ROBOT魂 蜃気楼

バンダイ ROBOT魂(SIDE KMF)シリーズ

定価 3980円


ROBOT魂 蜃気楼
ゼロの第3の搭乗機がROBOT魂に登場!

蜃気楼なんやで!幻なんやで!!(本人談)
2期に突入してから、怒涛のごとく新型ナイトメアフレームを投入した『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズであったが、なかなかメカ方面の商品化に恵まれていなかった。それを打開してくれたのが、新ブランドであるROBOT魂シリーズであることはお伝えしてきたが、今回はROBOT魂が単なるアクションフィギュアではなく、変形にも力を入れているということを紹介していこう。

去年のROBOT魂プレミアム発表会において、コードギアスからは4体のナイトメアの試作が展示されていた。そのうちの3体は、ガウェイン紅蓮可翔式斬月であったが、誰もが驚いたのが2期で登場したゼロ専用KMF蜃気楼の存在であった。

この蜃気楼は当初、劇中登場直前に雑誌のスミで小さくゼロ専用のナイトメアであることが紹介されていただけで、その名のとおり蜃気楼のごとく影の薄い存在であった。しかし、劇中では初登場の段階でゼロのナイトメアらしからぬ、圧倒的な強さを見せつけ、一躍人気ナイトメアとなっていった。しかも、フォートレスモードへの変形機構も兼ね備えており、商品化が実現すれば非常にプレイバリューが高い商品になりそうだったのである。

しかし、プラモデルの展開は全くやる気が感じられず、ついぞプラモデルでの発売はかなわなかった。しかしこの需要に目をつけていたのが新ブランドであるROBOT魂である。このROBOT魂が救い上げてくれたということでメカに餓えていたファンは大喜び。番組終了後にも関わらず、蜃気楼はかなりの数が売れているようで、発売から1ヶ月ほどでどの店舗からも蜃気楼は消えうせてしまった。新ブランドの面目躍如といったところで、11月には同じく品切れを起こしていたランスロットアルビオンなどの他のROBOT魂とともに再販が執り行われた。

この蜃気楼の初登場シーンはかなりしびれるものとなっているので、商品のレビューを始める前に毎度おなじみの劇中再現をご覧いただこう。

想い の 力
中華連邦を舞台にした黒の騎士団の戦いは、中華連邦側の思わぬ反撃により苦戦を強いられていた。黒の騎士団により、天子を奪われた大宦官らは、クーデターを起こしたリー 星刻シンクーらを丸め込み、新型KMF、神虎シェンフーを与える。神虎が出現したことにより、ゼロが企てていた計画に狂いが生じ、挙句にカレンと紅蓮可翔式が敵側にとらわれてしまう。

カレンを取り戻すために、中華連邦軍と交戦する黒の騎士団だったが、神虎を駆る星刻の武勇と知略の前に返り討ちにされてしまう。そこで、ゼロは撤退を決定し天帝八十八陵に立てこもった。

これを受けて大宦官らは星刻らクーデター派を見限り、ブリタニア軍のアヴァロンと結託。天帝八十八陵を部隊にナイト・オブ・ラウンズ3機を筆頭としたブリタニア・中華連邦連合軍と、クーデター派、黒の騎士団の三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされた。

戦闘開始!
藤堂「こちらの航空戦力は限られている!一騎当千の気構えで当たれ!!」

千葉&朝比奈「承知!!」

ブリタニアと結託した大宦官らは天子を無用とみなし、天帝八十八陵の空爆を開始する。ブリタニアの支援があるため、戦局は中華連邦軍に有利に進み、さしもの神虎も追い詰められてしまう。

そんな中、ゼロは大宦官に通信を行い、天子を盾に攻撃を中止するよう呼びかけた。しかし、天子を無用のものと見限った大宦官らは交渉に応じなかった。それどころか、天子をただのシステムと断言し、民のことなど微塵も考えていないという態度を露わにする。これを受けてゼロは怒りを燃やすのであった。

戦いをやめさせようと、天子が斑鳩の甲板に現れた。これを目ざとく発見した大宦官は、甲板に総攻撃するよう指示を出す。天子の危機に、星刻は神虎を飛ばし天子をかばった。

天子をかばう神虎
星刻「持ってくれ、神虎!私の・・・私の命をくれてやる!!

