リボルテック セイバーオルタ

海洋堂 リボルテックシリーズ

原型:榎木ともひで

定価2499円(税込み)

リボルテック セイバーオルタ
漆黒の闇から、第二のセイバー出現!

暗く果てない聖杯の闇の底より今こそ出でよ、我が前に。アズラムサライヤー!
主人公や、メインキャラクターを黒くして敵として登場させるのは、ロボットアニメなどではお決まりのパターンであるが、バトル要素を含んだギャルゲーのFate/stay nightでも、同じ手法が使われている。それが、今回紹介するセイバーオルタである。

筆者は、セイバーのコラムで散々失敗したくせに、未だにこのゲームをプレイしていないので、詳しいことは書けないが、商品の箱の説明によると、アサシンとの戦いの中、聖杯の底に眠る闇にセイバーが取り込まれた姿らしい。ゲームを進めていくと、メインヒロインが敵となり、主人公の前に立ちふさがることになるそうだ。

闇に取り込まれたセイバー
闇に堕ちたセイバーの顔。
輝きのない瞳と、顔の血管が特徴
頬の模様はゴクアークの左腕の魔力に堕ちた力哉(注1)を思い出させます

衣服や鎧も黒くなり、いよいよ闇に堕ちたヒロインという感じである。エクスカリバーも黒くなっているが、この手の作品のお約束で威力は格段に上がっているらしい。
注1 エルドランシリーズ第二作「元気爆発ガンバルガー」15話では、新メカリボルガーが登場したが、その回のラストでパイロットの力哉が大魔界の親玉、ゴクアークの左腕の力でリボルガーごと洗脳されるという前代未聞のストーリー展開が行われた。
鎧だけでなく衣服も違うのですね(商品の帯より)
リボルテックシリーズ第二世代の第一弾、リボルテック セイバーの売れ行きは非常に好評だったようで、商品についている帯によると、初回生産分の10万個はあっという間に売れたらしい。コラムでも書いたように、最初からポッキリ折れていることのある肘関節の問題を除けば、非常に良好な出来であったし、4月に発売されたゲームソフトにより、新規顧客が増えたのも要因であろう。

いずれにせよ、幸先の良いスタートとなったリボルテックシリーズセカンドジェネレーションの第2弾は、セイバーのもう一つの姿、セイバーオルタが登場した。このセイバーオルタは、パッと見はセイバーを黒くしたものに見えるので、2作目にしてリボルテックシリーズ影の特徴、「使い回しやすいキャラクターを使う」がいきなり発動したと思われた。しかし、蓋を開けてみると、単なる色替えに見える、セイバーオルタであるが、大きく変わっていることに気づく。さらに、フィギュア単体で見てもに驚くほどセイバーの欠点が改善されている。というわけで、単なるリデコやリペイントではないというところを詳しく見てみよう。

では、まずフィギュアの全体像を見てみよう。

セイバーオルタ 前 セイバーオルタ 後
パッと見は、単なるセイバーのリペイントに見えるのだが

全体的なプロポーションはリボルテックセイバーとほぼ同じである。さらに、パーツの配置も、セイバーと同じである。

セイバーオルタ分解図
セイバーと同じパーツ配置

こういうわけでオルタ単体をパッと見た感じでは、やはり通常のセイバーを黒くしたものという印象は、拭えない。

というわけで、今度は本家セイバーとの比較を行ってみよう。

セイバーとの比較
本家セイバーと並べてみると・・・

セイバーと並べてみると、違いがわかってくる。まず、顔に関してであるが、前髪のはねているところ、通称アホ毛がない。また、後頭部のリボンも取り外されている。リボルテック セイバーでは、このリボンが頭を上に向けるときに干渉してしまい、思うように上を向かせることが難しかったのであるが、デザイン上の変更点により首の可動性がセイバーのそれより向上した。

また、ブーツの形と大きさが変更されている。ブーツの形が、より鋭角的になり凶暴な印象を与える。さらに、デザイン変更に伴って、ブーツが大型化された。リボルテックセイバーのときは、足の大きさの都合で素立ちさせるときに、バランスを上手く取らないと難しかったが、セイバーオルタでは非常に簡単に素立ちさせることが出来る。

