた事に歓喜するミスター・ブシドーのアヘッドが、刹那のダブルオーへ再び斬りかかっていく!

なんという僥倖
「なんという僥倖・・・生き恥を晒した甲斐が、あったというもの!」

再び斬り結ぶ両者

ガンダムを倒す事に執念を燃やす、この謎の男の正体は!?

「やあ、グラハ・・・おっと、今はミスター・ブシドーだったね。」
ミスター・ブシドーは、アロウズに所属する謎の多いパイロットで、日本風の仮面と、陣羽織のような衣装を身に付けている、歴代ガンダムシリーズでももはやお約束とも言える、仮面の男である。過去にガンダムとの交戦経験があるらしく、対ガンダム戦においては執念ともいえる情熱を見せる。ちなみに、登場人物のうちの誰かの兄という設定は無い。

初登場時にのっけから、「そうか、現れてくれたか・・・。自分が乙女座であったことを、これほど嬉しく思ったことはない。」と、言い放つブシドーには、刹那のガンダムエクシアと遭遇した際に、乙女座の私は、センチメンタリズムな運命を感じずにいられない・・・。」と、自分が乙女座である事をやたらと強調していた、伝説のガンデレ(注)の面影を感じずにはいられない・・・どころか、その本人じゃね?

伝説のガンデレ
ミスター・ブシドー専用アヘッドの、取扱説明書より。

彼は司令部より独自行動の免許を与えられた、免許を持つ者「ライセンサー」である。故に、望んだミッション以外には参加しないし、作戦中の行動を自分で決定する事が出来る。曰く、たった一人の軍隊「ワンマンアーミー」である。

しかし、ここで一つのツッコミ所が存在する。それは、『誰がコイツに免許を与えたのか?」という事である。

作中で「ライセンサー」の肩書きを持つ登場人物は、彼を除けばあとは皆イノベイターたちのみ。イノベイターは皆、テレパシーのような物でお互いを感じあうことができる。ゆえに『イノベイターのトップにあるリボンズ・アルマークからの指示通りに動きやすいよう独自行動が認められている。』と考える事が出来るのだが、ミスター・ブシドーは普通の人間(多分)である。何のために与えられているのか、よくわからない。

それに『独自行動の権限』というものは、有事に際して即対応できるように与えられているものと解釈できる。前述の作中再現を見れば、なるほど、その目的は果たしているように見えるが、これは相手がガンダムであったからこその行動だったと筆者は思う。相手がガンダムじゃなかったら、こんな行動取らなかったんじゃね?と。

実際、オートマトンを用いた、反連邦政府組織カタロンのアジト殲滅作戦の際には「興が乗らん!」と言い残して一番最初に撤退してしまったし、また、「艦隊戦には興味が無い。」と言って部隊を勝手に離れたこともあった。いくら独自行動の権限があるとはいえ、フリーダム過ぎるだろ!!

撤退するブシドー
私は抜けさせてもらう。興が乗らん!

こんな自分勝手な男をライセンサーに任じた司令部の人間は、責任問題に問われないのだろうか・・・?

なお、ミスター・ブシドーと言う名前は、その風貌から周囲が勝手につけた呼び名のようで、当人曰く、「迷惑千万だ。」との事。しかし、機体の不調で戦闘不能になったダブルオーを、トドメを刺さずに見逃すなど、その男前とも言える行動には、やはりセンチメンタリズムなブシドー(武士道)を感じずにはいられない・・・。やっぱり、本人か?
注『ガンデレ』3つの超大国連合の一つ、ユニオンに属するグラハム・エーカー大尉は、AEUで行われた新型機披露の場で刹那の駆るエクシアと遭遇。その存在に心奪われた。彼のガンダムへの入れ込みようときたら、親友のビリー・カタギリをして、「彼、メロメロなんですよ。」と言わしめるほど。
グラハムのガンダムへの過激なまでの想いは、ファーストシーズン最終話の時点でにまで昇華した。

我ら、世界の秩序を護る法とならん!
ソレスタルビーイングの介入を機に発足された地球連邦政府は、独立治安維持部隊アロウズを発足させた。この部隊には惜しみなく擬似太陽炉などの最新技術を搭載したMSが配備され、熟練度の高いパイロットで構成されている。キットレビューに入る前に、アロウズの軍備を紹介しよう。

最も一般的な機体がGN-X Vである。これは、アレハンドロ・コーナーによってもたらされたMSであるGN-Xの発展機であり、スピアーが新たに追加されている。このモビルスーツは、アロウズを中心にして連邦軍内でも徐々に配備されており、連邦軍仕様の物は青色を基調とした配色で塗装されている。

GN-X V 前 GN-X V 後
ソレスタルビーイングを壊滅に追い込んだGN-Xの発展型
GNドライブを搭載していない機体では歯が立たない

劇中では、カタロンの旧型MSには十分な強さを誇り、向かうところ敵なしだった。また、最終的にやられてしまうとはいえ、ガンダムを追い込んだ機体の改良型だけあり、数で劣るソレスタルビーイングは苦戦を強いられている。尚、連邦軍に配備されているアヘッドは青を基調とした配色となっている。

このGN-X Vに改良を加えたのがアヘッドである。こちらはアロウズの中でも小隊長クラスのパイロットが操縦するものである。より機能を強化した結果、容姿がガンダムに近づいたのだが、ガンダムへの民衆の感情に配慮してデザインを人革連よりのデザインにしてカモフラージュしている。

