RG ジャスティスガンダム

バンダイ RGシリーズ

定価:2625円(税込)


RG ジャスティスガンダム
フリーダムに引き続き、RGにジャスティスガンダムが登場!

次に会うときは、俺がお前を撃つ!
2001年に放送された『機動戦士ガンダムSEED』は21世紀のファーストガンダムというコンセプトを掲げ、制作された作品である。これまでのコラムで散々扱ってきたように、賛否の分かれたこの作品であったが放送から10年以上経過してガンダム作品の代表作品の一つとして認識されるようになった。

21世紀のファーストガンダムと呼ばれるように『機動戦士ガンダム』からのオマージュが多いこの作品であるが、ファーストガンダムと大きく違うのがダブルヒーロー制を採用している点である。つまり、主人公のキラ=ヤマトのほかに、もう一人の主人公としてキラの親友であるアスラン=ザラというキャラクターを設定し二人の視点で話が進んでいくわけである。

キラとアスランは、月都市コペルニクスに住んでいたころから親友同士である。キラがヘリオポリスに移ることになった際にアスランが手作りの小鳥ロボをキラにあげるシーンは彼らの関係を如実に表すシーンとして何度も挿入された。このシーンは、幼少のころの二人が見つめ合うので、その筋のお姉さま方のハートをガッチリつかむには十分な威力であった。

親友同士とはいえ、アスランはザフト軍に所属しているため、連合側になし崩し的に加わることになったキラとは戦う運命にあった。シリーズ前半を通してキラはアスランと戦わなければならないことに苦悩し続けることになる。そしてついに、互いに親友を失ってしまった二人は死力を尽くした死闘を繰り広げ、アスランは乗機のイージスガンダムを自爆させながらもキラのストライクガンダムを倒した。

キラはその戦いで行方不明になるも、ラクスの家にかくまわれ、挙句ラクスの手引きでザフト軍の新型MS、フリーダムガンダムの強奪に成功する。フリーダムを強奪されたことに怒ったアスランの父、パトリック=ザラは、アスランにフリーダムの奪還を命じた。その際、アスランに与えた機体こそが、ザフト軍が連合のガンダムを解析して作ったもう一つの機体、ジャスティスガンダムである。

ジャスティスガンダムはフリーダムガンダムと同じく各エンジンを搭載したザフト軍の最新鋭MSである。砲撃戦に特化したフリーダムに対し、ジャスティスガンダムは格闘性能と機動性に特化した作りとなっている。最大の特徴はバックパックに背負っているファトゥム00である。このバックパックは分離することが可能で、単独で運用したりジャスティスガンダムを上に載せたりすることができる。ファトゥムとの連携により、ジャスティスガンダムはトリッキーな戦いをすることができるのである。

今回は、アスランの2番目の機体ジャスティスガンダムのキットを紹介しよう!

強度もわからぬナチュラルがHGなんか作るから!
アスランが最初に搭乗したイージスガンダムのキットは、HGにして手首以外が完全変形をこなす神の出来であった。今の目で見るとプロポーションや人型としての可動範囲はきついものがあるが、変形ギミックがよく練られており当時はその変形ギミックを活かしたオリジナル形態に変形させる、いわゆる魔変形が流行ったものである。

しかし、イージスの後をついでリリースされたジャスティスガンダムのキットは厳しい出来であった。放送当時、HGでフリーダムガンダムが手に入らなかった筆者は代わりにジャスティスガンダムを購入したのだが、シールで再現されている白いラインは塗装が難しく、なかなかきれいに完成させることは出来なかった。

フリーダムガンダムと違い、ジャスティスはデザイン上の不備でファトゥム00を倒す際に角が干渉してしまい、一度首を取り外さなければ変形できない。これはスケールが上がっている1/100のキットでも同じで、後継機のインフィニットジャスティスガンダムの1/100のキットでも同じ欠点を持っていた。

