スーパーミニプラ ダイナドラゴン 完全変形への道!

模型製作・文章作成:ディル・アン・グレイチワワさん

スーパーミニプラ ダイナドラゴン 完全変形への道!
驚異の完全変形!
差し替えなしでダイナドラゴンとキンググリッドマンに合体する改造法を伝授!
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完全変形を目指して!キンググリッドマンを改造した職人ミニプラモデラー
スーパーミニプラ ダイナドラゴンは、各種の飛行形態とダイナドラゴンへの変形、キンググリッドマンへの合体を再現したキットである。しかし、強度の問題で一部の箇所に差し替え部分が存在していることは先のコラムで述べた。

差し替え変形で再現されているキンググリッドマンとダイナドラゴンだが、完全変形ができるのではないかと考え、改造した職人的なモデラーさんが存在する。ディル・アン・グレイチワワさんは、プラ板と軸打ち、マグネットを駆使してダイナドラゴンを改造、差し替えを行うことなくダイナドラゴンへの変形、キンググリッドマンへの合体を可能にした。

tomoshooさん主催、第2回関西ミニプラオフ会でディル・アン・グレイチワワさんの作品を見た筆者はとても驚き、コラムでも紹介しようと考えた。以下のツイートは実際の変形シーンを実演したものである。

Sミニプラキンググリッドマンの変形ギミックです。ポイントは
・肩にはスライド機構。キング腕アーマーはジェット時にドラゴン腕にネオジムで固定
・足は回転軸を追加
・ファイターとジェットの接続はネオジムで差し替えなし
こっちもよろしく↓https://t.co/XiZqvRhnVR pic.twitter.com/wCCN40b0On

— ディル・アン・グレイチワワ (@pUu4fvwCs5xT8H4) 2019年4月20日

今回は、このダイナドラゴンを差し替えなしの完全変形する仕様に改造するコラムをお届けしよう!

ただし、ダイナドラゴンとキンググリッドマンはプレミアムバンダイの限定商品である。一度パーツが壊れてしまうと、パーツの請求はできない。当コラムを参考にして改造を行う場合は自己責任の下で改造を行ってほしい。

改造に失敗しても当コラム執筆者であるブラック・マジシャンとディル・アン・グレイチワワさんは一切の責任を持たないので注意してください。


というわけで、次のセクションからはディル・アン・グレイチワワさんによる改造講義をお届けしよう!

始めに。ディル・アン・グレイチワワさんの自己紹介
ご紹介に預かりました、ディル・アン・グレイチワワと申します。関西ミニプラオフ会で知り合いましたBP(ブラック・マジシャン)氏と意気投合しました。今回はダイナドラゴンの改造箇所の解説を中心に行っていきます。ただし、いつも「現物合わせ」で感覚的に作業している為、細かい寸法等はあいまいになってしまいます。また今回のようなコラムは初めて書くのは初めてなので、読みづらい所もあると思いますが、画像を参考にしつつ読んで頂けると幸いです。

完全変形 ダイナドラゴンを作ろうと思ったきっかけ
今回のダイナドラゴンは各形態でのプロポーションと強度を重視すべく肩、腕、足等に差し替えパーツが多く見られました。しかし、グリッドマン放送当時の世代としては当時品のDXダイナドラゴンのオーパーツとも呼ぶべき完成度と、今回のスーパーミニプラとを否応なく比較してしまうものです。しかし個々のパーツの造形精度は素晴らしいので、「完全変形は無理でもせめて差し替え無しにしたい」と今回の改造に踏み切りました。


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使用した材料、工具など
材料
・タミヤ1_プラ板
・タミヤ1_角棒 
・ホビーベース0.14_プラ板
・アルミパンチ板1_穴
・ネオジム磁石 4_円形 3_角形 1_円柱

工具類
ニッパー、ピンバイス、真鍮線、デザインナイフ、彫刻刀等

肩アーマーの変形を実現するための工作について。
おもに「肩アーマー」「ドラゴン腕」「キング腕」の3パーツ構成で成り立っています。一番工作量が多いです。本来はドラゴン腕の収納は中間パーツを取り外しを行う仕様ですが、差し替えずに格納できないか検証し、ドラゴン腕を曲げて特定の位置まで移動すれば、差し替えずに格納できる上にグリッドマンに装着しても肩の可動に干渉しないことを発見しました。しかも左側、A15のパーツのF7とC13(右A16、F8、C14)に差し込む2本の軸の内、『肩上面側の軸を中心に振り子のように左右可動させること』でこの可変機構を組み込むことができるのです!文面だとかなり分かりにくいとは思います。正直、これを見つけた時に「この改造はたぶん、イケる」と踏みました。

 
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可変機構のアイディアができた所で改造になります。上記の軸を中心として、下の軸は固定用のピンとして使用します。固定用ピンが通過する部分を止める位置まで削り取り、本来、下の軸を差し込むダボ穴は一部切り取りC字ジョイントにします。削り取りの際に表側にまでいって穴が空いてしまった際は薄いプラ板で補修します。

さらにA15、16のキング腕接続ジョイントと折り畳んだドラゴン腕に干渉する部分まで切り飛ばします。さらにA15、16に円柱のネオジム磁石を2本仕込み、ドラゴン時に肩アーマーに格納した際に磁石で接続します。

 
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これによって差し替えのキング時の肩上面カバーパーツ(C1、2、F5、6、H9、10の3パーツ構成)は使えなくなる為、C1、2の肩の可動に関わる一部のみを切り取り、両側に真鍮線で軸打ちを行い肩アーマー両面で挟み込む形で肩の可動を残します。強度確保の為、肩アーマーの端の部分を切り取り、4_に重ねたプラ板を仕込み、真鍮線が刺さるよう表に出ない範囲でピンバイスで掘ります。本来、C1、2でカバーしていた箇所は空洞になる為、当初は切り取ったC1、2のパーツを使おうと試しましたが、結局、ドラゴン腕付け根辺りに接着する形でプラ板と角棒でスクラッチ。図で表すとこんな感じです。


