『機動戦士ガンダム00 2ndシーズン』EX前編
TRANS-AM-BURST
人類の未来を掴むために!
ソレスタルビーイングの元エージェント・王 留美が命懸けでもたらした情報を元に、イノベイターの支配下にある量子型演算システム・ヴェーダの所在地をつきとめたプトレマイオス2(トレミー)はこれを奪還するため、ラグランジュ2、月の裏側宙域に艦の進路を向ける。
それぞれの戦う決意を胸に、4機のガンダムがトレミーから発進。
ティエリア「なんとしてもヴェーダを取り戻す・・・!僕を導いてくれ、ロックオン(ニール)!」
ミレイナ「アーデさん、戦果を期待してるですぅ!」
ティエリア「了解。セラヴィー、ティエリア・アーデ! 行きます!」
アレルヤ「準備は良いかい?ソーマ・ピーリス。」
ピーリス「マリーで良い・・・。そう呼びたければ、それで良い。しかし、私は・・・。」
アレルヤ「わかってるよ。アーチャーアリオス、アレルヤ・ハプティズム! ソーマ・ピーリス! 目標へ飛翔する!」
ミレイナ「ケルディム、出撃準備完了ですぅ!」
ライル「アニュー、俺はやるぜ・・・。ケルディム、ロックオン・ストラトス! 狙い撃つ!」
刹那「本当に良いんだな、沙慈。」
沙慈「心配しないでくれ。僕だって、未来を見つけたいんだ!」
刹那「・・・了解。ダブルオー、刹那・F・セイエイ! 出る!」
沙慈「オーライザー、沙慈・クロスロード! 発進します!」
沙慈「ハロ、オーライザー・ドッキングモード!」
4機のガンダムとトレミーは、アロウズ艦隊が待ち受ける宙域へと、向かっていくのだった・・・。
命の華
トレミーが反連邦政府組織・カタロンの宇宙艦隊、カティ・マネキン率いる連邦正規軍と共闘し、アロウズの包囲網を突破したその時、リジェネ・レジェッタは内に秘めていた野心の全てを、脳量子波を通じて読み取られていたという事実に逆上し、リボンズ・アルマークを銃を向けていた。
脳天を撃ちぬかれ、倒れるリボンズ。それを見てリジェネは呟く。
「僕だ・・・僕なんだ! 人類を導くのはこの僕、リジェネ・レジェッタなんだ! これでイオリア計画の全てが僕の物に・・・!」
「それは傲慢というものだよ。」
勝ち誇るリジェネであったが、しかし、その時背後から、もう一人のリボンズが姿を現す。 ヴェーダを支配下に置き、意識で完全にリンクしているリボンズにとって、肉体はただの器に過ぎないのだという。目の前に倒れる抜け殻と、リボンズを交互に見ながら驚くリジェネ。
「君には出来なくても、僕にはできる。なぜなら僕は君たちの上位種だからね。」
怒りもあらわに、リジェネは再びリボンズに銃を向ける。しかし、彼が引き金を引くよりも早く、現れたアリー・アル・サーシェスによって胸を撃ちぬかれ、リジェネは倒れてしまう。
「大将! アロウズさんがヤバそうだ。そろそろ、オレの出番かな・・・?」
「期待しているよ。」
短いやりとりを交わし、サーシェスはその場を立ち去る。
連邦正規軍・カタロン艦隊とアロウズ艦隊がぶつかる宙域を、イノベイターを、そしてルイスを探すダブルオーライザーは、周辺の機体全てに警告を発する。戦闘宙域にめがけて、刹那曰くの「禍々しい光」による攻撃が来るというのである。刹那が警告を発したすぐ後に、巨大なビームが戦場に照射される! ビームは敵も味方も区別なく飲み込んでいった。その凄惨な光景に刹那は歯噛みする。
その時、戦場に巨大な影が姿を現す! 小惑星を丸ごと要塞化したようなそれは、イノベイターの、リボンズの本拠地、コロニー型外宇宙航行艦《ソレスタルビーイング》であった!