いちいち頭を取り外すのでは具合が悪いということで、1/100よりも後に発売されたMGではファトゥム01がスライドすることで角との干渉を防ぎ、さらにスライド機構で巨大化するので迫力も増すという一石二鳥の解決策が取られた。

また、最大の問題は強度である。HGのキットは背中からのびたジョイントでファトゥム00を接続しているのだが、その接続軸が非常にもろい。細い軸でバックパックの可動を支えているので、強度がもろくなるのは自明の理であった。

このプラモ作成は・・・俺個人の意思だ!
RG ジャステイスガンダムは、これまでのキットの欠点とMGで得られたノウハウを総括し、1/144のサイズにして広い範囲の可動と差し替えなしのファトゥムの展開を実現している。

まず、RGの特徴であるアドヴァンスドMSジョイントはフリーダムガンダムと同じものを使用している。フリーダムガンダムとジャステイスガンダムは同じ機体系譜をたどっているということで、このジョイント流用は同じフレームを使っていると捉えれば妥当と言えるだろう。

アドヴァンスドMSジョイント

このアドヴァンスドMSジョイントに装甲パーツを貼りつけていけば、ジャステイスガンダムが完成する。

ジャスティスガンダム(素体) 前 ジャステイスガンダム(素体) 後
胸の形状などがフリーダムガンダムの面影を感じさせるジャスティスガンダム

フリーダムガンダム同様に、メインカメラ部分が無色透明なクリアパーツであることが残念だが、塗装をすることなく装甲の濃淡までも再現しており、墨入れを施せばパッケージと同様の完成度を誇るレベルに仕上がる。可動範囲はフリーダムと共通のフレームを使っているため、幅広い可動範囲を誇る。

フリーダムガンダムと構造は同じため、本体のギミックはフリーダムとさほど変わらない。コクピットハッチの開放もフリーダムと同じ方式である。

コクピットの開閉
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ジャステイスガンダムの大きな特徴でありながら、旧キットでは難点が多かったファトゥム00には様々なギミックが付与されている。まず、単体のサポートメカとしての役割を果たす部分ということでバックパック単独でスタンドに接続することができる。

ファトゥム00
ファトゥム00は単体の飛行メカとしてディスプレイできる

このファトゥムには、様々な種類のバルカン砲とビーム砲が搭載されている。まず、正面に二問取り付けられているフォルティス・ビーム砲は、先端の銃口は赤いパーツで色分けされている。

フォルティス・ビーム砲

この部分は上下に可動させることができる。また、ケルフス・旋回砲塔機関砲は細かい機銃であるにもかかわらず砲塔を回転させたり機銃部分を上下に動かすことができる。

ケルフス・旋回砲塔機関砲
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このほか、フォルティスビーム砲の左右に備え付けられたフォルクリス・機関砲もしっかり再現されている。こちらは非常に細かいバルカン砲で従来のキットなら塗装が難しい箇所だったが、フレーム部分に装甲を被せる形で組み立てる方式をとり、塗装する必要がなくなっている。

このほかにRGオリジナルの解釈として、ジャスティスガンダムを載せるためのタラップ部分が追加されている。このタラップは、普段は閉じておきジャスティスを載せる時に展開させる。


ロールオーバーで画像が変わります

ただ、このタラップの可動する板が外れやすいのが難点である。この部分は軸部分を瞬間接着剤などで太らせておくとよいだろう。

ジャスティスガンダムを載せる時は、ジャスティスの足の裏の穴にタラップ部分の四角い部分をはめ込むことで固定する。足をスライドさせて取り付けるため、簡単に外れることはない。また、MG インフィニットジャスティス時に採用されたファトゥムのスライドギミックがこのRGジャスティスにも採用されている。本体をスライドさせることでファトゥムが巨大化し、ジャスティスガンダムを上に載せやすくなっている。

ジャスティスガンダムを載せたところ

足のロックシステムにより、ファトゥムに載った状態のままでもスタンドに取り付けることができる。スタンドをうまく活用すればオープニングのフリーダムとの一斉射撃も再現できたりするぞ。

