ゴルディーマーグ

BRAVE合金 ガオガイガーパワーアップセットその1

価格:6300円(税込)


ゴルディーマーグ
Gツール起動!
グランドノヴァを破壊せよ!

滅ぶべき右腕
度重なるゾンダーロボとの戦いによるヘルアンドヘヴンの撃ちすぎで、サイボーグガイの体は限界に達していた。これ以上ヘルアンドヘヴンを使うとガイが死んでしまうというわけで、GGG(ガッツィ・ジオイド・ガード 通称スリージー)はヘルアンドヘヴンに変わる必殺技の開発を余儀なくされていた。

使うと死に掛けるくせに、なおもヘルアンドヘヴンを使い続けるガイに最大の危機が訪れた。機界四天王の一人ピッツァの策略により、ヘルアンドヘヴンを起爆剤としてEI-18マイクロゾンダー(注1)が作り出すグランドノヴァ(注2)にガオガイガーが飲み込まれてしまったのだ。これを破壊するために、投入されたガオガイガーの新しいツールがこのグラヴィティショックウェーブジェネレイティングツール、略してGツール、通称ゴルディオンハンマーなのである。

このゴルディオンハンマーのメカニズムは、対象物に重力波を照射する。重力波の中では重力が大きく変動するので、目標物は粉砕。同時に衝撃波のようなほぼ垂直に立ち上がる波面を作り出し叩き付けることにより目標を光子のレベルまで分解、完全に破壊するというもの。なんだか書いていて意味がよくわからないが、敵を光にしてしまう最強の武器と考えてもらえばよいだろう。

しかし、このゴルディオンハンマーを使用した時、ガオガイガーの右半身までもボロボロにしてしまった。このままでは武器として使い物にならないと言うことで、ガオガイガーを保護するツールが必要となった。それが、ゴルディーマーグである。
注1 EI-とはExtra Inteligence(地球外知性体)の略。ゾンダーメカはEI-XXと言うように番号が振り分けられ、認定・呼称される。ちなみにEI-01が序盤の親玉パスダー。パスダーが全ての元凶で、獅子王凱は重傷を負い、Gストーンのサイボーグとなり、凱の恋人卯都木 命(うつぎ みこと)は両親を失ってしまう。

注2 マイクロゾンダーによって生み出された地上の太陽とも言うべき、直径526メートル、内部温度6000度の特殊空間。ピッツァの狙いは、このエネルギーを使って人間をゾンダーロボにするゾンダーメタルを生み出すついでに、ガオガイガーも葬っちゃおうという恐るべき作戦であった。

憲法第9条は巨大ロボよりも強かった?
ゴルディーマーグの説明をする前に、この作品におけるツールの定義を説明しよう。
ツールとは文字通り「道具」と言う意味であるが、そもそも何故マイナスドライバーやトンカチといったような形にしなければならないのだろうか?アニメの演出と言うのが第一であるが、そこには深い設定考証がなされている。

ガオガイガーは実質上は戦闘用のメカという位置づけではない。これはどういうことかと言うと、GGGは日本政府の管轄する秘密組織である。日本には、最近改正などの議論で問題の日本国憲法第9条が存在している。この条文はご存知のとおり、「戦力の不保持」を謳っている。つまり、日本は兵器を作れないし保持できないと言うこと。

しかし、この作品ではギャレオンとの接触により日本政府はGストーンと空間湾曲などのオーバーテクノロジーを入手している。これを利用した超強力兵器を開発して本格的に武装するのではないかという危惧が各国の間で持ち上がり、異星の侵略者を相手にしなければならないという時に各国と対立するわけにはいかないということで、GGGは救助を中心活動とした部隊編成を行う必要があった。

ガオガイガーも地球外生命体に対する戦闘力と言うよりも、防御・防衛のためのメカと言う位置づけなのである。そういった理由でガオガイガーが使用する武装は全て被害を最小限に押さえるための物か救助用の「道具」なのである。

例を上げると、ディバイディングドライバーは空間湾曲で戦闘フィールドを作り出すツールであるが、これはガオガイガーとゾンダーメカが戦闘を行うことで発生する、都市への被害を最小限に押さえるためのもの。ゴルディオンハンマーも破壊力こそ絶大だが、ゾンダーコアの回収とゾンダーメカが大爆発を起こして被害を出さないようにわざわざ光にしてしまっているのだ。

この様に、複雑な設定を用意して世界観を深めている。この深め方がこの作品の魅力の一つでもあり、比較的高い年齢層のファンを生み出す結果となったのだった。

破壊神最強の右腕(文字通り)
ゴルディーマーグはゴルディオンハンマーの保管とハンマー使用時のガオガイガーの保護を目的としたツールである。ただ、他のツールと違うのは超AIを搭載し意思を持っていると言うこと。自身も格闘戦を得意とする。

ガオガイガー、俺を使え!
ガオガイガー、俺を使え!

