ROBOT魂 フォースインパルスガンダム

バンダイ ROBOT魂シリーズ

定価:6480円(税込み)

ROBOT魂 フォースインパルスガンダム
ROBOT魂でフォースインパルスガンダムが登場!
フリーダムとの激戦をフィギュアで再現せよ!!

このコラムは10年以上前に執筆したコラムを下敷きにして新たに執筆したものです。当時の空気感を出すために結構過激な発言を残していますが、これが放送当時のネットの反応でした。若気の至りと思って勘弁してください。

悪いな、シン。主役はキラ専用なんだ(監督&嫁談)
機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、主役をキラからシン=アスカに変更した。序盤こそ、シンは旧作から登場していたキャラクターの陰に隠れ気味だったものの、第12話「血に染まる海」では連合が開発した巨大MA、ザムザザーの前に窮地に陥りながらも、SEED能力(注1)を発動させ、これを葬り連合艦隊をソードインパルスでザックザックと切り刻んでいった!この回でシンは主役らしい立ち位置を手に入れた・・・はずだった。

ところが、次の回である13話「よみがえる翼」でキラとフリーダムガンダムがまさかの復活を果たしてしまう。ヤキン=ドゥーエの戦いで大破したフリーダムはひそかに修理されており、ザフト特殊部隊の襲撃を受けた際に、再び起動したのである。

フリーダム、降臨!
ザフト特殊部隊兵士「あれは、まさか・・・フリーダム!?」

ザフト特殊部隊隊長「ええええええええええっ!?」

このフリーダムの復活により、徐々にシンの主人公としての立場が危うくなってきた。当たり前の話だが、核エンジン搭載のフリーダムは反則的に強い。ユニウス条約(注2)の影響で、ニュートロンジャマーキャンセラー搭載のMSは禁止されているが、「国家」ではないアークエンジェル一行はそんな条約お構いなし。他のセカンドシリーズのMSはバッテリーでせこせこがんばっているのに、フリーダムだけ好き勝手に暴れているのだ。

第23話「戦火の蔭」は、ザフト軍とオーブと連合軍の連合艦隊の戦闘を止めるために、アークエンジェル一行が乗り込んできた話でで、初の新主人公vs旧主人公の戦いが勃発した。
しかし、その結果はインパルスが、腕を切られて数秒で決着がついてしまった。挿入歌「Meteor」をバックにザフト軍・連合軍のモビルスーツを戦闘不能にしていき、更に連合側のガンダム3機もてんでかなわず戦闘不能に。前の主人公の風格をにおわせる。その後も事あるごとに戦闘に介入し、戦闘をやめさせるどころか、シンの出番を分捕りまくり、更に戦況を混乱させる要因となってしまった。

確かに、ファーストガンダムの次の作品、「機動戦士 Ζガンダム」では前の主人公のアムロが登場したという事例はあるが、前の主人公という名前はあるものの、あくまでも「サブキャラ」という扱いであった。しかしSEED DESTINYの場合、逆に前の主人公が新しい主人公を食ってしまっていて作品として非常にまずい状況になってしまっている。
このおかげで、SEED DESTINYの新作プラモデルはなかなか売れずに、前の商品であるはずのMIAやMGのフリーダムはじゃんじゃか売れるという本末転倒な結果になってしまった。

更にかわいそうな事に、キラの乗る新型フリーダムのストライクフリーダムがタイトルバックにされてしまった。3クール目のオープニングからは2号メカがタイトルバックを飾る事になっているのだが、普通ならシンの2号メカであるはずのデスティニーガンダムがタイトルバックのはずだろう。この時点で名実共にキラが主人公に返り咲いてしまった。

そんなこんなで、私はシンに同情を覚えてしまい、ださい変形システムで駄目駄目なモビルスーツとバカにしたインパルスガンダムを応援するようになってしまった。判官びいきという言葉があるが、何だかんだでインパルスガンダムはお気に入りのガンダムとなってしまったのである。
注1 ピンチになると種が粉砕する演出が出てきて、パイロットの目がうつろになり、戦闘能力が飛躍的に向上する現象のこと。これはナチュラルでも発動可能である。キラの場合は、ピンチでなくても割れている。この回では、連合の巨大MAザムザザーとの戦闘でピンチに陥り発動した。

