ROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダム

バンダイ ROBOT魂シリーズ

フルアーマーユニコーンガンダム(ユニコーンモード) 定価:5250円(消費税5%込)

フルアーマー対応版フルアクションユニコーンガンダム(デストロイモード) 定価:4320円(消費税8%込)

ROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダム(ユニコーンモード)
物語はクライマックス!
La+の示した最終座標、メガラニカにフル装備で急行せよ!!

PSYCHO-FIELD
宇宙に再び舞台を移したガンダムUCの物語は、ついに箱の秘密という物語の核心に迫っていく。OVAシリーズは、当初6話だった全話数を7話に延長することが決定され、2013年3月に公開された6話では、フロンタルの目的と各登場人物の決意が丁寧に語られていく。そして、バンシィの強化型のバンシィ・ノルンとタクヤが考案したフルアーマーユニコーンが登場し、最終座標であるメガラニカを目指す。

オードリーとマリーダをガルダから無事に救出し、宇宙へ飛び立とうとするバナージ達であったが、彼らの前にはさらなる試練が待ち構えていた。5話の終盤では、ついにユニコーンガンダムのサイコフレームが覚醒し、奇跡の力の片りんを見せる。

二人を救出したガランシェール隊は、ブライトの根回しによりネェル・アーガマと合流するポイントへと向かう。当初の作戦では、宇宙空間にいるネェル・アーガマがテザーケーブルでガランシェールを引き上げ宇宙に連れ出す算段でいた。しかし、たび重なる激戦のため、ガランシェールのエンジンにトラブルが発生。出力不足のため予定上昇ポイントまで上昇出来ずにいた。

そこでバナージは、ガランシェール搭載のギラズールとともに背後からフルスロットルでガランシェールを押し出そうと試みる。この状況は、3年前の第二次ネオ・ジオン戦争の際、アクシズを押し出そうとしていたνガンダムの姿を彷彿とさせる。

ガランシェールを押し出そうとするユニコーン
ジンネマン「無茶しやがる・・・。」

バナージ達の行為によりガランシェールは上昇を始めた。しかし、MS3機分の出力ではガランシェールの巨体を持ちあげるのは非常に困難を極め、予定軌道に戻すにはまだまだパワー不足だった。ネェル・アーガマは、高度を下げられるギリギリのところで、テザーケーブルを射出した。

テザーケーブルを射出するネェル・アーガマ
オットー「よし、テザーケーブル射出!」

レイアム「テザー、射出!」

レイアム副長の復唱の後、ネェル・アーガマからテザーケーブルが射出された。射出したテザーケーブルは、艦内に残っていたバナージの親友、タクヤが操作し軌道がずれないように調整していた。

タクヤが操作するテザーケーブル
タクヤ「宇宙に戻ってこい、バナージ!」

ネェル・アーガマからテザーケーブルが射出されたことを感知したバナージは、ユニコーンガンダムをガランシェールの上へと飛翔させた。

テザーが射出されたことを感知したバナージ

ガランシェールの船体上に出たバナージは、曳航用の柱を掴み、ユニコーンガンダムをデストロイモードに変身させ、デストロイモードのスラスターの推力で船体を持ち上げようとした。

デストロイモードに変身するユニコーン
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンガンダムがデストロイモードに変身したことにより、ガランシェールの機体はさらに持ちあがった。バナージはユニコーンガンダムのマニピュレーターで射出されたテザーケーブルを間一髪のところで掴んだ。

テザーケーブルを掴んだユニコーン
タクヤ「届いた!」
ロールオーバーで画像が変わります

ユニコーンがテザーケーブルを掴んだことで接続が完了したように思われた。しかし、実際はテザーケーブルの長さがわずかに足らず、ユニコーンガンダムはテザーケーブルの力に引っ張られる形になってしまう。

テザーケーブルに引っ張られるバナージ
バナージ「ぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・・。」

ジンネマン「駄目だ、機体が裂けちまう!」

オードリー「バナージ!」
ロールオーバーで画像が変わります

インテンションオートマチックシステムにより、ユニコーンガンダムに加わる力はそのままコクピット内のバナージにも伝わっていた。バナージは体が張り裂けそうになりながらも、必死にテザーケーブルを離すまいと踏ん張っていた。

