ROBOT魂 Ξクスィーガンダム

バンダイ ROBOT魂Ka signatureシリーズ

魂ウェブ商店限定

定価:10500円(税込)

ROBOT魂 Ξガンダム
富野監督が執筆した悲劇の小説、『閃光のハサウェイ』の主役機がROBOT魂に登場!

人の犯した過ちは、マフティーが粛清する!
『機動戦士 ガンダム』の生みの親、富野由悠季監督はアニメや映画のみならず小説の執筆も多数行っている。アニメのノベライズのみならず、オリジナルの小説も多数発表されており、映像では味わえない監督のいろいろな意味で独特な世界観を味わうことができる。今回は、彼の小説作品の一つである『機動戦士 ガンダム 閃光のハサウェイ』より、主人公機であるΞガンダムを紹介しよう!

『閃光のハサウェイ』はそのタイトルが表すように、ブライト=ノアの息子のハサウェイ=ノアが主人公のオリジナル小説である。『逆襲のシャア』の時代から10年以上経過した宇宙世紀105年を舞台に青年となったハサウェイが何とテロリストとなって、連邦軍に反旗を翻すというストーリーである。この時代の連邦軍は腐敗がさらに進み、地球ではマンハンターたちが人狩りを行うほどになっていた。さらに、地球に住む特権階級層の既得権をさらに強化する法案が連邦議会の中で審議されており、その法案可決を阻止するためにハサウェイはマフティー=ナビーユ=エリンを名乗り、連邦軍の官僚の粛清に奔走する。

Ζガンダムの幼い子どもだった時代の彼からは想像の付かない状況になってしまっているが、それは親しくなったクェス=パラヤを失くしているからであった。『逆襲のシャア』の時代、13歳だったハサウェイは、クェスをシャアから取り戻すためにジェガンで無断出撃を行った。しかし、ハサウェイの努力もむなしくハサウェイはクェスを取り戻すことは出来ず、彼女を失くしてしまう。(注1)逆上したハサウェイはクェスを撃墜したチェーンのリガズィを撃墜してしまう。

銃を向けるハサウェイ
ハサウェイ「チェーンか、やったのは!?」

チェーンのリガズィを撃墜するハサウェイ
ハサウェイ「やっちゃいけなかったんだよ!そんなことをわからないから、大人って地球だって平気で消せるんだ!」

戦いから帰還したものの、クェスを失くしてしまったショックでハサウェイは、若くして鬱病を患ってしまう。その治療を兼ねてハサウェイは植物監視員の研修生として地上に降下することとなった。しかし、ハサウェイは密かにシャアの「人類は宇宙に住むべきである」という地球保全思想に共感を覚え、その思想に傾倒していった。シャアの理想を連邦の高官を粛正するという形で実行するため、彼はマフティーに参加、その表向きのリーダーとなったのである。

さらに、マフティーに参加したハサウェイは密かにアナハイム・エレクトロニクスに新型のニュータイプ専用MSの開発を依頼した。その結果誕生したのが、Ξクスィーガンダムである。ギリシア文字では、Ξはνの次の文字である。このことから、アムロの意志を継ぐという意味合いがガンダムの名前に含まれている。アムロからガンダムを、シャアからは地球保全思想を受け継いだハサウェイは、Ξガンダムとともに戦場を駆け巡る。

GジェネのOP風に・・・
マフティー=ナビーユ=エリン・・・。
「正当な預言者の王」と意味もつその人物は、かつてシャアの反乱を戦った少年、ハサウェイ=ノアであった。
Ξを冠した新たなガンダムの闘いの物語が始まる・・・。

注1 小説は富野監督が執筆した小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編という形で執筆されている。『ベルトーチカ・チルドレン』では、ハサウェイが自らの手でクェスを撃墜した形になっており、その自責の念から鬱状態になってしまっている。
あれが新型なら、バンダイはやりやがったな。
この小説でハサウェイが乗るΞガンダムは、標準的なMSのサイズで初めてみのフスキークラフトを搭載している。このミノフスキークラフトのおかげで、ΞガンダムはMAに変形することなく人型を維持した状態で音速を超える飛行能力を得ている。後の時代のMSとは違ってミノフスキークラフトを搭載した影響で、同じ時代の通常のMSよりも一回り大きい全高28メートルにまで大型化している。

ジェガンとの比較
近い時代の量産機よりもはるかに大きな体躯を誇るΞガンダム
この機体が音速を超えて大空を駆け巡る

小説に登場したマイナーな機体である上に、映像化や立体化を前提としない線が多いデザインだったということで、このΞガンダムは主人公機であるにもかかわらず長らく商品化されてこなかった。しかし、2000年に発売されたPS専用ゲーム『GジェネレーションF』に登場したことで、若い層にもこの作品が認知され始め人気が出てきた。このゲームに登場した際に、小説版でもデザイナーを手掛けた森木靖泰氏の手によりリファインされた。このデザイン変更を受けてΖガンダムのようにスリットのなかった顔のデザインが、スリットのあるガンダム顔に変更され、さらに各種武装のデザインも描きおろされた。