注2 第二次ヤキン・デゥーエ攻防戦終結後に締結された停戦条約。MSの保有量の制限やミラージュコロイド、ニュートロンジャマーキャンセラーの禁止などが主に規定されている。しかし、デスティニーには核エンジンが搭載されているし、戦争初頭では、核ミサイルを連合側が再び使用しているのですでに形骸化されていると思われる。

戦場を翔る青き衝動
このコラムは、2004年ごろに執筆したコラムに加筆修正を行っているものなのだが、2018年の今になっても優先されるのはキラのフリーダムなのである。ROBOT魂でも、その例に倣い、シンのインパルスはなかなか発売されずにいた。

しかし、2016年に突如ROBOT魂でデスティニーインパルスが発売された。このデスティニーインパルスは、デスティニーガンダムの前身という設定の機体でROBOT魂200番目の機体としてリリースされた。初回生産分は、メカ作画監督の重田智氏書下ろしのデザインを採用。気合の入った商品となった。

このデスティニーインパルスをもとに、アニメで活躍したフォースインパルスが2016年に発売された。こちらのフォースインパルスは、デスティニーインパルスの広い可動範囲を基に、劇中のイメージと活躍を楽しめる製品となっている。それらを詳しく見ていこう。

ROBOT魂 フォースインパルスガンダム 前 ROBOT魂 フォースインパルスガンダム 後
アニメの重田氏の作画をイメージして作られたフォースインパルスガンダム

同年にプラモデルでもインパルスガンダムが発売されているが、ROBOT魂版のほうは劇中イメージで作られている。プラモデルでは、立体物として見栄えが良くなるようにアレンジされており、並べてみるとアプローチの違いが一目瞭然である。特に顔の造形は、ROBOT魂版ではアニメそのままのイメージとなっている。

HGCE フォースインパルスとの比較
体のバランスや造形がプラモデルとは少し違うROBOT魂版

HGCEのフェイスパーツ ROBOT魂のフェイスパーツ
同じ機体なのに造形が違うのがポイント

プラモデルとは違い、ROBOT魂版では分離機構がオミットされている。また、シールドに関しては展開状態のみが付属し、収納した状態は付属していない。また、フォースインパルス形態で飾ることを優先しているのかインパルス単体時の背中パーツの塗装も省略されている。

単体時の背面
コストを下げるためなのか、コアスプレンダーの塗装は省略されている

その代わり、ROBOT魂版にはフォールディングレイザーが付属している。

また、可動範囲に関してはプラモデル以上の範囲である。肩パーツは引き出し可能であるし、股関節も軸が移動し、外連味のあるポーズを取らせることが可能である。

肩パーツの引き出し

そしてこのROBOT魂版の最大のコンセプトはフリーダムとの決戦の再現ができることである。プラモデル版でもソードインパルスにパースの付いたエクスカリバーが付属していたが、こちらはシールや塗装で再現されていた。このROBOT魂版では元から完成品の状態で入っており、組み立てや塗装の手間を省けるのである。

エクスカリバー
劇中のポーズを再現するためにパースが付いている

エクスカリバーを構えたところ
写真で見れば、勇者パースの利いた絵になる

このエクスカリバーは分割することが可能で、エフェクトパーツを取り付けることができる。このエフェクトパーツを使えば、エクスカリバーが貫いたシーンを再現できるのである。

エフェクトパーツ
エクスカリバーを分割し、エフェクトパーツを取り付ける。
エフェクトの間にエクスカリバーで貫きたい機体を配置すればOK

この広範囲の可動とエフェクトパーツを生かして劇中の再現をびしっと決めることができる。これらの再現は次のセクションで堪能してほしい。

悪夢(監督&嫁談)
主役を取られて散々な目にあったシンであったが、話の都合上最も輝いた回があった。それは第34話「悪夢」である。この回では、再びインパルスとフリーダムの対決の回であったが、はっきり言って、SEED DESTINYのシリーズの中で一番戦闘シーンが面白い回である。この回ではベルリンの戦いで、愛するステラ(注3)がキラによって結果的に命を落としてしまったので、復讐に燃えるシンがキラと激突する!

