ブレードライガー
トミー モーター駆動ゾイド
ライオン型
価格2200円
敵を切り裂く鋼鉄のブレード・・・
あれはブレードライガーだ!
新ライガー
ブレードライガーは、共和国軍が開発したオーガノイドシステム搭載のゾイドである。ジェノザウラーは、デスザウラー復活の過程で生まれた全く新しいゾイドであるが、劣勢だった共和国軍には新型ゾイドを開発する予算はなかった。そこで、従来のシールドライガーにオーガノイドシステムを組み込み、急ピッチで開発された機体である。
このため、機体の大部分はシールドライガーと同じパーツが組み込まれているが、ブースターによりスピードが大幅に強化され、最高時速305km/hをたたき出すゾイドに生まれ変わった。しかし、オーガノイドシステムのパワーアップのせいで凶暴化し、操縦性は劣悪で、一部のエースパイロットにしか扱えない。(注1)
アニメでは、レイヴンのジェノザウラーとの戦いで死んでしまったシールドライガーが生まれ変わった姿である。レイヴンとの戦いでゾイドコアを破壊されたシールドライガーは、石化してしまい完全に生命活動を停止してしまった。追い討ちをかけるように、バンの相棒のオーガノイド、ジークと、謎の少女フィーネも、死んだシールドライガーと融合して繭を形成し、消えてしまう。
仲間が消えたことで落ち込むバンであったが、ルドルフの指輪(注2)を狙う盗賊、スティンガーが攻撃を仕掛けてくる。使用するゾイドのないバンは、近くにあった改造ガイサックを奪い交戦するが、スティンガーのセイバータイガーの前に敗北し、コクピットから投げ飛ばされてしまう。
それでも、ホバーボードで特攻をかけるバンであったが、セイバータイガーのミサイルで吹き飛ばされてしまう。繭の中に吹き飛ばされたバンを救うため、中のジークとフィーネが覚醒し、繭の中から新たなライガー、ブレードライガーが出現したのであった。
ブレードライガーは、主力武器のレーザーブレードでスティンガーのセイバータイガーを一刀両断し、完全に撃破した。こうしてバンのライガーは復活し、仲間も取り戻したが、ルドルフの指輪は奪取されてしまう。
注1 ゾイドバトルストーリーでは、「クレイジー・アーサー」と異名を持つレオマスターの一人、アーサー=ボーグマンの愛機で、エウロペ大陸の遺跡でリッツのジェノザウラーと死闘を演じた。後にオーガノイドシステムを弱めた量産機が100機ほど戦線で投入されている。
注2 ルドルフは、ガイロス帝国の皇太子で、帝国掌握を狙う摂政プロイツェンに命を狙われていた。この指輪は、ガイロス皇帝就任のための重要な証で、皇帝就任を狙うプロイツェンは、盗賊にこの指輪奪取を依頼していた。
ウサミミモードでぇす
バトルストーリー、アニメともに颯爽と登場したブレードライガーは、大人気商品となった。特にアニメの影響は絶大で、2000年の4月に発売されたブレードライガーは、売り切れが続いていた。しかも、この人気は一過性のものではなく、多くのアニメ終了後の後番組、「ゾイド新世紀/ゼロ」でも、シャア専用のような赤いレオン=トロス専用ブレードライガーが登場し、限定発売された。さらに、アニメ放映がない時期でも、ブレードライガーミラージュなどが、限定品として数多くのバリエーションが生み出された。
人気の秘訣は、シールドライガーよりもヒロイックになった流線形のデザインであろう。
ブレードライガー全体画
ゾイドシリーズのコラムでは真横の画像も追加することにします
アニメでの絵が映えることを意識したのか、これまでの旧キットと比べてより派手なデザインとなった。しかし、この手のパワーアップで陥りやすいゴテゴテしたデザインになっているかというとそうでもなく、あくまで「速さ」を意識したデザインとなっている。
ゾイドの命であるモーターによる動きは、残念なことにシールドライガーと全く変わらない。口を開閉しながら、四足歩行で歩くだけである。変更点としては、オーガノイドシステムよろしくモーターの出力が強化されており、シールドライガーよりも速く走る。その代わり、電池が持つ時間も最長で40分程度だが。
歩くギミックはシールドライガーと大差はないが、ディティールはかなり凝った物となっている。まず、シールドライガーとの比較画像を見てみよう。
シールドライガーとの比較
タテガミが大きくなり、よりライオンらしくなっている
設定では、シールドライガーにオーガノイドシステムを組み込み、強化された姿ということで、フレーム部分は同じパーツが使用されている。しかし、各ブロックのアーマーが大型化され、特に頭部パーツのタテガミの手動ギミックが大幅に追加された。このため、シールドライガーがメスのライオン、ブレードライガーがオスのライオンという印象を受ける。
さらに、牙と爪パーツにはダイキャストが使用されている。このため、重量感はシールドライガーよりもあり、その一方で強化されたモーターによりシールドライガーよりも速く歩行する。
武装面での変更点は、シールドライガーよりも、格闘能力を引き上げた機体となっている。まず、機体各所に内蔵されていた飛び道具が大幅に減らされた。ブレードライガーの射撃武器は、ブレードに内蔵されたパルスレーザーガン(注3)と、腹部のAZ2連装ショックカノンのみである。
パルスレーザーガン発射形態
シールドライガー時に、ミサイルが内蔵されていたわき腹の武装は、ブレードライガー最大の特徴であるレーザーブレードに変更。さらに、シールドライガー時にビーム砲であった背面にはブースターに変更され、ブースター全開で敵機に突っ込みブレードで切り裂くブレードアタックが必殺技となった。
ブースター、オン!