Gジェネに登場したデザインを基にして、メカデザイナーのカトキハジメがさらに立体化出来るようにリファインし、2005年にGUNDAM FIX FIGURATIONシリーズで初めて立体化された。この商品ではライバル機であるペーネロペーとコンパーチブルで発売され外装を入れ替えることで二つの機体を楽しめるというシリーズであった。タンポ印刷で細かくマーキングも施され、カトキハジメがデザインを手がけているだけあり、基本的なプロポーションなどは良好な商品であった。

しかし、このころ発売されたアクションフィギュアはPVCが主体であり、塗装や顔の造形に個体差が出るなどの難点も指摘されていた。また、サイズも小さくコンパチ仕様のため扱いが非常に難しいという欠点をはらんでもいた。

そして、この商品発売から6年経過した2012年の魂NATIONSにおいて、ROBOT魂 Ka signatureシリーズで発売されることが発表された。販売形態はプレミアムバンダイでの限定発売という形で、2013年1月から予約が開始され同年6月に発送という形になった。マイナー作品の商品化ということで限定商品になったことに加え、大型商品であるということから値段が通常のROBOT魂シリーズより高額の10500円になってしまったが、Ka signatureシリーズでは初めてのガンダムの商品化と相成った。その出来を詳しく観ていこう。

限定アイテムということで、通常のROBOT魂とは違いウィンドウのないパッケージに入っている。大型のフィギュアが入っているため、レグナントほどではないもののパッケージは大きい。

パッケージ表 パッケージ裏
高額商品なだけあり、通常のROBOT魂より箱は大きめ

このパッケージの画像は公式サイトの画像を流用したいつものパッケージなのだが、裏面にカトキハジメのデザインのΞガンダムを拝むことができる。

カトキハジメのデザイン画
この商品の元になったΞガンダムがパッケージ裏で拝める

このデザイン画を元にしてこの商品は立体化されている。まずは全身のプロポーションを見てみよう。

ROBOT魂 Ξガンダム 前 ROBOT魂 Ξガンダム 前
大型の肩アーマーで、上半身が逆三角形のシルエットを形成しているΞガンダム

1980年代後半の線が多い、ゴテゴテしたデザインをカトキハジメが立体映えするようにリファインしている。ボディ部の主要な箇所の素材にはABSが使用されており、GFF以上のシャープさを誇っている。また全身には艶消しが施されており、安っぽさは軽減しているのが特徴である。ただし、Ka Signatureの特徴である全身の塗装は施されておらず、基本的には成型色になっているのが残念なところである。

商品は胸〜背中にかけてのウイングパーツが取り外された状態で入っている。背中のウイングパーツはΞガンダムの巨体を空中に浮かべるためのミノフスキークラフトなのだが、これをはずすと胴体のインテイクなどが見えるようになる。インテイクの形状はνガンダムのそれと似ており、Ξガンダムがνガンダムの後継機であるということが容易にわかる。

飛行ユニットを取り外したところ

ミノフスキークラフトを取り付ける時は、頭のアンテナパーツが干渉してしまうので一度頭部パーツを取り外しておこう。可動を保障するために、胸アーマーはボールジョイントで接続されておりフレキシブルに可動させることができる。また、肩関節は前方に引き出すことが可能なため、幅広いポーズを取らせることが可能である。

Ξガンダムは、大型の機体だけあり本体側には様々な武装が取り付けられている。その武装を見てみよう。まず、Ξガンダムの手持ちの武器はビームライフルとビームサーベルである。また、防御のためにシールドも装備されており、この辺りは一般的なMSと大差ない。ビームサーベルは肩部からのびるラックに収納する。

手持ち武器を取りつけたところ

ビームライフル シールド
大型の機体だが、武装は標準的な物を使用する

ホビージャパンのΞガンダムの紹介時には、ペーネロペーが装備していたビームライフルも付属する予定であると描かれていたが、実際の商品には付属していない。また、公式サイトで最初にあった交換用のアンテナパーツも、後の更新で付属しないことが発表された。

シールドの取り付けは腕アーマーの一部を取り外し、ボールジョイントで接続する。ボールジョイントは、レールでスライドさせて好きな位置で固定することも可能である。

シールドのボールジョイント

ここまでの武装は通常のMSと同じなのだが、Ξガンダムの腕と膝部分にはミサイルハッチが隠されている。普通のMSよりも大型の機体であるためか、Ξガンダムは隠し武器として多数のミサイルを内蔵しているわけである。商品では腕の装甲と膝の装甲は展開させることができ、ミサイルの発射口もしっかりと造形されている。

