ULTRA-ACT サンダーグリッドマン

バンダイ ULTRA-ACTシリーズ

定価:5775円

ULTRA-ACT サンダーグリッドマン
グリッドマンの新しい姿、サンダーグリッドマンがULTRA-ACTに登場

アシストウェポン、GO!
巨大な怪獣やヒーローが登場する特撮において定番となっているのが、人が操縦する戦車や飛行機の登場である。巨大な怪獣に人類の最新テクノロジーが結集したメカが戦いを挑むという構図は、ウルトラマンやゴジラなどのお約束と言え、怪獣を倒せないまでも人間が巨大な怪物に挑むための重要なガジェットである。

勇者シリーズやトランスフォーマーなどで数々の変形メカや合体メカを扱ってきたタカラがスポンサーとなって展開した『電光超人 グリッドマン』ではこの戦闘機や戦車が互いに合体して巨大なロボットになったり、果ては巨大ヒーローと装着合体してヒーローを新たな姿にパワーアップさせる手法が取り入れられた。今回は、その最初のパワーアップ形態であるサンダーグリッドマンを紹介しよう!

グリッドマンと出会った直人、一平、ゆかの3人は、自分たちが組み上げたお手製コンピューター、ジャンクを通じてカーンデジファーの繰り出す巨大怪獣と日夜人知れず戦っていた。次々に繰り出されるカーンデジファーの怪獣たちに対抗するため、アイデアマンである一平はグリッドマンを支援するメカ、アシストウェポンを開発した。最初は手持ち武器のバリアシールドとプラズマブレード程度の小物だったが、次第に大がかりなメカも開発するようになった。

そして、地底怪獣 テラガイヤーとの戦いで新たに登場したのが、サンダージェットツインドリラーである。サンダージェットは文字通り、戦闘機でミサイル攻撃を得意とする。またツインドリラーはドリル戦車で地底での活動が可能で、地底に潜んでいたテラガイヤー相手に活躍した。さらに、その次に登場した怪獣である鋼鉄怪獣 メタラスに対抗するために新たなアシストウェポンであるゴッドタンクが登場した。これはその名の通り、実弾攻撃を得意とする戦車で、ビーム攻撃をはじくメタラスの装甲を破壊し、グリッドマンを勝利に導いた。

このアシストウェポンが登場して以降、グリッドマンが窮地に陥ると一平とゆかはアシストウェポンを転送し、グリッドマンを支援することが定番となった。これらのアシストウェポンはゲーム機のコントローラーで操作され、ヒーローに変身しない一平とゆかにも戦いで活躍する場が与えられたのであった。

こだわり抜いた末にオーパーツを作ってしまいました
ゴッドタンクが登場した次の回では、サンダージェット、ツインドリラー、ゴッドタンクが合体し巨大ロボゴッドゼノンとなった。これは、タカラがスポンサーをしていたつながりで登場したジャンボセイバーのおもちゃを見た一平が思いついたアイデアである。この合体は、実際のおもちゃを使用したプロップとVTR映像で表現され、おもちゃの通りに変形・合体させることが可能である。

この3体のアシストウェポンは、タカラ社員の高谷元基氏が担当し、相当なこだわりを持って作った代物である。ゴッドゼノンへの合体ギミックは豪快で緻密なものであった。平たいゴッドタンクが折れ曲がり脚部になったり、ツインドリラーのドリルが太ももになって足に変形したゴッドタンクにそのままブッ刺さっさたりするにもかかわらず、プロポーションは破たんしておらず当時のおもちゃでは珍しかったハの字に足が開くことも可能だった。

さらに単体のロボットになる合体だけでもお腹いっぱいなところを、このゴッドゼノンはグリッドマンと合体することでグリッドマンを新たな姿、サンダーグリッドマンに変身させてしまうのだから驚きである。サンダーグリッドマンになる際は、ゴッドタンクが脚部装甲、ツインドリラーが肩と腕の装甲、サンダージェットが胸・背中・頭部装甲を形成する。

このサンダーグリッドマンも劇中同様にグリッドマンと合体する上に、プロポーションは破たんしていない。発売から20年経った今でもこれらの余剰・差し替えなしで合体をこなしかつプロポーションを維持しているおもちゃはそう存在しない。まさに現代のオーパーツと言っても過言ではない出来栄えだったのである。

バンダイが、グリッドマンシリーズを展開すると発表したときに、誰もがこのサンダーグリッドマンの完全変形版を望んでいた。バンダイもグリッドマンの魅力は装着合体によるパワーアップであると意識しており、グリッドマンが発売される前からサンダーグリッドマンの試作図面を公開していた。

