ガンダムアストレイ
ゴールドフレーム天(アマツ)
バンダイ・1/100スケールプラスチックキット
定価:3990円(税込)
『確かに国は大事だ。だが、国も組織も所詮は個人の集まりだ。
個人の幸せなくしては意味を持つまい。』(byロンド・ミナ・サハク)
黄金の狂気
コズミック・イラ(C.E.)70年、遺伝子を調整されて生まれてきた新人類・コーディネイターと、遺伝子に調整を受けていない旧人類・ナチュラルの対立は、地球連合軍による核攻撃《ユニウスセブンの悲劇》をきっかけに、一気に本格的武力衝突へと発展していった。
世界を二分する両者の対立構造に、早くから中立の立場を表明していたオーブ連合首長国は、その立場を守るための力として、モビルスーツ(MS)の開発に着手。秘密裏に協力関係にあった地球連合軍の技術を盗用し、ASTRAY(王道を外れた者)と名付けられた3機のMSを完成させてしまう。
この事実が地球軍、及びザフトに知られる事を恐れたオーブの首脳部は、ASTRAYのプロトタイプを破棄する事を決定する。資源衛星ヘリオポリスで開発の総指揮を執っていた、ロンド・ギナ・サハクはこれに反発。ザフトのヘリオポリス襲撃の混乱に乗じて、プロトタイプの内の一機、MBF-P01(ゴールドフレーム)(注1)を持ち出した。
そして残された2機のプロトタイプは、事件の後ヘリオポリスを訪れたジャンク屋によって発見され、MBF-P02(レッドフレーム)はジャンク屋、ロウ・ギュールの手に、MBF-P03(ブルーフレーム)は傭兵、叢雲 劾の手に渡るのだった。
宇宙から地球へと降下したロウ達ジャンク屋一行は、地球と宇宙を結ぶマスドライバーを持つ、巨大洋上設備・ギガフロートの建設工事に参加。ザフトや地球軍など、ギガフロートの存在を快く思わない連中の妨害を受けながらも、傭兵である劾の協力もあり、これらを撃退。完成を見届けた後、再び宇宙へとあがっていった。
宇宙で新しい母艦、リ・ホームを入手し、新しい仲間、キャプテンG.G.(ジョージ・グレン)(注2)を加えたジャンク屋一行は、救命ポッドもろとも破壊し尽くされた凄惨な戦闘の現場に遭遇する。これはギナの駆る、ゴールドフレーム天(アマツ)の仕業だった。破壊しか生み出さないギナのやり方に怒りを覚えたロウは、レッドフレームでアマツとの決戦に挑む。
ロウ「野郎・・・。何でもかんでも破壊しやがって・・・!許せねぇ!!」
ギナ「プロト01か。探す手間が省けたぞ。この世にASTRAYは私のアマツ一機だけが存在すればいい・・・。」
だが、アマツの背中に装備されたマガノイクタチによってエネルギーを強制放電され、さらに、ガーベラストレートも折られてしまい、ロウは絶対絶命の危機に陥る。が、その危機は思いがけない味方の登場により、打ち破られる。モルゲンレーテ技術主任、エリカ・シモンズの依頼を受け、ギナの動向を見張っていた、劾であった。
劾「戦う意思がまだあるのなら、まだ負けではない。」
ロウ「ブルーフレーム!叢雲 劾か!!」
劾はブルーフレームセカンドに装備されたタクティカルアームズをレッドフレームに貸し与える。
ギナとの決着をつけるため、アマツへと飛び掛っていくロウのレッドフレーム。タクティカルアームズから放たれた斬撃がアマツの右腕と片翼を斬り、戦いはロウの勝利で終わったのだった。
「この私が・・・、アマツが敗れるだと・・・?ありえんな!!」
「決着は着いた・・・。」その場を立ち去ろうとするロウに対し、自らの敗北を認めることが出来ないギナは、ビームの照準をレッドフレームに合わせる。だが、そのビームが放たれる事は無かった。ブルーセカンドのアーマーシュナイダーがアマツのコックピットを貫いたためである。
劾「敵は倒せる時に倒す。これが傭兵のやり方だ。」
戦闘が終了した後、回収されたアマツの前で、双子の姉、ロンド・ミナ・サハクは弟を、半身を喪った悲しみに沈む。そしてミナは、ギナの遺体を前にこう言い放つ。
『お前の野望は必ずや、この私がかなえて見せよう。世界の事は私に任せて・・・、天から私を・・・私の作り出す世界を、見守ってくれ!!』
本拠地である軌道衛星・アメノミハシラへと戻ったミナは、アマツに新たな改修を施す。再びよみがえったアマツがミナと共に歩むのは、破壊の道なのか、それとも・・・?
