聖闘士聖衣神話
山羊座カプリコーンのシュラ
バンダイ 聖闘士聖衣神話シリーズ
定価4200円(税込み)
聖剣、エクスカリバー!
アテナへの忠誠深き聖闘士が聖闘士聖衣神話に登場!!
聖域決戦の火蓋は切って落とされた
邪悪の矢を受け倒れたアテナを救うためにも
黄金聖闘士が立ちはだかる十二の宮を突破せよ!
急げ、アテナの聖闘士たち!!
残る宮は後3つ
十番目の宮、磨羯宮に突入した星矢たちに
山羊座カプリコーンのシュラが襲い掛かってきた
このシュラこそ、逆賊の汚名を着せられたアイオロスを殺した張本人だったのだ
シュラの研ぎ澄まされた剣は、まさに聖なる剣エクスカリバーの威力を持って紫龍を圧倒した
だが、死をも覚悟した紫龍の怒りがついに爆発しようとしていた!
冒頭部ナレーションより。BGM「銀河戦争」を流しながら田中秀幸氏の声で読むべし!
コラムまんが日和
まじめにふまじめ怪傑ゼロリ(HUYU君のやおいへの寛容から生まれた腐女子のイマジン。この十二宮の戦いを経て、腐女子セブンセンシズに覚醒しつつあり、ついに筆者を出し抜いた以下ゼロリ)「オーッホッホッホ!前回の人馬宮の戦いではにっくきBPを出し抜いてやったわ。ガウェインでかなり距離を稼いだから、なかなか追いつけないでしょうね。この調子で次の磨羯宮も突破しちゃうわよ〜。」
蟹座キャンサーのデスマスク(コラムの都合でゼロリの配下になってしまった蟹座の黄金聖闘士。その立ち位置は、ヤッターマンにおけるドロンジョの配下みたいなものである。以下、蟹。)「次の磨羯宮は山羊座カプリコーンのシュラが預かる宮だ。」
ゼロリ「シュラといえば、聖剣エクスカリバーを使用する黄金聖闘士ね。アテナからエクスカリバーを授かったという設定がアニメでは語られているんだけど、エクスカリバーって、アーサー王伝説に出てくる剣であってギリシア神話のアイテムじゃないんだけど・・・。」
蟹「そこは、昭和60年代のアニメですからして場を盛り上げるためのウソもあるに決まってるがな。」
ゼロリ「エクスカリバーって、ゲームのアイテムとしてはうってつけの武器よねえ。ファイナルファンタジーとか、最近だとFateでもセイバーの武器として出てきているし」
蟹「剣というのは男性の象徴だからな。しかも、古くからの伝説にある最強の武器の一つってんだから漫画の技にはうってつけってわけだ。」
ゼロリ「でも、シュラって全然印象が強くないんだけど・・・。」
蟹「人馬宮の後にいきなり出てきて、アニメでたった2話でいなくなった聖闘士だからな。十二宮編だけ見ると影が薄い薄い・・・。」
ゼロリ「しかも、顔のほうも地味で地味で私好みじゃないしね。」
ブ男って訳じゃないんだけど、顔つきがまだまだ地味DANE♪(ゼロリ談)
蟹「BPが追いついてこれなさそうだから、ここいらでシュラを詳しく見てみるか・・・。」
ソードマスター シュラ(年齢誤植編)
黄金聖闘士の中でアニメと原作の扱いが大きく違う黄金聖闘士は山羊座カプリコーンのシュラであろう。このシュラは、聖衣のデザインとその性格がアニメと原作で違うキャラクターである。
まず、聖衣のデザインは原作版ではヘッドギアタイプとなっているが、アニメ版ではヘルメットタイプになっている。青銅聖闘士の青銅聖衣も原作ではヘッドギアだったのが、アニメではヘルメット状になっていたが、それと同じデザインの変化である。
また、漫画版のシュラは「力こそ正義」というデスマスクや教皇と同じ考えの持ち主で、教皇の悪行も容認している。また、アイオロスを殺したと登場した段階で告白し、紫龍と戦うことになっている。
一方アニメ版のシュラは、アテナにもっとも忠誠心深き聖闘士_という設定になっている。その証として、神話の時代にアテナより聖剣エクスカリバーを授かったという設定になっており、彼の手足はそのエクスカリバーのごとく何者をも切り裂いてしまうのである。
このような設定が付与されているものの、登場が遅かったためか、アニメでの出番はたったの2話である。映画3作「真紅の少年伝説」にも登場しているが、台詞はほとんどなく更に映画序盤であっけなく誅殺されてしまった。このことから、アニメだけで見れば、シュラは黄金聖闘士の中では1、2を争うほどの影の薄い黄金聖闘士なのである。