AIは火麻参謀の人格をモデルとしており、声優さんも同じく江川央生氏である。モデルの火麻参謀は、参謀の癖に大雑把な性格なので、このゴルディーマーグもかなり大雑把で大胆である。

また、ゴルディーマーグはゴルディオンハンマーの運搬も主任務としているため、ゴルディータンクと呼ばれる戦車形態にも変形できる。これはどんな悪路でも走破できる性能を持っており、どんな状況でもガオガイガーにゴルディオンハンマーを提供できるのだ。

このゴルディーマーグは、当然タカラから放映当時、DX剛腕戦士 ゴルディーマーグという名前で発売された。今の目で見るとプロポーションが最悪だし、単体のロボット時の可動範囲もないに等しいのであるが、巨大なゴルディオンハンマーを握れるし、劇中どおりに差し替えもなく変形可能である。また、ハンマーの部分がピコペコハンマーになっていて、ハンマー部分をつぶすことで発生する空気を利用し、ゴルディーキャノンの発射することができるギミックが与えられている。このように、過去のゴルディーマーグは勇者シリーズのコンセプトに乗っ取り、子供が遊ぶ事を前提に作られている。

また、大人人気があり、ガオガイガーの最強の武器という位置づけのゴルディーマーグはタカラ以外からも様々な商品が展開されている。まず、アオシマからはプラモデルとして1/144 ゴルディーマーグが発売された。こちらは、同社がリリースした1/144 ガオガイガーに対応した商品で、ゴルディーマーグ形態とマーグハンドに変形することが可能である。しかし、この商品はそのまま組み立てたのでは、パーツのかみ合わせが悪かったり、ガオガイガーの関節が緩すぎたりして、あまり評判の良いものではなかった。また、ゴルディーマーグも差し替えでの変形であった。

ユージンからもDX ガオファイガーに対応したツールセットとしてゴルディオンハンマーが発売されたが、こちらはゴルディーマーグに変形することはできず、ガオファイガーにゴルディオンハンマーを取るつけることのみしか考えられていない設計であった。しかし、純然にゴルディオンハンマーの造形にこだわっているため、非常に出来がよく、タカラのDX ガオガイガーにも取り付けることができる。ゴルディオンハンマーの造形をブラッシュアップさせるにはうってつけだった。

タカラのゴルディーマーグ発売から8年後の2005年、BRAVE合金 ガオガイガーのパワーアップセットとしてスターガオガイガーのパーツとセットで発売されたゴルディーマーグにはかなり期待がかかっていた。偶然にも劇中と同じ年(2005年)で尚且つゴルディーマーグが起動した同月(6月)に発売されたこの商品は、かなり売れている様子であったが、さすがシーエムズと言おうか。見事に詰めの甘さを露呈しまくってくれた。これは次の章にて述べることにしよう。

タカラと本製品以外に変形可能なゴルディーマーグとしてあげられるのが、スタジオハーフアイが2006年にリリースした完全変形 ゴルディーマーグである。このゴルディーマーグは完全変形 ガオファイガーに対応したもので、ハーフアイらしい様々なギミックが付与されている。ハンマーの内部に仕掛けられたゴムによりハンマーが振動するギミックや、スプリングを利用しし、自動的にガオファイガーとハンマーコネクトするギミックがある。

ハーフアイらしい妥協のない製品となっているのだが、いろいろなギミックを付与された結果、少々ゴルディーマーグが設定よりも大きくなってしまい、それに伴いマーグハンド時の大きさが劇中よりも大きすぎる物となってしまった。また、素材がダイキャストのためゴルディオンハンマーを保持するにはスタンドが必須だし、ゴルディオンハンマーの柄の部分も劇中より短めとなっているのが難点である。

剛腕(?)戦士 ゴルディーマーグ
シーエムズのゴルディーマーグは、旧製品よりも年月が経過しているだけあり、さすがにタカラの製品よりもロボット形態・ゴルディータンク形態ともにバランスの取れた物となっている。まずは、ゴルディータンク形態から見ていくことにしよう。