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次にグリッドマン装着時にどうしてもH9、10のジョイントパーツが目立ってしまう為、肩アーマーの前後をプラ板で延長しジョイントパーツを隠しました。延長した箇所の上下にディティールを足すことで間延びした印象を和らげます。

 
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ドラゴン腕、キング腕はほぼそのままです。ただし、上記工作の弊害でキング腕がドラゴン時以外で肩アーマー内に収納できなくなった為、ドラゴン腕の上腕に平のネオジム磁石を2個両腕、キング腕のカバーの手首にあたる位置に棒のネオジム磁石2本両腕に仕込み、ジェット時に肩アーマー下部に取り付けられるようにしています。


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脚部アーマーの変形を実現するための工作
解説を行うにあたり表立って見える前面パーツを「装甲部」差し替えを行う際のダイナドラゴンに使うパーツを「ドラゴン足」キンググリッドマン時にグリッドマンに装着させるパーツを「キング足」と呼称します。

まず、DX版と同様の変形を再現すべく、キング足に回転軸を仕込むようにしました。E1、2、7、8の膝側のみを切り取り、キング足上部内側に接着し強度面を考慮し2_真鍮線を2本軸打ち。


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装甲部内側の軸を仕込む位置を決めて、キング足のD22とD23の軸2本を切り取った後にディティールパーツを追加。その後にE13のパーツを二つに割って両側にエポパテで固定。装甲部内側は0.14_プラ板でカバー。




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これで各形態での変形を差し替えなしに出来ました。欠点としてはダイナドラゴン時の脚部がキング足をそのまま使用している為、足が太いことです。加えて、キング足裏にアルミパンチ板を裏打ちして、ディティールアップしています。


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胸アーマー、腰アーマーの変形を実現する工作
胴体部に関しては、おもに「ファイターとジェットをパーツの差し替えなしで合体及びパーツの取り外しをせずにグリッドマンに装着できる」ことを目的に行いました。まずファイター上面のクリアーパーツI1の凸部分の穴にネオジム磁石円柱を接着、ジェット下部のダボ穴にあたるA5のパーツの軸のみを切り取り、『水平になるように削ってツライチに合わせたら』切り取り跡にネオジム磁石を仕込みます。これによって、ネオジム磁石に加えて、I1のピンとA5の溝を合わせることで接続が補強されます。



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また『水平になるように削ってツライチに合わせる』作業ですが、画像のようにA5パーツを取り外さずにグリッドマンに装着できるようにクリアランスを調整する意味合いもあります。


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キンググリッドマン頭部のフェイスパーツ(H11)の顎ラインを少し削り小顔に見えるようにしています。顎下は頭部固定用のピンも兼ねている為、要破損注意です。

 
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仮組段階の確認作業について
私はいつもガンプラやミニプラを作る際には、組み間違え対策としてピンを斜めカットしているのですが、これはのちにギミックを仕込む際にバラしやすいようにする為でもあります。

仮組を行い、バラして、どこがどう動くのか構造を確認し、改造を行いたい箇所のどの位置に軸や磁石を仕込むのべきか、実際の作業に入る段階で変形行程のイメージとして固めておくことが重要だと考えています。

ただ、やはりイメージと現物の違いというものは常にあり、プラ材の切り貼りと微調整の繰り返しです。

作ってみての感想やコメント、作ろうとしている人へのアドバイスなど
今回の改造を行ってみて、肩アーマーのドラゴン腕収納のクリアランスやダボ穴の位置、足のギミック等、元々は完全変形をしようとしていたのでないかと考えらえる構成になっていました。ただ、やはりプロポーションや強度面を考えれば差し替えも止む得なかったように思えます。

アドバイスとして、このダイナドラゴンは食玩、プレバン限定の高額商品です。ガンプラと違い破損してもパーツ発注等は出来ないため、あくまで自己責任になります。

実際、ダイナファイターの頭部基部に薄め液が浸透してバラバラに割れてしまいました。なんとか薄プラ板と接着剤で補修できましたが、完成直後だった為、正直、挫けそうになりました。


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しかし、関西ミニプラオフ会を控えていましたし、『みんなに見てもらいたい!』の一心で頑張って作りました。

この変形改造は自分のこだわりから始まったものですし、改造せずとも個々の形態の形状、プロポーションは素晴らしいものです。無闇な作業で台無しになってしまうのも辛いものがあります。それでも変形させたい!という方はこちらの文章と画像を参照しつつ、もっと詳しく知りたい方はツイッターから連絡ください。

作品ギャラリー
本コラムの編集をしたブラック・マジシャンも実際に変形するところを見せていただいたが、その変形は往年のDX玩具のそれと全く同じ工程で驚いたものである。プラ板の加工や軸うちなど高度なテクニックが要求される改造であるが、モデラースキルが高く、ぜひ挑戦してみたいという人は自己責任のもとに挑戦してはいかがだろうか?

以下は、改造した後の作品の各種形態である。チワワさん自作のオリジナル武装も装備しているものもある。

 
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丁寧な解説と画像のご協力、本当にありがとうございました!素晴らしいコラムになったと思います。今後とも、スーパーミニプラの意見交換や改造などのお話ができましたらと思います。執筆いただいたディル・アン・グレイチワワさんに重ねて感謝申し上げます。

「やったわ!」「(完全変形に)成功だあ!」(もどる)