これだけのことが20年前の商品で可能だったということは、現代の造形技術とCAD技術を駆使すればより小さなサイズで再現可能なはずな上にさらに造形と可動範囲もブラッシュアップされるはずである・・・。これはフィギュアやプラモデルを集めている人間からすれば持って当然の期待であろう。20年の歳月を経てサンダーグリッドマン発売の決定版が発売されるというファンの期待は否が応にも高まっていた。

しかし、バンダイ側も合体変形と商品化の両立に苦慮していたことが魂ウェブ日記でわかる。アシストウェポンをゴッドゼノンに変形・合体させ、さらにサンダーグリッドマンに装着・合体させるとなると、超合金魂並みのパーツ数になってしまい、商品化が困難になってしまうのだった。これが最近のバンダイが、変形をオミットした可動物ばかりを出す一つの原因であると言いたげな記事であった。

そして、グリッドマンがULTRA-ACTで実際に発売された2012年9月、模型誌と魂ウェブにてサンダーグリッドマンの商品化が正式に発表された。サンダーグリッドマンは、非可動素体に装甲パーツが装着された状態で発売し、先に発売されているグリッドマンにアーマーを装着できるという方式を取ることが発表された。残念ながら、アシストウェポンの変形とゴッドゼノンへの合体は不可能だったが、実際にグリッドマンにアーマーを装着させるプロセスは再現できるという触れ込みで、商品化するための最大公約数だったと当時は思った。

しかし、実際の商品を手に取ってみると、変形をオミットしているにもかかわらず様々な難点が浮上する微妙な出来となってしまった。それらの点を細かく観ていくことにしよう。

名付けて、ULTRA-ACT サンダーグリッドマン!
まず、商品単体での出来を見てみよう。商品単体では、非可動の素体にアーマーが装着されておりパッケージから取り出せばすぐに遊ぶことができる。可動式の本家の素体と違い、太ももが塗装されておらず、腰から下は全く動かすことができない。

ULTRA-ACT サンダーグリッドマン(非可動) 前 ULTRA-ACT サンダーグリッドマン(非可動) 前
パッケージから取り出すだけで一応単体で遊べるようになっている
腕と首以外は全く可動しません

非可動素体 前 非可動素体 後
装甲パーツはすべてこの非可動素体に装着されている
肩の銀色部以外は全く塗装されていない

サンダーグリッドマン時の高さは約17センチである。これはほかのウルトラマンのフィギュアよりも大きい。ULTRA-ACT グリッドマンはほかのULTRA-ACTに比べて小さく造形されていたが、これは強化合体を見越してのものだったということがわかる。

グリッドマンとの比較
グリッドマンと並べるとわかるその大きさ
一回り大きくなるだけで迫力が段違いである

単体で見たときのプロポーションと造形は見事の一言に尽きる。当時の着ぐるみを元にして、全体をよりシャープにエッジを利かしたプロポーションに仕上がっている。装甲部はすべてABSまたはPOMの硬質素材でできており、その硬質プラスチックの上に美しい塗装が施されている。胸のクリスタルや頭部のバイザー部にはクリアパーツが使用されている上に、グリッドマンの上に装甲がかぶさっているということが分かるように造形されているのがこだわりのポイントである。

頭部のアップ
装甲部は硬質プラスチックなので、シャープに造形されている

単体ではほとんど動かないサンダーグリッドマンから、非可動素体に装着されている装甲部を一つ一つ取り外し別売りのグリッドマンに装甲を装着させていくわけである。装甲はアシストウェポンに変形できないが、脚部を形成するゴッドタンクのみ、付属の連結パーツを噛ませることで元の戦車の形に近い形にすることができる。これは、脚部を包み込むというギミックを付与する上で、キャノン部が可動するのとキャタピラ部を底部に回すことができるためである。

ゴッドタンク
一番アシストウェポン形態に近い状態にできるゴッドタンク
非変形版なので、コクピットなどは造形されていません

グリッドマン側はというと、そもそも商品が発売されたころから、背中のバックパックの装甲とふくらはぎのパーツが取り外せることがすぐに判明したので、ユーザー側も合体ギミックが容易に想像することができた。

ふくらはぎパーツの取り外し
両方のふくらはぎの装甲は取り外すことができる

背中パーツの取り外し
旧製品では電池ボックスだった背中のバックパック部も一部装甲が外れる
ロールオーバーで画像が変わります

これらのパーツを取り外しながら、本当にサンダーグリッドマンに変形・合体させられるのだと発売当時の購入者はこのギミックに期待で胸を膨らませたものである。

しかし、実際の商品ではまだ取り外さなければならない箇所が増えていた。これらの部分以外にも脛の黄色いパーツと肩の可動装甲、さらには頭部までも取り外さなければならなかったのである。

