聖闘士聖衣神話
キグナス氷河(最終青銅聖衣)

バンダイ 聖闘士聖衣神話シリーズ

定価3990円

聖闘士聖衣神話 キグナス氷河(最終青銅聖衣)
師と友の意思を継ぎ
舞え、白鳥!

冥界・・・。
冥王ハーデスが支配する死の世界。
光なき嘆きの世界に
大いなる希望を胸に秘め
地上の平和を求める少年たちが舞い降りた。

そう、彼らこそ!

(冒頭部ナレーションより。田中秀幸氏の声で読むべし!)

フッ、氷河め。相変わらずマザコンが抜けんヤツよ
よく言われることだが、聖闘士星矢の主役キャラクター5人は、ろくでもない経歴を持っている。主人公の星矢は、お姉ちゃん大好き病のシスコン。ドラゴン紫龍は、窮地に立たされるとやたらと上半身をはだけたがる露出狂!アンドロメダ瞬とフェニックス一輝は、兄弟揃って見ていて恥ずかしくなるほどのブラコン

そしてある意味一番情けないのが、今回紹介するキグナス氷河である。ロシア人と東洋人のハーフである彼は、東シベリアで修行しキグナスの聖闘士となった。師の教えに従い、クールに徹して敵を討つが、その心の奥には熱い闘志を秘めている。

氷河素体 前 氷河素体 後
氷河の素体全身画
クールな金髪の美少年なのだが・・・

このような同人お姉さまが好きそうなキャラクターなのだが、彼は極度のお母さん大好き病、つまりマザコンなのである。初登場からして、シベリアの永久氷壁を砕いて海にもぐって沈没船の中に入ると、亡きマーマ(本人呼称)のなきがらの頭にバラを挿す。さぞかし、視聴者は一体何をやっているのか意味不明だっただろう。

序盤はクールな聖闘士で実力が高いという描写をなされていたが、フェニックス一輝と戦ったときに、鳳凰幻魔拳でマーマがミイラになるという悪夢を見せられ、心臓を貫かれてあっけなく敗退。胸に付けていたマーマからもらったロザリオのおかげで生きながらえたが、その後も事ある毎にマーマと叫ぶキャラクターになってしまった。

その後、十二宮の戦いにおいてジェミニの聖闘士のアナザーディメンションで天秤宮に飛ばされたときに、師である黄金聖闘士水瓶座アクエリアスのカミュと対峙する。そのとき、未だに死んだ人間に涙を流す氷河にあきれたカミュは、マーマの眠る船を海底奥深くに沈めてしまう。怒りに燃えた氷河はカミュに拳を向けるが、やっぱりあっけなく敗退してしまうのだった。

このように、クールな美少年というキャラクターとは裏腹に一番情けないキャラクターであると言ってもよいだろう。

キグナス!氷原の戦士
キグナスの聖衣は、東シベリアの永久氷壁の中に封印されていた。このとき、氷河は聖闘士の資格を得ていたものの、肝心の聖衣は持ってはいなかった。原作では聖域の使者が、他の青銅抹殺指令を下す際に所在を教え、聖衣を入手することが出来た。

聖衣神話においては、新生青銅聖衣と最終青銅聖衣が製品化されている。アニメ初期の聖衣の形は、情けないことにオマルだったのだが新生聖衣になってからは、優美な白鳥の全身になった。

オブジェ形態 前 オブジェ形態 後
白鳥がモチーフのキグナス聖衣
紫が混じった銀色の塗装が美しい

聖闘士聖衣神話らしく、複雑なオブジェ形態を見事に再現している。最終青銅聖衣になると、片足を立てた状態で飾られているのだが、バランスを安定させるために金属製の支柱が同梱されている。これはなくても取り付けることが可能であるが、長期間のディスプレイを考えるのならば取り付けておいたほうがよいだろう。また、台座部分はダイキャストで作られているので安定性もバッチリである。

実際にこの白鳥を分解し、聖衣を装着させるとこのようになる。

キグナス氷河 前 キグナス氷河 後
キグナス氷河全身画像
胸の羽をあしらったパーツがポイント

キグナスの聖衣は、パッと見た感じは新生青銅聖衣とあまり変化がない様に見える。変更点としては、肩アーマーの形状と腰アーマーの保護面積増加だろう。ヘッドギアの形状も新生のものと同一なので、氷河には他の最終青銅聖衣とは違い旧バージョンの聖衣のマスクパーツは付属していない。

しかし、製品的には大幅な進歩を遂げている。まず、顔の造型が非常にアニメのものに近くなった。造型方面は他の青銅聖闘士同様すばらしいのだが、長くなったもみ上げ部分が可動時に干渉してしまうのが難点である。また、アクエリアスの聖衣を装着できるように専用のマスクパーツがボーナスパーツとして用意されている。

アクエリアスのマスク
アクエリアスの聖衣を着せれば、黄金聖衣をまとった氷河も完全再現可能

肩アーマーは、ボールジョイントで胸パーツに接続され、腕の可動を妨げない。また、肩の裏に小さな穴が開いており、胸パーツにの凸部分とあわせることできっちり固定される。固定しないときに少し肩アーマーが取れやすくなるのが難点であるが、さほどストレスには感じない。

ただ、星矢や紫龍と比べるとダイキャスト部分が減らされている。特に、下脚部アーマーはダイキャストではなくプラスチック製で、周りの色から浮いてしまっているのが欠点である。ただ、聖衣のデザインのおかげなのか、腕パーツのベルト部分が下に星矢や紫龍より下についているので、腕の可動は彼らよりも広い。

翼のある聖衣の伝統で、オブジェ形態のときの翼パーツを背中に装着させることが出来る。これは通常時のアーマーと、差し替える形になっており、最終星矢のときのような設定と違う形状になることが回避された。氷河もこの姿で、嘆きの壁の超空間を突破している。

翼パーツ装着
超空間を越える翼

聖衣の出来は、メッキパーツの美しさもあいまって申し分ない。最終青銅聖衣らしい安定したクオリティである。

相手ピッチャーのマジックポイントを減らそうとでもしているのか?