ロールオーバーで画像が変わります
ブレード、オープン!
ロールオーバーで画像が変わります
ブレードとブースターを展開した状態
この状態で敵を真っ二つにする
このブレードアタックは、アニメでは大型ゾイドすらも輪切りにし、後期のバンはゾイドの心を説きつつ、敵機を切り裂くという、説得力のない説教をするようになった。
尚、アニメの設定では、このレーザーブレードは電子が微細な振動を起こしているので、荷電粒子砲を切り裂くことができる。この技術は、Eシールドにも応用され、荷電粒子砲に対抗できるようになった。
シールドライガーが使用していた、Eシールドも当然ながら使用することが出来る。タテガミが大型化され、シールドライガーのシールドよりも強化されている。さらに、アニメ後期になるとブレードの電子振動の技術を応用して、対荷電粒子Eシールドへとバージョンアップされた。(注4)
この大型化されたタテガミは確かに迫力があるのだが、上のアンテナパーツがまるでウサギの耳のように見える。このせいで、ブレードライガーは一部の人からウサミミライガーだの、バニーライガーだのと、不名誉な呼ばれ方をされるようになる。
Eシールド展開状態
「ウサミミモードでぇす」などと言わないように・・・。
その他のオプションとしては、シールドライガーの時の短い尻尾と、エネルギーシールドのタテガミが付属する。シールドライガーの金型を一部流用しているから出来た芸当で、このパーツを使うと共和国軍の量産型ブレードライガーを再現することが出来る。
また、ブレードライガーと同じスケールのバンとフィーネの立ちフィギュアとコクピットに座ったフィギュア、そしてジークのフィギュアが付属する。コクピットには、バンとフィーネを乗せることも出来る。
ライガー系にしては珍しい複座式コクピット
二人の身長が子どものそれとほぼ同じなので、かなり細かなフィギュアになっている。なので、塗装はかなり難しい。しかも、ジークのフィギュアも白一色なので、塗装が必要である。尚、ジークのフィギュアと立ちフィギュアを筆者はなくしてしまったので、画像は掲載できない。
このように、モーター強化による新たな連動ギミックが採用されなかったのは残念であったが、そのデザインのよさと手動ギミックの多さは、ブレードライガーの根強い人気を支えた要因であろう。
注3 アニメでは後ろ足のアーマーにバルカン砲のカートリッジが内蔵されており、パルスレーザーガンと交換できる。
注4 このように強化されたシールドであったが、さまざまな方法でことごとく破られており、荷電粒子砲の威力は健在であった。
宿命の対決
何とか、帝都ガイガロスに到着したバン一行であったが、ルドルフ暗殺をプロイツェンは画策していた。ホマレフ宰相から、プロイツェンが古代遺跡の研究に多額の国家予算を割いていることを、聞きつけたバンは、フィーネとともに、プロイツェンの研究所に乗り込んだ。そこで、古代文明を崩壊に導いた伝説のゾイド、デスザウラーの復活を目の当たりにする。
一方、ホマレフの城に匿われていたルドルフは、プロイツェンの暗殺部隊に攻撃を仕掛けられていた。ルドルフ救出のために、ホマレフ城に急ぐバンだったが、そこにレイヴンのジェノザウラーが立ちふさがる。宿命の対決の火蓋が切って落とされた。
さあ。早いとこ、ここを片付けて、ルドルフのところへ戻ろうぜ!
ライガーはパワーアップしているものの、レイヴンの力量は圧倒的で徐々に追い詰められていく。得意のブレードアタックも受け止められた末に、ブレードを片方へし折られてしまう。
そんな!ブレードがっ!!
長引いた戦闘で疲弊したブレードライガーとジークは、限界に来ていた。Eシールドも破られ、ジークとの合体が解けてしまう。さらに、衝撃でフィーネがコクピットから投げ出されてしまう。
完全に追い詰められたバンは死を覚悟したが、仲間たちから言われたことを思い出し、ライガーを自身の気力で復活させた。オーガノイドなしで、抜群の機動力を誇り、徐々にジェノザウラーを追い込んでいく。
馬鹿な!こんなことがあるはずがない!!
