HG セイバーガンダム

バンダイ プラスチックモデルキット ハイグレードシリーズ

価格 1575円(税込み)


アスラン第3の機体

父の呪縛
前作から引き続き登場しているキャラクターでもっとも目立っていたのはアスラン=ザラであろう。1クール目の主役はシンではなく、アスランと言っても過言ではない。ヤキン攻防戦の後、彼はアレックス=ディノと名乗り、オーブに移住していた。彼は第1話からカガリの護衛として、デュランダル議長との極秘会談に臨んでいた。そこで、ファントムペインのガンダム強奪事件に巻き込まれ、紆余屈折を経てミネルバに乗船した。新主人公であるはずのシンが目立たなくなった理由は間違いなく、彼らのミネルバ乗船だろう。

何度かの強奪犯たちとの小競り合いを経たのち、自分に何かできることはないかと考えた末、ユニウスセブン破砕を手伝うためザク=ウォーリアーで出撃した。そのときに起きたテロ集団とファントムペインによる三つ巴戦闘の際、主役を差し置いてザクでカオスガンダムを追い詰めるという快挙を成し遂げた。普通ならば、ここでシンに花を持たせたいところであるが、主役ですらも追い込めきれなかった機体を、元レギュラーが追い込んでしまえば、簡単に新しい主役の影を薄くするというのはわかりそうなものだが・・・。

ユニウスセブンの破砕に成功したものの、破片は世界の各地に降り注いでしまい、地球に甚大な被害が出てしまった。破砕中のテロリストの一人サトーの言葉に動揺させられたアスランは、単身でプラントにわたり再びデュランダルとの会談に臨んだ。戦争を繰り返さぬために何かできることはないかというアスランに、議長は新たなMSをアスランに託した。それがZGMF-X23Sセイバーガンダムである。

実写ガンダムとは何の関係もございません
セイバーガンダムは、強奪された3機と同時期に開発されていたが、完成が遅れていたため強奪を免れた機体である。他の3機と同じく、MA形態に変形が可能。他の3機が特殊な形のMAなのに対し、こちらはオーソドックスな航空機に変形する。劇中に登場するのもやはり遅く、第10話でお披露目の後、15話でまともに戦闘を始めた機体である。

プラモデルの展開はいつもと同じく、最初にコレクションキットが発売され、HGで発売されたという流れになった。HGのキットのほうであるが、後発だけあって新型ガンダムの中ではよく稼動し、また色分けもシールを貼ればほぼ箱の写真と同じものが完成されるという良好な出来である。


ビームサーベルも2本付属

セイバーの特徴の一つである、MA-7B "スーパーフォルティス" ビーム砲 はボールジョイントでの接続でフレキシブルに稼動する。劇中どおりに後ろからガンダムF91のヴェスバーのように構えることも出来れば、肩から担ぐように発射体勢も取れる。


こんな風に一斉射撃ポーズも取れる

DESTINYに入ってからの主役機に導入された変形のほうであるが、こちらもほぼ完全変形を行う。余剰パーツは手首のみで、後はこれといった差し替えもない。大きさの都合か、角の可動がオミットされているが、気になるほどではない。


変形状態
可もなく不可もない形

このように、キットのほうはかなり出来がよいので変形するMSが好きな人にはお勧めできる。色分けも充実しているので、プラモデル初心者の人はこのキットを作ってみることをお勧めする。

あんま強くないよね、あの人・・・。
セイバーで戦うことを決意したアスランは、議長によりFAITHに任命され、オーブに戻ろうとした。しかしながら、この頃のオーブは連合と同盟を組み、ザフトとは敵対している関係になっていたため、やむなく撤退。ミネルバに合流する。

ザク=ウォーリアでカオスガンダムを圧倒したアスランであったので、当然ザクよりも性能が高いセイバーに乗ったアスランはシンをさらに食うような活躍を見せると思われた。しかしながら、実態は最も影の薄いガンダムになってしまった

まず、初陣のインド洋沖の戦闘ではきっちり連合側のウィンダムを撃墜していった。そこで因縁のカオスとの戦闘になるが、ザクで圧倒できたのに、なぜか互角の戦い。思えばこのときが、セイバー失墜の序曲だったのかもしれない。この回では、命令を聞かないシンを「戦争はヒーローごっこではない」と一喝する威厳が保てていた。続くガルナハンのローエングリン砲台攻防戦では、ローエングリンを護っていたゲルズゲーの両腕を切り落とし、止めを刺した。

しかしながら、フリーダムガンダムが戦闘に介入するようになってから一気にその立場が危うくなる。キラが戦闘に介入するようになってから、アスランは悩み始めスランプ状態に陥る。カオスガンダムとは相変わらず逃げ回るだけの鬼ごっこを繰り返し、そうこうしているうちに、クレタ沖の会戦でフリーダムガンダムがそのカオスガンダムをバラバラにしてしまう。さらに、なおも退こうとしないアスランの態度に、キラが憤慨しフリーダムとセイバーがついに激突する。当たり前だが、性能上ではフリーダムが圧倒的に勝るので、セイバーガンダムはなすすべもなくバラバラにされるのであった。

まともに戦闘を行うようになってからわずか13話、さらに戦闘の話はその半分程度なので約6話でバラバラにされてしまったセイバーガンダム。ちなみに、試作機なので予備部品が少ない状況であったので修理不能。このまま消えていった機体になってしまった。この権を受けてシンには「あんまり強くないよね」と馬鹿にされるようになり、一気に出番が少なくなっていってしまった。ここまで不憫なガンダムはそうそうないだろう。プラモデルの出来は決して悪くないので、アスランが好きならば買ってあげてほしい・・・。


最後に主役らしく花を持たせてオープニングのポーズ

戦争はヒーローごっこじゃない!(もどる)