踏ん張るバナージ
バナージ「ぬおおおおおおっ!」

バナージはユニコーンの操縦かんを握る手に手を添えてくれた存在を感知した。それは、ラプラスの残骸での戦いで命を落としたダグザとギルボアだった。彼らは死んで意識のみの存在になってもバナージのことを見守っていたのだった。自分を見守ってくれている存在に気付いたバナージは、自らを静かに奮い立たせた。それに反応するかのようにユニコーンのサイコフレームの色が緑色を基調とした虹色に変わり、同じ色の光がユニコーンとガランシェールを包み込んだ。

ユニコーン、覚醒!
ジンネマン「なんだこの光は!?」
ロールオーバーで画像が変わります

その光は宇宙空間にいたネェル・アーガマさえも包み込み、ガランシェールをゆっくりと上昇させた。その光景は、3年前にアクシズを押し返した時にνガンダムから発せられた光と同じ色の光であった。ユニコーンガンダムは、サイコフレームに秘められた力を解放し、小規模なアクシズショックとなったのである。

ゆっくりと上昇するユニコーンガンダム

その光を地球にいたマーサとアルベルトは驚きの目で見つめていた。また、ラー・カイラムからその光を見ていたブライトは、安堵の表情を浮かべるとともに行方不明となったアムロのことを思い出したか、その場で目を伏せたのだった。

一方、ガルダの中ではミネバに振られてしまったリディが、よろよろとバンシィへと歩みを進めていた。大切にしていたお守りを落としたことも気づかず、リディはバンシィを見つめながらガンダムとバナージへの憎しみと復讐心を燃やしていた。そして、彼はある決意を固めていたのだった・・・。

落ちぶれていくリディ
リディ「ハァ、ハァ、ハァ・・・ガンダム!!」

宇宙に戻ったガランシェールだったが、息つく間もなく艦砲射撃に襲われる。砲撃の主は、宇宙艦隊再編成の旗印として建造された、ドゴスギア級の超巨大戦艦ゼネラル・レビルであった。罠にはめられたとジンネマンは感じたが、MSの展開布陣からゼネラル・レビルはネェル・アーガマも攻撃対象にしていることにミネバは気付いた。

バナージはユニコーンを発進させようとするも、成層圏での闘いやガランシェールをフルスロットルで引っ張った結果、ユニコーンは燃料切れを起こしてしまう。

万事休すかと思われたそのとき、ゼネラル・レビルのMSに攻撃を繰り出す者がいた。それは、パワーアップを果たしたアンジェロ=ザウパーの駆る機体、ローゼンズールとフル・フロンタルの駆るシナンジュであった。有線インコムを駆使し、ローゼンズールはゼネラル・レビルのジェガンとリゼルを戦闘不能に追い込んでいく。

フロンタルは、MSの攻撃を巧みにかいくぐりながら新たに装備されたバズーカ砲でゼネラル・レビルに攻撃を加え、たった2機のMSでゼネラル・レビル率いる大部隊を撤退に追い込んだ。

バズーカを放つシナンジュ

シナンジュのコクピットの中でフロンタルは不敵な笑みを浮かべ、こうつぶやいた。

不敵な笑みを浮かべるフロンタル
フル=フロンタル「これで少しは話ができる。箱の鍵・・・バナージ=リンクス!」

危機を脱したガランシェールとネェル・アーガマは、図らずも袖付きと共同戦線を張ることとなった。一時の平穏を得たバナージとミネバは、ネェル・アーガマの一室で互いの地球での体験を語り互いに心を通わせた。

ミネバ「私も信じたい・・・、人の善意を・・・。」

地球での出来事で人の善意を信じたいと感じるようになったミネバ・・・。バナージは、そんな彼女にだけLa+の示した最終座標を告げたのだった。

タクヤの考えた、さいきょうのユニコーン
最終決戦になると、主人公クラスのガンダムにはしばしば武装強化が施される。初代ガンダムはア・バオア・クー攻略戦時にはバズーカを2丁装備し出撃したし、ΖΖガンダムは追加装甲を施したフルアーマーΖΖになった。21世紀の作品を見ても、ガンダムSEEDではミーティアという突撃兵器が登場しているし、ガンダム00ではGN-アームズやGNHWなどの強化がガンダムに施されている。最終決戦でのガンダムのパワーアップはお約束の一つとして定着していると言える。