下ごしらえ
装甲を着せるために取り外さなければならない部分が多い
これ以外にも手首と頭部も取り外す

頭部を取り外さなければ、頭部が干渉してしまい胸装甲部が被せられないし、肩パーツも劇中通りの合体をする場合は取り外してから同梱されている補助パーツをかまさなければならないのである。

肩の補助パーツ
肩パーツをはずしてから補助パーツを取り付けドリル部を取り付ける

可動と装着を両立させるために、一時はグリッドマン側の肩を引き出すギミックを付与することも視野に入れられていたそうだが、結局保持力の問題でこのような処理に落ち着いたようである。しかし、差し替え方式を採用したにもかかわらず、腕を回転させたときにすぐにドリル部がポロリと外れてしまうほど合体の保持力が低い。これではわざわざ差し替えにした意味はまったくないだろうに・・・。

ちなみに、グリッドマンの肩パーツを取り外す際の破損が心配だったり、ドリルが外れてしまうのがストレスな人は劇中の合体方法と大幅に解釈が異なるが、サンダージェットのバックパックにアームを取り付け、そのアームを介して肩を接続する方法も取ると良い。ただ、肩パーツが外れることがなくなる分可動範囲が制限されてしまうのがこちらの接続法の難点であるが、特に劇中のプロセスを再現したくない人はこの方式で肩を接続すれば、肩アーマーをはずす必要はなくなる。

アームを介しての肩接続
劇中とは大幅に違うアームを介した接続方法
取り外すパーツを少なくしたい人や固定を優先したい人はこちらの装着方法で

取り外すパーツが多いのが難点だが、カット毎の写真をつなぎ合わせていけば合体のプロセスを疑似的に楽しむことが可能なので、ロールオーバー画像で実際に劇中の合体プロセスを見てみよう。

怪獣の猛攻撃の前に苦戦するグリッドマンに、アシストウェポンが送られてくる。アシストウェポンを送り出した一平あるいはゆかはグリッドマンに合体の指示を出す。

グリッドマン、超神合体だ!
一平「グリッドマン、超神合体だ!」

グリッドマン「よし!」

これを受けてグリッドマンは合体を開始する。まず、脚部を形成するゴッドタンクの上にグリッドマンが飛び乗る。

ゴッドタンクに飛び乗るグリッドマン
グリッドマン「ハッ!」
ロールオーバーで画像が変わります

グリッドマンが空中で回転しながら飛び乗るのは当時のヒーローもののお約束である。ゴッドタンクの上にグリッドマンが飛び乗ると、ゴッドタンクが折れ曲がりグリッドマンの脚部を包み込む。

ゴッドタンクが変形する図
ロールオーバーで画像が変わります

さらに、ゴッドタンクのキャノン砲が上に展開し、足をロックする。ただし、ULTRA-ACTではただ単に砲が回転するだけでロック機構は仕込まれてはいないが・・・。

キャノン砲が上に
タカラ版では、足が崩れないためのロック機構をキャノン砲が果たす
ロールオーバーで画像が変わります

このゴッドタンクの変形プロセスはゴッドゼノンへの合体時と逆の折れ曲がり方で、ゴッドゼノン時はそのまま脚部になったのに対しサンダーグリッドマンのときはグリッドマンの装甲になるというまったく別の機能を果たすのだから大したものである。またキャタピラが折りたたまれ装甲になったりするなど、芸が細かいよく考えこまれた変形ギミックである。

続いて腕にツインドリラーが合体する。本編ではツインドリラーが左右と上下に4分割され、ドリルが180度折れ曲がり肩アーマーを形成、キャタピラ部が腕パーツを形成する。ULTRA-ACTでは上にも述べたように、グリッドマンの肩アーマーを取り外し、補助パーツを付けることでツインドリラーを装着する。

ツインドリラーの合体

肩アーマーと腕パーツの装着
ロールオーバーで画像が変わります

腕パーツの合体には地雷が仕組まれているのだが、これは後で述べよう。

続いてサンダージェットが展開して胸装甲とヘッドギアになる。ULTRA-ACTでは、背中のジョイントパーツに背中部を取り付けてから、胸パーツを降ろし、さらに腰の裏のパーツを取り付けることで固定される。

サンダージェットの合体
ロールオーバーで画像が変わります

サンダージェットの合体
ロールオーバーで画像が変わります

タカラ版では取り外すことなくサンダージェットが変形し、そのままグリッドマンに被せることができる。しかし、ULTRA-ACTでは頭部パーツを一度取り外さなければ胸装甲が取り付けられないのが難点である。また、変形機構がオミットされているため、背中に回っている機首とゴッドゼノン時の腕パーツは後付けで取り付けなければならない。