ロールオーバーで画像が変わります
レイヴンは荷電粒子砲を放つが、バンは荷電粒子砲を撃つ際に、アンカーで機体を固定しなければジェノザウラーは反動に耐えられないことに気づく。つまり、荷電粒子砲を撃つ体勢のジェノザウラーは、このときだけ完全に無防備になるのだ。
この習性を利用し、間一髪で荷電粒子砲を避けたバンは、ブレードアタックを残ったブレードで敢行するが、ジェノザウラーは自身の足を破壊して、荷電粒子砲の向きを変えた。ブレードに荷電粒子砲の直撃を受けたライガーであったが、頭部のビーム砲を破壊することに成功する。
しかし、その際にブースターを破壊され、完全に満身創痍となってしまう。ブレードまで完全に破壊されたかとバンは思っていたが、実はブレードが荷電粒子砲に耐えていたことに気づく。そんな折、レイヴンはジェノザウラーの爪でブレードライガーを至近距離に引き寄せ、荷電粒子砲を発射しようとしていた。
こんな至近距離で撃ったら、お前まで巻き込まれるぞ!
ブレードライガーのピンチに、フィーネとジークがブレードライガーと再び合体し、ブレードライガーを完全に回復させた。ブレードの性質に気づいたバンは、ブレードとEシールドを前面に貼り、ジェノザウラーの荷電粒子砲と激突した。
バンの目論見どおり、荷電粒子砲のビームが切り裂かれていき、ついにジェノザウラーの口にブレードを突き刺した。
おりゃああああああああ!
レイヴンの絶叫とともに、ジェノザウラーは大爆発を起こした。(注5)ジェノザウラーを撃破したバンたちは、ルドルフのところへ急ぐ。
注5 爆発の瞬間にシャドーがレイヴンをかばうシーンが挿入されており、無事であることがわかる。しかし、この敗北がレイヴンに大きなトラウマを残すこととなる。
帝都炎上
一方のホマレフ城では、ルドルフたちの戦いが尚も続いていた。しかし、健闘むなしく戴冠式が始まる時間になってしまう。あきらめかけた彼らに、ストームソーダー(注6)をかるロッソとヴィオーラ(注7)が援軍にやってきた。ルドルフは、彼らのストームソーダーで宮殿に向かった。
ルドルフは、宮殿に向かったものの、戦闘は尚も継続していた。完全に追い込まれたアーバインたちであったが、プロイツェンの陰謀を察知した共和国軍の増援が現れる。これによりプロイツェン派の防衛隊は全滅するのであった。
戴冠式でプロイツェンはついにデスザウラーを起動させ、破壊行為を行う。デスザウラーの圧倒的な力の前になすすべもない共和国軍と帝国軍であったが、そこにバンが駆けつける。しかし、ブレードライガーをもってしても、デスザウラーには遠く及ばなかった。デスザウラーは、グスタフ以上の装甲を誇り、なおかつ荷電粒子砲を連射できるのだ。倒すには、ゾイドコアを破壊するしかない。
策をめぐらせる両軍であったが、フィーネのアドバイスで荷電粒子供給ファンを止めれば荷電粒子砲も撃てなくなることがわかると、連携プレイでデスザウラーを止めに入る。まず、ストームソーダー2機が、ブレードを射出し、ファンを止める。さらに、共和国軍のゴジュラス二機で足止めし、バンのブレードライガーが、ブレードでゾイドコアを破壊した。
力押しでファンを回復させたデスザウラーは、ブレードライガーに荷電粒子砲を放つが、ブレードの荷電粒子を切り裂く能力で荷電粒子砲を切り裂かれる。
馬鹿な!何故荷電粒子の中で無事なのだ!?
動揺しパワーダウンしたデスザウラーは、連合軍の目論見どおりブレードライガーによってゾイドコアを破壊されてしまう。デスザウラーは内部爆発を起こし、崩壊した。プロイツェンも爆発に巻き込まれ、生死不明となってしまう。
戴冠式はやり直され、正式にルドルフが皇帝となった。しかし、戴冠式にバンの姿はなかった。バンとフィーネはブレードライガーとともに、再びゾイドイヴ探しの旅に出るのであった。
注6 共和国軍が開発した新型空戦用ゾイド。ブレードライガーと同じく、部分的にオーガノイドシステムが搭載されている。
注7 最初にルドルフを連れ去った盗賊団。彼と交流しているうちに、ルドルフに対して保護者のような感情を抱くようになる。ジェノザウラーとの戦いで死亡したかに見えたが、共和国軍に救助され、そのままストームソーダーのパイロットとなる。しかし、仮面をかぶって素性を隠し、正体をデスザウラーとの戦いまで明かさなかった。(もっともルドルフは、彼らの正体に気づいていたようだが。)
確かにお前は強いよ!だけど、俺のことを見くびりすぎだ!!(もどる)