腕部ミサイルハッチの展開
ロールオーバーで画像が変わります

膝部大型ミサイル
テロリストらしく、ミサイルがあちこちに仕掛けられているΞガンダム
全身に搭載されたミサイルを駆使して空爆を行うことも可能

また、ニュータイプ専用MSとして開発されたΞガンダムにはサイコミュが搭載されている。Ξガンダムのリアスカートにはサイコミュ兵器であるファンネルミサイルが搭載されている。この発射口の造形もしっかりと施されている。

ファンネルミサイル発射口
Ξガンダムのファンネルミサイルはリアスカートに収納されている

このファンネルミサイルは脳波コントロールするホーミングミサイルで、ほかのファンネルとは違いビームを発射することができない。富野監督の小説版でのファンネルは、ミノフスキー粒子下で使用できるホーミングミサイル的な位置づけとなっており、使い捨てることが前提となっている。本製品では、ファンネルミサイルが2つ付属している。

ファンネルミサイル
マフティー=ナビーユ=エリン「そんなところで油断をして・・・!!」
ロールオーバーで画像が変わります

円錐を二つくっつけたような独特な形をしているファンネルミサイルをシャープに再現している。このファンネルミサイルは好きな場所に置くように取扱い説明書に記載されているが、魂STAGEなどに接続できるようにしてもらいたかったものである。また、Gジェネなどでは一度に8つほど発射しているので、もう少し多めに付属させてほしかったところ。

このほか、前肩アーマーの先端にはメガ粒子砲が装備されている。この武装はGジェネではオミットされており、いまいち影の薄い武装である。

肩部メガ粒子砲
Gジェネシリーズでは存在を抹消されてしまっている武器

またΞガンダムにはビームバリアが装備されている。これは、大気を拡散させ空気抵抗を軽減するためのもので、ビーム攻撃を防ぐことはできない。しかし、ビームバリアを展開すると機体全身が発光し、Ξガンダムは、30メートルクラスの巨体を誇りながらマッハ2のスピードで飛行することが可能となる。

高速飛行時には、ビームサーベルを横に倒した後、両肩の前後のアーマーを展開し、さらに胸のアーマーと背中のミノフスキークラフトを上に持ち上げる。肩アーマーにはPOM製の内部フレームが内蔵されており、肩アーマーの展開が可能となっている。

飛行形態への変形
ロールオーバーで画像が変わります

高速飛行形態
肩のアーマーを展開し、高速飛行形態になる
ペーネロペーは変形する必要があったが、Ξガンダムは人型のまま音速を超えた飛行が可能となる

人型を維持して音速飛行ができる点において、Ξガンダムはライバル機であるペーネロペーよりも高性能である。連邦軍には未完成品を供与し、テロリストに完成品を与えて双方の戦力を拮抗させ自社の利益を上げようという意図がアナハイムにはあったのかもしれない。

ΞガンダムはほかのROBOT魂よりも大型であるため、魂STAGEを使用してディスプレイすることはできない。そこで、専用の白いスタンドが用意されている。

専用スタンド
Ξガンダムの巨体を支えるために強固な作りの専用スタンドが付属している

このスタンドパーツは、Ξガンダムを保持できるように3か所にロック機構が備わっている。このロックのおかげでΞガンダムの巨体を安定して空中にディスプレイさせることが可能となっている。また、台座の部分にはタンポ印刷で作品のタイトルとΞガンダムのスペックが英語表記されている。

台座部分

本体との接続は背中か股間で行うことができる。それぞれ専用コネクターが用意されているのだが、腰部スタンドのコネクターの取り付けが非常に硬い。本製品にはシャープな部分が多いので、無理に取り付けようとして他の部分を破損させないように気を付けよう。

バンダイの犯した過ちは、ユーザーが修正する!
本体側のギミックと可動範囲は非常に充実している。過去のGFFでは、造形重視で可動面が辛かったことを考えると、ROBOT魂のΞガンダムは過去のものと比べ物にならないくらい改善されている。大きさも1/144スケールになっているので、HGUCのキットなどと並べると絵になるので筆者は満足している。

ただ細かい不満点がないわけではない。まず、筆者個人が気になったのはデカールである。このデカールはKa signatureシリーズのお約束なのだが、パッケージでミノフスキークラフトに貼られているアナハイムエレクトロニクスのマークが個人的には違和感を感じるのである。

というのも、Ξガンダムは、テロ集団が極秘裏に開発した機体であるため、どこが製造したのかわからないという記述が小説版に存在していた。製造元を状況からブライトが「アナハイムが作ったのだろう」と推測するシーンが小説に存在するのだが、そのことを知っている人間からすると、でかでかとアナハイムのマークがあるのは違和感である。デカールを貼る貼らないはユーザーの裁量となっているため、筆者は貼らずにいる。(単に技術がないだけという理由もあるが)

また、サンプル品では墨入れが施してあるが、製品版では墨入れが施されていない。大きさも結構ある上に白いパーツが多いため、間延びした印象を受けてしまう。実際は細かくモールドが造形されているので、気になる人は墨入れを施そう。(注2)