氷河の情けないエピソードはまだまだ続く。アニメにおいて、動的な演出がほしかったのか彼が技を放つ際には、必ず踊る動作が追加されている。これは荒ぶる白鳥の舞をイメージしたとの事なのだが、なんだか情けない姿なのである。このダンスは、俗にキグナスダンスと呼ばれており、原作においてもフィードバックされた。また、最近発売されたゲームでも必ずこのモーションが入る。複雑な動作をする割りに、相手のマジックポイントを減らしたり、スクイズの合図だったりする事はなく、このダンスは何の意味もなさないのであった。

アニメのこの演出を再現するために、平手パーツも付属している。と言うわけで、聖闘士聖衣神話の可動範囲を利用して、どこまでキグナスダンスが再現できるのか挑戦してみた。彼の技の紹介とともに楽しんでもらいたい。

キグナス氷河は、原子運動を低下させる事で対象物を凍結させて戦う。小宇宙が高まれば高まるほど、絶対零度に近い凍気を放つことが出来る。最も基本的な技が、ダイヤモンドダストである。これは初歩の凍結拳で、師であるカミュも使用している。一連のダンス動作の後に放ち、相手を凍結させる。

キグナスダンス
ロールオーバーで画像が変わります

キグナスダンス
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キグナスダンス
ロールオーバーで画像が変わります

キグナスダンス
ロールオーバーで画像が変わります

キグナスダンス
はぁぁぁぁぁぁぁぁ
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ダイヤモンドダスト
ダイヤモンドダストー!!
ロールオーバーで画像が変わります

初期の氷河の最大の拳は、オーロラサンダーアタックである。ダイヤモンドダストが静の拳ならば、こちらは動の拳という位置づけ。ダンスのモーションの後、上空にオーロラを発生させ組み手で放出する。ここぞと言うときに、氷河は使用しているが破られていることも多い。

キグナスダンス
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キグナスダンス
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キグナスダンス
ロールオーバーで画像が変わります

キグナスダンス
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上空にオーロラを作り出す図
とあー!とあー!!
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オーロラサンダーアタック
オーロラサンダーアターック!!
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聖衣のデザインの都合上、胸パーツが干渉してしまうので小さい胸パーツに差し替えて組み手パーツを取り付ける。しかし、組み手パーツの宿命なのかBRAVE合金ガオガイガーのヘルアンドヘヴンパーツよろしく、取り付けにくい。

原作においては、この技はホーロドニースメルチという名前である。こちらは、ロシア語で「冷たい竜巻」という意味なのだが、アニメ化の際子どもへのわかりやすさを優先させたため英語名の名前になった。技の形もアニメと違い、こちらは上方向へのアッパーである。

ホーロドニースメルチ
KHOLODNYI SMERCH(ホーロドニースメルチ)!!

また、氷の輪を相手の周囲に作ることで、相手の動きを封じ込めることが出来る。この技は原作ではカリツォーと呼ばれ、ロシア語で「氷の輪」という意味である。(アニメでは氷結リング)神話シリーズにおいては新生、最終ともにこの技を再現するための指差し手首が付属する。

カリツォー(氷結リング)
Кольцо(カリツォー)!

そして、アクエリアスのカミュから受け継いだ技がオーロラエクスキューションである。こちらは、手を頭の上で水瓶のように組み、胸の前で振り下ろすことで絶対零度の凍気を繰り出す最強の技である。

オーロラエクスキューション
オーロラエクスキューションッ!
ロールオーバーで画像が変わります

ただ、広大な可動範囲を誇る2nd素体でも組み手を頭上で構えることは出来ない。また、キグナスダンスの再現にしてもそうだが、実際の筋肉のようにしなやかな動きを再現するのは非常に難しい。アクションフィギュアと言えど、限界があることが分かる。

キグナスの聖闘士、ヅラ疑惑
ポセイドン編でクラーケンのアイザックと戦った際、氷河は左目を負傷した。(注1)というわけで、氷河はハーデス編において目の部分に包帯を巻いている。オプションパーツとして、フィギュアにはその包帯を巻いた顔が付属している。

しかし、劇中のこの包帯の巻き方は、不思議なのである。というのは、包帯を巻けば当然髪の毛の上に包帯が来るはずなのだが、後ろのほうは包帯が見当たらない。まるで髪の毛の下に包帯があるかのようである。というわけで、彼の包帯の巻き方はこのようなものになる。

ヅラをはずす
ヅラをはずす
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包帯を巻いてヅラを戻す
包帯を巻いてヅラを再びかぶる
ロールオーバーで画像が変わります

そう、かつらでもかぶっていない限り、彼のように目に包帯を巻けないのである。金髪美少年の彼にはこのような秘密があったわけである。このように情けないところだらけの氷河であった・・・。
注1 クラーケンのアイザックの聖闘士聖衣神話には、片目を閉じた最終青銅聖衣氷河用の顔パーツが付属している。
どうだ、キグナスの凍気は身にしみたか!?(もどる)