NT-Dで超常的な性能を誇るユニコーンガンダムもその例にあやかり、最終決戦のメガラニカに向かう際はフルアーマーユニコーンガンダムにパワーアップする。フルアーマーというと、追加装甲を施した形態を指すのだが、このフルアーマーユニコーンはネェル・アーガマ内にあるすべてのMSの武装を可能な限り装備させた形態である。

両腕にはそれぞれ2丁のビームガトリングとシールドを、脚部にはスタークジェガンのグレネードランチャーを、背中にはハイパーバズーカやビームガトリングが装備されている。また、バズーカにはスタークジェガンのミサイルポッドも取り付けられており、頭部のバルカン砲も含めて全17門もの射撃武器を装備しているのである。さらに、武装追加による機動力低下を防ぐため、ベースジャバーのプロペラントタンクを装備し、機動力を確保している。

このプランはバナージの友人でMSオタクであるタクヤが考案した形態である。ネェル・アーガマに取り残されていた彼は、持てる暇を使いユニコーンの強化プランを練っていたのである。OVA版では彼のプランを元にアナハイムの技師であるアーロン=テルジェフが調整し、彼の無茶ともいえる計画は現実のものとなった。

この無茶とも言えるパワーアップ形態は、プラモデルでも発売されている。デストロイモードへの変身を可能にしたMGでは、ベースジャバーを含めてフルアーマーユニコーンに装備されているすべての武装をすべて立体化、バックパックに装備させることが可能である。1/100の大きさで再現されたフル装備のユニコーンは値段と組み立ての手間が大きな問題となっているが、完成させたときの感動はひとしおである。

また、OVA6話と絡めてHGUCでもフルアーマーユニコーンが発売された。2013年2月に発売されたHGUC フルアーマーユニコーンはユニコーンモードに追加装備を与えたもので、HGUCでは初めてビームガトリングが立体化された。

そして、同年の5月にはROBOT魂でフルアーマーユニコーンガンダムが発売された。こちらもHGUCと同じくユニコーンモードでの発売であったが、ユニコーンモードの本体はフルアクション仕様としてリニューアルされている。プラモデルを作る暇がない筆者は、新規造形のフルアクション版ユニコーンが手に入るという理由で、ROBOT魂版のほうを購入することにした。

それでは実際にROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダムを見てみよう。

ユニコーンモード 前 ユニコーンモード 後
フルアクション準拠となったユニコーンモード
可動範囲や造形が大幅に向上している

フルアーマー準拠となったことにより、過去のROBOT魂のユニコーンモードよりも頭身が高くなった。過去の製品では、ユニコーンモード時は可動範囲を広げるために脚部を引き出す必要があった。しかし、フルアクション準拠となったフルアーマーユニコーンの本体は、脚部装甲がスライドし幅広い可動範囲を誇る。

脚部の構造
フルアクションデストロイモードと同じギミックを搭載!
スライドした装甲の下には銀色で塗装されたサイコフレームが表現されているのがこだわりポイント

本体用の武装としては、ビームマグナムとシールドが標準装備されている。シールドはフルアクション版の物と基本的には同じものだが、サイコフレームが銀色で塗装されている。

シールドを展開したところ
旧版では灰色だったサイコフレームが銀色で塗装されており、高級感が生まれている

過去のユニコーンではビームマグナムをバックパックに装備させることができなかったが、本商品から取り付けることが可能となっている。

ビームマグナムの取り付け

また、旧版ではバックパックに取り付けてあるビームサーベルを取り外すのが少々難しかったことを受けて、フルアクション版ではビームサーベル基部を取り外すことができるように改良されている。

バックパックの構造
基部が外れるのでビームサーベルが取り出しやすくなった

これは、バンシィ・ノルンのアームドアーマーXCを取り付けるための副産物なのだが、これは喜ばしい配慮である。
さらに、太もも側面やバックパックの裏には追加装備を取り付けるためのジョイントが設けられている。

脚部側面のジョイント バックパック裏のジョイント

この仕様のユニコーンモードの発売に伴い、そこそこ出来の良かった過去の製品もいよいよお役御免となったわけである。初期のROBOT魂ユニコーンガンダムが発売されたのが2010年の11月とはいえ、およそ3年でバージョンアップされた商品が出るとは時の流れとは無情である。