何度も戦闘に介入してくるアークエンジェルとフリーダムをザフト軍首脳部は敵勢組織と判断し、ミネルバに討伐命令を下した。ミネルバはウィラード隊と手を組み、アークエンジェル討伐作戦通称エンジェルダウン作戦を開始した。西ユーラシア大陸で吹雪のなか作戦が開始され、大量のMSがアークエンジェルに攻撃を開始した。

先の戦いでムラサメを収容していたアークエンジェルであったが、彼らで反撃を仕掛けるとオーブ軍がそれを口実に狙われてしまうことを恐れたアークエンジェルは不利な戦いを強いられていた。直撃弾を撃てないアークエンジェルは、フリーダムが護衛しながら海を目指していた。

ミネルバは先制攻撃を仕掛けていたウィラード隊と合流し、インパルスを出撃させた。


コアスプレンダー正面
シン「シン=アスカ、コアスプレンダー行きます!」

コアスプレンダー、発進!
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コアスプレンダーが飛行する図
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コアスプレンダーの変形
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レッグフライヤーとの合体
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チェストフライヤーの合体
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インパルスガンダムの完成
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分離シーン
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シルエットフライヤーの接続
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シールドの展開
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加速をかけるフォースインパルス


シンは性能に劣るインパルスでフリーダムを打倒するために、事前にレイとデータを収集していた。その結果、キラの攻撃はコクピットを絶対に狙わないと気づき、それを利用した作戦を立案した。シンはキラの攻撃を読んだうえで紙一重でかわしていく。

攻撃をかわすインパルス
キラ「!!」

シンいつもそうやって・・・やれると思うなぁぁぁぁぁ!

シンは叫びとともに、SEED能力を発動させる。フリーダムの繰り出すビーム攻撃をかわしながら、フリーダムに肉薄する。

攻撃をかわすシン
レイ「フリーダムは確かに動きが速い。射撃も正確だ・・・。」

フリーダムを攻撃するシン
レイ「だがあの機体は絶対にコクピットは狙てこない。」

フリーダムを攻撃するシン
レイ「撃ってくるのは、決まって武装かメインカメラだ。そこにインパルスの勝機がある!」

射撃戦では埒が明かないと判断した両者はビームサーベルを抜き、お互いに剣を交えた。

ビームサーベルで切り結ぶ両者
シン「くぅぅぅっ!」
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フリーダムと距離を取ったシンは、シールドを投げつけ、投げつけたシールドにビームライフルを発射した。シールドに当たったビームは反射され、そのビームがフリーダムの肩をかすめた。

シールドを投げつけるインパルス
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肩を破損するフリーダム
キラ「うっ・・・!」
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フリーダムに手傷を負わせたインパルスは、間髪入れずに左手でビームサーベルを持ちフリーダムに切りかかった。その動きに反応したきらは、同じくビームサーベルを抜きインパルスの腕と頭部を切り裂いた。

インパルスに反撃するフリーダム
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しかし、破損した上半身パーツは分離させて、フリーダムにぶつけて、ミネルバから別の上半身を送ってもらい回復。また破損したら、回復を繰り返しフリーダムを圧倒した。この回でやっとこさ、インパルスガンダムの意味のないダサい変形・合体システムが役に立ったのである!

分離するインパルス
シン「メイリン!チェストフライヤー、フォースシルエット!」

メイリン「あっ・・・!」

上半身をぶつけるインパルス
キラ「うっ!」
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バルカンで上半身を爆発させる図
キラ「ぐううううううう!」
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チェストフライヤーの爆発にフリーダムが体勢を崩しているすきに、インパルスはミネルバから送られてきた新たなシルエットで回復。フリーダムに再び切りかかった。

切りかかるインパルス
シン「ぬおおおおおおおおおおっっっっ!!」

フリーダムと対峙するインパルス
シン「逃がさないと言ったろ!」

キラ「くっ・・・。」

執拗に攻撃するインパルス
シン「あんたがステラを殺した・・・!止めようとしたのにいいいいいっ!!」

シンのビームサーベルをキラは宙返りで回避した。シンの執拗な攻撃にキラは殺しにかからなければ撃墜されると判断し、不殺の信念を曲げてインパルスに切りかかった。

宙返りで攻撃をかわすフリーダム
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しかし、キラの不意打ちにシンは冷静に対処した。コクピット付近を狙ってきたフリーダムの攻撃を上半身と下半身を分離させることで攻撃を回避したのである!