しかし、このΞガンダムの評価はあまり高くない。というのも、顔の造形がビミョウなのである。最近のROBOT魂は顔の造形に非常に注意を払って作っているはずなのだが、サンプルや試作品とは顔の造形が劣化してしまっているのである。それでは実際に顔のアップをご覧いただこう。

顔のアップ
大変不評を買ってしまった顔パーツ

顔を正面から見ればわかるのだが、一つ目の難点としてマスクパーツが長く見え、馬面になってしまっている。これは初期のガンダム系のROBOT魂でよく見られた現象で、最近は改善されてきていたのだが、同じ過ちを繰り返してしまっている。また、カメラアイの部分がまるでゲーム会社のバンプレストのロゴみたいに繋がっているように見えてしまい、「ガンダム」の顔の造形から逸脱してしまっている。

また、これは元のデザインがそうだからかもしれないが頬のダクト部分が異常に長い。そのため横を向こうとすると胸アーマーと頬のダクトが干渉してしまうため、顔を横に向けることができない。

マスクパーツの長さと繋がっているように見える点が、顔の造形を悪くしてしまっている要因になっている。斜め上や遠目などのカメラアイが見えない状態になるとそこまで違和感は感じないが、やはり人形は顔が命ということで顔の造形で大きく評価を落としてしまっている。 ちなみに、プレミアムバンダイのΞガンダムの紹介ページでは原寸大より2倍大きい顔パーツを作成して造形のチェックを行っているという記述があるにも関わらず、その努力がまったく結果に表れていないという残念なことになっているのである。

ショールームでサンプルが展示されてからネットでは不吉な予感がすると言われていたが、その予感が見事に的中してしまう形になってしまった。Ξガンダムは宇宙世紀ファンからすると、マイナーな分期待をかけている人が多く、その期待が裏切られたショックもあるのだろう。

ふたばちゃんねるの模型裏のΞガンダムのスレッドでは、この点を修正すべく悪戦苦闘している人が何人かいた。そこの情報によると、まず、バイザーの問題は目の端をガンダムマーカーで塗装するのが一つの修正方法である。また、成型不良なのかカメラアイの上の部分が膨れてしまっており、その部分を削って組み直すと大幅に難点が改善されるようである。マスクパーツを削って小顔化する作戦も紹介されていたが、Ξガンダムのマスクパーツは近年のRGと同じくスリットの部分がモールドではなく、実際に穴があいている構造になっているため、通常のマスクパーツよりも強度が落ちている。最悪、削っている最中にマスクが割れてしまうこともあるので、あまりお勧めはできない方法である。

長らくプラモを作っていない筆者がやるには困難な作業なため筆者は改造による顔の修正を施していないが、どうしても気になる腕の確かな人は自己責任で修正するのも手である。ただし、限定品であるにも関わらず、墨入れが雑誌上で推奨されていたり、ユーザーが手を入れないといけないという事態は極力避けてほしいものである。しかも、今回は10000円オーバーの高額商品で、うっかり壊すということはできないのだから・・・。
注2 尚、ホビージャパンのΞガンダムの紹介記事ではユーザーが墨入れすることを推奨している。Ka signatureがマニア向け商品であるとわかってのことだろう。
テイク・オフ
『閃光のハサウェイ』は逆襲のシャアの翌年の1989年〜1990年にかけて全3巻の小説が刊行された。このころの富野監督は、小説の執筆にも手慣れてきたため、ストーリー面・文体面も非常に読み応えがあるとファンの間では評価されている。しかし、レギュラーキャラクターの息子がテロリズムに走っているという不穏なストーリからわかるように、その最後は非常に悲劇的に終わるという殺しの黒富野全開の鬱作品である。今回は、『GジェネレーションF』、『Gジェネレーション スピリッツ』のシチューエーションモードをベースにΞガンダムの活躍を再現する!

連邦軍の高官たちを乗せたシャトル、ハウンゼンの中から物語は始まる。連邦軍の技術士官であるケネス=スレッグは、連邦の高級官僚しか乗ることのできないシャトルの中に似つかわしくない金髪で色白の少女を見つける。彼女はギギ=アンダルシアという16歳の少女で、彼女に何かを感じたケネスは彼女の座席の隣に座る。

ケネスはギギと話を始めたのだが、ギギは直感的に初対面であるはずのケネスが大佐であることを言い当て、さらにマフティー討伐の任を受けていることを言い当てた。彼女の感受性の高さに驚きながらもケネスが席を立とうとしたとき、大気圏突入を始めたシャトルが大きく揺れ出した。その揺れはベースジャバーがシャトルに接触したため起きたものであった。ベースジャバーからハロウィンのジャコランタンのマスクをかぶったハイジャッカー達がハウンゼンの中に侵入し、ハウンゼンはハイジャックされてしまう。ハイジャック犯たちは自らをマフティーと名乗り、連邦の官僚たちを盾に取り、連邦政府から身代金を要求しようとしていたのである。