ゴルディータンク 前 ゴルディータンク 後

ゴルディータンク 真横
買ってから時間が経過したためタンク形態の砲身パーツをなくしてしまいました

ほぼ劇中通りのゴルディータンクが再現できていると思う。ただし、ゴルディータンクに変形させた場合、砲身パーツを追加で取り付けなければならなくなっている。買ってから5年以上経過しているため、筆者はこの砲身パーツを失くしてしまった。ただ、筆者は完全変形主義者で、追加パーツの類はあまり好きではないので、この状態でも文句はないのだが。尚、旧コラムでは砲身パーツを取り付けてあったので、その時の画像も掲載しておこう。

砲身ありのゴルディータンク

砲身部分の根元が可動するようになっているため、戦車らしく砲身を上下させることも可能である。

砲身を上に上げたところ

このゴルディータンク形態からシステムチェンジすることでゴルディータンクはゴルディーマーグ形態に変形することができる。パワーアップパーツのゴルディーマーグもこの変形ギミックが再現されている。その変形シーンを今度は見ていくことにしよう。

システムチェンジの掛け声とともに、ゴルディータンクは折りたたんでいた脚部を伸ばし、起き上がる形でロボット形態に変形する。

システムチェーンジ!
システムチェーンジ!
ロールオーバーで画像が変わります

脚部が展開し、本体が立ちあがった状態になると、次は腕部が変形する。腕部が基部ごと回転し、タンク時に手前にあった四角いブロックが上の位置に移動、ロボット時の肩パーツとなる。そして、腕を展開し手首が内部から出てくる。

起き上がりながら腕が変形する図
ロールオーバーで画像が変わります

完全に人型形態になると、顔パーツが現れてゴルディーマーグへの変形が完了する。

ゴルディーマーグ変形完了!
ゴルディーマーグ!
ロールオーバーで画像が変わります

このように、一通りの変形プロセスは再現できるのだが完全再現できているというわけではない。というのも、手首は途中から取り付けなければならないし、脚部には人型形態用のカバーパーツを取りつけることになっているのである。

脚部のカバーパーツ
人型の時はこのカバーパーツを両足に取り付けることになる

また、マーグハンド形態時とゴルディータンク時に変形している時、手首にボールジョイントを隠すためのカバーパーツが両腕に付属している。これを使用することで、両形態時にジョイントが見えるということがないため、美観が損なわれない。また、マーグハンド時とゴルディーマーグ時に使用しない手首やカバーパーツを脚部の中に収納しておくことができるので細かいパーツをなくす心配がなくなるのが地味にうれしいところである。メリットはあるものの、パワーアップセットのパッケージには「ゴルディータンク 完全変形」と記載されているが、ハーフアイを知る筆者にとってはこの文言はウソである。

ロボット形態に変形したということで、今度はゴルディーマーグの全体的なプロポーションを見てみよう。

ゴルディーマーグ 前 ゴルディーマーグ 後
昔の製品よりもプロポーションがよくなったが、剛腕と言う割には本体側が華奢な印象を受ける

ガオガイガーとの対比
大きさは劇中の比率通り

ガオガイガーの右腕となる都合のためか、金属パーツはネジを除けば全く使用されていない。また、ハンマーの頭部の部分を除くとボディーや関節が細くなっているため、「剛腕戦士」と二つ名がついている割には華奢な印象を受ける。関節も細いため、強度に不安が残るのはこのころのシーエムズの悪いところだろう。しかし、可動範囲は広めに確保されており、劇中のようにガニ股になることも可能である。

ガニ股もできる図
ゴルディオンハンマーの柄の部分が支えになるので、ガニ股を取らせても安定します

造形面では、ゴルディオンハンマーになる部分は旧製品とは違って硬質プラとなった。過去の製品はピコペコハンマーになる都合で、ハンマー部分の造形が良くなかったが、高めの年齢を狙ったこの商品では当然のことだろう。さらに、金メッキを施してあり非常に美しいゴルディオンハンマーとなっている。

このように2005年に発売されたゴルディーマーグは、タカラ製品と比べると進歩しているのだが、今一歩踏み込んで欲しかったという印象を受ける。ほかのサイトでもこの欠点が指摘されていたためか、2009年に発売されたBRAVE合金 スターガオガイガーver2.0のゴルディーマーグは手首の完全収納や関節にクリックを設けるなど改良が施されている。また、腕の可動範囲も広がっているのも特徴である。全体のプロポーションは華奢なままだが、約4年間分の技術の進歩がうかがえる部分だろう。値段はかなり高めで今はなかなか見かけないのだが、気になる人はこちらを購入しよう!