リボルテックセイバーで問題視された、肘関節であるが、あれだけ騒ぎになったためか、見事に改善されている。セイバーと同じく、肘を曲げた状態で箱に封入されているが、破損の報告はあまり聞かない。個体差もあるだろうが、肘の回転部のテンションが程よいものに調整されており、ガントレットの部分も回転させやすくなっている。これにより、腕の可動性も飛躍的に向上している。

特筆しておくべき点は、上半身の部分であろう。リボルテックセイバーでは、まっすぐ背筋を伸ばしても首の位置やジョイントのラチェットの影響で、まっすぐ背筋を伸ばすことが出来なかった。しかし、セイバーオルタの鎧のデザインが変更になったのに伴い、鎧の大きさが少しばかり大きくなったのだが、それにより猫背が改善された。

背筋の比較
横から見た比較図
鎧大型化により、ジョイントの位置が少しだけ後ろに行ったのがわかる。

上半身がまっすぐになっているので、立たせるときのバランスも良くなった。リボルテック セイバーでは、素立ちさせたときに前に倒れることが多かったが、オルタではそういうことはなく足の大きさもあいまってバランス良く飾っておくことが出来る。姿勢はまっすぐしておかないといけないということが、フィギュアによって実証されたわけである。

オプションもセイバーよりも充実している。まず、顔のバイザーは前髪パーツを差し替えることで再現。

バイザー差し替え図
バイザーの差し替え図
バイザーの付いた前髪パーツと差し替えることでバイザーを装着させる

リボルテック セイバーと同じく、デフォルトの目線は左を向いているので、正面を向けさせたポーズを取らせるのならば必須であろう。

ポージング例
目線が限定されないので、ポーズの幅が広がる

武器に関しては、黒いエクスカリバーが付属する。模様もセイバーのエクスカリバーから変更されており、まがまがしい印象を与える。

エクスカリバー(オルタ用)
セイバーオルタ用のエクスカリバー
凶悪そうで邪悪なセイバーオルタにぴったりである

また、発売前から要望の強かった可視状態のエクスカリバーも付属する。こちらは、本家のセイバー専用の武器である。

エクスカリバー(具現化状態)
セイバー用エクスカリバー(具現化形態)
風の鞘を使用しないときはこの状態になる

リボルテックセイバーに付属していた、スタンドパーツも付属し、空中戦の再現も出来る。さらに、セイバーで恒例だった箱絵も付属している。

箱絵
セイバーシリーズお約束のサービス

最初のリボルテックセイバーと同じ価格ながら、オプションパーツも充実している。アクションフィギュア単体としては、後発のオルタのほうが優秀な出来であろう。ぜひとも、2体ともそろえて、(ゲームであったかどうか、わからないが、)対決させてみたいものである。

光と闇のゴウザウラー
先にも述べたように、筆者はゲームとアニメを全く見ていないのでお約束のストーリー紹介が出来ない。というわけで、今回は色替えの敵つながりということで、エルドランシリーズ第3作「熱血最強ゴウザウラー」より、ザウラーズが恐竜時代でダークゴウザウラーと戦う話を紹介しよう。セイバーをキングゴウザウラー、セイバーオルタをダークゴウザウラーに見立てて話を楽しんでほしい。

月面上でのエンジン王(注3)との死闘の末、機械城を撃破したザウラーズであったが、帰還した彼らに待ち受けていたものは、完全に機械化されてしまった地球であった。絶望するザウラーズであったが、エルドランに助けを求められる。恐竜時代で戦っていたエルドランであるが、窮地に陥っていた。このままエルドランが敗北すると、地球は完全に機械化されてしまう。というわけで、機械城付近に発生した時空の裂け目から、ザウラーズは恐竜時代へタイムスリップするのであった。

キングゴウザウラーで時空の裂け目に突入したものの、時空の嵐に遭遇し、キングゴウザウラーが分解され、ゴウザウラーマグナザウラーグランザウラーは恐竜時代で散り散りになってしまう。

ゴウザウラーは、機械化帝国の巨大メカと交戦するが、エルドランが窮地に陥っている割には敵が余りにも弱いことに気づく。その直後、グランザウラーが出現し、ゴウザウラーに攻撃を仕掛けてきた。混乱する、拳一らであったがグランザウラーが無人であることに気づく。ある程度交戦した後、無人のグランザウラーは姿を消してしまう。