注1『ゴールドフレーム』:ヘリオポリス脱出の際、ゴールドフレームはGAT-X102デュエルガンダム用のバズーカを使用する。だがこの時、右腕が故障してしまったため、ギナはその場に右腕を切り離し、脱出を敢行した。この時切り離された右腕が、ロウにレッドフレームとブルーフレームを見つけさせるきっかけとなった。
注2『ジョージ・グレン』:世界で初めて遺伝子を調整されて生まれてきた、《ファーストコーディネイター》と呼ばれる人物。世界中で反コーディネイターの機運が高まる中、テロリストの少年に射殺されてしまった・・・のだが、その際、奇跡的に無傷だった頭から、脳髄のみが取り出され、G.G.ユニットと呼ばれる箱に保存されていた。この箱がロウの手に渡り、一行の一人、プロフェッサーの手により立体映像の身体を得て甦ったのが、今のジョージ・グレンである。
(やっとこさ)三体目のASTRAY
牡牛座の黄金聖闘士HUYU(動作の遅い、家族共用のパソコンからのアクセスじゃないとブログが更新できないという事に腹を立て、もはやまったく更新する気も起きない、ダメ人間。以下HUYU「皆、お待たせ!今回は『ASTRAY』シリーズ、一応の最終回という事で、ゴールドフレーム天(アマツ)を紹介しちゃうよ!」
電光勇者超特急ヒカリガイン(HUYUの手となり、足となり、武器となり(?)、コラムの対談相手となってくれるファンガイア。・・・ちなみに前回まではイマジンという設定だったのだが、仮面ライダー電王の放送が終了したため、続く仮面ライダーキバの設定にあわせてファンガイアにされてしまった。以下ヒカリ)「いやいや、誰も待ってねぇよ!?」
HUYU「おいおい、何て事を言うんだ、お前は!!」
ヒカリ「だって考えてもみろ。お前が前回、ブルーフレームセカンドのコラム書いてから、どれだけの時間が空いたと思ってるんだ!?それ以前に発売してから一年以上も経ってるキットのコラムなんて、旬が過ぎてるにも程があるだろ!!」
HUYU「五月蠅いヤツだなぁ。別に良いじゃないか。世の中には一人くらいは、このコラムを楽しみにしてくれているイマジン、もとい、ヒマ人がいるかもだろ。」
ヒカリ「ヒマ人だなんて、呼んでくれてる人に対して失礼だぞ・・・!ま、発売から一年以上も経っている商品の紹介なんて、これまでにも何度もやってきた事だし、別にいいか(諦)。」
HUYU「そうそう!このコラムのモットーは、『書きたい事を書きたい時に書く』!だから問題なんて全くナッシングなのさ!!」
ヒカリ「だからって開き直るのもどうかと思うんだが・・・。」
HUYU「それはさておき、これが今回紹介する、ゴールドフレーム天(アマツ)だ。」
『黒いガンダム』にイイモンなんていません。『ASTRAY』のラスボス的存在でした。
HUYU「上のストーリー紹介を見ればわかると思うんだが、キットはレッドフレーム及び、ブルーセカンドに敗れた後、ロンド・ミナ・サハクによって改修が施された、いわゆる《天ミナ》と呼ばれる形態での商品化となっているので、キットにはその改修の際に装備された新武装と、脚部に取り付ける増加装甲が付く。個人的にはレッドフレームと同じノーマル版の足も付属していて欲しかったところだな。そうすればギナが乗っていた頃のアマツも完全に再現できたしね。」
装甲を後付できるように、フレーム部分にジョイントが設けられております。
つま先部分もデザインが変更されております。
ヒカリ「天ミナになって、出力も30%増しになってるんだよな。ところで、ゴールドフレーム天(アマツ)って、他のASTRAYと違って黒いんだな。『ロンド・ギナ専用』とか、そういう区別をつけるための色なのか?この黒は。」