ここからは「ゴルディオンハンマー」を流しつつお楽しみください
肝心のゴルディオンハンマーであるがこだわってる割には、これが一番の問題児である。せっかくなので、ゴルディオンハンマーを使った必殺技ハンマーヘルアンドヘヴン">のシークエンスに沿って解説していこう。

まず、ゴルディオンハンマーの発動承認である。これはGGG最高司令官大河幸太郎が、内閣総理大臣から預かっている鍵を装置に差し込む事で発動承認が降りる。続いて、命が内閣総理大臣発行のゴールドカードをセーフティーデバイス(安全装置)に差し込む事でセーフティーデバイスをリリーブ、つまり解除する。ピンポンと音がなって、ゴルディオンハンマーが使用できるようになるのだ。

ゴルディオンハンマーの発動が承認されると、ガオガイガーの右腕がステルスガオーに戻る。また、ゴルディーマーグ側は顔のバイザーが閉じ、ハンマー部分とボディー部が分離してボディー部がマーグハンドに変形を開始する。AIはハンマー部分に移動し、頭パーツもハンマーに付くことになる。

ゴルディーマーグ変形開始!
システムチェーンジ!
ロールオーバーで画像が変わります

ステルスガオーに右腕が戻る図
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ハンマーが分離する図
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ボディー部分の変形は、頭部があった箇所に収納されているマーグハンドの手首を起こし、両腕を縮めてゴルディータンク時と同じく根元のアームを180度回転させる。

手首が起きる図
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腕が変形する図
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両腕の変形が完了後、脚部をいったん引き延ばし、膝を折り曲げるとマーグハンドが完成する。

脚部の変形
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完成したマーグハンドがガオガイガーにコネクト!このシーンは巨大なマーグハンドが右腕に接続されるとき、重厚な効果音とともに火花が飛び散り、かなり格好良いシーンとなっている。

ハンマーコネクト
ハンマーコネクト!
ロールオーバーで画像が変わります

劇中ではもう少し前かがみなのだが、本体のほうの腰アーマーが干渉するのと、上半身が傾かないので、製品ではこれが限界である。雰囲気を味わって欲しい。

また、製品ではいきなりここで問題が発生する。説明書どおりにコネクトすると、まったくマーグハンドが固定されないのだ。触らなくても簡単に腕が抜けてしまってそのままではまったく遊べない。これは、ガオガイガーの腕を、爪があるほうが内側に来るように90度回転させ、ゴルディーマーグの胸パーツが内側に来るように接続すればうまく固定される。が、これはパッと見ただけでは気付きにくい点であり、説明書に記載すべき事項である。

コネクトが完了すると、手首パーツがゆっくりと動き出し、上空から降りてきたゴルディオンハンマーを掴む。この時の手首の動きが、ただ動くだけではなく新しい手首が動くか確認するような手の動きとなっているのが憎い演出である。

ハンマーを掴む図
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そして、柄の部分が伸びてゴルディオンハンマーが完成!その際にガオガイガーが金色になる。これはエネルギーが強力すぎてあふれてしまい、ガオガイガーを光輝かせているのだ。この状態から、ガオガイガーのゴルディオンハンマー発動時の姿はしばしば「金色の破壊神」と呼ばれる。

ゴルディオンハンマー!
ゴルディオンハンマー!!

さすがに、金色になると言うのは不可能だが雰囲気だけでも味わっていただきたい。
製品では実はハンマーを握るときにひどい問題があるのだが、この説明は後でじっくりしよう。

次に、マーグハンドのタイヤの部分から光の釘を取り出す。これを打ち込む事でコアを取り出せる用にする。この釘はエネルギーの集合体で、使用後は消滅する。

光の釘を取り出す図
ふんっ!
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アオシマのゴルディーマーグもネイルをタイヤの軸も外せるようになっており、釘を取り出すシーンが再現できるようになっているが、本製品では金色のメッキが施されている。これはよいこだわりだろう。ただ、釘が細くて専用の持ち手に差し込みにくかったので、持ち手側の穴をヤスリかなにかで拡張しておく必要がある。釘も一応、折れにくいように曲がるようにはなっていたのだが、筆者の釘はあるときに完全に折れてしまった。使用している画像は、折れた状態の釘を使っているのでご了承願いたい。

