S.H.Figuarts
仮面ライダークウガ【マイティフォーム】
バンダイ S.H.Figuartsシリーズ
定価:2625円(税込)
ライジングマイティ:魂フィーチャーズVol.1 開催記念 会場限定販売
3000円(税込)
「やっぱ、みんなの笑顔見たいもん・・・
だから、俺はただ、俺が出来るだけの無理をしている・・・それだけだよ。」
変身
『仮面ライダークウガ』は2000年1月から2001年1月まで、全49話が放送された、【平成仮面ライダーシリーズ】の記念すべき一作目となる作品である。
西暦2000年。長野県山中の九郎ヶ岳で発見された、謎の遺跡を調査していた一団が、遺跡内部の棺から現れた謎の存在によって全滅させられるという事件が起こる。調査団殺害犯の手がかりを得るため、遺跡を調査していた長野県警刑事・一条 薫は、無断で遺跡に入ろうとする自称・冒険家の青年、五代 雄介と出会う。
やがて、遺跡周辺から復活した異形の者たち(グロンギ怪人)が長野の近郊に出没し、人々を無差別に襲うようになる。遺跡からの出土品で、県警に保管されていたベルト状の遺物から、怪人と戦う戦士のイメージを感じ取った雄介は、冒険家の勘に従いそれを腰に装着。白い姿の戦士に変身するのだった。
苦戦の末になんとか怪人を撤退させる事に成功した雄介。だが、争いを好まない性格である彼は、相手が怪人とはいえ、《戦う》という行為に嫌悪感のような、言い知れぬ不安を感じていた。しかし、同時に、犠牲者の遺族が流す涙を目にした雄介には、そんな人々に対して見て見ぬふりをするなど、出来るわけは無かった。
雄介は戦う決意を胸に、再び戦士の姿に変身する!
「戦います、俺! こんなやつらのために! これ以上、誰かの涙を見たくない! みんなに笑顔でいてほしいんです! だから見ててください! 俺の、変身!!」
そうして現れたのは、雄介がベルトに触れた時に流れ込んできたイメージの中で視た、赤い戦士だった!
コウモリ怪人「ディガ バズ ラグミ "クウガ"!」
雄介「クウガ? そうか、クウガか!」
A New Hero. A New Lejend. これこそ、新たな伝説を作る新たなヒーロー、平成仮面ライダーの第一号・仮面ライダークウガの誕生の瞬間なのであった!
競演
『仮面ライダークウガ』の放送開始から、10年後。後に続いた『平成仮面ライダーシリーズ』の10周年を記念した作品、『仮面ライダーディケイド』に、クウガは再登場を果たした。しかも、他の平成仮面ライダーたちがゲスト出演であるのに対して、クウガはディケイドの旅の同行者、つまりレギュラー扱い!
『クウガ』放送時、五代雄介役をやっていたオダギリ ジョーが、俳優として大成功を収め、ギャラが高くなってしまったためか雄介役は別の役者になるとの事だったが、クウガ出演の話は筆者にもの凄い期待をさせたのだった・・・。
「例え君が《世界の破壊者》であったとしても、俺には関係ない!
君は俺と共に戦う仲間・《仮面ライダー》だ!」
ディケイドに仮面ライダーとして戦う道を示す、大先輩・クウガ
「ありがとうございます、先輩! おかげで助かりました。」
っていう、昭和仮面ライダーのノリで妄想が膨らんでいたわけですが・・・
しかし、その期待&妄想は、見事に打ち砕かれたのでありましたとさ。
ディケイドに登場するクウガ・五代雄介、改め小野寺ユウスケは、『クウガ』の本編の頃の、あの強く、優しい心はなりを潜め、↓下の写真のような図がぴったり当てはまるような、ヘタレキャラに改変されてしまっていたのであった!・・・なんてこったい。
ユウスケ「つ、士(つかさ)、助けてくれ!?」
士「俺が知るか!」
かくして、すっかりユウスケには失望してしまったわけではありますが、『ヘタレな子ほど可愛い』といいますやら、なんというか。「これはこれでいいキャラだな」と、ディケイド版のクウガも気に入った筆者は、フィギュアーツのクウガを再販待ちで購入。今回のレビューで取り上げる事にしたのであった。
復活
かつて地上に存在していた超古代人類・リントは、邪悪な力で怪人に変身するグロンギ族によって、絶滅の危機に瀕していた。リントは霊石・アマダムを埋め込んだベルト・アークルを作り出し、戦士・「クウガ」を生み出す。リントは"殺人"という概念を持たない種族であったため、古代のクウガは倒したグロンギ怪人、そのすべてを封印していったのだった。
力強さを意識してモチーフにクワガタムシを採用。
もう一つのモチーフとして仮面ライダー一号を採用しているとだけあって、平成仮面ライダーの第一号は、すっきりとした外見である。
そして、現代。遺跡の発掘により封印が解かれ、グロンギ怪人(現代日本では【未確認生命体】と呼称されている。)が復活してしまう。殺人ゲーム《ゲゲル》のルールにのっとり、次々と人々を殺していく怪人たち。クウガのベルトをふとしたきっかけから身につけた雄介は、人々から笑顔を奪うグロンギ怪人に、未確認生命体四号=クウガ(注1)として、敢然と戦いを挑むのであった。
クウガは周囲の状況や、戦う怪人のタイプにあわせてフォームチェンジ(注2)し、4つの姿を使い分けて戦う。雄介曰く、【赤のクウガ】と呼ばれているマイティフォームは、またの名を【炎を司る戦士】とされており、スピードやパワーなどがバランス良く強化された、クウガの基本形態とも言えるフォームである。
マイティフォーム時のクウガは武器を持たず、格闘技で怪人に立ち向かう。・・・なお、殴られている相手がディケイドであることには、何の他意も無いので、あしからず。
手の甲で敵の攻撃を受け流し、
パンチで反撃。
キックで追い討ち!
