figma
セイバー(甲冑Ver.)

発売元:有限会社マックスファクトリー

販売元:有限会社グッドスマイルカンパニー

定価:2940円(税込)


問おう、貴方が私のマスターか
「問おう、貴方が私のマスターか。」(byセイバー)

始まりの日
その光景は今でも覚えている―

風に揺れる金砂の髪、月明かりを纏った蒼い服

それが彼女との出会いであり・・・、聖杯戦争の始まりだった。


10年前に起きた、町一つをまるごと焼き尽くした大火災。その中で唯一生き残った少年は、彼を救い出した人物、衛宮切嗣に身元を引き取られ、その養子となった。少年は命の恩人である切嗣の後継者として、人々を救う『正義の味方』となる事を心に誓う。それが10年前に決定された、少年―衛宮士郎という人間の生き方であった。

しかし、一介の学生に出来る事は限られている。それでも「今はせめて、できることからやっていく」―それが未来への布石と信じて、士郎は地道な人助けを続けていた。

そんな事を続けていたある日、彼はとんでもないものを目撃する。弓道部の頼まれ事を片付け、帰路に着こうとした時、校庭のほうから金属同士がぶつかり合うような、普段耳慣れない音を聞く。その音のする方へと近づいた士郎は驚愕する。蒼い装束の槍を持った男と、赤い装束の二本の短刀を持つ男が、校庭の中心で殺し合いを繰り広げていたのだ。

その光景に恐怖を感じた士郎は、急いでその場を立ち去ろうとする。が、不運な事に枯れ枝を踏んでしまい、槍の男に気付かれてしまった。士郎は校舎内へと逃げ込むが、すぐに追い詰められてしまう。

「見られたからには、しょうがねえ。悪いが坊主、大人しく死んでくれや・・・!!」

士郎は、男が手に持つ槍で胸を一突きにされ、その場に倒れてしまうのだった。

しばらくしてから目を覚ました士郎は、胸を刺されたにもかかわらず生きている自分を不思議に思いながら、家路に着く。自宅に帰りついた士郎は、校庭で行われていた殺し合いを思い起こしていた。だが、士郎は気付く。

「俺がこうして生きている以上、ヤツはきっと口止めに・・・来る!!」

そう思った瞬間、背後に突然、槍の男が現れる。男は士郎を殺そうと、突きを放つ。士郎は咄嗟に、足元にあった新聞紙を丸め、その突きを受ける。

「ほう・・・、変わった芸風だな?『強化』―その紙筒に魔力を通し、強度を高めたってわけか。お前・・・、魔術師だな・・・!?」

『強化』―それは士郎が、魔術師であった今は亡き義父、切嗣より習い、使えるようになった唯一の魔術であった。士郎の紙筒と男の槍がぶつかり合い、槍を弾き飛ばす。だが、次の瞬間には男の強烈な蹴りを喰らう。

「もしかすると、お前が7人目だったのかもな。」

土蔵へと追い詰められた士郎に、男の槍が迫る。『死』がすぐそこに迫っていた。

「俺はまだ、誰一人救えてはいない。俺はまだ、正義の味方になれていない。衛宮士郎はまだ、死ぬわけにはいかない・・・!!」

その瞬間、士郎の手に赤い紋章が輝くと同時に、二人の間に風の塊が出現。男の槍を弾いた。そして、風の中から金色の髪を持ち、鎧を身に纏った少女が現れる。

セイバー登場!
「バカな!?7人目のサーヴァントだと!!」

咄嗟の事に驚いた男は、土蔵の外へと出て行く。サーヴァントと呼ばれた少女は、士郎の方へと向き直ると、

「問おう、貴方が私のマスターか。」

と、静かに問いかけるのであった。

シロウ、figmaとは美味しいのですか?
今(執筆時:2008年4月下旬)から丁度一年前。可動フィギュアとしても、美少女フィギュアとしても革新的な、一つのキラーアイテムが誕生した。海洋堂から発売された、リボルテック セイバーである!

これの詳しい説明は、射手座サジタリアスのBPがこれまた一年前に書いた、リボルテック セイバーのコラムを参照していただきたい。

リボルテック セイバー(以下リボセイバーと認定呼称する)は、顔の造型、プロポーションは申し分なく、その上、関節各部に採用されたリボルバージョイントによって、思うが侭にポーズも決められるとあって、発売当初は飛ぶように売れた。だが、筆者は、その前年に放送されていたアニメにハマっていたにもかかわらず、それをものの見事にスルーした

リボセイバーは、イメージの赴くままに可動するフィギュアであったが、顔に交換用パーツが無く、表情が固定であったため、思う存分動かして、劇中のポーズを決めたりして遊ぶ俺にとっては、そのシーンに見合った表情が再現できない事がイマイチ物足りなかったのであった。

で、あれから一年が経ち、ようやく素直に欲しいと思える、セイバーの可動フィギュアが誕生した。それが今回紹介する、figma セイバー(甲冑Ver.)である!