それにもかかわらず、シュラの人気は地味に高い。原作版では悪役として登場したにもかかわらず、他の連中と違い、最期に改心している。更に、最期に自分のエクスカリバーを紫龍に与えており、紫龍が追い詰められるたびにシュラの魂が励ましを与えるという描写がなされている。また、その後のハーデス十二宮編でも、冥衣をまとって蘇り、人気の高いサガやカミュとともに十二宮で他の黄金聖闘士らと戦った。
ところで、シュラには面白いエピソードが隠れて存在する。車田漫画は、しばしば親父臭い顔した若造が登場する。シュラもその例に漏れず、23歳と戸谷公次氏の渋い声にも関わらず若い年齢が与えられている。
しかし、この年齢の若さがあらゆる矛盾を生んでいる。13年前にアイオロスと対峙したときのシュラの年齢は、なんと10歳なのである!それにもかかわらず、アニメでは相変わらず戸谷公次氏の声が当てられ、結果としておっさん顔の渋い10歳児が誕生してしまうことになってしまった・・・。
この設定的矛盾は『聖闘士星矢 エピソードG』においてある程度の補完がなされていたのだが、それでも非常に苦しい。昔のアニメによくありがちな、年齢の不一致なのであった・・・。
ソードマスター シュラ(神話編)
こういった事情があったからか聖闘士聖衣神話のシュラは、射手座サジタリアスのアイオロスがリリースされた次に発売された。これまでの黄金聖闘士は青銅聖闘士がまとったものを優先的に出しており、次はライブラの童虎が出るのではないかと考えられていたが、予想を裏切る形となってしまった。
ただ、紫龍は山羊座の黄金聖衣をまとったことがある。それは、シュラとの戦いの際、大気圏との摩擦で燃え尽きそうになった紫龍を生かすために、シュラは自分の黄金聖衣をまとわせて紫龍を救ったのである。アニメでもほんの数秒程度の回想であったが、それを視野に入れれば「青銅聖闘士がまとったことのある黄金聖衣」に該当しないこともない。
聖衣のほうはいつもどおり、フレームに貼り付けることで山羊をかたどったオブジェ形態となる。
ヤギをかたどったオブジェ形態
頭部を差し替えることでアニメ版と漫画版の両方を再現可能
ヤギの角の部分はアニメと原作でデザインが違うのだが、どちらも取り付けられるようになっている。
ただ、ヘルメットパーツの角の造型が少し違和感を与える。なぜかというと、アニメ版の角にはスジが入っていないのである。原作版の角にはスジが入っているデザインなのだが、アニメのヘルメットと原作の角が折衷した奇妙な状態になっている。この点は中途半端に折衷するよりも、もともとのデザインに徹底的に忠実に再現してほしかったところである。
気になる顔の出来であるが、アイオロスの後に出たというわけで、頭部パーツが小型化されている。髪の毛の造型はまだまだシャープな感じがない物の、だんだんと進歩していることがわかる。
また、頭部パーツには原作とアニメ版を両方とも再現できるように配慮がなされている。マスクパーツはヘルメットとヘッドギアタイプが両方とも用意されており、どちらか一方を選んで装着させるようになっているのだが、前髪だけを取り外したり、頭を丸ごと取り外せるようになっているのである。。
ヘッドギアを取り付けるときは前髪だけが外れるようになっており、
ヘルメットを取り付けるときは髪の毛全体が取れるようになっている
ロールオーバーで画像が変わります
素体に聖衣を装着させると、このようになる。
山羊座カプリコーンのシュラの全身画像
他の黄金聖闘士に比べてデザインは控えめ
聖衣のデザインは、他の黄金聖闘士に比べると非常に地味なほうである。元々からして聖衣へのギミックも皆無なので、どうも印象が薄いのである。また、デザイン上の違和感は劇中に比べて肩のパーツが大きめにデザインされている点である。その一方で、ダイキャストの使用比率は非常に高く腹のアーマーとヘッドギアを除いたら全てダイキャスト製のボディとなっており、手に取った重量感が心地よい。
ただ、デザインがシンプルなおかげでアクションの幅は広く取られている。さすがに、最近の第3素体を使用したものと比べると見劣りしてしまうが、エクスカリバーを振るう場面の再現を行うには程よい可動範囲が保障されている。エクスカリバーの再現のために、手刀パーツが左右付属するほか、平手パーツも付属している。
