ROBOT魂
ニルヴァーシュ type the ENDタイプ ジ エンド

バンダイ ROBOT魂(SIDE LFO)シリーズ

定価3990円(税込)


ROBOT魂 ニルヴァーシュ type the END
「アハハッ! いい反応してるぅ。そういうの、だぁいすき♪ だ・か・ら、殺してあげるね!

裏深夜アニメ エウレカセブン
『交響詩篇 エウレカセブン』は2005年4月から2006年4月まで、毎日放送のTBS系列で全50話が放送された。放送時間帯は日曜日の午前7時からという、いわゆる【裏深夜アニメ】である。(注1)

平和な(悪く言えば【退屈で最低な】)町・ベルフォレストに、祖父と二人暮しの少年、レントン・サーストンの元に、謎の少女・エウレカと、世界最古のLFO・ニルヴァーシュ type ZEROタイプ ゼロが墜落してきた事から物語は始まる。

エウレカとニルヴァーシュとの出会いをきっかけに、家を飛び出したレントンは、彼女が所属する空賊【ゲッコーステイト】に身を寄せる。これまで知りもしなかった世界や、様々な大人たちとの出会いを通じて成長していく少年の姿を描く。・・・と、言うのが本作の大まかなストーリーである。

筆者は本作をリアルタイムで視聴してはおらず、後から興味をそそられて視聴したクチである。そのきっかけとなったのは2008年に発売されたシミュレーションゲーム『スーパーロボット大戦Zゼットであった。

最近多いらしい、『新世紀 エヴァンゲリオン』『創聖のアクエリオン』など、アニメを題材としたパチンコ台を攻略するために、原作のDVD-BOXを購入、はじめて視聴する人々のように、スパロボシリーズへの参戦を機にその原作へと興味が向けられ、兄弟に言われるがままに昔録画したDVDをはじめて視聴したのであった。

さて、アニメ的には、少年・少女の心の成長を描くというジュブナイル的テーマと、巨大ロボットの存在は切っても切れない関係にある。そんな訳で、本作にもLFOエルエフオー(【ライト・ファインディング・オペレーション】の略)と呼ばれる全高10数mほどの人型のマシン、いわゆるロボットが登場する。

ロボットが登場するアニメを見ていて、そのロボットの立体物を欲しくならないファンなんて、多分おるまい。筆者の兄貴が所蔵する、本作放映当時の『電撃ホビーマガジン』によると、当時はプラモデルやアクションフィギュアも発売されていたのだが、日曜日の早朝という放送時間帯が災いして売れてなかったのか、はたまた、スポンサーがガンダム以外に本腰入れる気になれなかったのか、ラインナップは主人公機のニルヴァーシュとその愉快な仲間たちの機体のみという中途半端さであった。

筆者のように、主人公機と敵メカを並べて、作中の戦闘シーンを再現して悦に入ったり、戦わせて遊ぶような小学生的嗜好を持つ物には、きっと我慢できない事であっただろう。ところがギッチョン、バンダイはそんなユーザーの三年越しの憂さを晴らすかのごとく、「ROBOT魂」ブランドで新シリーズを展開し始めた。その名を【SIDE LFO】(注2)! その名の通り、『エウレカセブン』に登場するメカ・LFOを商品化しようというわけである。

その第一弾として発売されたのが、アニメの放映当時にはプラモデルもフィギュアも発売されなかったKLF(注2)、今回紹介するニルヴァーシュ type the END(以下ジ・エンド)である! ・・・ってか、主役差し置き、第一弾がライバルって、どういうこと・・・?
注1『裏深夜アニメ』:深夜1時〜3時くらいに放送されているアニメは普通の深夜アニメ。眠くても我慢して起きていれば視聴できる。が、翌朝6時とか7時となると、平日ならまだしも、休日にその時間に起きるのは厳しいですよ! ・・・ってなワケで、そんな無茶な時間に放送されているアニメを【裏深夜アニメ】というのである。

注2『LFOとKLF』:軍隊で使用されている新型機はKLF(ケーエルエフ【クラフト・ライト・ファイター】の略。)と呼ばれており、また、2009年に公開された劇場版では、登場する機体の呼称はすべてKLFで統一されている。そのため、シリーズ名は【SIDE KLF】とする動きがあったが、『コードギアス 〜反逆のルルーシュ〜』に登場する機体・ナイトメアフレーム(KMF)をリリースしているシリーズ【SIDE KMF】と、名前を混同するかもしれないという事で、【SIDE LFO】になったという逸話がある。

黒いニルヴァーシュ
ジ・エンドは本作品世界における軍隊・塔州連邦軍が保有する、様々なLFOの技術を総結集して生み出された最強のKLFで、少女ライダー(パイロット)・アネモネの搭乗機である。

ジ・エンド正面 ジ・エンド背面
曲面で構成された機体に、カラーは黒という、禍々しい外見が特徴の機体。

横から
横から見ると、コックピットと股間のパーツで前後にもでっぱっているのがわかる。

機体に使用されている素体・アーキタイプはニルヴァーシュのそれに極めて近い物が使用されている、という設定。だからなのか、レントンなど作中の人物は、ジ・エンドの顔を見て「ニルヴァーシュに似ている」と口走るが、どうしても似てるようには思えないんだが・・・。

ジ・エンド顔
カメラと言うより眼と言うほうがふさわしい

物語の終盤では、自分の世話係をしていた青年、ドミニク・ソレルを好きだという自分の本当の気持ちに気付いたアネモネの心に反応し、機体色が銀へと変化。眼も優しげな緑色へと変わり、自我に目覚める。自我に目覚めたジ・エンドは、巨大兵器の爆風からアネモネとドミニクをかばい、アーキタイプごと消滅した。・・・オトコですなぁ、ジ・エンドさん!!