銃を持ったハイジャック犯たちに敢然と立ち向かう青年がいた。それは、かつてシャアの反乱を戦ったハサウェイ=ノアであった。ハサウェイは植物監視官の見習いとして地球に降下するため、ハウンゼンに乗り合わせていたのである。ハサウェイは、ハイジャック犯の一人を殴り倒すと同時に銃を奪い、ハイジャック犯たちを一人も殺さず投降させた。

ハサウェイの活躍によりケネスはハイジャック犯たちを拘束した。ハイジャック犯たちはマフティーを名乗る偽物であることが判明した。ハサウェイの勇気ある行動に感銘を受けたケネスは、ハサウェイと親しくなっていく。・・・。

ベースジャバーとの接触により、機体が損傷したハウンゼンは着陸地をダバオに変更する。ケネスは連邦軍士官として今回のハイジャック事件の調書を取るため、ギギとハサウェイをホテルに泊めることに決める。ホテルの中でギギと再会したハサウェイは、ギギになぜハイジャッカー達がマフティーではないと見抜けたか尋ねた。

その問いに対し、「人は身体に現れる」と答えたギギは、さらにハサウェイがマフティー=ナビーユ=エリンであることを言い当てた。ハサウェイはその場を笑ってごまかしたものの、ギギの予知能力の高さに内心驚いていた。

ギギと別れたハサウェイは、マフティーの仲間であるミヘッシャ=ヘンスと接触する。月から射出される新型ガンダムの受け入れデータを渡し、目くらましのために自分がいるホテルを襲撃するよう指示を出した。

ハサウェイの指示通り、マフティーの量産型MSであるメッサーに乗ったガウマン=ノビルが街に対して空襲を仕掛けた。この騒ぎに乗じて、シベット=アンサーン率いる別同隊が連邦軍の飛行場を襲撃する。メッサーを迎撃するためにグスタフ・カール2機が攻撃を仕掛けてきた。しかし、連邦軍は街の被害を考えることなく攻撃を繰り出し、ガウマンはそのことに対して怒りを覚えていた。ホテルの襲撃を受け、ハサウェイはギギとともに街の中を逃げ回っていた。巨大なMS同士の戦いにギギは恐怖した。

交戦のさなか、音速を超えるスピードで飛行するMSが現れた。それは、連邦軍の若きニュータイプパイロット、レーン=エイム駆るミノフスキークラフト搭載の新型、ペーネロペーであった。ペーネロペーはガウマンのメッサーに組みつき、僚機のグスタフ・カールとともにガウマンのメッサーを捕縛した。

戦闘が終わると、ハサウェイとギギの二人はケネスによって保護された。連邦軍の基地に連れてこられたハサウェイは、仲間のガウマンが拘束され移送されている姿を見た。ハサウェイは素知らぬ顔をしていたが、内心では仲間であるガウマンを心配するのだった。取り調べが終わるとハサウェイはケネスにギギによろしく言うよう言伝、一人基地を後にした。基地を離れたハサウェイはマフティーの仲間と合流、新型ガンダムであるΞガンダムの受領のため、インドネシアにあるロドイセヤに向かう。

そのころ、自分には何も言わずに去っていたハサウェイをギギは不満に思っていた。ケネスは身元不明のギギをマフティーの連絡員ではないかと疑っていたが、大富豪の愛人であるという彼女の言葉からその疑いは消えた。しかし、ギギがハサウェイがギギのことを避けていたという証言すると、ケネスはハサウェイがマフティーではないかと勘づくのだった。

インドネシア近海で謎のMS部隊が飛行していると連絡を受けたケネスは、レーンに出撃を命じた。そのペーネロペーのコクピットの中には人質としてガウマンが拘束されていた。ケネスはいざという時はガウマンを人質に使うようレーンに命じていたのだった。しかし、レーンは若さからペーネロペーで戦う限りそのような手は使わないと思った。

インドネシア海上では、マフティーが降下するカーゴ・ピサからΞガンダムを受領しようとしていた。しかし、そこにレーンの率いるキルケー部隊が襲撃してきた。一刻の猶予もない中、ハサウェイは落下するカーゴ・ピサに空中で乗り移るという危険な作戦を立案した。何とか、カーゴ・ピサに乗り移ることに成功したハサウェイだったが、レーンはペーネロペーのファンネルミサイルを発射しカーゴ・ピサを攻撃した。その攻撃によりカーゴ・ピサは爆発してしまう。

・・・しかし轟音と爆炎の中から新型ガンダムであるΞガンダムが出現した!