HUYU「いや、そういうのじゃなくて、右腕を見てもらえばわかると思うけど、アマツには、ヘリオポリス脱出の際に失われた右腕の代わりに、オーブ近海で撃墜された、GAT-X207ブリッツの右腕(注3)が移植されている。この右腕のおかげで、アマツはミラージュコロイド・ステルスの能力を得る事に成功した。」
機体の中でこの部分のみがフェイズシフト装甲になっているので、防御力も高い。
単なる金型流用かと思いきや、肘の部分が二重間接になっている、新規パーツである。
ヒカリ「ミラージュコロイドって言うと、ブリッツに装備されてた、レーダーにも映らんステルスシステムの事だな。」
HUYU「設定によると、『ミラージュコロイドの粒子が安定して定着化させる素材を装甲表面に使用』したから黒くなったんだとさ。」
ヒカリ「別に専用機とかを示すためのカラー変更ってワケじゃなかったのか。」
HUYU「まあ、そういう事だな。専用機といえば、これも設定の話になるんだけど、ASTRAY各機の色にはちゃんと理由があってな。
レッドフレームの赤はナチュラル用。ブルーフレームの青はカスタム機。ゴールドフレームの金は隊長機等のスペシャルな機体を示しているんだ。」
ヒカリ「ほほーう。じゃあ、『SEED DESTINY』に登場したストライクフリーダムの関節の金色や、アカツキの派手な金色装甲はその設定を生かしてのことだったのか。」
HUYU「まあ、そういうことだろね。でもそうなると、インフィニットジャスティスの銀色フレームは何が由来なのか?ッて矛盾が生じるから、どうせ福田夫妻が何も考えてなかったって解釈の方がしっくり来るような気もするがな。」
ヒカリ「言うたるな、言うたるな。」
HUYU「話は変わるけど、右腕にはブリッツにも装備されていた、シールドとビームライフル、ビームサーベル、そして射出式の槍・ランサーダートが搭載されている武装・トリケロスの改良型であるトリケロス改が装備されている。」
右腕に装備されている、アマツのメインウェポン
ヒカリ「槍が三本とも着脱可能っていうのが素晴らしいな。そういえばビームサーベルはどこにあるんだ?」
HUYU「それはな・・・、よくわからんのだよ!」
ヒカリ「よくわからん・・・ってどういうことだ!?」
HUYU「コミック版では使用されているシーンが無いから、『ビームサーベルはエネルギーを消費しやすいので取り除かれた。』と、考える事もできるんだけど、ゲームの方では使用しているから、『単にパイロットが使っていなかっただけ。』とも考えられるんだ。」
ヒカリ「へー。ややこしい事だな。」
HUYU「キットの説明文にはちゃんとビームサーベルが付いているように書かれているんだけど、キット自体には付属しないというお粗末さ。」
ヒカリ「何とも言えんな。他キットから流用しなさいということか?」
HUYU「ビーム刃を取り付ける穴もないから、取り付けたかったら改造もしなきゃな。コミック版しか知らない俺は、ビームサーベルはもはや無い物として無視してしまったがね。」
ヒカリ「おいおい。」
HUYU「左腕にはミナの発案で新たに装備された武器である鉤爪、ツムハノタチがついている。」
爪の部分は出し入れできるようになっている。
ヒカリ「モビルスーツに鉤爪って珍しいな。どう使うんだ?」
HUYU「爪を腕などに引っ掛けて、敵の自由を奪ったり、武器を受けるのに使うみたいだな。直接相手を攻撃するんじゃなくて、戦闘を有利にするための武器って事だな。」
ヒカリ「ほほーう。じゃ、この左右の腰に装備されているレイピアみたいな細い剣は何なんだ?」