分離して攻撃をかわすインパルス
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完全に虚を突かれたフリーダムは、インパルスにより背後の攻撃を受け翼を片方失ってしまう。シンはフリーダムになおも攻撃をし続けた。

フリーダムを追いかけるインパルス
シンあんたは俺が討つんだ、今日っ!ここで!!

ビームを防ぐフリーダム
キラ「こんな・・・。これは・・・」

インパルスのビームがフリーダムのビームライフルを撃ち抜き、フリーダムは手持ちの射撃武器を失ってしまう。

最後のとどめは、大剣エクスカリバーである。シンはミネルバから、ソードシルエットを射出させる。

ソードシルエット、発進!
シン「メイリン、ソードシルエット!!」

メイリン=ホーク「はいっ!」
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一方のアークエンジェルは、いよいよ海面に到達した。アークエンジェルはミネルバの攻撃を振り切るため潜水の準備を始めたのだった。それを見たグラディスは、ミネルバの主砲、タンホイザーの起動を命じた。

インパルスは装備を変更せずに射出させたソードシルエットを武器庫として活用。ブーメランをフリーダムに投げつけてけん制した。

ブーメランを投げつけるインパルス
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ブーメランを防ぐものの体勢を崩すフリーダム
キラ「うっ!」
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フリーダムは投げつけられたブーメランをシールドで防いだが、体勢を崩してしまう。シンはいよいよとどめにと、エクスカリバーをインパルスに握らせた

エクスカリバーの分離
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エクスカリバーを握るインパルス
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その直前ミネルバはタンホイザーを発射した。アークエンジェルのほうにキラの意識が向かっているすきに、インパルスはフリーダムに特攻する!!

突撃するインパルス
シンはあああああああああっっっ!!
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突撃するインパルス
キラ「なっっ!」

シンてやああああああああっっっ!!
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フリーダムの最期
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フリーダムはシールドを構えるものの、エクスカリバーはシールドを貫通し、フリーダムの腹部を貫いていた。フリーダムによってインパルスは頭部を貫かれるが、これはインパルスにとっては致命傷にはならなかった。腹部を貫かれたフリーダムは爆発炎上!

一方、タンホイザーの攻撃を受けた海面は水蒸気爆発によって大きなキノコ雲を作っていた。その爆発の爆炎にインパルスは巻き込まれ、上半身が焼けただれてしまったものの無事であった。シンは、コクピットの中で涙を流しながらフリーダムを討ち、ステラの敵を討てたことを喜ぶ。シンの笑い声と、アスランの絶叫がこだました。海面には、フリーダムの砕けた装甲が漂っていたのだった。

感無量のシン
シン「フフッ・・・フフフフフッ・・・。やった・・・ステラ・・・やっとこれで・・・。フフハハハハ」

アスランの絶叫
アスラン「あ・・・あああ・・・キラアアアアアアアア!!

このとき、キラに不満を持っていた視聴者は皆こう叫んだに違いない

ざまあみやがれ、キラ=ヤマト!

この回を見た私は翌日にはヨドバシカメラに直行。そのまま、当時発売されていたHG ソードインパルスを購入した。「やれば出来るじゃないか、シン=アスカ」と思いながら、今後もシンを応援し続けることにした。しかし、更に残酷な運命が待ち受けているとは誰も思わなかっただろう。この話は、別のコラムでやりたいと思う。みんなも、34話だけは絶対に見よう!インパルスが好きになれるはずだ!!
注3 連合側の強化人間の少女。ガイアガンダムのパイロットであったが、インパルスとセイバーとの戦闘でミネルバの捕虜になっていた。専用の設備がないと、生き伸びることができないということで、見かねたシンは彼女を逃す。シンは先の大戦で妹を失っているので、彼女をどうにか守りぬこうとしていた。しかしながら、連合に引き渡したせいで、大量破壊戦略兵器デストロイガンダムの生体コンピュータにされ、ベルリンでインパルスとフリーダムと再激突!シンは何とか救い出そうとしたが、フリーダムを見たステラが恐怖のあまり、暴走。フリーダムが高出力ビーム砲を破壊してデストロイの機能を停止させたが、ステラは命を落としてしまう。
アンタは俺が討つんだ!今日、ここで!!(もどる)