OPの再現

このファトゥム00を本体に取り付けることでジャスティスガンダムが完成する。

ファトゥム00の接続
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RG ジャスティスガンダム 前 RG ジャスティスガンダム 後

過去のキットでは、ファトゥムとの接続箇所は細い軸1本で固定し、非常に強度が心配だったが、RGでは細いコの字型の接続部と本体を取り付ける方式に変更している。。このコの字型の接続パーツをジャスティス本体側のジョイントにかませることで本体に取り付けるようになっている。接続部もABSでできているため、強度的な問題が解消されている。

バックパックが丸ごと戦闘機になっているため、フリーダム以上に重心が後よりになっており少々立たせにくいが、ウイングパーツをうまく地面に付けると立たせやすくなる。

1/100とHGでは再現されていなかったパッセル・ビームブーメランもRGではしっかりと再現されている。この武器は両肩に装備されており、手に持って投げつける武器である。ビーム部はクリアピンクで再現されており、ブーメランを手に持たせることも可能である。

パッセル・ビームブーメラン
手に持たせるための展開ギミックも再現されている
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また、フリーダムと同じく両腰に装備されているラケルタビームサーベルは連結させることができる。アスランはもっぱら連結状態で使用していたため、サーベルを持たせる時は連結させて取り付けたいものである。

ラケルタビームサーベル
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RGでも嘘だらけのジャスティス!
ファトゥムを取り付けた状態で水平の状態にすると、ジャスティスガンダムのハイマットモードが完成する。ファトゥムのバーニアノズルが後に集中するため、機動力が大幅にアップする上に、フォルティス・ビーム砲などの射撃武器の使用も可能となる。格闘戦主体のジャスティスであるが、これらの武器を一斉射撃することで、射撃戦もこなすことができる。

この形態にする時は、旧来のキットでは頭部を取り外さなければならなかったが、先ほど述べたスライドギミックを使用し一度ファトゥム00を広げておくと差し換え抜きで変形させることができる。

スライドギミック
そのままではフォルティスビーム砲が角に干渉してしまうところを、スライドギミックのおかげでそのままファトゥム00を倒すことが可能になった
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さらに、接続部には補助パーツを噛ませて自重でファトゥムが垂れさがらないように補助する。

根元の補助パーツ
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ハイマットモード 前 ハイマットモード 後
フリーダムと同じく、ウイングを広げることで高速機動形態に変形する

このハイマットモードにした時は、重心が完全に後に傾いてしまうのでスタンドパーツと併用してディスプレイするようにしよう。地面に立たせる時のために、支えとなる棒状のスタンドも付属しているが、どこか間抜けな感じになってしまう。

ハイマットモード時の支え
支えがないと自立できないハイマットモード

現実にMSが存在したらというコンセプトで作られているRGであるが、このジャスティスのハイマットモードは見栄え重視の二次元だから出来る形態であるということがよくわかる形態である。やはり、RGになってもウソだらけのジャスティスである・・・。

暁の宇宙へ
一度は親友と剣を交えることになったアスランであったが、物語後半ではオーブ解放作戦を通じてキラと共闘するようになっていく。今回はその模様を再現していこう!

ジャスティスガンダムを受領したアスランは、フリーダム強奪を手引きしたラクスと再会する。再会したラクスからキラが生きていることを告げられ、「何のために戦っているのか」と尋ねられたアスランは自分の正義ではなくあくまでもザフトという「組織」の正義のために戦っていることに気づき、動揺する。

何を信じて戦えば良いのか迷いながら、ジャスティスに乗り込んだアスランは連合軍とオーブ解放戦に遭遇した。そこでターゲットであったフリーダムが連合軍の新型MS、フォビドゥンレイダーカラミティと交戦状態にあることを知った。3機の連携攻撃の前に窮地に陥ったフリーダムを、援護するためアスランは戦闘に介入、直撃コースだったレイダーガンダムの高出力ビームからフリーダムを守った。