特徴的なデザインの、背中のコックピットハッチは開閉が可能だが、中に誰も乗っていないという、相変わらずの仕様である。余談であるが、コックピットの下部に配置されているバーニアは可動するようになっている。


コックピットの開閉
操縦桿のような物は見受けられないコックピット。
ライダーはコックピット内の有機パーツに手足を接続し、五感で操縦する。

ロールオーバーで画像が変わります

本作の舞台となっている惑星、通称【約束の地】(注3)は、トラパーと呼ばれる目に見えない粒子の波が大気中を漂う。若者たちの間ではリフボードという、トラパーを反射し宙に浮く板を使い、空を自在に滑空する、サーフィンのようなスポーツが浸透している。

リフボード

LFOはこのリフボードを大型化した飛行ユニットを使用して、空中での高速戦闘を可能としている。ジ・エンドに装備されているリフボードは左右で分割し、スキー板のような形態で装備する事も可能となっている。

リフボード分離前 リフボード分離後
右・通常形態:作中に登場する機体は、「空中でサーフィンをしながら戦っている」と言える。

左・分離後:小回りの利きやすい(と、思う)スキー板状になる事で、格闘戦に有利となる。

フィギュアではリフボードの裏に接続ピンが配置されており、これを使ってボードの合体/分離を再現している。

リフボードの分離
ロールオーバーで画像が変わります

足の裏にはリフボードをフィギュア本体に固定するためのピンが設けられている。使用しない時は足の裏に収納できるので単体で飾る時も邪魔にはならないようになっている。

足裏の接続ピン

また、足首の可動はリフボードに乗せる都合から結構広く取られている。また、膝関節の可動も二重関節となっており、90度以上曲げることが可能となっている。関節自体はPOMを使用し、滑らかにかつしっかりと固定されるので快適に弄ることが出来る。

足首の可動 膝の関節構造
ROBOT魂の特徴の一つであるPOM関節
滑らかにかつ固定もしっかりしてくれる

ただ、股間のパーツと背中のパーツが後に突き出ているという特異な形状から重心を割り出すのが非常に難しい。足首も車輪が付いている独特なつくりになっているので、後にこけやすい。筆者は、リフボードに乗せてポーズを作ってスタンドを使用して飾っているのでさほど問題ではないが、スタンドなしに飾るときは用心したほうが良いだろう。

武装面のギミックも非常に充実している。左右両腕に搭載されている大型のクローは展開して格闘戦に用いる他、射出して有線式のオールレンジ兵器としての使用も可能となっている。

大型クロー
格闘戦に使われる、大型クロー。

クロー・射出形態
狙った敵をどこまでも追い、次第に追い詰めるオールレンジ兵器。

クローの射出形態の再現はリード線を差し替えてやることで再現している。付属のリード線は邪魔にならない程度の良心的な長さに抑えられているが、アニメで見ると「どこにそんだけのケーブルを格納していたのか?」と、突っ込みたくなるほど伸びているので、作中同様にニルヴァーシュをスマキにしたい場合は、市販のリード線を使用するといいだろう。

また、腕部内にはもう一つの格闘専用武器であるブレードも格納されている。・・・ホント、クローのケーブル、どこにそんなに入ってるんですか?

手持ち武器・ブレード 手持ち武器・ブレード
両腕に一本ずつ格納されているらしい。
長さ的にも「入るわけないだろ!」と突っ込みどころ満載。

胸部に搭載されている、物理的ダメージと共に敵の脳(=精神)にダメージを与える熱戦特殊兵器、バスクード・クライシスは、収納状態と展開状態をパーツの差し替えで再現している。

バスクード・クライシス
「脳ミソ、溶けちゃえ!」

ロールオーバーで画像が変わります

初回特典として、2009年に公開された映画『交響詩篇 エウレカセブン 〜ポケットが虹でいっぱい〜』に登場する、幼生ジ・エンドが付属する。・・・え、ナニこれ?

幼生ジ・エンド正面 幼生ジ・エンド背面

幼生、横から
なんなんだろう、この、見てるだけで癒される妙な物体は・・・。

幼生、可動
首と腕(?)が可動します。

欠点があるとするならば、スタンドが付属しない事が挙げられる。リフボードを使って空を飛ぶ機体なんだから、スタンドは必須だと思うのだが。と、いうわけで、購入の際は魂STAGE(アクションサポートタイプ)も併せて購入することをオススメしたい。展示用アームと土台が3つ分セットになっているので、持っておくとかなり便利である。

かつて立体化に恵まれなかった、とはいえ、主役を差し置いての第一号商品化に度肝を抜かれたこの商品。生憎自分で買った商品ではなく、今回のコラムも射手座サジタリアスのBP君の依頼で代筆で書いたのだが、ここまでの高クオリティなら、自分で買ってみても良いような気も・・・ってか、何で自分で買わなかったんだろうね・・・? ああぁ、悔やまれる〜。
注3『約束の地』:かつて人類の祖先は、宇宙より飛来した謎の生命体・コーラリアンの侵攻に耐えかね、地球を脱出。第二の地球を求めて長い旅に出た。旅の果てに人類は大気の組成が地球によく似た星を発見。その星を【約束の地】と名付け、生活を始めた。

物語終盤、【約束の地】は、スカブコーラルというコーラリアンが生み出したかりそめの大地に覆われた、地球である事が明らかにされた。

「もし、この戦いが終わっても『生きていい』って言われたら、小さな鏡をひとつ買って、微笑む練習をしよう・・・。」(戻る)