アヘッド 前 アヘッド 後
指揮官クラスに配備されているアロウズの新型MS
その性能は、第3世代のガンダムを超える

GN-X Vから派生しただけあり、その性能は第3世代のガンダムのそれを上回る。劇中では、破損していたとはいえエクシアを完膚なきまでに追い詰めた。

また、このアヘッドには派生機がいくつか存在している。ブシドー専用のアヘッドもそのうちの一つであり、この改良機のデータを元にして新型開発のテストモデルにしているのである。劇中では、超兵であるソーマ・ピーリスの使用する脳量子波対応型アヘッド、アヘッド・スマルトロンが登場している。こちらは、超兵の脳量子波による超反射に対応できるようにスラスター周りが強化されている。

アヘッド・スマルトロン 前 アヘッド・スマルトロン 後
脳量子波を使用する超兵用にカスタマイズされたアヘッド
スマルトロンとはスウェーデン語で「野いちご」を意味する

この機体は、ピーリスがソレスタルビーイングに寝返ったのを受けて、ルイスが搭乗することとなった。実は、ルイスも細胞異常を抑えるナノマシンを服用しているせいで、微弱ながら脳量子波が使用することが出来るので、パイロットとしては適任なのであった。

このアヘッドが揃ったことにより、ルイスの所属する通称ジニン小隊が完成することとなった。

出撃!ジニン小隊
ジニン「二個付きは我が小隊で引き付ける!」

アンドレイ&ルイス「「了解!」」

放送終了後にアヘッド・スマルトロンが発売されたため、劇中で使用されたアヘッドは全てプラモデルで立体化された。どのキットも配色が単純なため、シールを貼ってしまえば細かい塗装なしで設定どおりになるのが良いところである。全てのアヘッドが揃ったことを受けて、こんなネタを考えてみた。

アヘッド3兄弟
弟想いの長男、長男(通常アヘッド)♪

兄さん想いの三女、三女(スマルトロン)♪

自分が一番次男、次男(ミスター・ブシドー)♪

アヘッド3兄弟、ジャージャン♪

リズムは、その昔に流行した『だんご三兄弟』のそれでお願いしたい・・・。

「ご期待にはお答えしよう。しからば!」
と、いうわけで、ここからは彼の乗機、武者亞頭あへっど、もとい、ミスター・ブシドー専用アヘッド(以下サキガケ)を紹介していこう。

サキガケ正面 サキガケ背面
それほどキツくは無くても、鎧武者っぽく見える外見

サキガケはアロウズで使用されている擬似太陽炉搭載機・アヘッドを近接戦闘用にカスタマイズした機体で、正式名称は『アヘッド近接戦闘型』。『サキガケ』と言う名称は開発コードである。利き腕が左であるミスター・ブシドーをパイロットとすることを前提に、サーベルを左手に、シールドを右手に装備するなどの改良が施されている。

右手に盾を、左手に剣を
ジンクスVでもこのようにパイロットの利き腕に合わせた改良が行われているあたり、
流石はエリート部隊といったところか。

クワガタのように大きく張り出した角や、鎧武者のように胸部に取り付けられた装甲、ビームサーベルの設置位置など、外見に関してはミスター・ブシドーの意見が大きく反映されている。やはりこれが、彼の趣味と言う事なのか? やっぱりブシドーというあだ名を、『迷惑千万』という資格なんて、無いような気が・・・。

比較:サキガケ&ノーマルアヘッド
サキガケはアヘッドの金型流用キットだが、
ランナー一枚分の差し替えパーツでシルエットまで変えるのはさすがと言ったところ。

アヘッドの特徴である両肩のスラスターは、サキガケではビームサーベルを振り回す際の邪魔にならないよう、縦に設置されている。また、スラスターには敵への牽制に用いられるGNショートビームキャノンが内蔵されている。

近接戦闘型であるが故に、ビームライフルなどの火器らしい火器は持ち合わせておらず、主武装は脇と太腿に設置された大型のビームサーベル(?)となる。

ビームサーベル
キットに付属のビームサーベル。刀身はクリアーパーツを使用。
(ただし無色の透明のため、クリアーオレンジでの塗装は必須。)

ビームサーベルを両手持ち。
両手持ちでの運用が前提となっている為、柄も長めに設計されている。

ここで(?)としたのは、大型という割になんだか短いからである。ここはやはりハッタリが利くように、1,5倍は長めに作って欲しかったところである。

後頭部には追加装備へのエネルギー供給のためのケーブルが設置されているが、接近戦時の取り回しが不便になるため、ビームサーベルには使用されていない。ケーブルはリード線で再現されているので、ポージング表情をつけるのに一役買ってくれている。

エネルギーケーブル
飛行時にたなびくケーブルは、兜の飾り布のようにも見える。

その代わり、シールドの方に大型GNコンデンサーが内蔵されており、サーベルがエネルギー切れの際にはシールドに収めて粒子を急速チャージする。

シールド裏のビームサーベル

このキットが発売となった2008年12月の時点で、ミスター・ブシドーはかつての友、ビリー・カタギリの元を訪れ新型機を催促。モタモタしてる間に新型機・マスラオを駆ってブシドーは再登場を果たした。そのため、サキガケが再登場するのはもはや絶望的なのだが、前半、ダブルオーと激戦を繰り広げたこのサキガケは、今でも買う価値はあると思う。

グラハ・・・もといブシドーがなかなか気に入っている筆者としては、彼の新たな乗機であるマスラオの商品化にも期待したい所である!

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