ことわざに、『十年一昔』というのがあるが、フィギュアの世界では『一年一昔』というのが正しいようで、figmaセイバーとリボセイバーを比べると、出来の違いがありありと感じられる。と、いうわけで、マックスファクトリーの海洋堂に対する対抗心がひしひしと感じられる、充実の内容を紹介していこう。

まず、これが全身像である。

figmaセイバー・正面 figmaセイバー・背面

店頭告知用ポスターに用いられていたキャッチフレーズ、「よく動く、キレイ」は伊達ではない。
ただ一つ、背中のスタンド用の穴だけは、気になってしょうがないのだが・・・。

胸鎧の複雑な模様はタンポ印刷でとてもきれいに仕上げられている。肩カバーや、スカートの端など、塗装が微妙に汚い箇所があるが、Mrカラーやガンダムマーカーを使えば簡単に手直しできるので、余裕のある人は挑戦してみるといいだろう。

値段が高いにも関わらず、大きさはリボルテックシリーズよりも小さい。小さい体躯の割りに、ポーズが想いのまま決まるので遊び応えがあるぞ。

リボルテックとの比較
さて問題です、どれが一番値段が高いでしょう?

パッと見ただけでわかる可動箇所は、肘や足首ぐらいで、他の可動箇所、例えば肩なんかは軟質素材で出来た肩パーツのおかげで、可動範囲を妨げることなく、可動ジョイントを隠す事に成功している。

肩カバー
コレのおかげで肩のジョイントが目立ちません。

左右スカートの可動ジョイントの位置を左右から腰の後ろに移す事で、ジョイントを目立たなくしている。スカートは左右に大きく開く事が出来るので、軟質素材で出来たスカート中央の前垂れと併せて、脚の可動範囲を損なう事は無く、ダイナミックなポーズをとらせることが可能だ。

腰の後ろの可動ジョイント 走れセイバー
スカートが左右に広がるので、走っている途中のようなポーズだって取らせる事が出来る。

スカートは重なっている白い部分が可動するようになっているので、閉じてやれば正面から見る分には見た目を損なわない。

スカートを閉じたところ
・・・ただし、後ろにはこのギミックが無いから、後ろから見るとすごく間抜け。

注意点としては、関節軸が隠れているため、どの方向に力がかかっているかわからずに、ポッキリ折ってしまう危険があるということである。まずは関節カバーなどを取り外し、ある程度動かして、どの方向に力がかかっているか知っておいた方がいいだろう。

また、試作品の写真と比べると、リボンと前垂れの色が紫気味になっているという点が気になるという人がいるようだが、筆者の手元にある、月刊コンプティーク2007年2月号付録・Fate/萌え燃えカレンダーに収録されている、武内崇氏の描き下ろしイラストでは、前垂れの色が紫色になっているので、これがオフィシャルであると、割り切ってしまおう。

なにせ武内氏は、原作となったPCゲーム・Fate/stay naightの絵師であるのだから、コレがオフィシャルと見て、間違いは無いはずである。

さて、ここからは付属品について見ていこう。
付属品は「こんなのリボセイバーには付いてなかったぞ?」のオンパレードで、figmaセイバーは本体の出来もさることながら、付属品でリボルテックとの差を出しているといっても良いかもしれない。

まず最初に紹介するのが、人形の命とも言える、顔である。
figmaセイバーは表情パーツを三種、前髪パーツを二種付属する事で、シーン再現の幅が広がっている。

デフォルトの顔
まずは基本的なデフォルトの顔。なかなか凛々しい顔つきですな。

歯を食いしばっている顔
目線は左向き。敵を睨みつけているような顔ですな。

口を開いている顔
目線は右向き。技名を叫んでいるような顔ですな。

デフォルトの前髪 風になびく前髪
前髪パーツを交換すれば、さらに演出の幅も広がる。

ただし、笑顔パーツは付属しない。「『常在戦場』の騎士王にはそんなもん必要無い!」と、いう事なのだろうか?服装が違う別バージョン等が発売されたら、おそらくそちらに付属しようという腹積もりなのであろう。・・・商売上手だなぁ。