トレミーの戦術予報士、スメラギ・李・ノリエガは、残存するカタロン艦隊と連邦軍艦隊に「本艦はこれより、敵大型母艦に侵攻し、そこにある量子型演算システム・ヴェーダの奪還作戦を開始します!」と、通達すると、GNフィールドを艦の周囲に展開、トレミーと4機のガンダムは最後の戦場へと向かっていったのだった。
「ヴェーダを奪還、最悪破壊しててでも、敵母艦の動きを止めるのよ! ラストミッション、スタート」
《ソレスタルビーイング》表面に備え付けられた無数のビーム砲、要塞から発進した特攻MS・ガガの大部隊の猛攻を潜り抜け、ガンダムとトレミーは、ようやく要塞表面に取り付くことに成功した。トレミーの護衛のために残ったアリオスガンダムとGNアーチャー以外のガンダム各機は散開し、それぞれ《ソレスタルビーイング》内部への侵入を試みる。その目的は、MSによる白兵戦を仕掛け、ヴェーダを奪還することにあった!
しかし、《ソレスタルビーイング》に侵入しようとする彼らの前に、イノベイターたちが立ちふさがる! ダブルオーライザーの前にはルイス・ハレヴィが操縦する大型MA、レグナントが現れた!
ルイス「行かせるか、ガンダムッ!!」
刹那「あの機体は!?」
沙慈「ルイスーッ!」
一方、母艦内部への潜入に成功したケルディムガンダムの前には、兄・ニールの敵である、アリー・アル・サーシェスが操縦するアルケーガンダムが現れた。
ライル「あの機体は、兄さんの・・・!」
通路に仁王立ちしていたアルケーはファングを展開し、ケルディムに猛烈な勢いで襲い掛かる!
サーシェス「行けよ、ファングぅッ!!」
アルケーの攻撃に対し、ライルはケルディムの追加武装・GNHW/Rのライフルビットを展開、ビットをアルケーのファングに特攻させる形で、迎撃する。
ロックオン「ハロ、ライフルビット!」
一方、トレミーは敵母艦の発進口に不時着し、フェルト・グレイスが艦内のデータにハッキングを開始。要塞内部の探索を行う。その時、大量のオートマトンが待ち構えていたかのごとく現れ、トレミー内部へと侵入を開始する! 更に、ガガ部隊も執拗にトレミーを狙い、飛来する! 援護のために残ったアリオスとGNアーチャー、また、ラッセが搭乗する、粒子貯蔵タンクを搭載したOガンダムが、ガガの迎撃にあたる。
ラッセ「こんだけ近けりゃ、トランザムは使えまい!」
オートマトンがトレミー内部の隔壁を打ち破り、内部に侵入してきた、その時。フェルトがヴェーダの所在をつきとめることに成功する! スメラギはデータをマイスター達に転送するよう指示を出す。ブリッジを後にしたスメラギは銃を手に取ると、艦内に迫り来るオートマトンに立ち向かう決意をしていた。二年前には守りきれなかった仲間たちを、今度は守るために・・・。
「守ってみせる・・・! 今度こそ!」
トレミーの艦内通路を進むスメラギの前に、オートマトンを引きつれ現れたのは、アロウズのMS技術者、ビリー・カタギリであった!
フェルトから転送されたデータを受け取ったティエリアであったが、その眼前にリヴァイブとヒリング、二人のイノベイターの機体が立ちふさがる! 二人が操縦するガデッサとガラッゾには、ビリーが開発したトランザムシステムが新たに組み込まれていた。リヴァイブとヒリングはトランザムを起動すると、セラヴィーガンダムに攻撃を仕掛ける!