肩アーマー基部にヒンジがあるので、ある程度ならば腕が上がるようになっている
ただ、シュラはよくエクスカリバーを放つ際に腕を上にまっすぐ伸ばす描写が多かったのだが、神話では再現することが不可能である。ヒンジで動くとは言え、肩アーマーの可動には限界があり上に干渉してしまうのである。また、腰のスカートも横には開くが縦方向には動かないため、足回りの可動は非常に狭い。
この欠点は、後に発売された冥衣版で改善されている。こちらでは肩にフォールディングジョイントが組み込まれており、そのおかげで肩アーマーを後ろに倒すことが出来るようにデザインしなおされているのである。また、スカートも展開できるので、足を曲げることが可能となっている。
今の目で見ると、顔の造型や可動範囲で見劣りしてしまう部分があるものの、全体的には手堅く作られている。特に、原作版とアニメ版両方を再現するためのギミックはなかなか面白い。最近になって、冥衣版のシュラも発売されているのでシュラが好きならば、両方揃えたいところである。
うなる聖剣!シュラ対ドラゴン
シュラは黄金聖闘士の中で何の前振りもなく登場し、短い間で退場してしまったのでインパクトが大きくはないのだが、アイオロスを打ち倒したということで重要な役回りを与えられている。ということで、彼の十二宮での戦いを聖闘士聖衣神話を使って紹介しよう!
人馬宮のアスレチックを抜けた星矢たちは、決意も新たに磨羯宮へと突入した。そこで、星矢たちは石像を発見した。この石像は、アテナがもっとも忠誠深い聖闘士に聖剣、エクスカリバーを授けている伝説になぞらい作られたものだった。
紫龍「いつか老師にお聞きしたことがある。
かつて神話の時代、アテナに対し最も忠誠心厚く正義のために尽くした聖闘士をたたえ
アテナ自ら聖なる剣、エクスカリバーを与えたという・・・。」
この石像が磨羯宮にあるということは、磨羯宮にいる聖闘士こそが最もアテナに忠実な聖闘士であるということを示しているのであった。
時間を無駄にしたくない星矢たちは、磨羯宮を進んでいく。宮の中では何も起らず、無事に磨羯宮を出ることが出来た。しかし、宮を抜けた星矢たちに突如地割れが襲い掛かってきた。星矢、氷河、瞬はかろうじて地割れを避けることが出来たが、紫龍が磨羯宮に取り残されてしまう。そこに、不敵な笑い声とともにカプリコーンの黄金聖闘士が現れた。
???「他の三人に飛べと言っておきながら、自分の跳躍力には自信がないようだな。
それとも俺が引き裂いた亀裂におののいて腰が抜けたか?」
紫龍「フッ。俺まで飛んでいたら、今頃全員が貴様の第二の攻撃で地の底へまっしぐらに落とされていただろう」
???「ほう、仲間を無事に逃がすためあえてこの場に残ったというのか?こしゃくな・・・後悔するぞ、小僧!」
俺の名は、山羊座カプリコーンのシュラ!
シュラは、磨羯宮内にある石像を血で汚したくなかったためあえて宮の中では襲い掛かってこなかったのである。紫龍は、星矢たちを先に進め磨羯宮に残り、シュラと相対したのだった。
紫龍「この紫龍の残る命の小宇宙を全てお前に叩きつけてやる!」
シュラ「何!?」
磨羯宮に残った紫龍をあざ笑うかのように、シュラは手刀を振るい、紫龍に襲い掛かった。
フフフフ・・・。俺は実力もないのにでかい口をきく奴が嫌いでな・・・。
フン!
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シュラが繰り出した手刀は紫龍の太ももを傷つけたばかりでなく、地面をも切り裂いてしまった!その拳圧に驚く紫龍に、更に手刀を繰り出した。シュラの拳を受け、紫龍はその場に倒れこんでしまう。
紫龍「これが、大地をも引き裂く奴の拳の威力か・・・。
いや・・・拳というよりも刀!そうだ。シュラの手刀はまるで研ぎ澄まされた刀のようだ!」
今頃わかったか、小僧。その通り!俺の両手両足は全て鋼のように研ぎ澄まされている。
その威力は、黄金聖闘士12人の中でも最強なのだ!
特に、俺の手刀はいかなるものでも切り裂く聖なる剣、エクスカリバーと呼ばれているのだ!!