Ξガンダム出現!
レーン=エイム「な・・・!?ミノフスキークラフト機か!」

マフティー=ナビーユ=エリン「私はマフティー=エリンだ。諸君を無駄死にさせる意思はない!この機体に接触しないことを警告する!!」

自分と同じミノフスキークラフト機がテロリストの機体になっていることに驚くレーン。そんなレーンをハサウェイは「人質を取らないと戦えないパイロット」と挑発する。若さゆえか、挑発に乗ってしまったレーンはコクピット内にいたガウマンを放り出してしまう。ハサウェイはΞガンダムでガウマンをまんまと救出すると、ファンネルミサイルでペーネロペーを一蹴した。主力機を撃墜したことにより、ハサウェイ達は撤退する。

ナロウ・スペース
Ξガンダムを受領したハサウェイ達は、迫る閣議の襲撃に向けての準備を進めていた。そんな中オエンベリで、マフティーを騙る集団の一斉蜂起が行われる。暴動の鎮圧に連邦軍のキンバレー=ヘイマン大佐は、MSによる虐殺を行い、暴動の鎮圧にあたった。オエンベリはMSで人を握り潰したり、踏みつぶしたりして行われた虐殺により野犬が人の死体をあさるほどの地獄絵図だった。

キンバレー隊と一戦交え、キンバレー以下を捕虜にすることに成功したハサウェイ達は、自分たちの名をかたっていたグループのリーダー、ファビオ=リベラと合流する。ファビオはマフティーのリーダーがー若い青年だったことに驚くも、仲間を虐殺された恨みも手伝って彼らと共闘することにする。

ギギの連絡により、閣議がオーストラリアのアデレートで行われることを掴んだハサウェイは、アデレートの閣議で閣僚たちの粛清を行うことを決める。陽動作戦としてファビオ達にダーウィン空港を襲撃するよう頼み、ハサウェイ達はエアーズ・ロックを経由してアデレートを目指す。

ダーウィン空港ではケネスとギギが閣僚たちとともにアデレートへ向かおうとしていた。閣僚たちがのんびりと機内に乗り込むさなか、ギギは嫌な予感を覚えケネスに訴える。彼女の言葉から、ケネスはとっさに空港から飛び立つようにキャプテンに指示を出した。その判断は的確で、ケネスたちが飛び去った直後、ダーウィン空港はファビオ達に襲撃され、飛行機2機を失ってしまう。

またしても間一髪でギギに救われたケネスは、彼女が勝利の女神であると彼女に告げる。そんな彼女はキンバレーの居場所について話だし、エアーズ・ロックに観光に行きたいという。彼女の言葉からキンバレーとマフティーがエアーズ・ロックにいるのではないかと感じたケネスは、ギギを連れてMS部隊をエアーズ・ロックに派遣した。

ギギの直感はまたしても的中していた。エアーズ・ロックではダーウィン空港を攻撃したファビオとハサウェイ達が合流していたのだった。ハサウェイは一人残り、ファビオ達のメッサーをアデレートに向かわせる。ハサウェイは襲撃してきた部隊をΞガンダムで撃破する。その際、輸送機を行動不能に追い込むのだが、その輸送機の中にギギを見つける。ギギは、ハサウェイに自分を捕虜にするよう申し出る。

ハサウェイは輸送機を完全に破壊すると、ギギを連れアデレートを目指す。Ξガンダムのコクピットの中でハサウェイとギギは再会を喜んだが、ギギはハサウェイがマフティーそのものだと知り複雑な表情を浮かべるのだった。

ギギ=アンダルシア(そうか・・・ハサウェイはマフティーか・・・。)

ビー・ディファーティト
ギギを残し、アデレートへ向かっていたケネスはギギがマフティーの手に落ちたことを知る。ギギがいなくなったことにより兵士の士気が落ちることを懸念していたところにマフティー達の犯行声明の放送が入った。

マフティー「今回開催されるアデレート会議は、連邦政府の差別意識を合法化するためのものです。」

変声機で声が変わっていたものの、ケネスは放送の主がハサウェイであることに気が付いた。

マフティー「旧世紀の最後の1世紀だけで急増した人々が地球に瀕死の重傷を負わせました。今日に至っても未だ地球は癒されていません。それが何を意味するか・・・。そうです。地球にはまだ人類が戻ってはならないのです。なのに連邦政府は人類が地球に戻れる準備を始めてその前に既得権を手に入れようとしているのです。・・・で、これらの法案を破棄しない限り閣僚たちの粛清をここで実行することを宣言します!」

マフティーの言葉を聞いたケネスは、彼の言葉は本当ならば正しいと思った。マフティーは民間人の巻き添えを避けるため民間人に避難するよう呼びかける。その宣言を聞いたケネスはとうとうハサウェイと対決する覚悟を決める。ケネスはビームバリアの設営を急がせた。

キャンプで休んでいたハサウェイは、昔自分から離れていったクェスの悪夢を見る。クェスは夢の中でハサウェイを罵倒し続けた。悪夢にうなされ目が覚めたハサウェイにギギは優しく声をかけた。

ハサウェイはギギに自分がニュータイプ的な力はなくそれを忘れるためにギギを道具にしているのだと弱音を吐く。そんな彼の言葉に、ギギはマフティーとしての使命感がそうさせるのだと返す。その言葉を聞いたハサウェイは、ギギを自分のテントから追い出した。

