HGUC デルタプラス

バンダイ HGUCシリーズ

定価:2310円(税込)


HGUC デルタプラス
百式の発展機、可変機構を備えたデルタプラスがHGUCに登場!

男と見込まれたヘタレ
初代ガンダム〜逆襲のシャアまでで使用された設定をうまく組み合わせて作られている『機動戦士 ガンダムUC』では、『逆襲のシャア』でアムロ=レイが所属していたロンド・ベル隊が引き続き登場する。ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでも自軍ユニットとしてゲームの中心になりやすい部隊であるし、物語的にも作劇がしやすいと踏まれたのだろう。

そのロンド・ベル隊に所属している『ガンダムUC』のもう一人の主人公がリディ=マーセナスである。リディは航空機乗りに憧れ、連邦軍の有力議員の家系であるマーセナス家を飛び出しネェル・アーガマのリゼルに搭乗していた。OVAでは戦禍に巻き込まれたミネバとタクヤ達を保護した。物語初期では、バナージの兄貴分的な立ち位置でOVAでは自身がうっかり落とした航空機が中に入ったお守りを拾われ、それ以降何かとバナージとかかわっていくことになる。

物語初期では経験不足で未熟なところがあるが、パイロットとしての資質は高い事が描写されており、バナージの兄貴分として共闘したりすることもあった。バナージも彼のことを認めており、パラオ攻略戦では彼にミネバを託している。

ミネバを守ると断言するリディ
リディ「ミネバ・・・いやオードリーは責任を持って送り届ける!
このデルタプラスなら、オプションなしでの大気圏突入も可能だ!」

ミネバを託すバナージ
バナージ「リディ少尉、男と見込んだ!オードリーを頼みます」

このように、なかなか格好いいポジションが与えられている彼だったが、話が進むにつれてそのヘタれな性格がが描かれていく。そもそもリディがミネバを連れ出したのは彼が年下のミネバに惹かれている節があってのことで、そのことを父親に看破されてしまう。しかも、パイロットになると言って家を飛び出したにもかかわらず、その飛び出した親元を頼っているのがなんとも情けない。

また、父からラプラスの箱についての真実を聞かされてから大きな不安に駆られ、その状態でミネバに抱きつき求婚までしてしまう。さらにはその求婚もガルダでの戦闘でミネバがバナージの下に奔ったことにより無残に打ち砕かれてしまうのだった。

このようにもう一人の主人公とされながら、自分の家の真実を知ってしまっリディは可能性を信じずバナージと対照的な大人として描かれている。どこか情けなさをはらんでいる彼が2番目に登場するMS、デルタプラスはその出自とデザインから非常に人気の高い機体となっている。今回はこのデルタプラスを紹介しよう!

お前もガンダムか!?(刹那=F=セイエイ風に)
ロンド・ベル所属のネェル・アーガマに配備されている機体は、おもにグリプス戦役に活躍したMSにゆかりのあるものである。まず、リディが最初に乗っていたリゼルはグリプス戦役時代にヒロイン、ファ=ユイリィが乗っていたメタスの発展型である。この機体はΖガンダムよりも変形機構が単純なメタスの変形機構を採用することで量産機にして変形機構を盛り込むことに成功した機体である。

また、今回紹介するデルタプラスはグリプス戦役時代、クワトロ=バジーナと名乗っていたシャアが乗っていた黄金の機体、百式の発展機である。元々百式は、デルタガンダムという変形機構を盛り込んだMSとして開発されていた。しかし、開発途中で発生した問題から変形機構が取り外されてしまう。とはいえ、当時としては性能が高く、グリプス戦役〜第1次ネオ・ジオン抗争までを戦い抜いた名機となった。

その変形機構を盛りこんで後に開発しなおされたのがこのデルタプラスなのである。この名前の由来は、『ガンダムセンチネル』に登場した量産型Ζガンダム、Ζプラスであり、元々はΖプラスを登場させる予定だったのが、版権問題の都合から登場を断念せざるを得なくなり代わりにデザインされた機体である。グリプス戦役時に活躍していた百式が本来のコンセプトに立ち戻り、新しいMSとして登場しているのがガンダムUCの面白いところと言えるだろう。

このデルタプラスは、OVA第2話でチラ見せ程度で登場し、本格的な活躍はパラオ攻略戦を描いた第3話からになる。この時は持ち前の可変機構を使用した高速戦闘で袖付きの旧式MS達を圧倒して戦った。

変形するデルタプラス
Ζガンダムよろしくビームライフルを背中に装着して変形する
劇中では変形機構を活かした高速戦闘が得意な機体として描かれている
ロールオーバーで画像が変わります