両手両足がエクスカリバーとなっているシュラは、自分こそがアテナにもっとも忠誠深き男であると宣言した。そして、逆賊アイオロスを討伐したのは自分であると紫龍に言い放つ。
それを聞いた紫龍は、アイオロスの敵を討とうとシュラに立ち向かっていく。しかし、シュラは再びエクスカリバーで紫龍に襲い掛かってきた。その斬撃を紫龍はジャンプでかわし、必殺の廬山昇龍覇をシュラに放った。
たやすくやられてたまるか!今度はお前が俺の拳を受ける番だ!
ドラゴン、最大の奥義!
廬山昇龍覇!!
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廬山昇龍覇を受けシュラは吹き飛びそうになったが、その威力を利用して紫龍の脇に自分の足を引っ掛け、ジャンピングストーンを放った。
シュラ「甘いぞ!そんな子供だましの技が、黄金聖闘士のこのシュラに通用するか!!
そうら、自分が仕掛けた技の勢いで自分が吹っ飛べ紫龍!」
ジャンピングストーン!!
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ジャンピングストーンで吹き飛び、倒れこんだ紫龍にシュラは止めを刺そうとエクスカリバーを繰り出した。しかし、紫龍はエクスカリバーの斬激をドラゴンの盾で受け止めた!
しかし、エクスカリバーを受け止めたドラゴンの盾は見事に真っ二つにされてしまった。
最強を誇るこのドラゴンの盾を真っ二つにするとは!?
ドラゴンの盾がなかったら紫龍の左腕は切り落とされていたところだった。盾を失った紫龍にシュラは容赦なくエクスカリバーを振るい、ドラゴンの聖衣を切り刻んでしまった。
そうら、ついでに聖衣も全て剥ぎ取ってくれるわ!!
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ぐわああああああ!
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ドラゴンの聖衣を何もかもここまで切り裂くとは・・・。
今まで桁違いのパワーで砕いた奴はいたが、ここまで鋭く切り裂いた奴はいない!
まさしくシュラの拳は、触れれば切れる聖なる剣、エクスカリバー・・・!
聖衣を失い、文字通り丸裸となってしまった紫龍にシュラはエクスカリバーを振るい襲い掛かってきた!!
さあ、今度は聖衣でなく貴様が真っ二つになる番だ!!
万事休すかと思われたが、紫龍はシュラのエクスカリバーを白刃取りして受け止めた!
シュラ「貴様・・・まだ立ち上がる気力があるとは・・・。
しかも、聖衣のヘッドを断ち切った俺の剣を素手で受け止めるとは一体・・・?」
紫龍「真剣白刃取り!」
紫龍「俺の生まれた日本で伝わる武道の中でも最大の奥義・・・。
そしてシュラよ、お前を滅ぼす起死回生の技だ!!」
シュラ「何!?」
ヘルメットを失いながら、エクスカリバーを白刃取りで受け止めた紫龍は渾身の一撃でシュラに蹴りを見舞い、吹き飛ばした。
シュラ「馬鹿な・・・。奴の体のどこにまだこれだけの力が残っていたのだ!?」
すると、シュラは紫龍の背中に龍が浮かび上がっているのに気づいた。
シュラ「あれは・・・龍!?紫龍の背中一面に龍が浮かんだ!!」
その場に膝をつき驚くシュラに対し、紫龍はこのように言い放った。
紫龍「これだけは約束しておこう、カプリコーンのシュラよ!」
たとえこの紫龍の五体が全て切り裂かれたとしても、一人では死なん!
必ずやアイオロスの無念を晴らし、お前も一緒に連れて行く!!
聖衣を失った紫龍がついに本領を発揮し始めた瞬間であった!!
ああ紫龍!星となって消ゆ
紫龍の背中に昇竜が浮かび上がり、爆発的に高まった小宇宙にシュラは驚きを隠しえなかった。紫龍はシュラに飛び掛り、頭に回し蹴りを食らわせた。
でええっい!
蹴りを食らったシュラは、マスクが吹き飛ばされ、彼自身も遠くに吹き飛ばされてしまう。紫龍の小宇宙が全身に満ちたとき、彼の背中には龍が現れる。しかも、紫龍の小宇宙はシュラを圧倒し始めていた。そう、紫龍は無意識のうちにセブンセンシズに目覚めていたのである!!
紫龍は再び廬山昇龍覇をシュラに対して見舞った!
再びかわせるものかどうか、受けてみろぉ!