しかし、降りかかる銃弾を全てはじき返すことは出来ず、徐々に神虎の装甲は破損していく。わが身を犠牲にしてでも天子を守ろうとする星刻は、彼女に逃げるよう促す。しかし、彼女は星刻がいないと駄目だと涙ながらに訴えた。

天子に逃げるよう促す星刻
星刻「お逃げください、天子様!」

天子「えっ、星刻・・・?」

星刻「せっかく外に出られたのに、あなたはまだ何も見ていない。ここは私が防ぎますから!」

天子「でも、貴方がいなきゃ・・・。星刻、私はあなたが・・・あなたが・・・。」

星刻「・・・!もったいなきお言葉・・・されど・・・。」

二人が会話している間にも、神虎の装甲は次々と破壊されていく・・・。自分が何も出来ないことに苛立ちを感じる星刻。

絶叫する星刻
(私には救えないのか・・・守れないのか?あれから6年、全てはあなたのために準備してきたというのに・・・!!)

星刻「誰か・・・誰でも良い!彼女を救ってくれ!!!

絶望に打ちひしがれ、絶叫する星刻に呼応するかのように、あの男が不敵な笑みとともに出現した!!

ゼロ、出現!
ゼロ「わかった・・・。聞き届けよう、その願い!」

砲弾の雨が斑鳩の甲板に直撃し、爆炎が上がった。だが、その炎の中から一機のKMFが悠然とその姿を現した。

爆炎の中から現れた謎のナイトメア
シュナイゼル「!?」
ロールオーバーで画像が変わります

爆炎の中から悠然とその姿を現したナイトメアこそ、ゼロ専用のKMF蜃気楼であった。その姿に大宦官らは驚きを隠せなかった。

蜃気楼、出現!
大宦官「何だ、あのナイトメアは!?天子だけではなく、星刻も守ったと!?」
ロールオーバーで画像が変わります

蜃気楼の中から、ゼロは大宦官に向けて再度通告を行った。

再度通告を行うゼロ
ゼロ「中華連邦ならびにブリタニアの諸君に問う。まだこの私と、ゼロと戦うつもりだろうか?」

自ら最前線に出てきたゼロに周囲は驚いたが、大宦官らはゼロに対して総攻撃を行うように指示を出す。無数の砲撃が蜃気楼に向かって放たれたが・・・。

ゼロの反応
ゼロ「なるほど、それが大宦官としての返答なのか!」

ゼロはそう言うと、蜃気楼のキーボード型コンソールを発動させ、コマンドを入力した。そうすると、蜃気楼の前にシールドが展開された。

絶対守護領域を展開する蜃気楼
ロールオーバーで画像が変わります

四方に展開された蜃気楼のシールドは、雨あられと降り注ぐ砲弾を全て防御してしまう。この光景を見たブリタニア側の技術陣はあることに気づいた。

絶対守護領域
セシル「ロイドさん、あれは・・・!」

ロイド「うん、やられたかも・・・。」

ニーナ「ガウェインのドルイドシステムを流用したんですか!?信じられません。
一体、どんな人が・・・?」

ラクシャータ「KMF、蜃気楼・・・。その絶対守護領域は世界最高峰の防御力なのよ♪」

砲弾を受けきった蜃気楼は、前面の絶対守護領域を解除すると反撃に打って出た。胸のハッチが開き、高出力ビーム砲である拡散構造相転移砲を発射する。

ハッチが開く図
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拡散構造相転移砲を放つ図
ロールオーバーで画像が変わります

胸のハッチからクリスタルが発射され、その後にレーザー砲が発射されて、そのレーザーがクリスタルに当たると、レーザーが拡散し周囲のナイトメアを一掃した。拡散しているとは言えその威力は高く、シールドを展開したモルドレッドを押しやってしまうほどの威力であった。この蜃気楼が出現したことにより、中華連邦側に緊張が走る。その一方で、シュナイゼルはゼロが前線にやってきたことを訝しがる。

天子と星刻を助けたゼロは、星刻に自分と手を組むよう再び申し出た。あくまで部下になる気はないと食い下がる星刻に、ゼロはあくまで天子を含み中華連邦の全てを救うためだと反論する。

ゼロと話す星刻
星刻「そのナイトメアで戦局を変えられると思っているのか?」

ゼロ「いいや、戦局を左右するのは戦術ではなく、戦略だ!」

星刻「・・・?」

そんな中、中華連邦側に緊急入電が入る。なんと、中華連邦の各地で同時多発的に人民蜂起が起ったのだという。

実は、これはゼロの策略なのであった。まず、ゼロは大宦官との通信記録を流した。大宦官のどす黒い本性を流すことにより人民の怒りをひそかに煽っていた。元々、星刻はクーデターにあわせ人民蜂起を画策しており、そのおかげで早い段階で各地の一斉蜂起を起こすことに成功したのであった。つまり、星刻の企てていた作戦をゼロが利用していたのであった。

これにより、黒の騎士団と中華連邦の形勢が逆転した。シュナイゼルは、人民の信用を失った大宦官たちを見限り、アヴァロンとラウンズらを撤退させる。

撤退するブリタニア軍
シュナイゼル「国とは、領土でも体制でもない。人だよ!
民衆の支持を失った大宦官に中華連邦を代表し、我が国に入る資格はない!!