次に、取り出した釘をゾンダーメカに打ち込む。この技はハンマーヘルと呼ばれる。

ハンマーヘル!
ハンマーヘル!
(コアつながりでマッドサンダーに光になってもらいましょう)
ロールオーバーで画像が変わります

劇中のハンマーヘルのポーズは、ガオガイガーが空を飛んで上から釘を打ちつけるという形なので、商品で再現するには少々無理がある。大体のイメージを掴んでほしい。尚、打ち込まれた釘からのGパワーの影響で、釘を打ち込まれたゾンダーメカは完全に行動不能になり、後の攻撃が回避できなくなる。

釘を打ち込んだら、今度はマーグハンドに取り付けてある釘抜きでこの釘を抜き取る。この技はハンマーヘヴンと呼ばれる。

ハンマーヘヴン!
ハンマーヘヴン!
ロールオーバーで画像が変わります

うおおおおおおおおおお!
うおおおおおおおおおお!
ロールオーバーで画像が変わります

劇中では釘の先端部分がアームの様になっていて、ゾンダーコアを掴み救出する。さすがに、釘にそのようなギミックはないが、雰囲気を味わって欲しい。また、実際は釘を釘抜きのところに挟むことができるのだが、筆者の釘は先述の通り折れてしまっているので釘は割愛している。旧コラムで釘を固定している画像を使用したので、そちらも掲載しておこう。

釘を固定したところ

この技を持ってコアの救出は完了。次に本体部分をゴルディオンハンマーで「消滅」させる。

光になれえええええええええええ!
光になれえええええええええええ!
ロールオーバーで画像が変わります

目標、完全消滅!
ロールオーバーで画像が変わります

「光になれ〜〜〜〜!!」という台詞はこのハンマーヘルアンドヘヴンの決め台詞と言ってよいだろう。声優さんのテンションも最高潮だ。主題歌の二番で「鋼鉄粉砕」というキャッチフレーズで技がシャウトされるが、「粉砕」どころではすまないと言うのが素敵だ。

この様に、ガオガイガースタッフの偉大なところはトンカチ(ピコペコハンマー)というヒーローとしては少々間抜けな武器を、見事格好よい技に昇華してしまったことである。立体化した時はあちこち干渉して実に面倒であるが、そんなことは気にならない。はったりの効いたまさに必殺技である。

保持力なき右腕
劇中のマーグハンドの手首はかなり大きいのだが、この商品のマーグハンドをよく見るとかなり小さい。はっきり言って、ガオガイガーの通常手首と同じくらいの大きさである。もう一回り位大きめに作れば張ったりが聞いて良い感じになったのだが。

そして、ハンマーを握るためか、親指と他の指が可動式になっている。これはガンプラのMGと似たような構造なのだが、これには致命的な欠点がある。それは、物を保持しにくいと言うこと。これはこの商品も同じで、ゴルディオンハンマーを握ろうとしたら、これがまったく握れない。シーエムズの詰めの甘さが、よりにもよって一番しっかりとしていないといけないところで発揮されてしまった。サンプルのテストショットの時にまちがいなく、物が握れないことに気づくはずなのだが。

タカラのオモチャは手首にばねを仕込んだりして、少々見栄えが悪くなるが、きっちりと握れるようにデザインされていた。それくらい考慮しないといけない点なのに手抜きなのが情けない。シーエムズの場合、スタンドパーツを付けて解決をしているが見事に置物状態である。

右手は添えるだけ・・・
右手は添えるだけ(by桜木花道)

こんな事もあって、ゴルディオンハンマー装着状態のガオガイガーは完全に置き物状態。ハンマーヘルやハンマーヘヴンのポーズをハンマーを持ったまま再現するのは不可能である。(ちなみに、上のアクションポーズの写真は見えないところで手で支えている) この手首の部分は差し替えでもよいから、指が固定されている物を用意してしっかり保持できる様にしておいて欲しかった物である。事実、スターガオガイガーセットにのみ付属するマーグハンドなしでハンマーを握れる手首は固定式で、忌々しい事にこちらはハンマーを保持できるのだ。最初からこうしていればよかったのに。

尚、後に発売されたver2.0のマーグハンドの手首パーツには、クリックが仕込まれるようになり、保持力はある程度向上したものの、やはり支えなしではハンマーヘルやハンマーヘヴンの再現は不可能である。