また、シーン再現の幅を広げるパーツとして、いろんな形の手首パーツが付属する。

右手首パーツ一覧
左から、デフォルトの平手、剣保持用の手、握り拳、開き手となっている。
件保持用の手と開き手には可動軸が設けられている。

左手首パーツ一覧
左からデフォルトの平手、剣保持用の手、握り拳、指差しの手である。
右手同様、剣保持用の手と指差しの手には可動軸が設けられており、
また、デフォルトの手には剣を地面に突き立てるあのポーズをとりやすいよう、穴が空いている。

設定どおり、右手首と左手首の形状が違うところが感心モノである。また、失くさないように手首パーツのホルダーも付属する。

サーヴァントたちが戦いに用いる武器、宝具も当然付属する。宝具とは英雄を英雄たらしめるキーアイテムの事で、円卓の騎士の主、騎士王・アーサー王の英霊であるセイバーは、エクスカリバーを用いて、聖杯戦争を戦う。

figmaには、作中でセイバーが使用していた、《約束された勝利の剣(エクスカリバー)》、《勝利すべき黄金の剣(カリバーン)》の二種類の剣。あらゆる物理干渉、魔法を遮断。傷や病、老化をも癒す聖剣の鞘にして、セイバー最強の宝具《全て遠き理想郷(アヴァロン)》と、イラストなどには描かれているカリバーンのが付属する。

付属する騎士剣&鞘×2
ちゃんと鞘から抜刀できるようになっているのがポイント。
専用の手首と併せれば抜刀のポーズを取らせる事も出来ます。
(鞘の塗装が剥がれるのが怖いから、ようやらんけど・・・。)

筆者としては、エクスカリバーを不可視の剣たらしめる風の鞘、《風王結界(インビジブル・エア)》を使用している(要するに透明状態の)エクスカリバーも付属して欲しかった所である。リボルテックには付属していたのに・・・。

安定させるのが難しいポーズで飾る時の必需品である、スタンドも付属する。これのおかげで走ってる途中のポーズなど、表現の幅がさらに広がるのである。

スタンド
台座部分に「figma」のロゴが入った、特製スタンド。

また、使用しない部品を収納するための収納袋も付属する。箱の状態で置いていられない人のための、嬉しい配慮である。

収納袋
筆者は箱をそのまま使う人なので、収納袋は手首を収納するためにのみ使用している。
品名を書くための欄があるので、他商品と混同する事も無い。

本体の出来は高水準で、かつ付属品も充実。さらに収納袋まで付いており、figmaセイバーは、まさに 『至れり尽くせり』という言葉が似合う、買って損なしと言える可動フィギュアである。
発売以来どこも品薄状態が続いているようなので、少しでも欲しいと思う気持ちがあるのなら、見つけ次第、レジに直行しよう!

シロウ、おかわり!!
・・・考えてみたら、figmaセイバーの一番のウリは、よく動くって事にあるというのに、パーツの紹介ばかりであまりカッコイイポーズとか取らせてなかったな・・・。

ってなワケで、ここからはオマケとして、figmaセイバーにいろんなポーズを取らせて遊んでみることにするぞ!!

其の壱:劇中のポーズをつけてみた。

カリバーンを地面に突き立ててるセイバー
まずはお約束の、このポーズ。で、ここから、

カリバーンを地面から引き抜く
カリバーンを両手で構え、空を仰ぎ見る。アニメ版FateのOPより。

空中から奇襲を駆けるセイバー
空中に飛び上がり、最後の敵、黄金のサーヴァントに対して剣を振り下ろす。
アニメ版Fate第二期OPより。

其の弐:付属の手首を使っていろんなポーズを取らせてみる。

抜刀ポーズ
まずはお約束とも言える、抜刀のポーズ。
ロールオーバーで画像が変わります

名乗りを上げるセイバー
指差しの手首を使って、「貴方には負けない!!」

敵に切りかかるセイバーの図
「これで終わりです!」

倒れた敵に手を差し伸べる
「戦いは終わりました。さあ、手を・・・。」

・・・騎士道精神溢れる彼女なら、正々堂々戦った相手には礼を尽くすと思うんです。っていう、妄想ですな。

其の参:他作品の印象的なポーズを頂いてみる。

電王の名乗りを上げるポーズ
『仮面ライダー電王』より、電王ソードフォーム
「いいか。俺は最初から最後まで、クライマックスだぜ!!」

牙突のポーズ
『るろうに剣心』より、斉藤一(はじめ)
「悪・即・斬―それが俺たち新撰組と、お前たち維新志士が共有した、唯一つの正義のはずだ・・・。」

卍解!
『BREACH―ブリーチ―』より、黒崎一護
「卍解!!」

・・・とまぁ、こんな感じだろうか?