最後に、ヘッドパーツをグリッドマンの頭部に被せ、角パーツを起こせばサンダーグリッドマンの完成である。

角パーツが起き上がる図
ロールオーバーで画像が変わります

サンダーグリッドマン完成!
合体超神!サンダーグリッドマン!!
ロールオーバーで画像が変わります

頭部への合体は、実際にグリッドマンにヘルメットを被せるパターンと、素体についていた頭部を使用するパターンを選択することができる。前者の場合、胸装甲で首を固定してしまうため首の可動がなくなってしまう。その代わりに、角が可動するので合体のプロセスを楽しめる仕様となっている。

首パーツの取り付け
胸のヒンジ部分にジョイントをはめ込む仕様となっているので、首が回りません

一方の可動用の首パーツは、微妙にグリッドマン側のボールジョイントと径があっていないため固定が緩くなっており、首がプラプラすることがある。この辺りの固定はもう少し計算してほしかったところである。

ULTRA-ACT グリッドマンを使用したサンダーグリッドマンはこのようになる。

ULTRA-ACT サンダーグリッドマン 前 ULTRA-ACT サンダーグリッドマン 後
非可動素体と違い、太ももが白と赤くなるのがポイント

元のグリッドマンの関節がそのまま使用できるので、アクションポーズも取らせることが可能となっている。ただし、元のグリッドマンは腰の回転ができないので、腰を回転させることは出来ないのと、胸の可動も装甲を着てしまったことで死んでしまう。

また、ゴッドタンクの取り付けがロック機構を使用していないため少々甘く、アクションを取らせてしまうとゴッドタンクが外れてしまうということがよくあった。また、足首の可動範囲も広いという触れ込みがされていたにもかかわらず、思っている以上より動かない。そのため、接地性も少々悪くなってしまっている。この辺りはCADを使用して設計しているのだから、もう少し煮詰めてほしいところであった。

オプションパーツとして、平手と持ち手が付属しているが劇中の着ぐるみはすべて握りこぶし状態だったので筆者は使用していない。また、持ち手には非公式の形ながら、グリッドマンに付属したグリッドマンソードも持たせることができる。

手首パーツ

サンダーグリッドマンは肩のドリルを射出することで、怪獣を攻撃することができる。この技はドリルブレイクという名前で、初登場時に使用し電気怪獣 ジェネレドンを撃ち破った。ULTRA-ACTでは、初めてドリルの着脱と回転ができるので技の再現ができる。

ドリルブレイク
ドリルブレイク!
ロールオーバーで画像が変わります

このドリルブレイクは、魂STAGEに取り付けることもできる。

魂STAGEに取り付けたところ

技の再現自体は歓迎されるべきことなのだが、ドリル部の肩への取り付けジョイントが非常に小さくさらに細いので強度が心配である。別にこんなに小さいジョイントを使わなくても魂STAGEに取り付けるための穴が開いているのだから、そのジョイントを使えば良かったはずなのだが・・・。

肩のジョイント ドリル側のジョイント
大きい穴があいているのに別のジョイントを用意しているのが謎

そしてサンダーグリッドマン最大の必殺技は、グリッドビームの強化版であるサンダーグリッドビームである。ULTRA-ACTのコンセプトの一つである技の再現用のエフェクトも用意されており、サンダーグリッドビームを放つ前にエネルギーをためるシーンを再現するためのパーツが付属する。

エネルギーをためる図
うおおおおおおおっ!

サンダーグリッドビーム
サンダーグリッドビーム!

このサンダーグリッドビームのエフェクトはサンダーグリッドマンの握りこぶしパーツの形に合わせてはめ込む。残念なのが、ビームを発射しているエフェクトが付属しない点である。これはキンググリッドマンを出す時に是非ともビーム発射用のエフェクトを付けてもらいたいものである。

このほかに、サンダーグリッドビームの代わりに使ったサンダーグリッドファイヤーという技も存在している。これは胸から高温の炎を発射する技である。この技の再現は、グレンファイヤーのエフェクトパーツを使うとうまく再現できるそうなのだが、筆者はグレンファイヤーを持っていないので割愛させていただく。

破損!夢のヒーロー
このように、アクションとアーマーの装着の両立を図ろうと努力している点は評価したいのだが、このサンダーグリッドマンには大きな地雷が存在する。それは腕パーツの装着時にグリッドマンの手首のボールジョイントの破損が起きやすいという点である。サンダーグリッドマンにしようとする際に、必ず手首パーツは取り外さなければならないのは先に述べたが、その手首の取り外しのときに手首のボールジョイントを折ってしまう人が続出したのだった。