フリーダムの窮地を救うジャスティス
アスラン「こちらザフト軍特務隊、アスラン=ザラだ。聞こえるか、フリーダム?キラ=ヤマトだな?」

キラ「アスラン・・・?」

アスランはキラに戦闘に介入したのは個人の意志であると告げる。合流したジャスティスはフリーダムと連携し連合軍の3機のガンダムを追い詰める。ジャスティスガンダムの介入により、状況が良くないと踏んだアズラエルは一時軍を撤退させる。

連合軍の猛攻が一時止んだことにより、オーブ軍も一時休息を取っていた。アスランとキラは複雑な心境で顔を合わせるが、二人の事情を知るカガリは彼らに飛びついた。そんな彼女の行動を見たキラとアスランは笑みを浮かべたのだった。互いの親友を殺してしまった二人であったが、「互いに殺してしまった親友の素性を知らず、殺したくて殺したのではない」という謎理論で互いに和解を果たした。

一晩明け、態勢を立て直したアズラエルはオーブへの攻撃を再開した。オーブは会談の申し出を行っていたが、その通告を無視した攻撃にオーブ首長国連合ウズミ=ナラ=アスハは憤りを感じる。

オーブ軍にアークエンジェル一行は再び加勢するも、連合軍の物量の前に徐々に押されていく。戦況が不利と見たウズミはオーブ本島とモルゲンレーテ社を放棄するという苦渋の決断を下したのだった。また、ウズミはオーブ本島に設置してあるマスドライバーを利用し、アークエンジェルに宇宙に上がるようマリューに進言、さらに新型戦艦クサナギでカガリや一部戦力を送り出すことに決定する。

宇宙に上がる準備が進む中、三度連合軍が襲いかかってきた。キラとアスランは宇宙に上がるアークエンジェルを空中から援護するため、出撃する。

ウズミの下した決断に涙を流してカガリは反発する。そんな彼女を「想いを継ぐものなく場すべて終わりぞ」とウズミは一喝し、彼女をクサナギにひっぱりこんだ。別れの際に、ウズミはカガリに1枚の写真を渡す。そこには赤ん坊のカガリとキラの姿が写っていた。カガリの父であったことを幸せに思うとウズミはカガリに告げると、扉が閉まりクサナギは最終発進段階に移った。

クサナギが打ち出されようとしているのを確認したフリーダムとジャスティスは連合軍のMSを牽制しながらクサナギに飛びつこうとする。高速で移動するクサナギにフリーダムが何とか取りついた。クサナギの看板につかまりながらフリーダムは腕を伸ばしジャスティスを掴もうとした。

クサナギに取り付くのを助けるフリーダム
ロールオーバーで画像が変わります

クサナギのスピードに何とか追いついたジャスティスはフリーダムのマニピュレーターを掴み、ついにクサナギに取り付くことに成功する。

クサナギに取りついた2機

尚も追いすがるカラミティら3機を追い払うため、ジャスティスとフリーダムは全武装を開き海面を撃った。

一斉攻撃するジャスティスとフリーダム

海面の波しぶきが目くらましになり、カラミティら3機は動きを止めた。かくして、クサナギは無事にマスドライバーから射出されたのだった。

クサナギが無事に撃ちだされたのを確認したウズミは、手元の自爆スイッチを押し、オーブ本部とモルゲンレーテ社、そしてマスドライバーを爆破した。

ウズミ「種は飛んだ・・・。これで良い。オーブも世界も奴らの良いようにはさせん!」

紅蓮の炎の中、ウズミは空を見上げ最期までカガリの身を案じていた。カガリはクサナギの艦内で父の名を叫び続けたのだった。

「想いだけでも・・・力だけでも・・・!」(RG フリーダムガンダムのコラムへ)

もうアイツは敵なんだ!なら討つしかないじゃ無いか!(もどる)