S.H.Figuarts
仮面ライダークウガ(アルティメットフォーム)

バンダイ S.H.Figuartsシリーズ

定価3465円(税込)


S.H.F クウガアルティメット
「見ててください。俺の・・・変身ッ!!」

凄絶
門矢 士カドヤ ツカサ(仮面ライダーディケイド)の世界を巡る旅の同行者・光 夏海ヒカリ ナツミは、『ディケイドが全ての仮面ライダーを破壊する』という内容の悪夢にうなされていたが、その日の夢にはいつもと違っていた点があった。

9人の仮面ライダーを倒し、その場から立ち去ろうとするディケイド。しかし、彼の行く手をさえぎるかのように、赤い仮面ライダー(クウガ)が、只一人立ち上がった。

立ち上がるクウガ
「待てっ!」

クウガは自身の身体に力を込めると、黒い眼、黒いボディの【凄まじき戦士】へと変貌を遂げる!

ベルトの変化

全身の変化
「ハァァァァァァッ!!」
ロールオーバーで画像が変わります

凄まじき戦士となったクウガは拳に力を込めると、ディケイドに対して殴りにかかった。一方のディケイドも同じように拳に力を込め、クウガに殴りにかかる。二人の拳がぶつかり合う・・・その瞬間、夏海は目を覚ましたのであった。

この悪夢が意味するところとは、一体・・・?

究極
クウガの変身ベルト・アークルが発見された、長野県・九郎ヶ岳遺跡の古代のクウガが安置されていた棺の周辺には、マイティフォームやドラゴンフォームなど、クウガが変身する各形態の事を伝える古代の碑文が遺されていた。クウガに変身する青年・五代 雄介の友人で、古代文字を研究する沢渡 桜子がこれを解読する事で、雄介は新たな姿での戦い方のヒントを得ていた(注1)。

だが、その碑文の中に一つだけ、異質な事柄を示す文が存在した。

聖なる泉枯れ果てし時 凄まじき戦士雷の如く出で 太陽は闇に葬られん

【聖なる泉枯れ果てし時】とは優しい心を失ってしまうという事。闘争本能に身を任せる事で、【凄まじき戦士】【黒き闇】と形容される状態(ある人曰く、「戦う為だけの生物兵器」)に変身を遂げた形態の事を示しており、すなわちアルティメットフォームの事を表しているのである。

雄介は一度、敵への憎しみからアルティメットフォームへ変身しかけており、また、アークルの中央に埋め込まれている霊石・アマダムからの警告としてこの姿の幻影を見せられており、危険性を知った後は使わないと心に決めていた。

しかし、グロンギの【白き闇】ン・ダグバ・ゼバには、ライジングマイティフォームからさらに強化されたアメイジングマイティフォームですら歯が立たず、雄介はアルティメットフォームへと変身する事を決意する。

本来のアルティメットフォームは黒い瞳(ダークアイズ)であり、理性を失い暴走してしまうのだが、雄介が優しい心を保ち続けたまま変身した為、自我と優しい心を保った赤い瞳(レッドアイ)のアルティメットフォームへと変身した。

アルティメットフォームに変身すると、力の悪用を防ぐ目的で、クウガの専用バイク・トライチェイサー&ビートチェイサーと合体する【馬の鎧】ゴウラムは自己崩壊するようにプログラムされていた。しかし、雄介がアルティメットフォームに変身しても、崩壊は起こらなかった。これが雄介の【聖なる泉】が枯れる事はなかった事の根拠となっており、まさに雄介は伝説を塗り替えたと言えるのである!