ヒリング「行くよ、リヴァイブ!」
リヴァイブ「ああ。」
ヒリング&リヴァイブ「トランザム!」
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トランザムを手に入れたガデッサとガラッゾに驚きながらも、ティエリアもトランザムを起動させ、これに立ち向かう。
ティエリア「トランザム・・・! クッ!」
しかし、元々トランザムを使用してようやく勝てた相手である。その相手がトランザムを使用すれば勝敗は明らかというもので、セラヴィーはガデッサ、ガラッゾのコンビネーション攻撃に翻弄された挙句、無残にも両腕を切断されて、要塞表面に墜落してしまうのだった・・・。
ヒリング「遅い!」
ティエリア「がッぐあぁぁぁぁぁ・・・!!」
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要塞内部では、ライルもアルケーの猛攻の前に苦戦を強いられていた。ライルは接近戦を得意とするアルケーのパワーと、サーシェスの操縦センスを相手に圧倒され、ケルディムのメイン武器であるスナイパーライフルを叩き落されてしまう。
サーシェス「やっぱ、戦争は白兵でねえとなぁ!」
ライルは、負けじと接近戦もこなすことが出来るGNビームピストルに切り換えると、アルケーガンダムの猛攻を受け流そうと、ビームを連射する。
ロックオン「ほざけよ!」
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しかし、威力の低いビームピストルではアルケーガンダムの装甲を撃ち抜く事はできなかった。サーシェスはGNバスターソードを振りかぶると、ライルに対しさらに追撃を仕掛ける! ケルディムは咄嗟にビームピストルのブレード部でバスターソードの剣戟を受け止める。
その口から放たれるサーシェスの言葉には、戦いへの狂気に満ち溢れていた。
サーシェス「また殺してやるよ! えぇッ、ガンダムさんよぉ!?」
ロックオン「ぶっ潰す!」
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ライルはあらん限りの怒りをぶつけてサーシェスに立ち向かうが、つま先にビームサーベルを装備するアルケーのトリッキーな攻撃に翻弄され、脚部を切断されてしまう。さらに追い討ちとばかりに、バスターソードを叩きつけられる。
サーシェス「ちょいさァッ!」
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ロックオン「ぐあっ!」
アリオスとGNアーチャーもまた、絶え間なく襲い来るガガ部隊を相手に苦戦を強いられていた。太陽炉を持たないGNアーチャーは、連戦に次ぐ連戦で、コンデンサーに蓄えられていた粒子エネルギーが底をつきかけていた。アレルヤはGNアーチャーにエネルギーを補給するため、ピーリスにアリオスとドッキングするよう指示するが、相も変わらず飛来し続けるガガ部隊を前に、その猶予は全くと言っていいほどなかった。
迫り来るガガを迎撃しようとビームライフルを構えるGNアーチャーであったが、ついにそのエネルギーが尽きてしまう!
「!?」
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その隙を突き、、ガガの特攻攻撃がGNアーチャーに命中してしまう!
「マリーッ!!」
要塞の外部では、ダブルオーライザーとレグナントの戦いがいまだ続いていた。
アンドレイのアヘッドがレグナントに加勢する形で、交戦中のダブルオーライザーに攻撃を仕掛ける。しかし、アヘッドがダブルオーライザーにはかなうはずもなく、即座にビームライフルで脚を撃ちぬかれてしまう。
アンドレイ「ぐぁっ!この強さは・・・!?」
一瞬とはいえ、刹那がアンドレイに気を取られた隙に、レグナントはGNファングを全弾射出。ダブルオーライザーを包囲する。
ルイス「行けっ、ファング!!」
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しかし、イノベイターへと変革を遂げた刹那は、常人を遥かに超える反応速度で全てのファングを一瞬にして破壊。
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しかし、ファングを破壊されてもルイスはひるむことなく、憎しみと共に、レグナントの巨体をダブルオーライザーにぶつける!
ルイス「お前達は、世界を乱す悪だ!!」
《ガンダム》という存在そのものに対する憎しみのみで戦う彼女は、悲痛な叫びとともにダブルオーライザーと剣を交える。そんな彼女を救うため、沙慈はオーライザーのコックピットから、ルイスに対して自らの想いをぶつける!
ルイス「お前達さえいなければ・・・!!」
沙慈「幸せになれるの!?」
ルイス「・・・沙慈!?」
沙慈「戦いで勝ち取る未来なんて、本当の未来じゃないよ!!
僕達はわかりあうことで、未来を築くんだ!!」
しかし、そんな沙慈の言葉も、憎しみに囚われ続けるルイスの心には届かなかったのである・・・。
セラヴィーを撃破し、ルイスの援護に向かおうとするリヴァイブとヒリング。ふと、要塞外壁に墜落したセラヴィーを目にしたヒリングは、ある事に気付く。セラヴィーのコックピットハッチが、開け放たれていたのである!
《ソレスタルビーング》内のコントロール・ルームでは、リボンズがヴェーダ本体を見上げていた。
「人類は試されている。滅びか、それとも、再生か・・・。」
「だが、それを決めるのは、君じゃあない!」
リボンズの背後に現れたのは、銃を構えたティエリアであった!