クウガの必殺技・マイティキックは、古代のクウガがグロンギを封じるのに使った、アマダムの封印エネルギーを右足に集め、仮面ライダーの伝統とも言える、跳び蹴りに乗せて放つという技である。
右足にエネルギーを集中させる。
助走をつけてジャンプし、空中で回転。勢いをつけ・・・
ロールオーバーで画像が変わります
「でやぁぁぁっ!!」
跳び蹴りを敵に叩き込む!
ロールオーバーで画像が変わります
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
キックに乗せて打ち込まれた封印エネルギーが、急所でもある体内のオーパーツに届くことで怪人は撃破されるのである。
ベルトの中央に埋め込まれた、クウガの力の源である霊石・アマダムは、実はグロンギ族が怪人に変身するために体内に埋め込んでいるオーパーツと、本質的には同じ物である。《毒を以って毒を制す》―怪人を倒すには自らも同じ力で怪人になるより他は無い、と、いう事なのか。
変身ベルト中央の霊石・アマダムにはクリアパーツが使用されている。
細かい部分まで塗り分けされており、なかなか好印象。
変身し、戦い続ける度、徐々に霊石の侵食を受け、その身体は内部からグロンギ怪人と同質のモノへと変化していくのである。普通の人間であれば、戦い続けることはおろか、耐えられもしないであろう。
平成仮面ライダーは「『子供向けのヒーロー』に改造人間という十字架を背負わせるのはどうか。」という理由から改造人間ではなくなっているのだが、クウガはある意味、昭和仮面ライダーの先輩方にも負けず劣らずな十字架を背負っていたのであった。しかし、雄介は自らの苦しみを押し殺しながらも戦い続けたのである。全てはそう、《みんなの笑顔を守る》ために・・・。
「やりましたよ、一条さん!」
刑事・一条にサムズアップと共に勝利を報告する雄介。
その仮面の下にあるのは、満面の笑顔なのか、苦悶に満ちた顔なのか・・・?
変身ベルト・アークルは、遺跡内部の棺より発見された物であるという。もしかしたら戦いの使命を終えた古代のクウガは、グロンギと同質のモノとなり、リントを襲い始める前に、自ら棺に入り封印されていたのかもしれない・・・。
ロールオーバーで画像が変わります。
注1『未確認生命体四号』:第1話に現れたクモ型のグロンギ怪人が未確認生命体の一号。雄介が最初に変身した白いクウガ=グローイングフォームを二号とし、コウモリ型怪人が三号となっている。三号に続いて現れた赤いクウガ=マイティフォームは四号の番号を与えられている。ちなみに、二号(グローイングフォーム)ならびにクウガの他のフォームは、四号と同一体であるとされている。
ストーリーが進むにつれて「四号は怪人と戦う正義の未確認生命体」であると、徐々に世間でも認知されていくようになる。
注2『クウガのフォームチェンジ』:クウガのフォームチェンジはマイティーフォームの他、スピードとジャンプ力が大幅に強化される『水を司る戦士』・ドラゴンフォーム。視力、聴力、あらゆる感覚器官が強化される『風を司る戦士』ペガサスフォーム。防御力、パワーが強化される『大地を司る戦士』タイタンフォームの三種類がある。
これらのフォームで戦う際には、周囲の物体からそれぞれのフォームで戦うのに、最も適した武器を生み出して戦う。
霊石
人々の笑顔を守る為、未確認生命体に戦いを挑む雄介であったが、毒キノコを象ったグロンギ怪人、メ・ギノガ・デとの戦闘で毒胞子を浴び、重症を負った雄介は命を落とす。
刑事・一条の高校時代の同級生で、医者である椿 秀一は、「クウガの力は未確認生命体の脅威に立ち向かう為に、まだまだ必要」と、心停止した雄介に対し通常では考えられない回数の電気ショックを与え続ける。椿の懸命の治療により、奇跡的に蘇生した雄介であったが、その身体には新たな変化が起こり始めていた・・・。
グロンギ怪人に対して戦いを挑む雄介。その時、感情の昂ぶりと共にクウガの身体にある変化が起こる!