シュラは紫龍の廬山昇龍覇を受け流し、紫龍との距離を置いた。そして、紫龍の廬山昇龍覇に弱点があることを指摘する。
己の弱点にはまだ気づいていないようだな!
昇龍覇が恐るるに足らんのは、それがお前の死に繋がる欠点を持っているからだ!
シュラは、紫龍が廬山昇龍覇を放つ際に1000分の1秒ほど無意識のうちに左拳が下がることに気づいていた。シュラはこの弱点を突いて、紫龍の心臓を狙おうと画策していたのである。
自分の弱点を指摘されても、紫龍は尚も廬山昇龍覇を放った。待っていたと言わんばかりに、シュラは紫龍の心臓めがけて手刀を繰り出した。
バカめ!
シュラの目論見どおり、手刀は紫龍の左胸を貫いた。しかし、紫龍は構わずに自らの右腕を胸に突き立てられたシュラの左腕を殴りつけた!
シュラ「何!?紫龍、お前・・・!」
紫龍「昇龍覇の弱点など、星矢に見抜かれたときからとうにわかりきったこと!」
紫龍は、銀河戦争の際に星矢に廬山昇龍覇の弱点を見抜かれ、瀕死状態に陥ったことがあった。紫龍は自分の技の弱点を承知の上で、背水の陣でシュラに攻撃を仕掛けていたのである。
しかし、左胸を突かれてしまったため、ダメージは大きく紫龍はその場にふさぎこんでしまう。そんな彼に容赦なくシュラはエクスカリバーを構えた。
シュラ「左腕一本を失ったとはいえ、俺には鋼のように研ぎ澄まされた右腕と両足が残っている。
だが、お前には弱りきった心臓一つ。
もはや、弱点をさらけ出し昇龍覇を撃つようなことは出来ないのだ!!
ロールオーバーで画像が変わります
紫龍は、寸前のところでエクスカリバーの斬撃をかわした。しぶとい紫龍にシュラは苛立ちを感じ、さっさと観念するよう言った。しかし、紫龍の闘志は全く折れてはいなかった。
言ったはずだ!この紫龍の五体が切り裂かれても、一人では死なんと!
そういうと、紫龍は立ち上がり小宇宙を燃焼させ始めた。絶体絶命の状況で、衰えるどころか高まりを見せ続ける紫龍の小宇宙にシュラは驚いた。そして、一方の紫龍はある決心をしていた。
紫龍は再び立ち上がり、廬山昇龍覇を放った。同じく、シュラは右腕でエクスカリバーを抜き、紫龍の左胸を一突きにした。
シュラ「フッ。何ほどのこともない。紫龍よ、お前にはもう昇龍覇を放つ力も残っていないようだな。」
紫龍「ぬうう・・・。」
シュラ「ハハッ、俺の勝ちだ!」
しかし、シュラが右腕を引き抜こうとしたとき、異変に気づく。なんと、紫龍は自分の胸の筋肉を引き締め、シュラの腕が抜けないようにしたのである。それどころか、シュラの右腕はどんどんめり込んでいった。
シュラ「馬鹿な、俺の腕が抜けないばかりか逆に拳がめり込んでいく・・・!!」
そう、紫龍は元より廬山昇龍覇を放つ気はなかったのである。紫龍の狙いは、老師に禁じられていた技、廬山亢龍覇を放つことにあったのである。この技を放つために、紫龍は手刀でめり込ませていたシュラの右腕を断ち切ってしまった。
紫龍「でやああああ!」
ロールオーバーで画像が変わります
紫龍は右腕を切り落とすと、シュラの背後にすかさず回り込み、彼に組み付いた。
紫龍「この技を使えば、お前も俺も間違いなく滅ぶ!」
シュラ「何!?」
紫龍「さあ、約束どおりお前を連れて行くぞシュラ!!」
そして、小宇宙を燃焼させて廬山亢龍覇を放った!
廬山亢龍覇!!
廬山亢龍覇を放った紫龍は、シュラとともに天高く舞い上がっていった。廬山亢龍覇とは、己の小宇宙を最大限まで組み付き、まさに昇竜のように天に舞い上がる技であった。しかし、「亢龍悔いあり」ということわざが示すとおり、その技は天に昇りきり下界に戻ることの出来なくなってしまった龍のごとく、紫龍の命も潰えてしまう恐ろしい技だったのである。このため、老師はこの技を禁じ手として封じていたわけである。
天に舞い上がる中、紫龍は絶叫する。
老師、お言葉にそむいて申し訳ございません!