BEYOND
ソレスタルビーイング、そして、ガンダムへの憎しみをリボンズに利用されているルイスの心に、沙慈の心は届かなかった。ルイスはレグナントをMS形態へと変形させる。
ルイス「その未来を奪ったのは・・・」
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ルイス「ソレスタルビーイングだ!!」
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ルイス「戦争をしかけたのも、世界をゆがめたのも!!」
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ルイスは怒りのままに、レグナントに内蔵されたGNミサイルを撃ち出す。ダブルオーライザーは射出されたミサイルを全て撃ち落とし、回避するが、ミサイルを回避した方向からはアンドレイのアヘッドが攻撃を仕掛けてきた!
アンドレイ「沙慈とかいう男! 貴様がいる所為で、准尉はッ!!」
アヘッドは難なく撃破したものの、刹那はアンドレイの攻撃に気を取られ、ダブルオーライザーがエグナーウィップで捕縛されてしまう!
刹那&沙慈「うあああああああっ!」
ルイス「よくも、中尉を!
死ねぇぇぇぇっ!!」
エグナーウィップに絡み取られ、身動きできないダブルオーライザーに止めを刺すため、レグナントはGNビームキャノンを発射する。電撃に苦しみながらも、刹那はダブルオーライザーのGNフィールドを展開し、辛くもビームキャノンから身を守る。
しかし、そんな彼らに対して折り悪く、ガガが迫ってくる。ルイスはガガの存在を確認すると、ダブルオーライザーを道連れにするため、レグナントの巨体で組み付いた!
ルイス「もう逃げられないぞ、ガンダムゥ!」
沙慈「やめるんだ!このままじゃ、ルイスも・・・!!」
ルイス「それがどうした!?貴様達を倒すためなら・・・!!」
沙慈「駄目だァァァァァッ!!」
沙慈は、オーライザーのバインダーからGNミサイルを発射し、ガガを撃ち落す! しかし、撃ち漏らした一機が、レグナントとダブルオーライザーに直撃したのであった・・・。
一方、ガデッサとガラッゾにセラヴィーを撃墜されたティエリアは、母艦内部への潜入に成功。ヴェーダの本体が存在するコントロールルームで、リボンズと対峙していた。
ティエリアはセラヴィーをわざと撃墜させ、敵を欺くと同時に母艦内部へと潜入するという作戦を取っていたのだった。 この作戦の成功率をより高めるため、ティエリアはスメラギと相談し、火力を優先した愚鈍なGNHW/Bを選択、イノベイターの油断を誘ったのである!
ティエリアはリボンズに銃を向け、自分達イノベイターの、【本当のあり方】を説く。リボンズやティエリア達イノベイターは、厳密にはイノベイターではなく、人類の中から発生するイノベイター【純粋種】の出現を促すために作られた人造イノベイター・イノベイドだったのである。
しかし、リボンズは自分がイノベイドを超え、真のイノベイターすらも超越した存在であるという自説を曲げなかった。
「世迷言をッ!!」
引き金を引こうとするティエリアであったが・・・。
要塞内部ではロックオンとサーシェスが激戦を繰り広げていた。脚部を切断されてはいるものの、サーシェスの猛攻に対してGNピストルで上手く対応し、互角の戦いを繰り広げていた。
サーシェス「しつけぇんだよ、ソレスタルなんたらぁッ!!」
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ロックオン「くそったれが!」
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また、要塞の発進口付近ではアリオスとGNアーチャーがトレミーの防衛に当たっていたが、ガガの二度にもわたる特攻を受け、GNアーチャーが完全に大破、戦闘不能に追い込まれる。アレルヤもまた、傷ついていくピーリスを前に精神的に追い詰められていた。
ガガを迎撃するため、Oガンダムで出撃したラッセであったが、機体の粒子残量が尽き、また、GN粒子の毒素に汚染されていた自身の身体が限界を迎えてしまい、戦闘不能となってしまう。
そして、唯一ヴェーダに辿り着いたティエリアも、リボンズの凶弾の前に倒れてしまう。
「言ったはずだよ。僕はイノベイターをも超える存在だと。・・・ヴェーダは渡さない。そうさ、人類を導くのは、この僕だ!」
腹を撃ち抜かれ、力なく漂うティエリアに対し、リボンズは更に銃弾を撃ち込み勝ち誇る。
レグナントとともにガガの特攻を受けたダブルオーライザーであったが、機体にはたいしたダメージもなかった。刹那は目を覚ました沙慈にルイスの無事を伝えると、彼女を連れて安全な所へ逃げるように指示する。ルイスの援護に来たリヴァイブのガデッサと、ヒリングのガラッゾがすぐそこまで接近していたのである。
沙慈「・・・!ルイスは!?」
刹那「大丈夫だ。」
沙慈「ルイス!」
刹那「彼女を連れて安全な場所へ行け!敵が来る!!」
沙慈「・・・わかった!」
気絶したルイスを連れて戦闘宙域を離脱する沙慈を見送ると、刹那は新たに迫り来る敵、ガデッサとガラッゾに視線を向ける。
刹那「イノベイター・・・!」
巧みな連携プレーでダブルオーライザーに襲い掛かってくるガデッサとガラッゾ! しかし、純粋種へと変革しつつある刹那は、苦戦しつつも二人の連携攻撃を潜り抜けていく。このままでは拉致が空かないということでガデッサとガラッゾはトランザムを再び起動。さしもの刹那もトランザムを起動した2機には苦戦を強いられ、ダブルオーライザーのトランザムを起動させる!