アデレート会議は定刻通り行われることを知ったハサウェイ達は、街の中心部にあるフェスティバルセンターの攻撃を決定する。ハサウェイは陽動としてΞガンダム単機で連邦軍の基地を強襲する。飛行形態で音速を超えるスピードを出すΞガンダムの機体はビームバリアによって光を帯びていた。

空爆を行うΞガンダム
レーン=エイム「ガンダムもどきめ!俺の頭の上をパスしていきやがった!
しかもMS形態のまま音速をはるかに超えてだ!!」

一方、フェスティバルセンターではガウマン達のメッサーが閣僚たちの粛清を行っていた。マフティーの攻撃の前に閣僚たちの手により件の法案は可決されていたが、この襲撃によって閣僚たちの半分が粛清されてしまう。マフティーの攻撃を迎え撃つため、レーンはペーネロペーで出撃する。マフティーは仲間のエメラルダ=ズービンを失いながらも、撤退に成功。ハサウェイとファビオの部隊に合流し、弾薬の補給を行った。

フェスティバルセンターの襲撃で一定の戦果をあげたものの、地上部隊の撤退を助けるためにもう一度攻撃を仕掛ける必要があった。補給を済ませたΞガンダムは、防衛にあたっていたグスタフ・カールを次々と撃破していく。ハサウェイの出現に、ケネスはS-18に設営していたビームバリアに電力を供給するよう指示を出す。

そのころ市街ではΞガンダムとペーネロペーが交戦を始めていた。何度もΞガンダムに煮え湯を飲まされ続けていたレーンは、ハサウェイに食い下がる。

レーンと戦うΞガンダム
マフティー=ナビーユ=エリン「来たか、レーン=エイム!」

レーン=エイム「ガンダムとは一度ちゃんとやってみたいと思っていたんだ!」

レーンがガンダムと交戦していることを知ったケネスは、レーンにS-18ポイントにガンダムをおびき出すよう指示を出した。レーンはガンダムと交戦しながら、ポイントへと向かっていくが、Ξガンダムの攻勢の前に徐々に押され始めていた。アデレードの市街地をΞガンダムとペーネロペーは音速を超えたスピードで駆け巡る・・・。

指定ポイントに到着したペーネロペーは機体をわざと制止させた。ハサウェイは動きの止まったペーネロペーに止めを刺そうとビームサーベルを振りかざす。

ビームサーベルで止めを刺そうとするΞガンダム
マフティー=ナビーユ=エリンうおおおおおおおおっ!!

しかし、Ξガンダムの機体が指定ポイントに到達したとき、ビームバリアが作動した!攻勢を仕掛けていたΞガンダムはバリアによってからめ捕られ、コックピットの中を強烈な電流が襲った。

ビームバリアにからめとられるΞガンダム
マフティー=ナビーユ=エリンぐああああああああああッッッ!!

ビームバリアにからめとられたΞガンダムは沈黙、中にいたハサウェイは全身に火傷を負うほどの重傷を負ってしまう。沈黙したΞガンダムからマフティーを逮捕しようとコクピットハッチを開けたレーンは、中にいたパイロットがケネスと親しかったハサウェイだと知る。この事態に自分がどうすればいいのかわからなかったレーンは、ただただ空を茫然と見上げるだけしかできなかった。

マランビジー
かくして、マフティー=ナビーユ=エリンことハサウェイ=ノアの捕縛を以てアデレートでの戦いは終息した。全身大やけどを負ったハサウェイは病院に搬送され手厚い看護が施され、一命を何とか取り留めた。しかし、それはハサウェイを「戦死」ではなく、「処刑」という形で抹殺したい連邦軍閣僚の思惑が働いてのことだった。意識を取り戻したハサウェイに、連邦軍の士官は銃殺刑が執り行われることを淡々と伝える。

ハサウェイ=ノア「父さん・・・母さん・・・この結果は僕がニュータイプに出会ったために自分の能力を顧みることなくニュータイプになろうとしたことの結果なんだなあ・・・。クェス=パラヤのこととか戦争とかそんなことでこんな結果になったんじゃない。あの時、ギギもそんなことを言っていたみたいだった。夢だったな・・・。夢を見ていたみたいだ・・・ずっと・・・。」

ハサウェイを裁判にかけることもなく、ただ個人的な復讐心によって反地球連邦運動への見せしめのために処刑を執り行うことを決めた閣僚たちに嫌気がさし、ケネスは辞職届を提出した。しかし、軍はケネスの申し出をタダで引き受けることはなかった。ケネスは辞職と引き換えにアデレートの事件の全責任を負わされ、マフティーの処刑を命じられたのだった。

そんなケネスのところに、マフティー討伐の増援の任を受け地球に降下した第十三独立艦隊司令、そしてハサウェイの父親であるブライト=ノアがケネスのところに訪れた。これから息子の処刑を取り行おうとしている自分が、ブライトに会ってはいけないとケネスは感じる。ブライトと辞職についての話をしながら、ケネスはガンダムについて言及した。