こういう事もあって、当時のシーエムズのBRAVE合金の評価はかなり低い物となってしまった。さらに、別シリーズのBRAVE合金 ゴッドライジンオーが追い打ちをかけたのはコラムを読んでいただいている読者の皆さんはご存じだろう。前々から思っていたが、このあたりは、原型を製作しているとき、もしくはテストショットの段階で気づきそうな物ばかりなので、もう少しクオリティを煮詰めて欲しかった物である。

勇者、暁に死す
ちょっと否定的な話ばかりを書いてしまったので、最後にアニメ中盤での最も盛り上がったストーリーを紹介しよう。

ガオガイガーには何度かこれで最終回でよいだろうと言うお話が存在する。そのうちの一つが30話「勇者、暁に死す」である。この回は、東京中のエネルギーを吸収したEI-01パスダーとの最終決戦の話で作画・演出からストーリーまでテンションが明らかに違う。これは劇場版の物かと思うほど、気合が入っているのだ。

ガオッ!
ガオッ!

ガイッ!
ガイッ!

ガー!!!
ガー!!!

東京中の電力を味方に付けたパスダーのパワーは圧倒的であった。ゾンダーメタルと Gストーンのパワーは互いに反発し合うのだが、Zの力がGの力を上回り勇者ロボ軍団のエネルギーが急激に落ちていく。勇者たちが危機に陥ったその時、長官は弾丸Xの発動を承認する。これは、Gストーンの力を限界まで引き出し、勇者ロボ軍団を格段にパワーアップさせる最終ツールである。

弾丸Xに入った勇者たちは、Gストーンと同じ緑色に光り輝き、爆発的に高まった戦闘力でパスダーを追い詰めていく。

EI-01に殴りかかるガオガイガー
こいつの核はどこだ?どこにある!?
ウィルッナイフ!!

コアの場所をウィルナイフで見つけ出し(注3)、重力子エネルギーをそのまま放ちながら最後の激突を行う!ガオガイガーのBGMの中でも名曲とされている「勇気ある戦い」をBGMに、月をバックにしてハンマーコネクトするガオガイガーの雄姿はもう最高!

月をバックにハンマーコネクトするガオガイガー
そこか!ゴルディーマーグッッ!!
ロールオーバーで画像が変わります

ゴルディオンハンマーを掴む図
ハンマーコネクトッ!!!!
ロールオーバーで画像が変わります

ガオガイガー、最後の突撃
ゴルディオンハンマー!!!!!!

ハンマーを振うガオガイガー
うおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!
ロールオーバーで画像が変わります

パスダーのパワーは強大でゴルディオンハンマーにひびが入ってしまうが、超竜神とビッグボルフォッグの支援攻撃によりできた隙を突き、パスダーを撃破!

最後の一撃!
EI-01!
光になれえええええ!!!!!

このシーンは熱血と形容される同作品内でも、かなりテンションの高い戦闘であった。スタッフも後日に「我々も弾丸Xに入ったつもりでこの話を制作しました」と述べており、その気合がわかる。この回は是非一度、その目で見て欲しい物である。

しかし、弾丸Xの代償は大きく勇者ロボ軍団のGストーンは機能を停止。ガイも死んでしまって悲壮感がただよう。しかし、天海護(注4)の力でGストーンが唐突に復活!めでたしめでたし。

・・・ということにはならなかった。いつもの小林清志による次回予告に入ると思いきや、出てきたのは宇宙空間を漂うパスダーの破片。その破片をのみこむ謎の女ピエロ。パスダーの高笑いと共に、そのピエロがつぶやく。「情報収集完了」。相変わらず卑怯な引きである。これがガオガイガーの魅力でもあるのだが。というわけで、物語はまだ終わらない。
注3 29話「火の鳥」でパスダーと遭遇しており、その際にウィルナイフを落としていた。ウィルナイフとは意思の力で切断力を増すナイフの事。ガイはこれを発信機の代わりにしてパスダーのコアを特定したのだ。

注4 ガオガイガーのもう一人の主人公。小学3年生の元気な男の子だが、実は7年前にギャレオンが飛来して来た時に天海夫妻に預けられた赤ん坊である。ゾンダー化された人を元に戻す(浄解する)ことが出来るのは護少年ただ一人だけである。声優は伊藤舞子氏。

フハハハハハ。情報収集完了・・・・・・(もどる)