刹那「トランザム!」
トランザムライザーを起動したことで、刹那の耳に脳量子波を通して、周囲の人間の思念が届く。
最初に刹那が耳にしたのは、沙慈とルイスの声だった。沙慈の呼びかけによって意識を取り戻したルイスであったが、ソレスタルビーイングに対する憎しみから、沙慈の首を絞めにかかってしまう。苦しみもがく沙慈の胸元からこぼれ出た、彼がネックレスにしていたペアリングを目にしたことで、ルイスの脳裏に平和な世界にいた時の記憶がフラッシュバックし、激しい苦痛にさいなまれる。
ルイスに駆け寄った沙慈は、義手となった彼女の左腕の薬指に、自分がプレゼントしたペアリングをはめていることに気付く。しかし、彼女を襲う激しい苦痛が限界を超え、ルイスは倒れてしまった!
「アァァァァァアアァァァッ・・・!!」
「ルイス・・・? う、あ・・・あ、ルイスーッ!!」
何度声をかけても、目を見開いたまま倒れたままのルイスに対し、沙慈は悲しみの絶叫をあげる・・・。
「私は戦う! 自分たちの意思で、未来を作るために!!」
続いて聞えてきたのは、トレミー内部でビリーと対峙するスメラギの声だった。スメラギはビリーに対し、あくまでも自分が戦い続けることを主張する。そんな彼女に対し、何故自分の言うことが理解されないのか、嘆きながらもビリーはスメラギに銃を突きつける。
脳量子波によって、追い詰められる仲間たちの思念が刹那に流れ込む。
アレルヤ「マリー!! う、ぐわぁぁぁぁっ!」
ラッセ「クソォッ! ここまでかよ・・・ッ!」
ミレイナ「このままじゃ、トレミーが!」
フェルト「まだよ! まだ、諦めちゃダメ!!」
リンダ「ミサイルの残りが!」
イアン「こんな所でッ!」
刹那「みんなの命が消えていく・・・。」
トランザムライザーを通して、仲間の命が危機に瀕していることを知った刹那は怒りの絶叫を上げる!