スザク「Yes, your higness!」

ブリタニアの支援さえも失った大宦官側は完全に体勢が崩れてしまい、乗り込んできた星刻によって全員殺害されてしまう。ゼロも後から中華連邦の旗艦に乗り込みカレンを探すが、彼女はすでにブリタニアによって連れ去られてしまっていたのであった・・・。

かくして、中華連邦における黒の騎士団の戦いはひとまずの決着を見た。ディートハルトは、天子と日本人の誰かを政略結婚させようとしていたが、女性陣から反感を買ってしまう。ゼロに決断を迫るディートハルトであったが、ゼロは決断を引き伸ばしにし、その場を立ち去ってしまう。

そのとき、シャーリーからミレイの卒業イベントの相談を携帯電話で持ちかけられた。その際、ルルーシュはシャーリーに別れさせたいカップルがいることを相談する。シャーリーとのやり取りの中で、ルルーシュは自身がナナリーのためを想い行動していることを思い出し、想いの力を確信する。そういうことで、ゼロは天子の政略結婚をとりやめにする決断を下し、中華連邦を自分の手中に収めたのであった・・・。

交渉成立!
星刻「ゼロ、君という人間が少しだけわかった気がする」

ゼロ「進むべき道は険しいが・・・」

星刻「だからこそ、明日という日は我らにある!」

かくして、中華連邦における戦いはひとまずの決着を見、黒の騎士団は中華連邦という巨大な国家の力を手にしたのだった。

守ることは攻めることより難しい!それを成してこそ、ゼロ専用機!!
今までのコラムで見てきたとおり、ゼロことルルーシュがナイトメアフレームに乗るとろくでもないことになるということをお伝えしてきた。司令官が前線に出て挙句に撃墜されてしまうということは、非常にまずいということで、この蜃気楼はどちらかというと守りに徹したKMFというコンセプトを貫いている。

まず、劇中内で見せた絶対守護領域はエネルギーシールドを展開し、敵の攻撃を防ぎきってしまう。このシステムにはガウェインで使用されていた超演算システム、ドルイドシステムが採用されており、絶対守護領域展開時の出力や角度まで事細かに計算し、敵の攻撃を確実に防ぎきる。その防御力は世界最高峰で、これにより蜃気楼は通常のKMFと同じ大きさながら要塞並の防御力を誇る。

また、攻撃力も非常に高く腕にはハドロンショットが内蔵されており、通常のナイトメア程度ならば容易に撃破することが可能である。また、胸には拡散構造相転移砲を備えており液体金属で出来たクリスタルを射出し、レーザーを反射させることで面の攻撃が可能となった。このビームは、ゼロビームという名前が付与されており、正式名称を書くのがまどろっこしかったのか、商品説明書の中でこのダサい名前が使われていたのであった・・・。

また、ルルーシュはアッシュフォード学園とゼロとしての生活を二重にこなさなければならないので、この蜃気楼は陸海空全てに対応した万能ナイトメアとなっている。飛翔滑走翼は標準装備で空を飛ぶことが可能だし、更にはフォートレスモードに変形することで潜水能力が付与される。これにより、中華連邦とエリア11の行き来を高速で行い、咲世子の組んだ猛烈スケジュールをルルーシュはこなしていた。

というわけで、劇中では様々なギミックを見せた蜃気楼だったがそれがどこまで再現されているのか、ROBOT魂 蜃気楼の出来を見てみよう。

ROBOT魂 蜃気楼 前 ROBOT魂 蜃気楼 後
劇中のイメージに沿った形のKMF形態
ポリカーボネートのボディがイカス!