「こ、この力は!?」
ロールオーバーで画像が変わります
そこに現れたのは、新たな力を得た、クウガの新たな姿であった!
ロールオーバーで画像が変わります
自身の体内に溢れる膨大なエネルギーを知覚したクウガは、グロンギ怪人に対してマイティキックを放つ!・・・が、
「ハァァァァァッ!!」
怪人に対して膨大な量のエネルギーが叩き込まれてしまい、大爆発を起こし、周囲3キロ圏内に対し甚大な被害が出てしまう・・・。
戦闘が終わり、一条が駆けつけると、そこには瓦礫の中で一人たたずむクウガの姿があった。雄介は一条の存在に気付くと、背中越しにサムズアップを決めて見せ、勝利の報告を行う。その背中には、さらに人間からかけ離れた存在になってしまった、雄介の苦悩と悲しみが満ちていた・・・。
一条「五代・・・」
限定
クウガの強化フォームの一つ、ライジングマイティは、2010年 2月6・7日に東京で、11日に大阪で開催されたバンダイのアクションフィギュアのイベント『魂フィーチャーズ』 の会場で限定品として発売された。
折角の強化フォームなのに、限定商品となったのは、『ディケイド』には登場させることが出来なかったがために、10年も前の作品ゆえの認知度の低さという不安材料があったからかもしれない。
他の限定品二つと違い、クリアー仕様になってたりはしない堅実な商品仕様。
通常販売でも売れそうなモンですが・・・
雄介曰く【金の力】であるライジングフォームは、雄介が心停止した際に椿が施した電気ショックにより、霊石・アマダムの性質が変化。突然変異的に【凄まじき戦士―アルティメットフォーム】の力の一部分が覚醒した形態である。アークルが発見された遺跡の周辺に、【金の力】に関する記述がされた碑文は存在せず、古代には存在しなかった力のようである。ゆえに雄介はこの力を、【ミレニアム(2000年)特別バージョン】と呼んでいた。
ライジングフォームへの変身はアマダムに大きな負担がかかる為、約30秒間しか維持できない。必殺技発動時専用の形態と言える。グロンギ最強の怪人、ゴ・ガドル・バとの戦いで敗れ、再び電気ショックで蘇生されてからは、永続的に維持できるようになった。
通常のマイティフォームとの違いはまず、全身に金色の装飾が現れているところである。
上半身に施されているレッドメタリックの塗装も、マイティフォームと比べると明るい色に変更されている。
アマダムの色も雷の力を示す黄色に変更されており、アークルの周りには金色の装甲が追加されている。また、右足にはマイティキックの威力を増幅させるマイティアンクレットが装備されている。
マイティアンクレットはダイキャスト製となっている。
金の装飾で縁取られた手甲には各フォームの特徴を示す古代リント文字が現れる。炎を司る戦士・マイティーフォームの手甲に現れる文字は、当然【炎】を意味する古代文字である。
見れば見るほど、普通に【炎】っていう漢字に見えてこないことも無いから不思議だ・・・。
ライジングマイティはイベント会場での限定販売となってしまった、ということはドラゴン、タイタン、ペガサスの3フォームのライジングも何らかの形での限定販売となってしまうんじゃないだろうか。と、いう危惧はあるが、筆者的にはとりあえず、ライジングでは一番気に入っているマイティを入手できたので、良しとしよう。
クウガ・ライジングマイティ他二種の会場限定品は後日、魂ウェブ商店の方で受注受付を開始するという。これが最後のチャンスとなる事請け合いなので、当日会場で入手できなかった人、そもそも会場にこれなかった人は、もれなく注文する事をオススメしたい!
後、クウガ関係で欲しいのは、アルティメットフォームだけだが、魂フィーチャーズでも展示されていたし、なにがしかの発表があっても、良さそうなものなんだけどなぁ・・・。
「この雨だって絶対止むよ! そしたら青空になる! 今だってこの雨を降らせてる雲の向こうには、どこまでも青空が広がっているんだ!」(戻る)