【凄まじき戦士】と形容されるとおり、自然発火現象をはじめとする様々な超能力を持っているとされているが、ダグバとの戦闘ではお互いの能力が干渉しあった結果、効果は無いに等しい状態となり、そのため自然発火以上の能力は使われず、肉弾戦で決着を見る事になった。

自然発火
平手パーツはクウガマイティの頃から付属していたのだが、自然発火のポーズを再現するために新規パーツとして別形状の手首が付属。

アルティメットキック
本編ではついぞ使用されなかった、アルティメットフォームの必殺技。
ライジングマイティキックの衝撃波で半径3kmが廃墟と化したわけだが、アルティメットだと果たしてどうなるのやら・・・

この戦いでアークルを破損した事により、雄介はクウガへの変身能力を永久的に失ったものと思われる。「主人公に、改造人間の重い十字架【戦いが終われば誰にも必要とされなくなる。力が強すぎるので、愛する人を抱きしめることもかなわない。強い力を持つがゆえに、今度は自分が人々から恐れられる存在となる】を背負わせたくない」とする、スタッフの言を鑑みれば、良い終わり方だったと言えるだろう。

『仮面ライダーディケイド』では士の旅の同行者・小野寺ユウスケが、本作のマスコットキャラクター(?)・キバーラに噛まれる事でブラックアイのアルティメットフォームへ変身(注2)。TV版最終話のバッドエンド感を引き立てる、良い演出となっている。所詮ヘタレなユウスケでは、赤目のアルティメットにはなれなかったのであった。ショボーン。

注1『古代の碑文』:ところが【金の力(ライジング○○○フォーム)】については碑文には記されていなかった。このことから、「古代には【金の力】は存在せず、突然変異的に発生した力である」と推測されている。

注2『ユウスケ、アルティメットフォームへ変身』:『劇場版ディケイド・MOVIE大戦2010』と整合性をあわせるために後に放送された『特別編』では、キバーラを敵にしないようにするため、ユウスケが彼女に噛まれるシーンはカット、突然変身してしまっている。・・・なんのこっちゃ、訳わからん。

超越
最近のS.H.Figuartsの売れ行きは、凄まじいものがある。

新発売の商品は秒殺という言葉ですら生温いほどの勢いで、どれもあっという間に売り切れ、売り場から姿を消す。巷にはフィギュアーツ難民が続出し、そんな彼らは泣く泣くオークションに根を張る転売屋さんの世話になる・・・。なかなかゾッとする現状である。

今回紹介するS.H.F クウガ アルティメットフォームの発売に際し、ヨドバシカメラではこの状況に対応すべく、「お一人様、2個まで」の条件付の整理券を配布。・・・していたにもかかわらず、あっという間に売り切れた。転売屋さんは整理券の条件で封殺されている、とはいえ、人気があることに変わりは無いので、当然といえば当然の結果である。

当日、どれほどの人気があるのかと偵察にヨドバシを訪れた、射手座サジタリアスのBP君がたまたま確保できていなければ、おそらく筆者の独力での入手は困難であっただろうことは予測に難くない。相当数を入荷するはずのヨドバシでさえ、この有様だったというのだから。

好評のうちに放送を終了した『仮面ライダーW』と、それ以前の旧作、特に平成仮面ライダーシリーズの初期作である、『クウガ』『アギト』を同時に展開する事で、上の世代も下の世代も買っていくからこその、この売れ行きなのだろうと思われる。

『ディケイド』にゲスト出演したために若い世代にも認知されている、というのも理由の一つとして挙げられよう。『劇場版 仮面ライダーディケイド・MOVIE大戦2010』での「ライダーの物語は時と共に消滅する運命でした。しかし、ディケイドと戦う事で人々の記憶に留まり、再び物語をつむぐ事ができました。」と、紅 渡クレナイ ワタルの台詞が示すとおり、商業的にはメシウマ状態になりました、という事なのだろう。ま、ディケイドのフィギュアーツを持っていればクウガなどを戦う相手として並べて飾ることも出来るわけだからな。

と、いうわけで、ここからはS.H.Fのアルティメットフォームを紹介していこう。

クウガULT;正面 クウガULT;背面
【究極の闇】とか【凄まじき戦士】とか【黒き闇】とか、とかく禁断っぽいニュアンスが漂いまくりのクウガ

『装着変身』シリーズのときは「並べたときに違和感が生じないよう、同作品のシリーズでは同じ素体を使う。」とか偉そうなことを言っていたのに、アルティメットフォームは見事に別素体である。しかも、異様にでかい・・・まぁ、完全に格の違う最強形態ということで、アリといえばアリ?である。

マイティフォームと比較
・・・でかっ!?