星矢、氷河、瞬!アテナを・・・アテナを頼んだぞおおおおお!!!!
その紫龍の叫びを聞きつけたかのように、十二宮にいた星矢たちは空を見上げた。そして、紫龍が天高く上っていく様を目撃するのだった。また、五老峰でも老師と春麗が西の空に流星が上っていくのに気づいた。その様子を見て、老師は紫龍が廬山亢龍覇を使ったと悟り、涙を流した。
紫龍の亢龍覇を受け、大気との摩擦によって最強を誇る黄金聖衣さえも焦げ付き始めていた。シュラは、身を滅ぼしてでも勝利を欲する紫龍にこのように問いかける。
馬鹿な・・・。そこまでして勝ちたいか?自分が死んでの勝利など何の価値がある!?
何のためにそこまでして戦うのだ!?何故だ!?
そのシュラの問いかけに紫龍はこのように応えた。
シュラよ、聖闘士ならわかりきったこと。
アテナのためだ・・・!
紫龍のこの答えに、シュラは彼らが奉じる城戸沙織こそ、真のアテナだということに気づかされる。また、アイオロスを襲撃したとき、シュラが捨て置いた赤ん坊こそ城戸沙織本人であり、自らがアテナの小宇宙の前にその赤ん坊に切りかかれなかったことに気づいたのであった。アテナへの忠誠を至上の誇りにしていたシュラは、自分がアテナを殺そうとしていたことを大いに反省するのだった。
シュラは、紫龍にこそ生き残ってアテナのために尽くしてほしいと願っていたが、すでに二人は大気圏まで到達しており、どうすることも出来なかった。シュラは、せめて星となって地上とアテナを見守ろうと紫龍に言うのだった・・・。
シュラ「これからせめて・・・、せめて星となってアテナを守るか?なあ、紫龍よ!!」
紫龍の小宇宙が完全に消えたのを地上の3人は感じ取った。それに一同は涙を流す・・・。
紫龍という尊い犠牲を払い、残った3人は続く宝瓶宮へと歩を進めるのであった・・・。
ソードマスター シュラ(対決編)
ゼロリ「影が薄いとはいえ、アイオロス殺害とか結構因縁が深かったのね。」
蟹「原作とアニメでキャラクターの性格も多少変化していたわけだな。どちらかというと、原作では俺らよりの発想の持ち主だったのが、アニメではアテナにもっとも忠実な聖闘士になっている。」
ゼロリ「あんたらとの大きな違いは、人気の高さと改心したという点に尽きるわね。」
蟹「ほうっとけ!」
ゼロリ「とは言うものの、神話ではヘボ造型のブ男。初版のシュラは目がロンパっていた(瞳の視線の方向が違うこと)らしいじゃな〜い♪アニメでも私好みの男じゃないから、さっさと抹殺してあげるわ♪」
蟹(相変わらず自分勝手な奴・・・。)
???「この俺を貴様ごときが倒せると思っているのか!?」
ゼロリ「ハッ!この声は・・・。」
山羊座カプリコーンのシュラ「我が名は、山羊座カプリコーンのシュラ。貴様らごとき、この俺のエクスカリバーで切り刻んでやる!」
ゼロリ「オーッホッホッホ♪ロンパリ男が現れたわね!そっちこそ、私の美男子悪役キャラクターの前になすすべもなくやられるのよ〜♪」
???「まて〜い!」
シュラ「何者だ!?」
ついに見つけましたよ、カプリコーンのシュラ!!
ゼロリ「あれは・・・。サーヴァントのセイバー!何故奴がこの十二宮に!?」
セイバー「紫龍との戦いの後、私は悟った。聖闘士と同じく、強くなるには小宇宙を燃焼させることが大事だということに・・・。そのために私は長い間修行してきた・・・。」
蟹「本家のサーヴァントが小宇宙を使うだって〜。そんなこと聞いたこともないわ!」
セイバー「修行の成果、本家本元のエクスカリバー使い、カプリコーンのシュラを倒して試してみせる!勝負です、シュラ!!」
シュラ「なんだか知らんが、面白い!相手になってやろう!!」
ゼロリ(今のうちに、次の宝瓶宮に向かおうかしら・・・。)
セイバー&シュラ「うおおおおおおおおお!!」
セイバーの修行の成果が実ると信じて!ご愛読、ありがとうございました!!
お前のような男こそ生き抜いて、これからもアテナのために戦わなければならないのだ!(もどる)