これらの追加ジョイントに武装をはめていくことでフルアーマーユニコーンガンダムが誕生する。まず、バックパックにウェポンラックの基部となるパーツを挟み込む形で取り付ける。

ウェポンラック基部
この基部に各武器を貼り合わせていく

この基部にビームガトリングやハイパーバズーカを取り付けていく。ハイパーバズーカにはミサイルやグレネードを取り付けてある状態で分割してパッケージに同梱されている。バズーカを組み合わせ背中に背負わせるためのジョイントを起こし、フレームに取り付ける。尚、フレームに武装を取り付ける作業はバックパックを取り外し、武器をすべて取り付けてから本体にバックパックを取り付けるとうまくいく。武装をすべて貼り合わせた形態が次のものである。

武装を装備させたところ 前 武装を装備させたところ 後
ハリネズミのように様々な武装が追加されているフルアーマーユニコーン
この状態でもちゃんと自立します

背中パーツにゴテゴテと武装を追加しているので、バランスが悪くなりそうなものだが、重心が上側に行っているのでプロペラントタンクを取り付けなければ何とか自立させることができる。しかし、バランスが悪いことには変わりがないのでディスプレイするときは付属の魂STAGEを使用したほうが無難である。

この状態にさらにプロペラントタンクを取り付ければ、フルアーマーユニコーンガンダムの完成である。

ROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダム 前 ROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダム 後

ROBOT魂 フルアーマーユニコーンガンダム 横
本体以上の大きさを誇るプロペラントタンクを最後に取り付ける
この状態ではさすがに自立することはできないので、付属の魂STAGEでプロペラントタンクを支えなければならない

これだけゴテゴテとした装備を付けているため、本体の可動は優秀なものの見事に置物状態になってしまうのが難点である。動かす時は慎重に武装が干渉しないように気を付けて動かそう。

恐怖のユニコーン商法!
ユニコーンモードのフルアーマーユニコーンを買った者たちは、もちろん本命のデストロイモードのユニコーンガンダムの発売を期待していた。デストロイモードのフルアーマーユニコーンガンダムはサイコフレームが緑色の覚醒状態で活躍したのでその状態でのROBOT魂発売の期待が集まるのは当然と言えるだろう。

しかし、バンダイはこの期待を裏切る形でROBOT魂のデストロイモードのフルアーマーユニコーンの発売を決定した。デストロイモードのユニコーンガンダムはフルアーマー対応版のフルアクションユニコーンガンダムを新たに発売するという形となったのである。本体の仕様は脚部側面とバックパック裏にジョイントを追加した以外はフルアクション版のデストロイモードとは変わりなく、もしデストロイモードのユニコーンを手に入れたければ、ユニコーンモードのフルアーマーユニコーンとこの商品を買わなければならないのである。

脚部側面 バックパック裏
この2点を改修した以外はフルアクション版と変わらないフルアーマー対応版デストロイモード
流用商法もここまで極まり・・・としか言いようがない

しかも、驚くべきことにこのフルアクション対応版デストロイモードにはシールドが1枚しか付属していないのである!・・・ということで、完全なフルアーマーユニコーンを完成させるには過去のフルアクション版からシールドを取ってくるか、もう一つフルアーマー対応版のデストロイモードを買わなければならないのである。

フルアーマーユニコーン(デストロイモード) 前 フルアーマーユニコーン(デストロイモード) 後

フルアーマーユニコーン(デストロイモード) 横
下宿していて手元にフルアクションユニコーンがないので片側のシールドは赤く発光していない物を使っています
どうせならシールドは2枚つけて置いてほしかったところです

OVAの設定では背中に装備されているシールドは展開されないので、2枚だけ発光状態のシールドが付いていれば十分なのである。旧フルアクションを持っている人への配慮なのかもしれないが、旧版からシールドを取ってくるとどの道シールドなしユニコーンになってしまうので、ここは是非2枚盾を付けるべきだったろう。

フルアーマーユニコーンを持っていない人への救済措置としてか、AGP MS少女 ユニコーンガンダムに対応させるためと称してプレミアムバンダイでフルアーマーの武装が単品発売される予定である。こちらには赤く発光したシールドが3枚付いてくる上に、ROBOT魂のパーツをそのまま流用しているので、デストロイモードのフルアーマーを完成させたい人はこちらを買ってもよいだろう。