離れていたマグナザウラー、グランザウラーも同様に攻撃を受けていたが、ゴウザウラーと何とか合流した。合流した彼らに待ち受けていたものは、原子王(注4)率いる偽ゴウザウラー軍団であった。彼らを襲っていたのは、原子王がギルターボ(注5)の頭部から採取したゴウザウラーのデータを元に、大幅にパワーアップさせたコピーだったのだ。

ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーの3体はキングゴウザウラーに合体したが、原子王も手持ちのコピーを合体させ、黒いキングゴウザウラー、ダークゴウザウラーを生み出す。

セイバーオルタがダークゴウザウラーです
ダークゴウザウラー、超鋼鉄合体!!

ここに、光と闇のゴウザウラーの戦いの火蓋が切って落とされたのであった。キングゴウザウラーはダークゴウザウラーに剣での格闘戦を挑む。

互いの剣が激突する図
向こうはただの偽者だぁ!

しかし、キングゴウザウラーはいとも簡単に吹き飛ばされてしまう。さらに、ダークゴウザウラーの猛攻撃は続く。ダークゴウザウラーはキングゴウザウラーの胸に剣を突き刺し、岩肌に貼り付けにしてしまう。

キングゴウザウラーが串刺しにされる図
良いざまだ、エルドラン。そろそろ止めだ!

串刺しにされたものの、強引にダークゴウザウラーの剣を引き抜き、交戦を続けるキングゴウザウラーであったが、ついに機体に限界が来てしまう。分離も出来ず、エネルギー反応炉が異常加熱したキングゴウザウラーは、倒れたまま動かなくなってしまう!

キングゴウザウラー最大のピンチ!
これで地球は機械化帝国のものだ!死ねいっ!!

ダークゴウザウラーの剣が、キングゴウザウラーの頭を刺そうとしたそのとき、エルドランが助けに入る。エルドランは、キングゴウザウラーを別の場所にテレポートさせたのであった。エルドランは、原子王を後一歩のところまで追い込んでいたのだが、ギルターボがもたらしたデータによりダークゴウザウラーを生み出され、形勢が一気に逆転されていたのであった。

エルドランは、キングゴウザウラーを修復すると、地球の未来をザウラーズに託すのであった。
注3 機械化帝国第四の刺客。相方のギルターボという巨大ロボットとともにザウラーズを苦しめた。人間の心の力に着目し研究を続けていたものの、これが機械神の怒りに触れ、愛機のギルターボを目の前で破壊されてしまう。これにより機械神を裏切り、ザウラーズと共闘して機械城の暴走を止めるため奮闘したが、ザウラーズに自分もろとも機械城を攻撃するよう指示し、果てた。このエピソードから、敵ながら機械四天王の中で、一番人気のキャラクターである。

注4 機械化帝国第一の刺客。恐竜時代の地球を攻撃していた最初の四天王である。エルドランと小競り合いを繰り広げていた。

注5 エンジン王の愛機。エンジン王の手で作られ、彼のことを「ファーザー」と呼ぶ。機械化獣と巨大結合し、パワーアップさせる力を持つ。機械神の手で破壊されてしまうが、その頭部が機械神の手で恐竜時代に飛ばされ、その中にあったデータを元にして、原子王がダークゴウザウラーを生み出した。

さよなら恐竜時代
原子王は、コントロールタワーを建設し、地球に機械の隕石を降らせようとたくらんでいた。修復されたキングゴウザウラーは、再びダークゴウザウラーと交戦する。しかし、ダークゴウザウラーの罠にはまり磁力の力で岩盤に貼り付けにされてしまう。

キングゴウザウラーのピンチを救ったのは、恐竜たちであった。ダークゴウザウラーの前に恐竜たちが立ちふさがったのである。しかし、キングゴウザウラーの目の前で多くの恐竜たちが犠牲になって行き、怒りに燃えたキングゴウザウラーはフルパワーで呪縛から逃れた。

ダークゴウザウラーを投げ飛ばし、コントロールタワーにぶつけてタワーを破壊したが、隕石が迫ってきていた。ダークゴウザウラーよりも、隕石破壊を優先し、隕石を見事に撃破した。

