HGBF ビルドストライクガンダムフルパッケージ

バンダイ HGBFシリーズ

定価:1470円(税込)

HGBF ビルドストライクガンダムフルパッケージ
新世代のガンプラ伝説!
君もガンプラバトルに参戦せよ!!

GUMDAM BUILD FIGHTERS
プラモデル製作をしていると、自分なりにカスタマイズしたオリジナルの機体を作りたいという人が数多くいる。そう言った人たちは、ただ単にプラモデルをくみ上げるのではなく、ほかのキットから武器やパーツを取り付けたり、オリジナルカラーに塗装したり、さらにはプロポーションの改修をしたりする。自分が作ったオリジナルのキットというのは手間暇がかかる分、完成した時の思い入れもひとしおである。

プラモデルを作成している人たちなら自分が作ったキットを実際に動かし、戦わせてみたいという空想にふけたことがだれしもあるだろう。そんなモデラーの空想を実現させるアニメが2013年10月から放送された。それが『ガンダムビルドファイターズ』である。

この番組は、機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル、通称ガンプラを動かし実際に戦わせていくというこれまでありそうでなかった種類のガンダム作品である。ガンダムシリーズというと、SDガンダムを除いてリアル路線を貫き人類同士の戦争を描き続けてきた。しかし、この作品はそういった戦争などの重いテーマは扱わず、ガンプラ好きな少年や大人たちのガンプラにかける情熱を描いた作品である。

この手のガンプラをテーマにした作品は、今は亡きコミックボンボンの『プラモ狂四郎』にを始祖にしている。この作品は第一次ガンプラブームのときに連載された作品で、ファースト世代の大人たちが少年だったころの作品である。また、筆者の世代(20代後半)では『プラモウォーズ』や『ガンプラ甲子園』がガンプラの魅力を語っていた。さらに、2000年代に入るとガンダム30周年を記念して『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』というアニメ作品がインターネット配信の短編アニメとして展開された。

『プラモ狂四郎』や『プラモウォーズ』、『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』では自分が改造したガンプラをシュミレーターに置いて仮想空間で戦わせていた。また、『ガンプラ甲子園』では作ったガンプラを品評するという作品であった。これらの漫画作品は当時の少年たちをガンプラ製作へといざない、現在のガンプラ文化を作ったと言える。

一方、『ガンダムビルドファイターズ』ではこれらの作品と一線を画している点がある。それはシュミレーター上でガンプラを動かすのではなく実際に自分のガンプラが動き出して戦うという点にある。この作品ではプラフスキー粒子と呼ばれるプラスチックに反応しプラモデルを動かすことを可能にする物質が存在し、それを利用したガンプラバトルが盛んであるという設定になっている。

ガンプラが戦っているという設定から、劇中のスペックはリセットされており量産機がガンダムや作品内で重要な位置にいたMSをたやすく撃破したり、これまで映像化されてこなかった機体が映像で動くというガンプラを作ったりガンダムを知ったりしている人間なら感涙物の作品に仕上がっている。

・・・ということで、今回はガンダムビルドファイターズのフラッグシップモデル、ビルドストライクガンダムを徹底レビューする!

セイの夢
昨今のロボットアニメは、メカの作画にトゥーンシェーディングなどのCGを利用した作品が増えている傾向にある。ロボットは線が多く、作画するのが大変なため、昨今ではCGを利用して作画の省力化を図ることがトレンドになっているのである。これはガンダム作品でも当てはまるのだが、この作品ではその傾向にあえて逆らい、ロボアニメを数多く手掛けてきた作画監督陣を利用した手描きアニメである。しかも、高水準の作画で、グリグリとMSが動く姿は必見である。というわけで、1話の冒頭をさっそくガンプラで再現してみた。

1話の冒頭は、激戦の中アルビオンからビルドストライクが出撃するシーンから始まる。パイロットのイオリ=セイは意気揚々と自分のビルドストライクをカタパルトから発進させる。

ビルドストライク、発進!
セイ「イオリ=セイ、ビルドストライク、行きます!!

戦場を駆けるビルドストライク
セイ「ザクが来る・・・!」
ロールオーバーで画像が変わります

ポーズを決めるビルドストライク
セイ「それでも、僕の作ったガンダムなら・・・!!

以上の動きを初っ端から作画で見せられた我々は一瞬にして度肝を抜かれた。OVA用にデザインされたため、線が多くて作画しにくいアルビオンの手描き作画を21世紀になって拝めたことや、ビルドストライクが意気揚々と動いている様は、往年のガンダムファンである視聴者の心をまさにガッチリつかむのに十分な威力だった。

しかも、次のシーンが実に秀逸である。意気揚々と発進したガンダムだったが、父親であるイオリ=タケシから警告の通信が入ると、ビルドストライクの腕がすっぽりと抜けてしまったのである。

腕が抜けるビルドストライク
イオリ=タケシ「セイ、それではだめだ!」

セイ「その声・・・父さん・・・!どうして父さんが・・・?」

イオリ=タケシお前の作ったそのガンプラは・・・腕がちゃんとはまっていないんだ!!