HUYU「これはトツカノツルギといって、敵機のセンサーや関節部をピンポイントで狙うための武器だ。使いこなすには高い技量を必要とするぞ。」
センサーなどをピンポイントで狙うための武器なので、装甲に対して攻撃したりするのには向きません。
HUYU「背中に装備されているバックパックは、マガノイクタチと呼ばれるもので、ミラージュコロイドの技術を応用した試作兵器だ。」
マガノイクタチを展開すると、まるで悪魔のようなシルエットになる。
ヒカリ「たしか、『自機を中心とした空間にコロイド粒子を展開して、空間内に入った敵機からエネルギーを放出させると同時に自機のエネルギーとする』っていうヤツだったな。まさに『ASTRAY』最強の不殺兵器だな。」
HUYU「本編中では未完成なんで、使用するには敵に接触する必要があるんだがな。(下の写真参照)」
ヒカリ「空間内に入ったら即OUTなんて能力だったら、あまりにも強すぎるからだろうな。」
こんな風に使います。(撮影強力:レッドフレーム君)
HUYU「また、マガノイクタチにはマガノシラホコという射出可能な槍が内蔵されている。」
射出状態を再現するために、リード線が付属しております。
ヒカリ「先端部分がフェイズシフト化するんだよな。」
HUYU「そのおかげで高い攻撃力を持っているわけだ。本体とは有線で繋がれているけど、あくまでもエネルギー供給用のものであるため、ガンバレルのように射出後の機動制御は出来ないぞ。」
ヒカリ「使いこなすにはロンド姉弟のように卓越した操縦技術が必要ってワケやね・・・。あ〜、何か今回のオチが見えてきた気がする。」
HUYU「あ、やっぱり?俺もだよ・・・。」
???「ほーほっほっほっほ!!呼ばれてもいないけど、ジャジャジャジャァァーーン!!」
HUYU&ヒカリ「「やっぱりか・・・」」
まじめにふまじめ怪傑ゼロリ「ブ男ポストに手紙があれば、ブ男消すため即参上!まじめにふまじめ怪傑ゼロリ(以下ゼロリ)、只今参上!!」
ヒカリ「オマエ・・・、ブラック・マジシャンの所で十二宮制覇しようとしてるんじゃなかったっけ?何でこんな所にいるんだ?」
ゼロリ「十二宮での厳しい戦いの中で、オタ・セブンセンシズ(=ショタコン)に目覚めた私に不可能は無い!!幻影だけをあんたたちの元に飛ばし、これで相手になってやろうというのよ!!」
HUYU「元から幻影みたいなもののクセして、何言ってやがるんだか・・・。」
ゼロリ「(無視)おお。こんな所に私にぴったりなカッコイイ機体があるじゃない。決めた。今回はこのアマツであんたに引導を渡してくれるわ!!」
ヒカリ「いつも引導を渡されているのはどっちだよ・・・。」
HUYU「やれやれ、やっぱりこうなったか・・・。じゃ、俺はレッドフレームで良いか・・・。」
ゼロリ「ほほほほほ!そんなパワーアップもしていない機体で何が出来るのかしらーー!!」
HUYU「ま、やらずとも結果は見えてるだろ。」
ゼロリ「よくもほざいたわね!いくわよぉぉぉーーー!!」
中略
ゼロリ「なんで・・・?どうして・・・?」
HUYU「アマツはロンド姉弟専用ともいえるハイスペックな機体だから、ゼロリ如きでは扱いきれなんだということだ。」
ヒカリ「わかりきったオチだった・・・。」
HUYU「と。いうわけで・・・、」
ゼロリ「コックピットハッチをこじ開けて、私を掴んでどうするつもりよ!?」
HUYU「こうするんだよ。
お空の向こうまで、飛んで、いっけぇぇぇぇーーーー!!」
ゼロリ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・。」
きゅぴぃぃぃーーーん!