刹那「そんなこと、させるかァァァァァァァッ!!!!」
TRANS-AM-BURST
その時である。刹那の叫びに呼応するかのように、コックピット内のモニターに【TRANS-AM-BURST】と表示され、トランザムライザーはそのGN粒子の放出量を飛躍的に高めた! その粒子の輝きは、通常の緑色から虹色へと変化し、さらには物理的な衝撃波となってガデッサとガラッゾを吹き飛ばす! その神々しい輝きを放つ粒子は、《ソレスタルビーイング》をもまるごと包み込み、マリナやカティ、カタロンの面々も、その様子を目にしていた。
マリナ「この光は・・・きっと・・・刹那の戦いの光・・・命の輝き・・・。」
光り輝くトランザムライザーの中、刹那はニールが残した言葉を思い出していた。
ニール「変われ、刹那。変われなかった、俺の代わりに・・・。」
刹那「そうだ、未来を作るために俺たちは・・・変わるんだァァァァァッ!!」
トランザムライザーから放たれる虹色のGN粒子に脳量子波をかき乱され、リヴァイブとヒリングは機体のコックピット内で、苦しみもがく。
ダブルオーライザーさえあれば自分達も真のイノベイターになれるのに、と歯噛みするリヴァイブであったが、そんな彼らに対し、意識だけの存在となっていたリジェネの声がGN粒子を通して彼ら二人に届く。
「純粋なるイノベイターの脳量子波がツインドライヴと連動し、純度を増したGN粒子が人々の意識を拡張させる! 完全なる進化を遂げたか、刹那・F・セイエイ! キミこそが、真のイノベイターだ・・・!」
サーシェスはトランザムライザーから放たれたGN粒子に対して、嫌悪感を示していた。
サーシェス「何だ・・・この気持ち悪い感じは・・・?」
TRANS-AM-BURSTによって意識が拡張されたことで、サーシェスはライルの声を耳にする。ライルの心は戦いを引き起こすイノベイターや、サーシェスに対しての怒りに満ち溢れていた。
ロックオン「貴様・・・!」
サーシェス「声!?」
ロックオン「貴様みたいな奴が・・・兄さん達は!!」
ライルの声により、ケルディムのパイロットがかつて自分と戦ったデュナメスのパイロットと知るや否や、サーシェスは狂気に満ちた表情で、ライルに対して猛攻撃を仕掛ける!
サーシェス「へっ!てめえ、あの男の弟か!?」
ロックオン「それがどうした!?」
サーシェス「殺し甲斐があるぜ!!」
ロールオーバーで画像が変わります
ロックオン「何なんだ、貴様は!?」
サーシェス「俺は、俺だ!!!!!」
ロックオン「ぶっ潰す!!!!」
また、周辺に満ちた高純度のGN粒子は、アレルヤの中で眠りについていた、もう一つの人格・ハレルヤを呼び覚ます! ハレルヤの覚醒を確信したアレルヤはトランザムを起動、GNバルカンでガガの大群を一掃する!
ハレルヤ「余所見してんなよ、アレルヤぁッ!!」
アレルヤ「ハレルヤ!?」
ハレルヤ「マリーだけ見てりゃ良いんだよぉ!!」
GN粒子の光の中、アンドレイはピーリスから、父・セルゲイの真の想いを知らされる。そうとは知らず自らの手で父の命を奪ったアンドレイは、取り返しの付かないことをしてしまったとを知り、嗚咽を漏らす。
「なら、どうしてあの時、何も言ってくれなかったんだ・・・! 言ってくれなきゃ、何もわからないじゃないか・・・!!」
「大佐・・・。」
その様子を見ていたピーリスもまた、涙を流していた。
また、スメラギはビリーが、昔から自分に好意を寄せていたことを知る。彼の気持ちに気付くことが出来なかった自分に気づいた彼女は銃を下ろし、ビリーに優しく寄り添う。
トランザムライザーが放つGN粒子の輝きは、GN粒子が持つ毒素さえも中和していく。命の危機に瀕していたラッセの体はたちまち回復。体の痛みが消えたことに対して驚くラッセであった。
さらに、意識を失い死んだかに思われたルイスも、息を吹き返した。これまで取り返しのつかない事をしてきたと、ルイスは涙を流すが、沙慈はやさしく彼女を抱きしめる。
ルイス「ねぇ、この温かな光は、何? 心が、溶けていきそうな・・・。」
沙慈「刹那だよ。彼の心の光。未来を照らす光だ・・・!」
沙慈は、そう確信していた。
GN粒子に脳量子波を乱され、嫌悪感を示すリボンズ。
「この時を待っていたよ! リボンズ。キミの思い通りにはさせない。そうだろ、ティエリア。」
リボンズに話しかける声の主はリジェネであった。リジェネの声に気付くと同時に、リボンズはヴェーダに、自分とのリンクを拒絶されてしまう! リボンズがティエリアに目を向けると、死んだはずの彼の亡骸の目が、突如見開かれ、その目は金色に輝いていた!
彼の覚醒とともに放置されていたセラヴィーのバックパックが分離し、セラフィムガンダムへと変形。セラフィムシステムを起動し、トライアルフィールドを発生させた!