隕石を撃破したザウラーズであったが、彼らの疲労は極限状態に達していた。精神的に疲弊したクラスメートが、ホームシックにかかりクラスが、戦闘継続派と非継続派に二分されたのであった。

一方、原子王は最後の切り札である地球壊滅装置を建設していた。これが発動してしまうと、地球にありとあらゆる天変地異が起き、地球のありとあらゆる生命が根絶やしにされてしまう。原子王との最後の戦いが始まろうとしていた。

戦闘継続派のメンバーは、ゴウザウラーとマグナザウラーでダークゴウザウラーと戦う。しかし、必殺技のザウラービッグバスターを、回避されピンチに陥り、ついにダークゴウザウラーにとらわれてしまう。間一髪、マグナザウラーが分離し、ダークゴウザウラーに攻撃を仕掛け振りほどいたものの、マグナザウラーが反動で落下していった。

マグナザウラーのピンチを救ったのは、苦戦しているゴウザウラーとマグナザウラーを放っておけなかった非戦闘派のメンバーたちであった。彼らは、グランザウラーで駆けつけて、ゴウザウラーとマグナザウラーを援護した。かくして、クラスがまた一つにまとまったのであった。

3体のメカは、連携攻撃でダークゴウザウラーを追い込んで行き、ダークゴウザウラーにダメージを蓄積させていった。ダークゴウザウラーは地球滅亡装置を作動させたが、キョウジュと仲間たちの勇気で装置の装甲を解除し、キングゴウザウラーのキングスパルタンでダークゴウザウラーごと地球滅亡装置を破壊したのであった。

しかし、ダークゴウザウラーは大ダメージを負いながらも、生きていた。

怒りに燃えるダークゴウザウラー
よくもやってくれたな。おのれええ

ダークゴウザウラーはキングゴウザウラーに格闘戦を挑み、圧倒する。

キングゴウザウラーを、どつくダークゴウザウラー

ダークゴウザウラーは、剣でキングゴウザウラーに止めを刺そうとした。

剣を振り上げるダークゴウザウラー
おのれ、エルドランのロボットめ!!

しかし、蓄積したダメージにより剣を持った右腕が爆発してしまい、剣を落としてしまう。このチャンスに、キングゴウザウラーは、必殺技ザウラーキングフィニッシュを放つ!

キングブレードを召喚する図
キングブレード!!
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剣をつかむ図
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剣の向きを変える図
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ザウラーキングフィニッシュ!!
ザウラーキングフィニーッシュ!!
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ダークゴウザウラー完全撃破!!
全宇宙に、鋼鉄の秩序をおおおお
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ザウラーキングフィニッシュを直撃で受けたダークゴウザウラーは、大爆発。ゴウザウラーがゴウザウラーを斬るという、珍しい必殺技バンクになった。ダークゴウザウラーを倒した、キングゴウザウラーがお約束の勝ち名乗りを上げる。

実際にやらせるとこの構図はどうやって剣を持っているのか疑問
熱血

剣を振り回す図
最強!
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剣を突き立てて顔のアップに切り替わる図
キングゴウザウラー!!

ロールオーバーで画像が変わります

見事に、ダークゴウザウラーを撃破したキングゴウザウラーであったが、地球の異変は止まらない。実は、恐竜たちの時代が今まさに終焉を迎えようとしていたのだった。

目の前の恐竜たちを救えなかったザウラーズは悲嘆にくれるが、ギルターボの頭の上にいたネズミたちの姿を見て、哺乳類たちによる新たな時代、そして生命の連続性を確信する。良いことばかりでなく、つらいことも悲しいことも積み重なっているのが、「歴史」というもの。これが地球の歴史の一部なのだということを、まざまざと認識したザウラーズであった。

エルドランのあけた時空の穴を抜けて、無事に元の時代に戻ってきたザウラーズ。元の時代に戻ったザウラーズは、死んでいった恐竜たちのために雪で仲良しだった子どもの恐竜の雪の人形を作る。

そのとき、その雪像の上に赤い雪が降ってきた。上空には、機械神の幻が現れ、ザウラーズに最終決戦の幕開けを告げる。ザウラーズの戦いは、まだ終らない!

士郎、おかわり!(リボルテックセイバーのコラムへ)

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