この販売方式はマニア向けのガンダムUCとはいえ、ユーザーの財布には大打撃である。筆者はユニコーンガンダムのバリエーションをユニコーン・デストロイモード合わせて6種類購入している計算になる。しかも、そのうちの4種類はデストロイモードのバリエーションであるため、長年かけて同じキャラクターの商品を買わせ続けるというユニコーンの商法は恐ろしいものである。

宇宙と地球と
全6話を予定していた『機動戦士ガンダムUC』のOVA展開は、6話だけでは話を収めることができないという理由から、7話展開に変更された。この変更のおかげで、かなり物語の進行ペースに余裕ができ6話では最終決戦に向けた各キャラクターの心理を丁寧に描くことができた。今回は、ネェル・アーガマの視点から、OVA6話の物語を見ていこう。

連邦から追われる身となってしまったネェル・アーガマは袖付きと共同戦線を取ることにした。共同戦線を張ることにしたことで、連邦と袖付きの人間がネェル・アーガマの中に一同に会する形となったが、昨日まで殺し合いをしていた人間同士である。互いへの怨恨が消えたわけではなく、艦内の雰囲気は一触即発のギスギスしたものとなっていた。

そんな中、ネェル・アーガマの機関室でシドー機関長が機関室にまで袖付きの兵を常駐させることに対して座り込みの抗議を行った。それに乗じて、他のネェル・アーガマのクルーも彼の行動に同調し、袖付きのネェル・アーガマ撤退を要求しだした。

そんな様子を見ていたオットーは、艦内放送で袖付きの共同戦線は破棄できないことを通達し、クルーたちに自身の行動を慎むように命じた。彼の指令にクルーたちはしぶしぶ同意した。

一触即発の状態を回避したことに対し、フロンタルはオットーに感謝の意を伝えた。部下を制止したオットーであったが、ジオンにくみする気はないということをフロンタルに伝える。そしてフロンタルにラプラスの箱を求める本当の目的を尋ねた。そこにミネバがブリッジにジオンの正装で入って来て、フロンタルに彼の真意を問いただした。

フロンタルの口から語られた目的は、月と各サイドが経済協定を結んでサイド共栄圏を建設し、地球を経済的に排斥するというものだった。フロンタルは地球が月やコロニーから資源を受け取って経済を賄っていることに着目していた。コロニーが提携し中央を間引きした経済圏を構築すれば、地球は経済的に何の価値も持たない田舎になり果てる。その結果、地球連邦も立ち行かなくなってしまう。

そのサイド共栄圏のまとめ役として適任なのは、傀儡とはいえ曲りなりの自治権を有しているジオン共和国であった。しかし、ジオン共和国は自治権返還を4年後に控えていた。フロンタルは旗印となるであろうジオン共和国を延命させるために箱を利用して連邦軍を脅すことを画策していたのである。

彼のあまりに現実的なプランにミネバはあきれ果ててしまっていた。フロンタルの考えは、ジオン=ズム=ダイクンの言う人類の革新や、隕石を落としてでも地球から人類を宇宙に上げようとしたシャアの熱情からは程遠いものだった。

フロンタルの話を聞きつけたバナージは、フロンタルの言葉から「他人事のような冷たさ」を感じていた。バナージはガランシェールを押し上げたとき、ユニコーンから放たれた光を引き合いに出し、人類には温かさと可能性があることをフロンタルに告げる。

バナージの言葉に対し、フロンタルも同様の光を見たことがあると述べた。

アクシズを押し戻すνガンダム
フロンタル「同じ光を私も見た。もっと大きな光をだ」

アクシズショック
フロンタル「サイコフレームを媒介に、おそらくは地球圏の全人類の無意識を集積、物理的パワーに転化したであろう光・・・。
小惑星、アクシズを押し返したサイコフィールド・・・。」

フロンタルの言葉はまるで自身がシャア=アズナブルであるかの様な口ぶりだったが、彼の言葉は非常に冷たいものだった。

フロンタル「だが、それほどの可能性が示されても人類は変わらなかった・・・。現状を維持するためなら可能性さえ葬る・・・。それが人間だ。我々はその現実の中で平和と安定を模索していくしかない。君が言う可能性というやつは、争いを引き起こす毒になることもあると自覚したほうが良い。」