この通り、いろんなポーズを付けて遊ぶ事が出来るので、figmaセイバーを手に入れたら、皆さんもガシガシ動かしていろんなポーズを決めてやろう!!(関節が壊れない程度に。)

エリシオン、もとい、figmaへの死闘
セイバーのアクションフィギュアは、ほとんどの場合がヒット商品になる。まあ、そんじょそこらの萌えヒロインとは違って、アクションシーンによる燃えもあるので、当然といえば当然の話である。

1年前に発売されたリボセイバーは、フィギュアとしては異例の10万個販売を成し遂げた。リボルテックは海洋堂が安定した供給を行うと公約をしているシリーズだけあって、少し待てば手に入ったし、売り切れということもほとんどなかったという。

今回のfigmaセイバーもその類で大丈夫だろうと思っていたが、発売日前日に販売を開始するヨドバシ梅田では即完売という報告メールがBP君から届いた。しかし、発売日に行って買えなかったという、悲しい目を見たことの無い筆者は、特に気にする事も無かったのだった。

発売日当日、意気揚々と地元のミドリ電化に足を運んだら、ものの見事に売り切れていた。ミドリ電化の隣にある競合店、ジョーシンにも足を運んでみたが、ジョーシンには最初から入荷すらしていなかった。なんでやねん!!

仕方が無く午前中は撤退。午後からは、自宅から少し離れたところにある大型ホビーショップ、Tam-Tam(タムタム)に行ってみることにした。ここは、聖闘士聖衣神話を買いにBP君がよく世話になっている店の一つで、かなりの数の入荷が見込める店である。

息を切らしながら自転車を全力でこぎ、辿り着いた筆者の背後から、二人連れのオタクの不穏な会話が聞こえてきた!その会話にそれとなく耳をそばだてていると、連中も筆者と同じく、figmaセイバーを目的に来たらしいということがわかった。

耳をそばだてるHUYU(代役:仮面ライダー電王ソードフォーム)
オタクその1「だからさあ、figmaセイバーの出来が良いんだよ」

オタクその2「どこ行っても売り切れてたからなあ」

店内に入り、新商品の置かれる棚を見た筆者は驚いた!何と、figmaセイバーが置いてあったのである!だがしかし、残りはたったの2個!先ほどの盗み聞きしていた会話から、後ろにいたオタク二人も購入しに来たのは明白である。奴らに先を越されれば、筆者の買う分がなくなってしまう!様子を伺うと連中は、まだセイバーが置いてある事に気付いていないようである。

そこで筆者は心を鬼にして、その残り二個のセイバーを手に取り、塗装の乱れの少ない方を一瞬でサーチ!連中に気付かれないうちに選んだ方を持ってレジへと直行、清算を済ませた。

セイバーを小脇に抱える筆者の図
俺「エッホエッホ」

清算を済まし店から出ようとした筆者の背後では例のオタク二人が、どちらが残り1個のfigmaセイバーを買うかで醜い言い争いを繰り広げていた。

口論するオタクども
オタクその1「俺が買うねんて!」

オタクその2「いや俺やし!!」

俺「エッホエッホ!」

最近amazon.comを使用しだしたBP君の報告によると、発売日当日のfigmaセイバーの値段は何と6800円に値上がりしていたとの事だ。また、各地の掲示板を見ると、秋葉原ではあくどい店が店頭で4000円で売り出していたりと大混乱。そういう意味では筆者は運の良かった方と言えるだろう。

ついでに言わせて貰えば、セイバーはどこも一瞬で売り切れたくせに、同時発売の涼宮ハルヒは、どこも大量に売れ残っていた。ヤレヤレ、これが燃えと萌えを兼ね備えた完璧なヒロインと、変な事ばかり口走る、傍から見たらただの性格破綻者の差か・・・。

figmaセイバーは、5月中旬に再入荷するとの事なので、手に入らなかった人は気長に待って欲しい。なお、今後の展開としては涼宮ハルヒの憂鬱と、リリカルなのはStrikersから製品がリリースされるらしい。なのはシリーズはセイバーと同じくらい売れそうなので、欲しい人は今から予約しよう!

なお、Fate/stay night関連では、ワンフェス2008冬で、セイバーと共に遠坂凛のサンプルが展示されており、発売が確実視されている。どうやら、マックスファクトリーは海洋堂に対して、対抗心を燃やしているどころか、ケンカ売る気満々らしい。筆者としてはヒロインよりも、アーチャーランサー兄貴など、サーヴァントの方を充実させて欲しいぞ!

私はこの一閃で進むべき道を斬り開く!行くぞ、エクスカリバァァァァァーーーーッ!!(戻る)