全体的に設定画よりのプロポーションとなっている。腕が長い異形の特徴をよく抑えており、非常に格好いい。金色の塗装の精度も非常に良く、黒と金色のコントラストが高級感をかもし出している。

ガウェインと同じく、蜃気楼のボディの大半にはポリカーボネートが使用されている。これにより、ガウェインと同じく黒光りしたボディが再現されているのである。

蜃気楼とガウェインの比較
通常サイズになった蜃気楼
とはいっても、ガウェインの意匠がところどころに散りばめられています

可動範囲は変形する都合からか、腕の接続が斬月や紅蓮可翔式と違ってボールジョイント方式になっていないため、肩の可動範囲はこれらに比べると見劣りする。また、そのデザインの都合上、ボールジョイント接続になっているにも関わらず、腰の回転が不可能となっている。ゼロ専用のナイトメアということで、格闘戦をすることがほとんどなかった蜃気楼だけに大胆なアクションをつける必要はないので気にならないといえば気にならないのだが・・・。

とは言うものの、オープニングで見せた飛行ポーズを取らせることは可能となっている。魂STAGE専用の取り付けジョイントも飛翔滑走翼の下部に設けられているので、そのジョイントにスタンドをそのまま差し込めば、飛行ポーズの状態で容易に飾ることが出来る。

ジョイントパーツ
そのまま差し込むことで、アクションベースに対応
ガンプラのスタンドにも差し込むことが可能となっている

飛行ポーズ
スタンドと併用すれば、毎度おなじみのポーズも再現可能

また、膝の部分は変形ギミックの兼ね合いがあるため、引き出すことが可能で可動範囲は非常に広い。

細かいディティールもよく再現されている。特に頭のパーツが秀逸で、プラスチック製で出来ており、額のクリスタル部分はクリアパーツとなっている上に、内部のカメラまで再現されているというこだわりようである。

頭部パーツ
ゼロのマスクをかたどったかのような頭部
内部のディティールまで再現しているのがこだわりのポイント

また、飛翔滑走翼内部にあるコクピットも開閉することが可能となっている。

コクピットハッチ
他の黒の騎士団製ナイトメアと違い、着座式のコクピットとなっている
左右には、ゼロのマスクを収納する引き出しと衣装を収納するクローゼットも備え付けられている

また、劇中終盤で見せたランドスピナーの収納ギミックも再現されている。

ランドスピナーの展開
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蜃気楼の武装もきっちりと再現されている。まず、腕に内蔵されているハドロンショットは当然引き出すことが可能となっている。

ハドロンショットの引き出し
ロールオーバーで画像が変わります

ハドロンショット
腕部に装備されたハドロンショット
威力こそガウェインのハドロン砲に劣るものの、近距離ならば容易に敵機を撃破することが出来る

ただ、厄介なのが固定を重視したあまりハドロンショットが引き出しにくくなっている。爪のない筆者は、ハドロンショットを引き出すためにピンセットを使ったがそのせいで本体に細かい傷をつけてしまった。

また、胸部のゼロビームハッチも展開することが可能となっている。

ハッチが開く図
胸部の上下カバーを展開させると、ゼロビーム発射口が現れる
ロールオーバーで画像が変わります

内部の液体金属で出来たクリスタルパーツは着脱することが可能となっている。ただし、非常に細かいパーツなので机の下に落として失くさないように・・・。また、胸の下部カバーは胴体パーツがちゃんと競りあがった状態でなければ腹と干渉してしまい、開くことが出来なくなってしまうので注意。

また、絶対守護領域を再現するためのエフェクトパーツが付属する。このエフェクトパーツはわき腹のジョイントに専用のジョイントパーツを取り付けることで本体にセットすることが可能だし、魂STAGEのジョイントにも対応しているため、魂STAGEに取り付けることも可能となっている。

絶対守護領域 魂STAGEに取り付けたところ
クリアピンクで再現された絶対守護領域エフェクトパーツが付属!
これでディスプレイの幅が広がります

このほかに、ダモクレス攻防戦でランスロットアルビオンと一緒に使用したフレイヤエリミネーターも付属している。こちらは、収納形態と展開形態が用意されており、収納形態は専用ジョイントを絶対守護領域のジョイントパーツに取り付ける箇所に使用することで、蜃気楼のフォートレスモードに取り付けることが可能となっている。また、蜃気楼のほうにも持ち手が用意されているため、フレイヤエリミネーターを持たせることが可能である。

フレイヤエリミネーター収納状態 フレイヤエリミネーター展開状態
ダモクレス突入時に使用したフレイヤエリミネーターも付属!
次に発売されるランスロットアルビオンと組み合わせれば、劇中の興奮が机上で再現できる!!