フロンタルの言葉にバナージは表情を曇らせる。彼の淡々とした語りを聞いたミネバは、自分の知っているシャア=アズナブルは死んだとフロンタルに吐き捨てたのだった。そしてミネバは、一同にLa+の箱の最終座標がインダストリアル7のコロニービルダーであるメガラニカであることを暴露した。

信じていたミネバに秘密を暴露されたことにより、バナージは落胆を覚え体を震わせるのだった。フロンタルは彼の表情からミネバの言っていたことが真実だと確信し、アンジェロにネェル・アーガマのことを任せ、ジンネマンとともにレウルーラに戻った。

SYMPATHY
信じていたミネバに裏切られたことで落ち込むバナージであったが、目を覚ましたマリーダの言葉によって自身を奮い立たせた。

フロンタルがいなくなった隙に、タクヤとミコットと反袖付き派のクルーたちは密かに反乱を企てようとしていた。しかし、その不穏な動きをアンジェロによって察知され彼らは拘束されてしまう。そんな折、ネェル・アーガマからの救難信号をキャッチした連邦軍のパトロール艦がネェル・アーガマに近づいてきた。オットーは出した覚えのない救難信号を訝しがったが、その救難信号は反乱を企てようとしたミコットらによって発せられたものであった。

反乱分子を拘束したアンジェロは、彼らを人質にオットーにパトロール艦の撃沈を迫った。しかし、オットーが下した決断は袖付きとの共同戦線の破棄であった。民間人を人質を取るなどの彼らの振る舞いにオットーは堪忍袋の緒が切れ、袖付きを軍人ではなくテロリストと断定し、アンジェロを一喝した。

艦長の言葉を契機に密かに潜伏していたエコーズの兵隊が一斉に行動を開始した。元々特殊部隊である彼らの手際は非常によく、瞬く間に艦内にいる袖付きの兵をのしていき、拘束されていたタクヤ達を解放した。

艦内が混乱する中、バナージは作戦行動中のエコーズ副隊長、コンロイに出くわした。コンロイにMSデッキに急行し、ガンダムで袖付きのMSを破壊するよう命じられたバナージは彼の言うようにユニコーンガンダムに乗り込もうとした。しかし、寸でのところで騒ぎを知りレウルーラから戻ってきたフロンタルに組み伏せられてしまう。

バナージを組み伏せたフロンタルは、父カーディアス=ビストによって訓練を施されたバナージは一種の強化人間であると彼に告げる。そして、自分と同じ絶望を味わうことになるだろうとバナージに言い放ち、彼に自分の下に来るよう籠絡しようとした。ローゼンズールのコクピットに乗り込んだアンジェロは、その様子を目撃し、バナージに対して嫉妬心をたぎらせた。

フロンタルの言葉に恐怖を覚えたバナージであったが、彼の精神を救ったのはマリーダとミネバであった。マリーダは半壊したクシャトリヤを起動させ、ローゼンズールを組み伏せる。そしてミネバは、クシャトリヤのコクピットからその場にいる全員に対して、フロンタルの言う未来をきっぱりと否定し、彼の元を去ることを宣言した。

しかし、ミネバの言葉を遮ってジンネマンはマリーダにクシャトリヤのコクピットハッチを開けるよう命令を下した。ジンネマンをマスターとしているマリーダは彼の言葉に従い、コクピットハッチを開いた。その隙をついてアンジェロのローゼンズールは腕のインコムをクシャトリヤの胸に押しつけ、ビーム砲の充電を開始した。

ミネバはマリーダに正気に戻るよう言うが、マリーダは完全にマシーンの状態となっておりミネバの言葉は届かなかった。ミネバは説得の矛先をジンネマンに変え、憎しみを捨てるよう彼に迫った。しかし、マリーダがいてもジンネマンは亡くしてしまった本当の家族のことを忘れられずにいたのであった。

妻と娘の写真を手に、涙を見せるジンネマンを見たマリーダは、彼にこう告げた。

マリーダ「お・・・お父さん・・・。我儘を許してくれますか・・・?」

彼女の「お父さん」という言葉に、ジンネマンのそれまで心の奥でたぎっていた復讐の心が消えていった。ジンネマンはマリーダに「心に従え」と最後の命令を下す。その命令を聞いたマリーダは、目を輝かせながらクシャトリヤのコクピットハッチを閉め、ローゼンズールに反撃に出た。