股関節は軸を引き出すと可動範囲が増える、S.H.F 仮面ライダーカブトみたいな構造になっており、蹴りポーズが決まり易くなっている。


クウガキック
なんかこの図、レスラーのキックみたいですね。
「アポ〜ッ!」

反面、肩アーマーは素立ち状態にすると胴体に密着するくらいの間隔で取り付けられており、形状の問題もあって、腕が上がりにくいのが難点か。思うまま、気の向くままに肩を動かすと、肩周辺の塗装が剥げる可能性が高いので、ポージングの際には気をつけたい箇所である。

数少ないアクションポーズ
肩口の塗装が剥げるのが怖いので、チキンな筆者にはこれが精一杯なポージング・・・

接続方法を変えたのか、これまで見た目を損ねていた、肩アーマー固定用のヒンジが目立たなくなっているのは上手い所である。

ベルトは軟質素材で別パーツ化されているので、上体を反らしたポーズがきれいに決まるようになっている。ただし、そのためにベルトの形状がこれまでのクウガと変わってしまっているので、並べてみると微妙な違和感があったりする・・・。

アルティメットのアークル ライジングマイティのアークル
・・・もっとも、マイティフォームなどはベルト部分が大きすぎると言われていたので、バランス的にはアルティメットのほうが正解。

ボディは全身つや消しとなっており、安っぽさは感じられない。エネルギーの伝達経路のように全身に這う金とグレーのラインは細かく塗装されており、なかなか好印象である。

金とグレーのライン(胸回り) フトモモ回りのライン

鋭く尖っているため取り扱い注意っぽく見える手足のトゲは当然軟質素材になっているので、一安心といったところである。

握り拳を含め、右6種、左5種の手首が付属。右が1種類多いのは雄介クウガのお約束・サムズアップの手首が付属するからである。

アルティメットサムズアップ
サムズアップで勝利報告・・・
パワーアップするたびに中の人は無理している気がする、のは気のせいだろうか?

手首の一つ一つには手甲部分にアルティメットフォームの象徴であるリント文字がタンポ印刷で施されている。なかなか芸の細かい仕様であるな。

手首リント文字
資料が無いので詳細は不明だが、多分【闇】を意味するリント文字


頭部はフェイス部分を取り外すことができ、

フェイス部分を取り外したところ

雄介がその存在を恐れたダークアイズVer.のアルティメットフォームにすることも可能である。

ダークアイズクウガ
一気に悪者っぽくなりました。

『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』の映画で登場したクウガ・ライジングアルティメットフォームはウェブ通販限定のくせに目の色が違うだけのものを別売りにしていたために大ひんしゅくを買っていただけに、アルティメットフォームのこのギミックは大正解だったといえるだろう。・・・最初からこうしろよ!

全体的に良い出来にまとまっているアルティメットフォームだが、一つ、不満がある。それは武器持ち手が付属するのに武器が付属していないことである。本編では未登場の設定だが、アルティメットフォームになるとライジングドラゴン、ライジングペガサス、ライジングタイタンの各フォームの武器も使えるのだという。せっかく持ち手が付属するんだから、武器も付属して欲しいというのは我侭なのかねぇ? まぁ、おとなしく、イベント限定品となったライジングドラゴン、ライジングペガサス両フォームのウェブ通販での登場を心待ちにするとしよう。

「俺はこれ以上、誰かの涙は見たくない! みんなの笑顔を守る為なら・・・【究極の闇】にもなる!」(戻る)