セラフィムシステムとはヴェーダのバックアップの影響下にある機体全てをその支配下に置き、制御を奪うシステムである。ヴェーダの奪還が成功し、システムを起動。ヴェーダとリンクしているイノベイター勢の全ての機体の機能を停止させたのであった。トレミーに猛攻を仕掛けていたガガは全て機能を停止し、艦内に潜入していたオートマトンも全て機能を停止。また、リヴァイブのガデッサ、ヒリングのガラッゾも身動きが完全に取れなくなってしまった。
要塞内部でケルディムと激戦を繰り広げていたアルケーも、セラフィムシステムの影響で身動きが取れなくなっていた。突然機体が動かなくなったことに、サーシェスは動揺を隠せない。
サーシェス「何が、どうなってやがる!? クソッ、動けってんだよ!!」
機能を停止したアルケーに容赦なくGNピストルを放つライル。彼には、サーシェスがこれまで行ってきた数々の悪行、蛮行を許すことなど、到底出来なかったのである!
ロックオン「兄さんのことを責められねえなあ・・・。こいつだけは、許せねえ!」
ケルディムの攻撃により、反撃することも出来ずアルケーは崩れ去る。しかし、サーシェスはコクピットから逃げ出していた。その様子を見てライルは機体を降り、彼を追う。通路の奥でライルはサーシェスを追い詰める! サーシェスは銃を捨て、両手を挙げて降伏するそぶりを見せるのだが・・・。
「コイツが、父さんも、母さんも、エイミーも・・・兄さんも!」
家族の仇であるサーシェスに、怒りを燃やすライル。しかし、アニューの言葉が彼の脳裏をよぎり、ロックオンは引き金を引けないでいた。そんな彼をののしりながら、捨てた銃を手に取りライルを撃とうとするサーシェス。だが、それよりも早くライルの銃から放たれた弾が、彼の顔を直撃。更にライルは銃を連射、サーシェスの心臓を撃ち抜く。数々の悪行を繰り返し、一度は死に掛けながらも尚、生き残ってきたサーシェスの、あっけない最後であった・・・。
サーシェスにトドメを刺したライルは、アニューを想いながら、ガンダムマイスターとして戦い続けることを決意する・・・!
ロックオン「アニュー、お前のおかげで人と人が分かり合える世界も不可能じゃないって思えたんだ・・・。
だから、世界から疎まれても咎めを受けようとも・・・俺は戦う!
ソレスタルビーイングの、ガンダムマイスターとして!!」
ダブルオーライザーで、要塞内に侵入し、コックピットから降り立った刹那は、ヴェーダのコントロールルームへと踏み込む。そこで刹那が目の当たりにしたのは、無惨にも全身を銃で撃ちぬかれた、ティエリアの亡骸であった・・・。
「仇は討つ・・・!」と、彼の亡骸を前に誓う刹那、であったが、「勝手に殺してもらっては困るな。」と、何処からかティエリアの声が響く。
「ヴェーダと繋がったことで、僕は全てを知る事が出来た。今こそ話そう、イオリア計画の全貌を・・・。」
刹那はティエリアから、ソレスタルビーイングの創始者、イオリア・シュヘンベルグの計画の真の意味を聞かされる。
ガンダムマイスターらの武力介入が世界の統合を促し、それによってソレスタルビーイングが滅ぼされる事になろうとも、人類の意志を統一させる必要があった。それは、人類が争いの火種を抱えたまま外宇宙に進出することを防ぐためにである。人類は変わらなければ未来をつむぐことは出来ない。そして、外宇宙で存在するであろう新たな種との対話に備える必要がある。そのために、人類は分かり合う必要があったのである。
刹那は状況を報告するため、一度トレミーへ戻ろうとする。その視線の先にはトライアルフィールドを維持し続ける、セラフィムの姿があった。その時、突如として飛来した粒子ビームにより、セラフィムが撃墜される! ティエリアの安否がわからず、動揺するフェルトたち。粒子ビームが飛来してきた方向に機体を向ける刹那。そこには一機のMSがいた。刹那はその機体を操縦する者が誰なのかを、瞬時に理解する!
刹那「そこか!」
刹那「リボンズ・アルマーク!!」
リボンズ「感謝してほしいな。キミがその力を手に入れる事が出来たのは、
僕のおかげなんだよ? 刹那・F・セイエイ。」
ついに幕を開ける最終決戦! 果たしてその行方は・・・? 『ガンダム00』EXコラム後編に続く!
コックピット内で不気味な笑みを浮かべるリボンズ。
ここに、最後の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた・・・!
「彼の心の光・・・未来を照らす光だ・・・。」(戻る)