ケネス=スレッグ「艦長はマフティーのガンダムをご覧になりましたか?どこで作られたものかわからなくてね・・・。製造工場を示すものが一切なかった・・・。」

ブライト=ノア「あの造りはアナハイムですよ。」

反連邦の旗印としてマフティーがガンダムの名を語ったことを許せないのではないかとケネスはブライト尋ねた。

ケネス=スレッグ「艦長は不穏分子の機体にガンダムの名称が使われるなんて許せないでしょう?」

そんなケネスにブライトは歴代のガンダムのパイロットを見てきた立場としてこのように答えた。

拿捕されてしまったΞガンダム
ブライト=ノア「そうでもありません。歴代のガンダムはいつも反骨精神を持ったものが乗っていました。
そしてガンダムの最後はいつも首がなくなったり、機体が焼かれたり、バラバラになったり・・・。
しかし、その反骨精神はガンダムがなくなった後も健在だったものです。」


ブライトの言葉にケネスはそういうものかと納得したのだった・・・。

ハサウェイが処刑されることを聞きつけたギギは、ビクトリア湖のコテージにやってきた。そのコテージではハサウェイの父親であるブライトがいることを知り、父親の目の前でハサウェイを処刑するのかとギギはケネスを問いただした。ケネスはブライトに処刑の場を見せないように努力していることを伝えると、ギギをその場から追い返した。そんなケネスをギギは怒りのまなざしで見つめるのだった。

宇宙世紀0105年、5月1日早朝・・・。ついにマフティー=ナビーユ=エリンの銃殺刑が執り行われる時がやってきた。ケネスはマフティーに言い残したことはないか尋ねる。すると、マフティーはこのように答えた。

マフティー=ナビーユ=エリン「マフティーとして言いたいことは言った。いつかは人類の健やかな精神が、この地球を守ると信じている。それまでは人の犯した過ちは今後ともマフティーが粛清し続ける。」

彼の言葉を受け、懺悔したいことはないかとケネスは再び尋ねる。

マフティー=ナビーユ=エリン「僕に豊かな人生を提供してくれた人々すべてに心から感謝する。」

ケネスは友人としてハサウェイと最後の言葉を交わす。

ケネス=スレッグ「縛った手は痛くないか?」

ハサウェイ=ノア「ちょうどいい・・・。」

ケネス=スレッグ「ハサ・・・好きだぜ?」

ハサウェイ=ノア「ありがとう。」

ケネス=スレッグ「・・・いつまでも友達と思っている。忘れないぜ?」

ハサウェイ=ノア「ああ・・・。僕もだ、大佐・・・。」

ハサウェイ=ノア「ありがとう。」

そして、ケネスは静かに兵士たちに銃を構えるよう指示を出した。そして、刑の執行の合図とともに銃声がビクトリア湖にこだました・・・。ハサウェイ=ノア、享年25歳・・・。ニュータイプと出会い、その運命に翻弄された短い生涯を彼は終えたのだった。

ハサウェイの処刑から数日後、一つの事件が起きた。それは、官僚のマスコミへのリークによってマフティーの正体がブライト=ノアの息子、ハサウェイ=ノアであると報じられたことであった。しかも、その処刑執行は、実の父親の手によって行われたという事実とは違う報道であった。この報道により、サウェイの正体を隠すために奔走したケネスの行いは徒労となった。しかも、このマフティー処刑の報道は、ますます民衆の連邦軍への不信を招くという皮肉な結果に終わってしまう。

この事件の後、軍を辞職したケネスとギギはハサウェイの母方の故郷であるニホンにそれぞれの思いを秘めて旅立つ。ギギはケネスに今後どうするのかを尋ねた。。

ギギ=アンダルシア「ニホンは人も少ないし、気候も良いって言うし、そこで死ぬわ。大佐はどうするの?」

ケネス=スレッグ「今の連邦政府がなくなって新しい組織ができたってまた組織の悪癖が出る。そのために次のマフティーでも作る用意でもするかな・・・。」

ギギ=アンダルシア「次のマフティー・・・?」

ケネス=スレッグ「100年後かもしれんが、シャアやハサウェイ、アムロでも良いな。そんなのが復活するような組織を作ってみたい!」

次のマフティーを作りたい・・・。ケネスのその言葉にギギは深く感慨を受ける。

ギギ=アンダルシア(これで・・・終わりじゃない・・・。彼の・・・ハサウェイの名は『マランビジー』となって伝説に昇華される・・・。)

『マランビジー』・・・。オーストラリア原住民、アボリジニーの言葉で「絶えることのない水道」という意味を表すその言葉通り、ハサウェイの名は今後も語り継がれていくだろう。ときに、宇宙世紀0105年、「マフティー動乱」と呼ばれることになるその事件は、後味の悪い悲劇とともに幕を下ろしたのだった・・・。

死ぬぐらいはみんながやってきたことだ・・・。僕にだってちゃんとできることだ。(もどる)