クシャトリヤが動き出したことにより、組み伏せられていたバナージはフロンタルの手から逃れた。コンロイの援護射撃のおかげで何とかフロンタルの追撃を逃れユニコーンのコクピットにたどりついたバナージはユニコーンを起動させた。

一方、再びクシャトリヤに組み伏せられたローゼンズールは、裏切ったジンネマンのいるキャットウォークに向かってインコムを射出、ビーム砲でジンネマンを始末しようとする。死を覚悟したジンネマン・・・。

しかし、バナージはユニコーンガンダムをデストロイモードに変形させると、アンジェロのローゼンズールのインコムケーブルを掴み、ローゼンズールのサイコミュを無効化、ジンネマンの窮地を救った。

形勢が不利になったと判断したフロンタルはアンジェロに撤退を命じた。ローゼンズールはインコムを掴まれている腕部分を破壊し、ネェル・アーガマのカタパルトハッチをビーム砲で破壊し、脱出した。フロンタルはバナージに「ここから先は競争だ」と不敵に言い放ち、ローゼンズールとともに去って行った。

GUNDAM
ネェル・アーガマ内では、ラプラスの箱奪還のための最終作戦に向けて準備が進められていた。フロンタル隊と袂を分かったガランシェール隊もネェル・アーガマに与し、連邦とジオンの垣根を越えて最終決戦に向けて各MSの調整が行われていた。そして、ユニコーンガンダムには、タクヤが立案したフルアーマープランが採用され、ネェル・アーガマ内のありったけのMSの武装が取り付けられていた。

最終決戦に向けて、オットーは放送ですべてのクルーにメッセージを発した。

オットー「艦長より達する。これより本艦はインダストリアル7に向かいラプラスの箱を確保する作戦を実施する!期せずして当初の任務に戻った格好だが、これは軍の命令によって行う作戦ではない。生き延びるため、フルフロンタルの手に箱が渡るのを阻止するため、本艦が独自で行う作戦である!!」

艦長の放送の中、ついにフルアーマーユニコーンガンダムが完成した。バナージは出撃前にミネバと言葉を交わすとユニコーンガンダムのコクピットへと乗り込んだ。

オットー「フル=フロンタルが示したサイド共栄圏構想とミネバ殿下が言う可能性に揺らぐ未来・・・。どちらが正しいことなのかは、私にもわからない。それを決めるのは我々ではなく、今を生きる若者たち、これから生まれてくるまだ見ぬ子どもたちだろう。彼らに判断をゆだねるためにも我々は生きて帰らなければならない。持ち帰った箱とともに真実を世界に問わねばならない!」

フルアーマーユニコーンに最後の装備が施されようとしていた。それは、フルアーマーの重量を運ぶためのプロペラントタンクであった。プロペラントタンクを装備するとネェル・アーガマ内のMSデッキにおさまらないため、出撃直前にカタパルトの上でプロペラントタンクが取り付けられようとしていた。ジェガン2機の手を借りて、ユニコーンの身長以上の長さのプロペラントタンクがバックパックに接続された。

カタパルトに屹立するフルアーマーユニコーン
オットー軍人として、一人の大人として諸君の健闘に期待する!!

プロペラントタンクの接続
ロールオーバーで画像が変わります

プロペラントタンクが接続されると、ユニコーンガンダムの瞳に灯がともった。バナージは、プロペラントタンクに火を点け、ユニコーンガンダムを発進させた。

フルアーマーユニコーン、起動!
バナージ「バナージ=リンクス、ユニコーンガンダム行きます!!

カタパルトから発進するフルアーマーユニコーンガンダム
ロールオーバーで画像が変わります

目指すは、インダストリアル7メガラニカ・・・。バナージが住み、ミネバやユニコーンと出会った始まりの地である。バナージはズーム機能で目的であるインダストリアル7を捉え、感慨にふけっていた。

感慨にふけるバナージ
バナージ「帰ってきた・・・。」

しかし、インダストリアル7に向かうバナージにネェル・アーガマからの敵機接近の通信が聞こえてきた。パトロール隊の一件からゼネラル・レビルは復讐の鬼と化していたリディ=マーセナスと強化されたバンシィ・ノルンを差し向けたのである。

バナージ達の運命やいかに!?

六時方向より、高熱源体接近!(ROBOT魂 バンシィ・ノルンのコラムへ)

バナージ=リンクス、ユニコーンガンダム行きます!(もどる)