この機体が初めて立体化されたのはOVA2話が公開される直前の2010年9月のことで、第2話に登場するMSということでHGUCでキット化された。

HGUC デルタプラス 前 HGUC デルタプラス 後
百式のように金ぴかではないがその特徴はしっかりと継承されている。

百式とΖプラスの意匠が色濃く残された複雑なフォルムを見事に再現している。カトキハジメがデザインしたMSだけあり、足が長くスマートなプロポーションをしている。頭部のバイザー状のカメラ部分はシールを貼った後でクリアパーツをはめ込む仕組みになっている。カメラのシールは赤・青・銀色の3種類が用意されているので好みに合わせて使用するようにしよう。

上半身のアップ
バイザー状の頭部が百式の面影を色濃く残している

本体の色分けに関してはほぼ完璧で、脚部のスラスター部分と腰裏アーマーのブースター部に白いシールを貼れば設定どおりの色分けになる。後は、ビームライフルのエネルギーチューブとシールド側面の装甲を白で塗る必要があるくらいである。

HGUCなので内部のフレームまでは再現されていないが、腕やすね部のフレームが露出している部分もしっかり色分けされている。また、シールドに備え付けられたビームサーベルの柄も1本1本別の成型色で再現されているのがよいポイントである。

すねのフレーム部 シールドの色分け

ただ、OVAでアクションをする前にキット化されてしまったのが災いしてか、劇中の再現をするにはどうしても部品が足りていない。というのも、武器を保持するための持ち手パーツが右手にしか存在しないのである。というわけで、ビームサーベルやビームライフルは右手にしか持たせられないので、OVA3話のようにWRから変形しながら左手でサーベルを持って切りつけるシーンが再現できないのが残念である。また、シールドに備え付けられているビームサーベルも収納ギミックが再現されていない上に、ビームサーベルは1本しか付属していない。

ビームサーベル
刃が二本付属しているのに、柄は1本しか付属しない

この点を不満に思う人は、OVA第3話の登場に合わせて発売されたMGを買うようにしよう。

デルタプラスの特徴的な変形機構はHGUC Ζガンダムと同様に専用パーツを使っての差し替え変形である。

変形用パーツ
不完全変形とやゆされたHGUC Ζガンダムと同じ方式の差し替え変形

Ζガンダムと違い、肩パーツは変形後のパーツを交換する必要があるし、脚部パーツを変形させる時も一部のパーツを入れ替える必要がある。これはすねから脚部にかけてのラインが直線になるようにするための措置である。

変形後の脚部

変形用のパーツに各パーツを貼り合わせていくと、デルタプラスのウェーブライダー形態が完成する。

ウェーブライダー形態 前 ウェーブライダー形態 後

ウェーブライダー形態 真横
差し替え変形を行っているので、設定通りの薄いWRになる

余ったパーツ
ただし、上半身が余るのはΖガンダム以降のお約束ですね

差し替え変形にしているため、バリエーションキットも展開しやすく百式と同じく金メッキが施されたデルタガンダムがキット化され、さらにはその発展機であるガンダムデルタカイもバリエーションキットとして発売されている。大本の百式とこれらのバリエーションキットも合わせて買うと連綿と受け継がれる百式の血筋がよくわかるので、百式が好きな人は購入してみよう。

デルタプラス「ちょっ・・・俺ガンダムじゃないし!」
デルタプラスはそのスマートなプロポーションとスマートなWR形態から人気のある機体である。しかし、劇中の扱いは後半になると惨憺たるものだった。まず、小説版では復習に駆られたリディがバンシィに乗り換えたことにより、いつの間にか劇中から登場することがなくなってしまった。

この消滅に対してOVA版ではデルタプラスにとっては最悪の解答を用意した。OVA5話でデルタプラスは、マリーダの乗るバンシィによって完膚なきまでに叩きのめされてしまうのである。そのやられ方もひどいもので、ミネバに振られたリディが怒りにまかせてユニコーンを狙撃しようとしていたところをマリーダに気付かれ、バンシィに締めあげられた上でボコボコに殴られた挙句にアームド・アーマーVN切り刻まれてしまうというなんとも情けないものだった。

影からこっそりガンダムを狙うリディ
リディ「このガンダムどもめが・・・!」

締めあげられるデルタプラス
マリーダ「お前もガンダムかぁ!?」

殴られるデルタプラス

切り刻まれるデルタプラス
このように劇中では完膚なきまでに叩きのめされます

バンシィが迫ってくるときのリディの驚きの表情は「ちょっ・・・俺関係ないし」と言いたげな何とも言えないもので、デルタプラスのやられっぷりが哀愁を感じさせるものであった。人気のある機体のはずが、その最後の姿は散々で、原作小説のようにいつの間にか消えてしまう方がましと言えるくらいなのであった。

乗っているMSをボコボコにされ、さらにはミネバに振られてしまった彼はガンダムに対する復讐に取りつかれてしまい、バンシィ・ノルンに乗り込んでバナージに挑む!彼とバナージの関係はどうなってしまうのか、今後も目が離せない。

このガンダムどもめが・・・!(ROBOT魂 バンシィのコラムへ)

殺し文句だな・・・。(もどる)