発売時はそのような破損報告は少なかった。今の時期になって破損報告が続出したのは冬場でPVCが硬くなってしまう時期なのも重なったためだろうが、ちらほらとグリッドマンの手首を折ってしまう人もいたようなのでこれはグリッドマン側の構造的な欠陥である。サンダーグリッドマンへの合体再現のときにその欠陥が露呈したのは何とも皮肉なものである。

この情報を事前にキャッチしていた筆者は、とりあえずの対策として手首のPVCをドライヤーで温めるという基本的な作戦に打って出た。この方法は単純とはいえ効果はてきめんで少なくとも手首を取り外す時に破損するということは未然に防げる。

問題はサンダーグリッドマンへの合体時であろう。非可動素体のボールジョイントは可動軸がないためボールの根元が太いのでまだ大丈夫だが、グリッドマン側のボールジョイントは根元が直径が非可動素体よりも細いため強度がどうしても心もとないのである。サンダーグリッドマンの腕パーツの取り付けはこの手首のジョイントで行う上に、硬質プラスチック同士の接続であるので下手をすればいずれ破損するのは目に見えている。


小さなボールジョイントの穴にはめ込むので、はめ込み時にも破損の可能性あり
ロールオーバーで画像が変わります

そこで、ボールジョイントに無理な力が加わらないようにするために筆者は合体時にはグリッドマンの腕を取り外すようにしている。グリッドマンの腕は、ボールジョイントのさらに奥の部分で軸接続されているため簡単に引き抜くことができるのである。

腕の構造
腕はこうやって簡単に外すことが可能

取り外してから腕をしっかりまっすぐにしている状態にしておき、サンダーグリッドマン側の腕へのボールジョイントの取り付けもボールジョイントにまっすぐに取り付ける。逆に引き抜くときも、グリッドマンの腕を取り外してから、まっすぐにジョイントを取り外すようにすると、ボールジョイントを壊さずに済んだ。グリッドマンに腕を取りつけたままでは不安定だし、変な力も加わってしまい破損する可能性があるのでまだ破損させていない人はこの方法で取り外すのも手である。

それでも不安な人は、3mmのピンバイスでサンダーグリッドマンの手首のジョイントを少し削り穴をほんの少し拡張すると安全である。これはグリッドマン側のPVCの手首も同様で、こうしておくと破損の可能性はぐっと下がる。もちろん、ピンバイスで手首を貫通させないように気を付ける必要はあるが、ピンバイスを持っている人はぜひ試してみよう。(もちろん、改造するときは自己責任で!)

もし手首を壊してしまった場合は、6mmのリボルバージョイントを使用することで修理することができる。この改造をする場合は、ピンバイスで手首に2mmの穴をあけ軸を通す部分を作る必要があるが、この改造法では可動が犠牲になることはない。

また、非可動素体のボールジョイントも通常のグリッドマンと同じ大きさなのでそれを移植するのも手である。この修理法は非可動素体を犠牲にしてしまう上に、手首のスナップを利かすことができなくなるが、その分強度が保障されるので合体にこだわる人はこの修理法を採用しよう。

このようにグリッドマンが、壊れてしまってもあきらめる必要は0である。しかし、普通に遊んでいてパーツが壊れるということは本来はあってはならないことである。商品開発時には、造形のみならず強度にも気を払って作ってもらいたいものである。

・・・という風にいつもなら結論付けてコラムを終わるのだが、今回のサンダーグリッドマンからここ最近の変形・合体物が流行らない理由が見えてくる。まず、ハイエイジ向けの商品の場合、塗装と造形に気を払わなければならない。これに幅広い可動範囲を持ち、ポーズがびしっと決まることも求められる。

これらを両立したうえで合体機構を組み込むとなると、パーツ数がべらぼうに増えてしまう。さらに、基本的にフィギュアはスマートであることが求められるので、可動軸のボールジョイントも小さいものを使用せざるをえなくなる。それゆえに強度が犠牲になってしまうのは自明の理である。

アクションさせるだけなら、壊れにくい部位であっても追加でパーツを取り付けるとなると条件が変わてくるため、簡単に壊れてしまいがちになってしまうわけである。これがフィギュアという商品の難しいところなのだろう。

変形・可動・合体・造形の条件を満たしだすと強度が犠牲になり値段もつり上がるという構造は最近の技術を以てしても解決しにくい問題である。こう考えると、変形・合体好きな人間には寒い時代になったものである。

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