このように、単体での付属物やギミックは非の打ち所のないものとなっている。可動範囲が狭いことに目をつぶれば100点満点のできばえである。

チェンジ!ゲンゴロウモード!!
今度は、私のコラムシリーズの十八番である変形についてジックリ語りたいと思う。変形するナイトメアは、コードギアスの世界では数少なくこの蜃気楼とナイトオブスリー専用機のトリスタン、そのバリエーション機であるトリスタンディバイダーのみである。

蜃気楼が変形すると、ゲンゴロウのような形になる。手をまっすぐにして飛翔滑走翼の翼の間に収納し頭と胴体を引っ込め、足を正座のように折り曲げて変形するのだが、劇中でのフォートレスモードは二次元のウソ八百である。というのも、胴体を収納しているとはいえそれでも全体的に平べったくなりすぎているし、胸の部分がまるで縮んだかのように肩と肩の距離が短いのである。これで航空機のようなイメージは保てているが、モーフィングを多用した変形で立体で再現するのはほぼ不可能である。

それでもROBOT魂は仕事を果たそうと、色々と四苦八苦している様が見て取れる。では、その問題のフォートレスモードを見てみよう。

フォートレスモード 前 フォートレスモード 後

フォートレスモード 真横
劇中の変形を完全には再現しているが、劇中のフォートレスモードからは程遠い形・・・

シルエットに関しては簡単に表現すると、「劇中の蜃気楼のデザインでフォートレスモードにしてみたらこうなりました。」という感じである。胸前部の出っ張った部分が縮むということが物理上出来ないため、肩と肩の部分の距離が開いてしまい、アニメのような航空機の鋭角的なイメージではなくなっている。また、頭と胴体を収納するギミックも組み込まれているのだが、それを用いてもこの厚さになってしまう。元々が二次元のウソだらけのデザインなので、誰も文句は言わないと思うが、立体化をしてみてアニメのいい加減さがわかるというよい事例だろう。

とは言うものの、変形ギミックはかなりこだわりを持って作られていることがわかる。デザインの破綻も実際に変形させてみると吹き飛ぶくらい変形させると楽しいのである。では、一連の変形ギミックを詳しく見ていこう。

まず、劇中で見せた変形シーンは12話の「ラブ アタック!」と24話の「ダモクレス の 空」のみである。12話では、咲世子の作った超絶スケジュールをこなすために蜃気楼で中華連邦に向かっている最中に、フォートレスモードで海上に浮上し、KMF形態に変形したというものである。そのときの変形シークエンスは、大体このようなものだった。

フォートレスモードからの変形
一瞬の出来事で何がなんだかわからない変形シーン
ロールオーバーで画像が変わります

変形自体はあっという間に終ってしまい、変形メカフェチとしては物足りないものとなっている。また、24話の変形シーンも高速早回し状態だったため、変形プロセスがほとんどわからない。フォートレスモードで登場すること自体少なかったため、一番わかりやすい変形シーンがあったのは12話のみである。

腕を前に出して足を引き出していることくらい以外、何をやっているのかさっぱりわからないと思うので、ROBOT魂のギミックを元に細かい変形ギミックを紹介しよう。

機体の容積を減らすために、胴体と頭パーツを下げて頭と腹を隠し、機体全体を薄くしている。

頭と腹の収納図
ロールオーバーで画像が変わります

更に、足のほうは引き出すことが可能となっており、足を引き出して正座させる形で足を折りたたむ。

膝パーツの引き出し
ロールオーバーで画像が変わります

このような細かいギミックを再現するために、小さいジョイントが用意されており、ロボットモード時にずれたりしないようになっているところが良い点である。また、フォートレスモード時の足の固定も飛翔滑走翼下のレールにランドスピナーをはめ込む形となっているため、非常にかっちりしている。腕の部分も同様で、翼と翼の間にジョイントがあり、そこに腕をはめ込む形となっているため、形が崩れることはない。

この手の商品だと、変形すると各部の保持力が弱くて形が崩れてしまうことが多いのだが、蜃気楼の場合固定にも重点を置いた作りとなっていることがわかる。ただのアクションフィギュアではなく、劇中の変形にも力を入れたつくりとなっているため、少々値段が張るがそれに見合う価値はあると思う。

非常に人気が出てきているROBOT魂であるが、今後のラインナップも期待できそうなものばかりで、早くも変形するKMFとしてトリスタンが発売される。更に、量産型の暁も飛翔滑走翼を装備したタイプと陸戦タイプが発売される運びである。この調子で全KMFをコンプリートするくらいの勢いを見せてほしいものである。

戦局を左右するのは、戦術ではなく戦略だ!(もどる)