腕が外れてしまったビルドストライクは、迫りくるザクに撃たれてしまう。あわや撃墜という間際でセイは眼を覚ました。そう、これはセイの夢だったのである。

「腕がちゃんとはまっていない」というプラモデルチックな理由でビルドストライクの武器を持っていた腕が外れるという演出から、この作品がガンプラをテーマにした作品であるということがすぐにわかるという秀逸な演出である。こうして、ガンダムビルドファイターズの物語はその幕を上げたのだった。

パーツ組み換え!種ガンダム
この作品の主人公機であるガンダムは、ビルドストライクガンダムである。これは『機動戦士 ガンダムSEED』の主人公機であるストライクガンダムをベースに作られたガンプラである。ガンダムSEEDの放送から10年以上経過した現在、賛否はあるもののすっかり21世紀のファーストガンダムという座を手に入れたストライクガンダムは、様々な形で流用され続けてきたが、またしても主役の座を手に入れたのだった。

ビルドストライクのキットは、番組放送が始まると同時にHGでリリースされた。SEED放送時とは違いストライク本体の単品の発売はなく、バックパックとセットのビルドストライクガンダムフルパッケージとして発売された。

ビルドストライクガンダム 前 ビルドストライクガンダム 後
再び主人公の座を手に入れたストライクガンダム
ストライクガンダムの意匠は残しつつ、新たなMSとしてリデザインされている

ストライクガンダムの特徴であるストライカーパックはバックパックを換装することで様々な戦局に対応できるという特徴があったが、その拡張性はプラモデルと相性がよく、リデザインには打ってつけだったのだろう。ビルドストライクは原形機のデザイナーである大河原邦夫氏によってリデザインされ新たな姿を手に入れたのだった。

この手の作品のMSを商品化する場合は、プラモデルを流用し、一部パーツを追加する流用キットが多いのだが、このビルドストライクのキットは完全新規作り起こしである。キットの新しい点として、HGAC ウイングガンダムから導入されたポリキャップと共通関節を使用し、元のHGストライクガンダム以上に幅広い可動範囲を得ている。腕は90度以上曲げることができる、肩や腹もボールジョイント接続になっているので反らせたり引き出したりすることが可能になった。そのおかげで、冒頭再現の様な劇中さながらの種ポーズもやすやすと取らせることが可能になっている。

また、色分けの面でも進化が見られ、旧キットでは塗装しなければならなかった胸や襟の灰色の部分がパーツ分けされている。

胸の色分け
RGやMGと同じく、HGでも完全に色分けされるようになった胸部

脚部の色分け
脚部は足首周りの装甲と膝前面を部分塗装する必要あり

本体のカラーリングはシールでほぼすべて賄うことが可能になっている優れものである。筆者はシールを使用する箇所はガンダムマーカーで塗装しており、肩の下部、足首装甲と腕の台形部をグレーで、先端部をイエローで、そして膝前面と腕部側面をブルーで塗装すれば本体に関してはパッケージ写真通りになる。

このビルドストライクをサポートするのがビルドブースターである。ビルドストライクはバックパックに変形したビルドブースターと合体することにより、飛行能力と高出力のビームキャノンを装備することができる。

ビルドブースター 前 ビルドブースター 後
HDリマスター版に登場したオオトリユニットを参考にして開発された支援機

このビルドブースターは、単体でも発売されておりビルドストライクのみならず様々な機体に装備させることも可能となっている。しかも、ジョイント部分を回転させればRGにも対応可能になっており、バックパックだけでも商品として成立するほど非常に汎用性の高い代物になっている。

バックパックへの変形
ロールオーバーで画像が変わります

HGBF ビルドストライクガンダムフルパッケージ 前 HGBF ビルドストライクガンダムフルパッケージ 後
ストライクガンダムにフリーダムガンダムの翼が追加された印象を受けるフルパッケージ

ビルドブースターの翼はフレキシブルに可動し、翼を収納させたりやエールストライカーよろしく水平に翼を配置させたりすることも可能になっている。また、ビームキャノンはボールジョイント接続で手に持たせて構えることも可能である。

ビームキャノンを構えたところ

ただ、低価格を実現させるためか色分けが非常に厳しい。翼パーツの白い箇所はシールで補わなければならないし、ビームキャノンはグレーで塗装しなければならない。特に、ガンダムマーカーしか使わない筆者にとって白の塗装は鬼門であるため、大人しくシールを使った。また、ビームキャノンのボールジョイントはポリキャップが使用されておらず、プラスチック同士の接続であるため摩耗に気を付けよう。

武装として、チョバムシールドと3種類のビームライフルが付属している。チョバムシールドは、プラ板を積み重ねて作られたシールドという設定で、キットでも赤・黄・白のパーツを重ね合わせて作る。例によって白の塗装を施さなければならないのが難点である。