ヒカリ「やれやれ、今回もゼロリは星になったか・・・。これで何人目だろ?」
HUYU「さあな・・・?っていうか、それはどこの某綾波だ?アイツそんなイイモンじゃないだろ!!」
ヒカリ「ま、それもそうなんだけど・・・。」
HUYU「では最後に、ギナからゴールドフレームを受け継いだミナがその後どうなったのか、小説版ASTRAYの最終話のストーリーを紹介しちゃおう!」
注3『ブリッツの右腕』:SEEDの本編を覚えている人はわかるだろうが、ブリッツはオーブ近海でキラ・ヤマトの操縦するストライクに撃墜される際、右腕を斬られてから撃墜されている。
『ASTRAY』シナリオ担当の千葉氏は、ゴールドフレームの新しい右腕にブリッツの右腕を使うため、福田監督に「ブリッツは右腕を斬ってから撃墜してくれ」と、直に頼んだ。と、いうのはファンの間では有名な話である。
天空の守護者
コズミック・イラ71年。ザフト軍の擁する軍事要塞・ヤキンドゥーエの周辺で行われた宙域戦をもって、ナチュラルとコーディネイターの戦いはひとまずの決着を見た。
だがしかし、これで世界が完全に平和になったというわけではない。なにかのきっかけがあれば、世界が再び戦乱の渦に飲み込まれることは、誰の目にも明らかであった。そして、そのきっかけと目される者たちはそこにいた。
オーブの軌道衛星・アメノミハシラ。ここは本来、軌道エレベーターとして建設されていたものであったが、ステーション部分が完成した時点で地球軍とザフト軍の戦争が勃発。工事は中断となり、現在はオーブから独立したロンド・ミナ・サハクの本拠地として使われていた。ミナはアメノミハシラにかなりの数の軍勢を保有していると考えられ、もしもミナが今の世界に対して宣戦布告をすれば、世界は再び元の通りとなってしまう。
この事態を恐れたソキウスは、傭兵部隊サーペントテールに依頼を持ちかける。その内容とは、
1、アメノミハシラにソキウスの生き残りがいるのか確認する事。(注4)
2、アメノミハシラを治める、ロンド・ミナの真意を確認する事。
であった。
準備を済ませたサーペントテールはアメノミハシラへと向かう。目的地へと接近したその時、ソキウスの操縦するMS・M1A-アストレイ(注5)が出向かえた。その動きから操縦している人物がソキウスであることを見抜いた劾は、これを撃破。アメノミハシラへと向かっていっく。
衛星内部には人影は一切無く、劾を待ち受けていた者は、居城の主であるミナのみであった。
ミナはソファから立ち上がると同時に、一瞬のうちに劾に襲い掛かる。劾は腰からコンバットナイフを引き抜き、これを迎え撃つ。だが、サハク家を治める者として特別な調整を施されたコーディネイターであるミナの能力は、スーパーコーディネイターのプロトタイプである劾の能力のそれを大きく上回っており、劾は首をつかまれ締め上げられてしまう。だがミナは、劾のナイフの軌道から、彼に自分を殺す気は無いと知り、劾を解放すると、自らの真意を聞かせ始めるのだった。
C.E.70年に起きた『オーブ開放戦』の折、ミナは焼け出された多くの民をアメノミハシラに迎え入れた。行き場を失った民にその場所を与える事が支配者としての義務であると考えたからであった。だが、その結果、アメノミハシラは強大な力を有するようになり、それを狙う者たちによる襲撃にさらされ続ける事となった。
そしてミナは決断したのであった。民が安全に暮らすためには、民を隠すしかないと。自分を慕って訪ねてきた全ての民を世界中に散らせ、そして自分は囮として、数名のソキウスと共にこの場に残り続けていたのだった。
この話を聞いていた劾は知らない事であったが、ミナにこの決断をさせたのはロウの言葉がきっかけであった。
とある目的でアメノミハシラを訪れたロウは多くの技術者を抱えるこの場所のファクトリーを見て、ミナにこう告げたのであった。
「みんな良い目をしてるな。アンタの国民はどこへ行ってもアンタの国民として生きていけるさ。」と。
『ロンド・ミナ・サハクにはかつてのギナのような野心は無い』と確認した劾は、「ここに留まらないか」というミナの誘いも断り、アメノミハシラを後にする。それは民を守る者として、ミナは強くなければならないという、劾の優しさであった。
ロンド・ミナ・サハク。彼女は自らの民を、甦ったオーブを、そして世界を、天空からずっと見守っているのだった。
注4『ソキウスの生き残り』:ガイに決闘を挑んだ二人のソキウスが連合軍を脱走した後、数名のソキウスは薬物で精神を破壊されていた。ギナが連合軍のマスドライバー奪還作戦に参加した際、その礼としてソキウスたちはロンド姉弟の部下となったのであった。
注5『M1A-アストレイ』:オーブ軍が開発した量産型MS・M1-アストレイの宇宙戦仕様。ブルーフレームと同じ、青いフレームを持つのが特徴。
「・・・国とは民のことであり、場所のことではない・・・か。」(レッドフレームのコラムへ)
「傭兵の劾よ、また時が来たら会おう。」「ああ」(ブルーフレームセカンドのコラムへ)
「己の信念に従って生きろ。さすれば永遠と無限を持つ闇の恐怖にも打ち勝てる。」(戻る)