チョバムシールド
表面の白色はシールを貼る必要あり
筆者は頑張って塗装しました

ビームライフルは通常のビームライフル、ビームガン、強化型ビームライフルの3種類が付属している。強化型のビームライフルは例によって白で塗装する必要がある。

強化型ビームライフル ビームガン
グレーの上に白を塗るのは大変なので強化型ビームライフルは塗装していません

共通関節のおかげでキット自体も非常に組み立てやすく、初心者が作る入門用のガンプラとして、打ってつけのできである。塗装しなければならない箇所も多いが、部分塗装で済むので塗装の練習と思おう。広範囲の白の塗装が大変だが、白の塗装さえできるようになればプラモの作成技術は相当なものになるので、頑張ってこのキットを使って練習したいものである。

尚、色分けを求める人はHGではなくMG版を購入しよう。こちらはリマスター版のストライクガンダムを元に作られたキットであるため可動範囲、色分けともに完璧である。HGでは物足りない人にはこちらをお勧めする。

セイとレイジ
『ガンダムビルドファイターズ』は、操縦技術がいまいちだがガンプラ製作に長けている中学1年生のイオリ=セイと、卓越した操縦技術を有しているもののガンダムのことをまったく知らない謎の少年レイジの二人が主人公のホビーアニメである。この二人が様々なライバルとガンプラを通じて出会い、友情を深めていくという少年向けホビーアニメの典型的なストーリーである。第1話ではこの二人の出会いが描かれている。その様子を見ていこう。

セイはガンプラの作成技術はあるものの、自身の作ったガンプラを乗りこなすことができず連戦連敗であった。今日も町内の悪ガキのサザキのギャンにウイングガンダムで挑むものの、セイの作ったウイングガンダムはあっけなくギャンに負けて壊されてしまった。

この世界のガンプラバトルは原典となるガンダムの作品の設定上の強さは無関係で、出来のいいガンプラが必ずしもガンプラバトルに勝つとは限らないという操縦技術のないものにとってはシビアな競技なのである。

落ち込んだ様子で街を歩いていたセイは、不思議な少年と出会う。レイジと名乗るその少年は、店の金を払わずに商品を持って行ってしまったためパン屋の店主に捕まりそうになっていたところをセイによって助けられる。そのお礼にレイジはセイに石を与え、必要とあらばいつでもセイの下にかけつけると告げるのだった。

その日の翌日、セイはついに世界選手権参加用のガンプラ、ビルドストライクガンダムを完成させた。さっそく母のリン子に完成したガンプラを見せるセイであったが、そこにサザキが現れた。常々大会で勝ち抜くためにセイを籠絡しようとしていたサザキは、セイのビルドストライクを駆けたガンプラバトルをセイに持ちかける。

常連客であるラルの仲介もあり、セイはしぶしぶバトルを受け入れたが、自身が作ったビルドストライクの機動性に追いつくことができず、またしてもサザキのギャンの前に窮地に立たされる。サザキはビルドストライクを無傷で手に入れるためにプラフスキー粒子が散布されていない場外にビルドストライクを押し出そうとした。

万事休すと思われたその瞬間、昨日謎の少年からもらった石が光り輝き、どこからともなく昨日助けた少年レイジが現れた。レイジは、セイと交わした約束を守るために現れたのだった。レイジはセイからビルドストライクの操縦を奪うと、サザキとバトルを開始した。

ほんの少しビルドストライクガンダムを動かしただけで操縦の仕方がわかったレイジは、ビルドストライクを見事に使いこなしサザキのギャンのビームサーベルを避けた。初めての操縦でこれだけの動きができることにラルは驚きを隠せず、レイジがニュータイプではないかとガンダム世界のお約束のリアクションをした。

焦ったサザキはハンデとして放棄していたビームライフルを拾い上げ、飛び道具を持たないビルドストライクをシールドミサイルで攻撃した。サザキの攻撃を前に、セイの指示でレイジもビームサーベルを抜きギャンに迫っていく。

ビームサーベルを抜くレイジ
レイジ「セイ、何か武器は!?」

セイ「3番目のスロット、ビームサーベル!」

レイジ「こいつか!」

ビームサーベルを抜いたビルドストライクは、ギャンのビームライフルを紙一重で交わしながら迫っていく。その動きを見たセイは、ビルドストライクの動きを自身の父のガンダムのそれと重ね合わせるのだった。

ギャンに迫るビルドストライク
セイ「あっ、あの動き・・・父さんの・・・。僕が求めていた理想の・・・!」
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迫りくるビルドストライクにサザキは恐怖を覚える。距離を詰めたレイジは、ギャンをビームサーベルで袈裟切りで両断するのだった。

ビームサーベル、一閃!
レイジこれで・・・終わりだ!!
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両断されたギャンは爆発!ビルドストライクの初陣はレイジの働きにより、勝利に終わったのだった。バトルが終了するとレイジは忽然と姿を消してしまう。セイは、彼の姿を探すために店の外へ繰り出した。彼の戦いぶりを見てセイは彼とタッグを組みたくなったのである。

街中を捜してもレイジの姿が見つからず気落ちしてセイは家に戻ってきた。・・・とそこにはのんきに夕食にあやかるレイジの姿があった。その様子を見たセイはその場にすっ転ぶ。なにはともあれ、セイとレイジはガンプラバトルに身を投じていくのだった・・・。

セイ、チャージは!?(HGBF スタービルドストライクのコラムへ)

君は、学園生活を生き延びることができるか!?(もどる)